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2015年3月の11件の記事

2015年3月30日 (月)

認知の歪み クリミア併合編

プーチンをめぐる認知の歪みは、深刻である。
リベラルのリーダーになるべき方々の意見も、大半が、プーチンに対しては、頭から批判的である。


ロシア情勢など全く分からないので、田中宇の国際ニュースや、マスコミに載らない海外記事、櫻井ジャーナル等、ソースのしっかりしたブログに頼るほかないのが、実情である。


事実を知るためには、多分、「プーチンはアジアをめざす」(下斗米伸夫著・NHK出版新書)が最適と思う。
ウクライナ危機の実相と日露関係』もお勧めであるが、鳩山由紀夫氏主宰ということだけで、色眼鏡で見られるのが、極めて残念である。
(鳩山氏は、辺野古基地の県外移設を主張し、沖縄の人たちの立場に立とうとした唯一の総理であるにも拘わらず、不当にバッシングされているのは、この国の未来に悲劇をもたらすだけだろう。)
その点、前者は、みなさまのNHK出版であるから、安心である。


ロシア情勢には全くの素人ではあるが、多分、2回だけ、ブログで触れている。


2014年3月 9日 (日)  グローバリズムという名のむき出しの暴力


2014年3月20日 (木) プーチン大統領演説全文 関根和弘氏のツイートまとめから


前者は、ウクライナ憲法に基づいて、ヤヌコビッチ大統領の解任の違憲性を確認したもの。新政権の法的な正統性そのものに関わるものである。


後者は、クリミア併合に関して、プーチン大統領が演説した内容を、朝日新聞の記者がツイートした内容をまとめ直して原典を紹介したものである。
プーチンの演説は大変、長いものである。演説をまとめるのに相当な労力が必要だったと思われる。記者も、クリミア併合に関する、朝日新聞のスタンスとは異なるニュアンスを現地で感じていたから、あえて苦労して連続ツイートしたものと思われる。

認知の歪みがますます拡大しているので、改めて出発点を確認しておくのも無意味ではないだろう。


【政変について】 クーデターもしくは革命


ヤヌコビッチ大統領の解任は、ウクライナ憲法に何重にも違反した憲法違反の手続によるものである(14年3月9日付)。


ウクライナ憲法

第111条 ウクライナ大統領が国家反逆罪又はその他罪を犯した場合、ウクライナ大統領は弾劾により解任される。ウクライナ大統領の弾劾による 解任は、ウクライナ最高議会の憲法に定める定数の過半数の議員の発案により審議される。調査を実行するためにウクライナ最高議会は特別弁護士及び特別調査 官を含む特別臨時調査委員会を設立する。特別臨時調査委員会の結論及び提案はウクライナ最高議会で審議される。ウクライナ最高議会の憲法に定める定数の3分の2以上の賛成によりウクライナ大統領に対する告訴を決議できる。ウクライナ大統領の弾劾による解任は、ウクライナ憲法裁判所の判決及び弾 劾に関する調査・考察を行った憲法弁護士の意見、ウクライナ大統領が告訴されている国家反逆罪又はその他犯罪に関するウクライナ最高裁判所の意見を考慮し た上で、ウクライナ最高議会が憲法に定めた定数の4分の3以上の賛成で採択できる。


これによれば、
①大統領が国家反逆罪又はその他罪を犯した場合、
②最高議会の定数の過半数の議院の発案により、
③最高議会に特別臨時調査委員会を設立し、
④特別調査委員会の結論及び提案を最高議会で審議し、
⑤最高議会の定数の3分の2以上の賛成によって告訴し、
⑥憲法裁判所の判決・意見などを考慮した上で
⑦最高議会の定数の4分の3以上の賛成で
解任できるとされている。


ヤヌコビッチ大統領の解任について、国家反逆罪との報道はなかった。職務不履行を理由に解任を議決したとの報道があった。
職務不履行がウクライナ法で犯罪とされていれば、①は「その他の罪を犯した」場合として、かろうじて満たされる可能性があったのかもしれない。
しかし、現実には、ヤヌコビッチ大統領は、前日に、EUの仲介で野党勢力と事態収拾について合意したばかりなのだから、職務放棄は口実にもならない類いの話である。
②から⑥の手続要件は全く無視され、⑦の票数も満たしていなかった。


つまり、ウクライナ政権は、完全な非合法政権である。
政権を否定する立場からは、クーデター政権であるし、肯定する立場からは革命政権である。
否定するにしろ、肯定するにしろ、自覚的に決断しなければならないはずの問題である。
ところが、日本では、この基本点・出発点が確認されていない。
無視されているといってよい。


「プーチンはアジアをめざす」を読むと、ウクライナ政権自体が、この政変を「マイダン革命」と呼んでいることがわかる。
つまりは、憲法に違反する権力交代が行われたことは万人にとって明白な、紛れもない事実なのである。


【クリミア併合について】  その法的妥当性


クリミア併合に関しては、確かにウクライナ憲法には、領土不可分の規定が存在する。

2条 ウクライナの主権はウクライナの領土全てに及ぶ。ウクライナは中央集権国家である。現在の国境を含むウクライナの領土は不可分にして不可侵である。


しかし、憲法を蹂躙して政権を握った者が、自ら蹂躙した憲法の違反をいうのは、ナンセンスである。
ところが、クリミア併合については、メディアでは、ウクライナ憲法に違反するとする報道がなされた。
現在に続く、ウクライナ紛争について、メディアは初めから完全にダブルスタンダードだったのである。


もう一つ、法的に確認できることが、プーチン演説の中にある。
分離独立宣言の国際法適合性の問題である。

さらに言いましょう。クリミア最高議会は独立を宣言し住民投票を発表するにあたり、民族自決権を謳った国連憲章を根拠としました。思い出していただきたい のですが、当のウクライナもソビエト連邦脱退を宣言するにあたり、同じこと、ほぼ文字通りに同じことをしたのです。ウクライナではこの権利を行使したの に、クリミアには拒否しています。なぜでしょうか?

国際司法裁判所は、コソボ独立宣言(2008年2月17日、自治州であるコソボ議会がセルビアからの独立を一方的に宣言)に関して、国連総会の求めに応じて勧告的意見を示している。


プーチン演説は、コソボの独立宣言に関する、この国際司法裁判所の見解に触れている。

国際司法裁判所は国連憲章第1条第2項に基づきこれに同意し、2010年7月22日付の決定に次のように記しました。「安全保障理事会の慣例からは一方的 独立宣言に対するいかなる一般的禁止も推論されない。」そして、さらに「一般国際法は独立宣言について適用可能な禁止事項を含まない。」すべてきわめて明 瞭です。


私は引用が好きではありませんが、しかし仕方ありません。もう一つ公式文書の抜粋を挙げましょう。今度は、2009年4月17日付のアメリカ合衆国の覚書 で、コソボ審理に関連して当の国際司法裁判所に提出されたものです。再び引用します。「独立宣言は、往々にしてそうであるように、国内法に違反することが ある。しかし、それは国際法違反が起こっていることを意味するものではない。」引用おわり。自らこのように書き、世界中に吹聴し、皆に「同意させて」おきながら、今度は憤慨しています。何に腹を立てているのでしょう。クリミア住民の行動はこの 「マニュアル」とでも言うべきものにぴったり一致しています。なぜコソボのアルバニア人に許されたことが(私たちはアルバニア人には敬意を抱いていま す)、クリミアのロシア人やウクライナ人やクリミア・タタール人には禁止されるのでしょうか?再び同じ疑問です。なぜでしょうか?

クリミアのロシア編入は、民意に基づいて、流血の事態もなく行われた。


この点について、プーチン演説は次のように述べる。

当のアメリカやヨーロッパはまたしてもコソボは特殊なケースなのだというようなことを言っています。私たちの同僚はいったい何が特殊だと考えているので しょうか?それが、コソボ紛争で多くの人的被害が出たことが特殊だというのです。これが法的な論拠だとでもいうのでしょうか?国際司法裁判所の決定にはそ んなことは何も書かれていません。これはもうダブルスタンダードでさえありません。驚くほどに稚拙で無遠慮な皮肉か何かです。このように乱暴に何もかもを 自分の利益に合うように整え、同じひとつのものを今日は白と呼び、明日は黒と呼ぶようなことはあってなりません。つまるところ、すべての紛争は人的被害が 出るところまで持って行かなくてはならないということでしょうか?

ロシア軍を派遣して圧力を加えていたとする批判に対してもプーチンの回答は明確である。

確かに、ロシア連邦大統領は軍をウクライナで使用する権利を議会上 院から取り付けました。しかし、厳正に言えば、その権利はまだ行使されてもいないのです。ロシア軍はクリミアに進軍してはいません。彼らは国際条約に基づ き、元々そこにいたのです。確かに、私たちは兵力を強化しました。しかし、―ここは強調したいところで、皆さんに良く聞いてもらいたいのですが―、私たち はクリミア駐留軍の兵力定数を超えて増強したりはしていません。定数は2万5000人ですが、今までそこまでの必要がなかっただけのことです。

(中略)


率直に言いましょう。もしもクリミア自衛軍が時宜を得て状況をコントロールしていなければ、犠牲者が出てもおかしくはありませんでした。幸いなことに、そ うはなりませんでした!クリミアでは武力衝突は一度も起こらず、人的被害もありませんでした。なぜだと思いますか?答えは簡単です。なぜなら、国民とその 意思に反して戦うことは難しく、むしろ事実上不可能だからです。これについては、私はウクライナ兵に感謝したいと思っています。兵員数はかなりの数で、完 全武装兵が2万2000人です。流血の惨事を避け、自らを血で汚さなかったウクライナ兵に感謝したいと思います。
これについては、当然、別の考えも浮かびます。ロシアのクリミア介入だとか、侵略だとか言われていますが、これを聞くと奇妙な感じがします。歴史を見ても、ただの一発も発砲せず、一人の犠牲者も出さずに行われた軍事介入など、私は思い出すことができません。


武力による威嚇によって、併合がなされたのであれば、国際法秩序の根幹に対する挑戦であり、国連憲章第2条4項に違反する。
しかし、住民の意思に基づく(クリミアの場合、圧倒的な民意であったことは確実である)任意の編入を禁じる国際法(不文法・国家慣行)はおそらく存在しない。


プーチンの主張は理論的であり、国際法的な説明も説得的である。


国際司法裁判所の見解は、一方的な『独立宣言』の国際法適合性に関するものであって、実体的に、独立宣言をなした国家が国際法上の主体であり得るかについて述べたものではない。
しかし、独立宣言をなした国家の正統性は、独立宣言の問題以上に、すぐれて国際政治の問題となり、国際法が律するものではないこととなろう。
任意の編入も同様に考えてよいように思われる。


クリミアに関しては、国連総会は、2014年3月27日、3月16日に行われたクリミアの住民投票を無効とみなす決議を賛成多数で採択した。


国連総会決議には法的拘束力はないが、国際社会の政治的意思は示されていることになる。
ただし、踏み込んで言えば、この決議は、住民投票の無効を確認したもので、直接、クリミア併合の効力を問題にしたものではない。


賛成100、反対11、棄権58、欠席24。


賛否の差は大きいが、反対、棄権、欠席を合わせると93に及び、住民投票の有効性についても、国際社会の評価はまだ定着したものではないともいえる。
下斗米氏は、この決議にイスラエルが欠席したことについて、ウクライナ政権にネオナチ勢力が影響力を有していることを嫌った可能性に言及している。
(なお、参議院の対IS非難決議で、ただ一人、退席した山本太郎氏の扱いは「欠席」であって、「棄権」ではない。国連総会における「欠席」も意思表示の一つと考えてよいだろう)


【マイダン革命】 暴力性とネオコンの関与

政変時点では、日本のメディアでも、新政権に暴力的なネオナチ勢力が加わっていることが、断片的に伝えられていた。
今では、このこともほとんど問題にされていないようにみえる。


しかし、世界的には、政変におけるネオナチ勢力の暴力的な役割や、米国ネオコンの関与は、今や動かしがたい事実として認識されるようになっている。

以下、櫻井ジャーナル(3月17日付)から政変時の状況を引用しておこう。
全て裏付けのある話である。

2013年11月に始まった反政府運動は年が開けると暴力的になり、2月に入るとアメリカ/NATOを後ろ盾にするネオ・ナチのグループがクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチを大統領の座から引きずり下ろした。勿論、これは憲法違反だが、日頃、護憲、護憲と繰り返している日本の「リベラル派」や「革新勢力」も、このクーデターを支持していた。

 2013年12月にはアメリカからネオコン/シオニストがキエフへ乗り込んで体制転覆を扇動している。例えばジョン・マケインとジョー・リーバーマン両米上院議員。ビクトリア・ヌランド国務次官補はジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使は反政府運動の拠点になっていたユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でクッキーを配るというパフォーマンス。1960年代の後半から70年代の前半にかけ、戦争に反対するアメリカの若者が行った「フラワー・パワー」の猿まね、中身のない猿芝居にも見えた。

 2月4日、そのヌランド次官補とパイアット大使が電話で「次期政権」の閣僚人事について話し合う内容が盗聴され、音声がYouTubeにアップロードされてしまった。その中でヌランドが高く評価していたのが銀行出身のアルセニー・ヤツェニュクだ。現在、首相として活動している。

 その当時、EUは話し合いで争乱を解決しようとしていたのだが、ヌランドはそれが気に入らない。そこで、「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」という表現が出てきたわけである。下品な表現を使ったことが問題なのではない。彼女は暴力的にヤヌコビッチ政権を倒し、ヤツェニュクを含む傀儡政権を樹立させようとしていたのだ。明らかな内政干渉。日本のマスコミはこうしたことに興味がないらしい。

 ヌランドの意向通り、2月18日頃からネオ・ナチは暴力をエスカレートさせた。棍棒、ナイフ、チェーンなどを手に、石や火炎瓶を警官隊に投げつけ、ピストルやライフルを持ち出して街を火と血の海にしたのである。

 21日にヤヌコビッチ大統領と反ヤヌコビッチ派が平和協定に調印するのだが、翌22日には屋上からの狙撃で多くの死者が出始め、協定は実現しなかった。この日、議会は憲法の規定を無視してトゥルチノフを大統領代行に任命した。

 こうした状況の中、エストニアのウルマス・パエト外相が2月25日にキエフ入りして調査、その内容を26日にEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者/イギリス人)へ電話で報告している:

 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(後の暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」「新連合はもはや信用できない。」

 この狙撃を指揮していたのはネオ・ナチを率いるひとり、アンドレイ・パルビーで、少なからぬ狙撃手がグルジアから来ていた可能性が高い。国家安全保障国防会議(国防省や軍を統括する)の議長を務めた後、議会の第1副議長に就任している。少なくとも、狙撃していたのは親米勢力だということをEUも2月26日に時点で認識していたわけだ。


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私は、クリミア併合時のプーチン演説は名演説だったと思う。
少なくとも、読んでおくべき内容だと思うので、ロシア大使館の和訳を以下に貼り付けておく。

03.25.2014
ロシア議会上下院、地方首長、市民団体の代表に向けたV.V.プーチン大統領の演説(クリミアの復帰に関して、全文)
2014年3月18日、クレムリン


こんにちは、尊敬する上院議員、尊敬する下院議員!尊敬するクリミア共和国とセバストポリ市の代表者たち!ロシア国民!彼らは、クリミアとセバストポリ市の住民は、ここに、私たちの間にいます!

 

尊敬する友人たち、今日私たちは、私たち全員にとって極めて重要な意味を持ち、歴史的意味を持つ問題でここに集まりました。3月16日、クリミアで住民投票が行われました。住民投票は民主的手続きと国際法の規定に完全に合致したものでした。

 

有権者の82%以上が投票に行きました。96%以上がロシアへの復帰に賛成票を投じました。この数字は極めて説得力のあるものです。

 

どうしてこのような選択がなされたのかは、クリミアの歴史を知れば、またクリミアにとってロシアがどのような意味を持ち、ロシアにとってクリミアがどのような意味を持つのか知れば理解できます。

 

クリミアでは文字通りすべてに私たちの共通の歴史、共通の誇りが息づいています。ここには聖ウラジーミル公が洗礼を受けた古代のケルソネス市があり ます。彼の宗教的偉業―正教の受け入れ―はロシア、ウクライナ、ベラルーシをひとつに結びつける共通の文化、価値観、文明の基盤となりました。クリミアに はロシア兵士の墓地があります。1783年、その兵士の勇敢な戦いにより、クリミアはロシア帝国の傘下に入りました。クリミアといえばセバストポリ市で す。伝説の都市、偉大なる運命の都市、要塞都市であり、ロシア黒海艦隊の故郷です。クリミアといえばバラクラヴァ市とケルチ市であり、マラコフ・クルガン の高地とサプン・ゴラの高地です。このひとつひとつの場所が私たちにとっては神聖であり、ロシアの軍事的栄誉の象徴であり、大いなる武勲の象徴です。

 

クリミアは様々な民族の文化と伝統のユニークなるつぼでもあります。その意味でクリミアはロシア本土とよく似ています。ロシア本土もまた、数世紀の 間、ひとつとして民族が消失したり溶解したりしたことはありません。ロシア人もウクライナ人も、クリミア・タタール人もその他の民族も、皆が自分たちの慣 習や伝統、言語や宗教を守りながらクリミアの地で仲良く暮らし、働いてきました。

 

ちなみに、現在220万人いるクリミアの人口のうち、ほぼ150万人がロシア人であり、35万人が主にロシア語を母語だと考えるウクライナ人です。29万から30万人がクリミア・タタール人であり、その大部分が、住民投票から分かる通り、ロシアを志向しています。

 

確かに、クリミア・タタール人が、ソビエト連邦のある他の民族と同様に、残酷な不平にさらされた時期もありました。ひとつ言っておきます。当時、 様々な民族の数百万人が弾圧を受けましたが、その筆頭は当然ロシア人でした。クリミア・タタール人は故郷の地に戻ったのです。クリミア・タタール民族の更 生プロセスを完遂させるのに必要なすべての政治的・法的決定がなされるべきであり、彼らの権利と名誉を完全に回復させる決定がなされるべきだと思います。

 

私たちはクリミアに住むすべての民族に敬意を抱いています。クリミアは彼らの共通の家であり、故郷です。ですから、これはクリミアの住民も支持していますが、クリミアにロシア語、ウクライナ語、クリミア・タタール語の3言語が国語として同等に存在することが正しいのです。

 

尊敬する同僚たち!人々の心の中、意識の中では、クリミアは常にロシアの不可分の一部でした。真実と正義に基づいたこの確信はゆるぎないものであ り、世代から世代へと受け継がれてきたものです。この確信の前には時間も情勢も無力であり、私たちが体験してきた、20世紀を通して私たちの国が体験して きた劇的な変革でさえもすべてが無力です。
革命後、ボリシェビキはさまざまな理由から、歴史的にロシア南部であった領土の大部分をソビエト連邦ウクライナ共和国に編入しました。ボリシェビキは神の 裁きを受けることでしょう。この決定は住民の民族構成を考慮せずになされたものであり、それが現在のウクライナ南東部です。そして
1954年、さらにクリ ミア州もウクライナ共和国に引き渡すという決定がなされました。同時に、当時は連邦直轄都市だったはずのセバストポリ市も引き渡されました。これを発意し たのはソビエト連邦共産党のトップであったフルシチョフ本人です。何が彼を突き動かしたのか―ウクライナ特権階級の支持を得たかったのか、はたまた30年 代のウクライナでの大弾圧の罪を償いたかったのか―それは歴史学者が調べることでしょう。

 

私たちにとって重要なのは別の視点です。この決定は当時の憲法の規定にさえ明らかに違反していました。非公式に内輪で勝手に決めたことなのです。全 体主義国家では、クリミアやセバストポリ市の住民が意見を尋ねられることは当然ありませんでした。ただ事実を突き付けられたのです。当時でも、人々は当然 ながら、どうして突然クリミアがウクライナに編入されたのかと疑問を持ちました。しかし正直なところ、―皆知っていることですから、率直に言いましょう ―、正直なところ、この決定は単なる形式的なものだと捉えられていました。なにしろ、領土はひとつの大きな国の枠内で引き渡されたのです。当時は、ウクラ イナとロシアが一緒でなくなり、別々の国家になることなど想像することもできませんでした。しかし、そうなったのです。

 

信じられないと思われたことが、残念ながら現実のものとなりました。ソビエト連邦は崩壊したのです。事態の進展はあまりにも急激で、当時起こってい た出来事やそれがもたらす結果の重大性を完全に把握している国民はほとんどいませんでした。ロシアでもウクライナでも、さらに他の共和国でも、人々の多く はそのときにできあがった独立国家共同体(CIS)が新たな国家の枠組みになるものと期待していました。何しろ共通の通貨を持ち、ひとつの経済圏を形作 り、共通の軍隊を持つと約束されていたのです。しかし、それは単なる約束に終わり、大国は消失しました。そして、クリミアが突然として外国のものになって しまったとき、その時になってロシアはただ盗みにあったのではなく、強奪されたのだと実感したのです。

 

しかし、ロシア自身も「主権のオンパレード」を始動させたことでソ連崩壊を促進しましたし、ソ連崩壊の手続きではクリミアのこと、黒海艦隊の主要基 地であるセバストポリ市のことを忘れてしまっていた事実は率直に認めなくてはなりません。何百万人ものロシア人がひとつの国で眠りにつき、目を覚ますと外 国にいたのです。彼らは一瞬にして旧ソ連共和国で民族的少数派になってしまったのです。ロシア人は世界最大のひとつ、世界最大と言ってもいいくらいの分断 された民族となったのです。

 

現在、それから長い年月が過ぎ、つい最近になってクリミアの人々が、1991年のあのとき、自分たちは袋に入ったジャガイモのようにあちらからこち らへと引き渡されたのだと話しているのを聞きました。これには同意せざるを得ません。あのとき、ロシアはいったいどうしたのでしょう?ロシアは?うなだれ て、受け入れ、この屈辱をぐっと堪えたのです。私たちの国はひどい苦境にあり、自国の利益を守ることさえできない状態でした。しかし、人々はこのひどい歴 史的不正を受け入れることはできませんでした。この間、国民も多くの社会活動家も何度となくこの問題を提起し、クリミアはロシア固有の土地であり、セバス トポリ市はロシアの都市だと言ってきました。それはよく分かっていましたし、心で感じていることでした。しかし現実に立脚して、新たな基盤のもとに独立ウ クライナとの善隣関係を築かなければなりませんでした。ウクライナとの関係、兄弟であるウクライナ国民との関係は、一切の誇張を抜きにして、これまでも、 そしてこれからも私たちにとって最も大切で重要なものです。

 

今日となっては率直に話すことができます。皆さんと2000年代初頭に行われた交渉の詳細を共有したいと思います。当時、ウクライナのクチマ大統領 からロシア・ウクライナ国境画定のプロセスを加速させるよう私に要請がありました。当時までこのプロセスはほとんど進んでいませんでした。ロシアはクリミ アをウクライナの一部と認めたようであり、それでいて国境画定交渉は行われていませんでした。このプロセスが困難であることは分かっていましたが、私はす ぐにロシア側の省庁に作業を活発化するよう指示しました。国境画定に合意することで、私たちが実質的にも法的にもクリミアをウクライナ領として認めようと し、それによりこの問題に終止符を打とうとしていることが誰にでも分かるようにするための国境画定作業です。

 

私たちはクリミアの問題だけではなく、アゾフ海海域とケルチ海峡の国境線画定といった極めて難しい問題でもウクライナに譲歩しました。どうしてで しょうか?ウクライナとの良好な関係が私たちにとっては最も重要なものであり、それが行き詰った領土問題の人質になっていてはいけないという思いからで す。しかしこのとき、ウクライナが今後も当然私たちのよき友人であり続けると考えていましたし、特にウクライナ南東部とクリミアに住むロシア人やロシア語 を話すウクライナ国民が友好的で民主的な文明国家に暮らし、彼らの法的利益が国際法の規定に従って保障されるものと考えていました。

 

しかし、状況は別の方向に進み始めました。ロシア人から歴史的記憶を奪おうとする試みが次々と行われ、時には母語を奪おうとすることも試みもありま した。ロシア人に同化を強制しようとしたこともありました。また当然のことながら、ロシア人は、ほかのウクライナ国民と同様に、20年以上にわたってウク ライナを揺るがし続けている恒常的な政治的・国家的危機に苦しめられてきました。

 

どうしてウクライナの人々が変革を望んだのか、よく理解できます。「独立」し、自立してからのこの年月、いわば人々は政権に「うんざり」したのであ り、あきあきしたのです。大統領、首相、議会の議員は変わっても、彼らの自国と自国民に対する考え方は変わりませんでした。彼らは権限や資産、資金の流れ を巡ってお互いに争いながら、ウクライナを「搾り取って」いったのです。政権等は一般市民が何をもってどんな暮らしをしているのか、どうして数百万人のウ クライナ国民が自国では自分の将来に展望を見いだせず、日雇い労働のために外国へ出て行かなくてはならないのかにはほとんど興味がありませんでした。指摘 しておきますが、シリコンバレーへの就職ではなく、日雇いの出稼ぎです。昨年のロシアだけでも、そういった人々が300万人も働いていました。2013年 に彼らがロシアで稼いだ金額は200億ドル以上であるという試算もあり、これはウクライナのGDPの12%にあたります。

 

繰り返しますが、汚職や非効率な国家運営や貧困に反対し、平和的なスローガンを掲げてマイダン広場に集まった人たちのことは良く理解できます。平和 的なデモ活動の権利、民主的手続き、選挙は人々が納得いかない政権を変えるためにこそ存在しています。しかし、ウクライナでの最近の出来事を裏で操ってい た人々は別の目的を追求していました。彼らは何に対しても決してひるむことなく、また新たなクーデターを準備し、政権奪取を企てていました。テロも殺人も 略奪も活用されました。クーデターの主要な実行者となったのはナショナリスト、ネオナチ、ロシア恐怖症の人々と反ユダヤ主義者たちです。まさにその彼らが 今日に至るもまだ、様々な意味でウクライナでの生活を決定づけているのです。

 

いわゆる新「政権」が最初に行ったことは、言語政策の見直しに関する恥ずべき法案の提出であり、この法案は民族的少数派の権利を真っ向から侵害する ものでした。ただし、今日「政治家」となった人々の海外スポンサーであり、「政権」の後見人である人々はすぐにこの企ての発案者をたしなめました。彼らは 賢い人間であり、そこは評価しなくてはなりません。民族的に純粋なウクライナ国家を建設しようとする試みが何をもたらすのかを彼らはよく理解しています。 法案は延期され、脇へ退かされましたが、明らかに万一の時に備えて残してあるのです。法案が存在する事実を今は押し黙っていますが、おそらく人間の記憶が 短いことをあてにしているのでしょう。しかし、第二次世界大戦時のヒトラーの協力者であるバンデーラの思想継承者たちがウクライナで今後いったい何をしよ うとしているのかは、今や誰が見ても明白です。

 

また、ウクライナには正統な政権がいまだになく、話をする相手がいないこともまた明白です。国家機関の多くは身元詐称者が占拠しており、彼らは国を 全くコントロールしておらず、むしろ彼ら自身が、―これは強調しておきたいのですが―、彼ら自身が往々にして過激派の支配下に置かれているのです。現政権 の大臣の中には、マイダン広場の武装勢力の許可を得なければ面会さえできない大臣もいるのです。冗談ではなく、これが今日の現実なのです。

 

クーデターに抵抗した者にはすぐに弾圧と懲罰をちらつかせた脅しが始まりました。その先頭にいたのは当然クリミアです。ロシア語圏のクリミアです。 そのため、クリミアとセバストポリ市の住民はロシアに対し権利と生命の保護を求めました。またキエフで、そしてドネツク市やハリコフ市やその他のウクライ ナの町で起こっていることを波及させないよう求めたのです。

 

当然、私たちはこの要請を拒否することはできませんでした。クリミアとその住民を見捨てることはできませんでした。そんなことをすれば、ただの裏切りです。

 

まず最初に、平和で自由な意思表示ができる環境を整備し、クリミアの住民が史上初めて自らの運命を自分で決定できるよう支援する必要がありました。 しかし、今日、私たちは西欧や北米の同僚からいったい何と言われているでしょう?私たちは国際法の規定に違反していると言われているのです。第一に、彼ら が国際法の存在を思い出しただけまだましです。思い出さないよりは遅くなってしまってもいいのですから、それだけでも御の字です。

 

第二に、これが最も重要ですが、私たちがいったい何に違反しているというのでしょうか?確かに、ロシア連邦大統領は軍をウクライナで使用する権利を 議会上院から取り付けました。しかし、厳正に言えば、その権利はまだ行使されてもいないのです。ロシア軍はクリミアに進軍してはいません。彼らは国際条約 に基づき、元々そこにいたのです。確かに、私たちは兵力を強化しました。しかし、―ここは強調したいところで、皆さんに良く聞いてもらいたいのですが―、 私たちはクリミア駐留軍の兵力定数を超えて増強したりはしていません。定数は2万5000人ですが、今までそこまでの必要がなかっただけのことです。

 

さらに言いましょう。クリミア最高議会は独立を宣言し住民投票を発表するにあたり、民族自決権を謳った国連憲章を根拠としました。思い出していただ きたいのですが、当のウクライナもソビエト連邦脱退を宣言するにあたり、同じこと、ほぼ文字通りに同じことをしたのです。ウクライナではこの権利を行使し たのに、クリミアには拒否しています。なぜでしょうか?

 

また、クリミア政府は有名なコソボの先例にも立脚しました。その先例は西側のパートナーたちが自ら、いわば自らの手で作り出したものであり、クリミ アと全く同じ状況で、セルビアからのコソボ分離を合法と認め、一方的な独立宣言には中央政府の許可は一切必要ないことを皆に知らしめたのです。国際司法裁 判所は国連憲章第1条第2項に基づきこれに同意し、2010年7月22日付の決定に次のように記しました。「安全保障理事会の慣例からは一方的独立宣言に 対するいかなる一般的禁止も推論されない。」そして、さらに「一般国際法は独立宣言について適用可能な禁止事項を含まない。」すべてきわめて明瞭です。

 

私は引用が好きではありませんが、しかし仕方ありません。もう一つ公式文書の抜粋を挙げましょう。今度は、2009年4月17日付のアメリカ合衆国 の覚書で、コソボ審理に関連して当の国際司法裁判所に提出されたものです。再び引用します。「独立宣言は、往々にしてそうであるように、国内法に違反する ことがある。しかし、それは国際法違反が起こっていることを意味するものではない。」引用おわり。自らこのように書き、世界中に吹聴し、皆に「同意させ て」おきながら、今度は憤慨しています。何に腹を立てているのでしょう。クリミア住民の行動はこの「マニュアル」とでも言うべきものにぴったり一致してい ます。なぜコソボのアルバニア人に許されたことが(私たちはアルバニア人には敬意を抱いています)、クリミアのロシア人やウクライナ人やクリミア・タター ル人には禁止されるのでしょうか?再び同じ疑問です。なぜでしょうか?

 

当のアメリカやヨーロッパはまたしてもコソボは特殊なケースなのだというようなことを言っています。私たちの同僚はいったい何が特殊だと考えている のでしょうか?それが、コソボ紛争で多くの人的被害が出たことが特殊だというのです。これが法的な論拠だとでもいうのでしょうか?国際司法裁判所の決定に はそんなことは何も書かれていません。これはもうダブルスタンダードでさえありません。驚くほどに稚拙で無遠慮な皮肉か何かです。このように乱暴に何もか もを自分の利益に合うように整え、同じひとつのものを今日は白と呼び、明日は黒と呼ぶようなことはあってなりません。つまるところ、すべての紛争は人的被 害が出るところまで持って行かなくてはならないということでしょうか?

 

率直に言いましょう。もしもクリミア自衛軍が時宜を得て状況をコントロールしていなければ、犠牲者が出てもおかしくはありませんでした。幸いなこと に、そうはなりませんでした!クリミアでは武力衝突は一度も起こらず、人的被害もありませんでした。なぜだと思いますか?答えは簡単です。なぜなら、国民 とその意思に反して戦うことは難しく、むしろ事実上不可能だからです。これについては、私はウクライナ兵に感謝したいと思っています。兵員数はかなりの数 で、完全武装兵が2万2000人です。流血の惨事を避け、自らを血で汚さなかったウクライナ兵に感謝したいと思います。
これについては、当然、別の考えも浮かびます。ロシアのクリミア介入だとか、侵略だとか言われていますが、これを聞くと奇妙な感じがします。歴史を見ても、ただの一発も発砲せず、一人の犠牲者も出さずに行われた軍事介入など、私は思い出すことができません。

 

尊敬する同僚たち!ウクライナを巡る情勢には、現在世界で起こっていること、さらにはこの数十年にわたって世界で起こってきたことが鏡のように映し 出されています。二極体制の消失後、世界から安定が消えました。主要な国際機関は強化されるどころか、残念ながら往々にして退化しています。アメリカ合衆 国を筆頭とする西側のパートナーたちは政治の実践において国際法ではなく、力による支配に従うことを好んでいます。彼らは自分が選ばれし特別な存在である と信じ切っており、世界の運命を決めるのは自分であり、常に自分だけが正しいのだと信じ切っています。彼らは思いつくままに行動しています。あちこちで主 権国家に対して武力を行使し、「ついてこない者は敵である」の原則に従って同盟を築いているのです。侵略を合法的に見せるため、国際機関から必要な決議を 「引き出し」、何らかの理由でそれがうまくいかない場合は、国連安全保障理事会も国連そのものをも全く無視するのです。

 

ユーゴスラビアの時がそうでした。私たちは1999年のそのときのことをよく覚えています。信じがたいことでした。自分の目が信じられませんでし た。20世紀末、ヨーロッパの首都のひとつ、ベオグラードの町が数週間にわたってミサイル攻撃にさらされ、その後、本格的な軍事介入が行われたのです。は たしてそのような行動を許可する国連安保理決議があったでしょうか?そんなものはありませんでした。その後、アフガニスタンがあり、イラクがあり、リビア に関する国連安保理決議のあからさまな違反がありました。飛行禁止区域を守るのではなく、またしても空爆が始まったのです。

 

また、操作された一連の「カラー」革命もありました。この出来事が発生した国々では、人々が圧政や貧困、展望の見えない状態に疲れ切っていたことは よく分かります。しかし、その感情は皮肉にも利用されたのです。これら国々は民族の生活様式にも伝統にも文化にも全く合わない基準を押しつけられました。 その結果、民主主義と自由のかわりに生まれたのは混沌、暴力の爆発、度重なるクーデターです。「アラブの春」は「アラブの冬」に取って代わられたのです。

 

同じようなシナリオがウクライナでも展開されました。2004年、大統領選挙で自分たちに必要な候補者を通すために、法律に規定されていない第3回 決選投票なるものが行われました。これは全くばかげたことであり、憲法を愚弄したものです。そして今回は、事前に訓練され、周到に装備した武装勢力の軍隊 を投入してきたのです。

 

私たちは何が起こっているのか、よく分かっています。この行動がウクライナに矛先を向け、ロシアにも向けていること、ユーラシア圏の統合に向けてい るものであることは分かっています。そして、これはロシアが誠実に西側の同僚たちとの対話を目指していたのに起こったのです。主要な問題において、私たち は常に協力を提案しています。信頼関係のレベルを向上させたいのです。私たちの関係が対等で、オープンで、誠実なものであってほしいのです。しかし、相手 側からの歩み寄りはありませんでした。

 

それどころか、私たちを次々と騙し、私たちのいないところで決定を下し、私たちには既成事実を突きつけたのです。NATOの東方拡大のとき、ロシア の国境付近に軍事インフラを配備したときもそうでした。私たちに対してはいつも同じことを繰り返していました。「あなた方には関係しませんよ」と。関係し ないなんて、簡単に言ってくれたものです!

 

ミサイル防衛システム展開の時もそうでした。私たちの懸念を無視して、機械は進み、動いています。査証交渉の終わりの見えない長期化もそうですし、公平な競争とグローバル市場への自由なアクセスについての約束もそうです。

 

今、私たちは制裁に脅かされていますが、そうでなくとも私たちは多くの制約の下に暮らしています。私たちにとって、ロシア経済にとって、私たちの国 にとってはきわめて重大な制約です。たとえば、「冷戦」期にアメリカが、それに続いて他の国々も、いわゆるココムリストを作成し、多くの技術や設備につい て、ソ連への販売を禁止しました。現在、このリストは形式的には廃止されていますが、それはあくまで形式的なものであり、実際には多くの禁止事項がいまだ に機能し続けています。

 

一言で言えば、18世紀、19世紀、20世紀を通してロシアに対して実施された悪名高き抑止政策は今日もまだ続いていると考えるのが妥当です。私た ちが独立した立場をとり、その立場を守ろうとし、偽善者ぶらずに物事を言うので、私たちを常にどこかの片隅に追いやろうとしているのです。しかし何事にも 限度があります。ウクライナの場合、西側のパートナーたちは一線を越え、乱暴で、無責任で、そしてプロ意識にかける振る舞いをしました。

 

ウクライナにもクリミアにも数百万人のロシア人が住んでいることを彼らはよく知っていました。いったいどれほどの政治的感覚と節度を失えば、自分の 行動の結果が見えなくなるのでしょう!ロシアはもう後に引くことのできない限界に立たされたのです。バネを限界まで押さえつければ、いずれは跳ね返りま す。それを肝に銘じておく必要があります。
今日必要なことは、ヒステリーを止め、「冷戦」期の修辞から離れ、明白な事実を認めることです。ロシアは国際社会における独立した積極的な参加者なのであり、ロシアにも他の国と同様に国益があり、それは考慮され、尊重されなければなりません。

 

 

 

私たちはクリミアでの私たちの行動に理解を示してくれたすべての人に感謝しています。中国の国民に感謝しています。中国指導部はウクライナとクリミアの情勢をその歴史的、政治的全体像を考慮しています。インドの自制した、客観的態度を高く評価しています。

 

今日、私はアメリカ合衆国の国民に言いたいと思います。彼らは建国以来、独立宣言を採択して以来、自由至上主義を誇りとしてきました。自分の運命を自由に選択したいというクリミア住民の欲求は同様な価値のあるものではないのですか?私たちを理解してください。

 

ヨーロッパ人、とりわけドイツ人も私を理解してくれると信じています。東西ドイツ統一に関する政治協議が、控えめに言って専門家レベルで、しかし極 めて高いレベルで行われていた時、ドイツの同盟国である国、そして当時同盟国であった国のうち、統一という考えそのものを支持した国は多くはありませんで した。しかし私たちの国はそれとは逆に、ドイツ人の誠実で押さえることのできない民族統一の欲求をはっきりと支持したのです。そのことをあなたたちは忘れ ていないと確信しています。そしてドイツ国民もまた、ロシア世界の、歴史的ロシアの統一を復活させたいという欲求を支持してくれると期待しています。

 

ウクライナ国民に言います。あなたたちが私たちを理解してくれることを心から望んでいます。私たちはあなたたちに害を及ぼそうとか、国民感情を侮辱 しようなどとは決して思っていません。私たちは常に大国ウクライナの領土の一体性を尊重してきました。自分たちの政治的野心のためにウクライナの一体性を 犠牲にした人々とは違います。彼らは偉大なるウクライナを謳ったスローガンを掲げて着飾っていますが、国を分断するためにすべてを行ったのは彼らなので す。今日の内紛はすべて彼らの責任です。親愛なる友人たち、あなたたちに私の話を聞いてほしいのです。ロシアを使ってあなたたちを脅し、クリミアの次はほ かの地域だと叫ぶ人々を信じないでください。私たちはウクライナの分裂を望んではいません。そんなものは私たちには必要ないのです。クリミアについては、 これまでもそしてこれからもロシアのものであり、ウクライナのものであり、クリミア・タタールのものです。

 

繰り返しますが、これまで何世紀にもわたってそうであったように、クリミアはこれからもそこに暮らすすべての民族にとっての故郷です。決してバンデーラ主義者のものにはなりません!

 

 

 

クリミアは私たちの共通の財産であり、地域安定の重要なファクターです。このような戦略的領土は強く安定した主権の下にあるべきで、それは実際、今 日においてはロシアの主権下でしかあり得ません。親愛なる友人たち(ウクライナとロシアに言っているのです)、そうでなければ、私たち―ロシア人とウクラ イナ人―は、歴史的に見て近い将来、クリミアを完全に失うことになるかもしれません。この言葉をどうかよく考えてみてください。

 

キエフではすでにウクライナが近くNATOに加盟するという声明が出ています。この展望がクリミアとセバストポリ市にとって何を意味するでしょう か?ロシア軍の栄光の町にNATOの艦隊が現れるようなことになれば、ロシア南部全域にとっての脅威となるでしょう。この脅威は幻でも何でもなく、きわめ て身に迫る脅威です。実際に起こったかもしれないことはすべて、クリミア住民の選択がなければ本当にすべて実際に起こったかもしれません。クリミア住民に 感謝しています。
ちなみに言えば、私たちはNATOとの協力に反対しているわけではありません。全く反対ではありません。私たちが反対しているのは、軍事同盟が、様々な内 部プロセスはあってもNATOは軍事組織ですから、その軍事組織がうちの柵の近くで、我が家の近所で、私たちの歴史的領土の中で我がもの顔をしていること に反対しているのです。たとえば、私たちがセバストポリに行ってNATOの海軍兵士に客人として迎えられるなど、私には想像もできません。彼らの多くはす ばらしい青年たちです。しかし、セバストポリでは私たちが彼らを客人として迎える方がよいのです。

 

率直に言いましょう。私たちは今ウクライナで起こっているすべてのことに、人々が苦しんでいることに、彼らが今日をどのように生き、明日はどうなる のか分からないでいることに心を痛めています。私たちが心配するのもよく分かります。何しろ私たちは単なる隣人ではなく、私が何度も言っているとおり、事 実上、ひとつの民族なのです。キエフはロシアの町にとっては母なる都市です。古代ルーシは私たちの共通の起源であり、私たちはいずれにせよお互いがいなけ ればやっていけないのです。

 

もうひとつ言いましょう。ウクライナには今も、そしてこれからも数百万人のロシア人、ロシア語話者である国民が暮らしていきます。そして、ロシアは 常に政治的、外交的、法的手段を使って彼らの利益を保護していきます。しかし、まずは当のウクライナがこういった人々の権利と利益が保証されるよう関心を 払わなければなりません。それがウクライナの国家としての安定と領土の一体性の基礎となるのです。

 

私たちはウクライナとの友好を望んでいます。ウクライナが強く、主権を持った、自立した国家になることを願っています。私たちにとってウクライナは 主要なパートナーのひとつなのです。私たちには多くの共同プロジェクトがあり、何があったとしても、これらのプロジェクトの成功を私は信じています。そし て何よりも、私たちはウクライナの地に平和と融和が訪れることを願っています。そのためには他国とともに最大限の協力と支援をする用意があります。しかし もう一度繰り返します。自分の家に秩序をもたらすことができるのは他でもないウクライナ国民だけなのです。

 

尊敬するクリミアとセバストポリ市の住民の皆さん!ロシア全土があなたたちの大胆さと威厳と勇気に感動しました。あなたたちがクリミアの運命を決め たのです。この数日間、私たちはこれまでにないほど身近になり、お互いを支え合いました。あれは真の連帯の気持ちでした。あのような決定的な歴史的瞬間に こそ、民族の成熟度と精神力が試されるのです。ロシア国民はすばらしい成熟度とすばらしい力を発揮し、団結して同胞を支えました。

 

ロシアの外交における強気は数百万人の人々の意思、民族全体の団結、主要な政治・社会勢力からの支持に立脚していました。皆さんのその愛国心に感謝 します。例外なくすべての人に感謝します。しかし、ロシアの前に立ちはだかる課題を解決するため、今後もこの団結力を維持することが私たちには重要です。

 

私たちは明らかに外国の反発に遭遇することになります。しかし、私たちは自分のために決めなくてはなりません。首尾一貫して国益を守り続ける用意が あるのか、それとも、永遠に国益を諦め続け、どこまでも後ろに下がり続けるのか。西側の政治家の中には、制裁だけではなく、国内問題の先鋭化の可能性を 語って私たちを怖がらせている人もいます。彼らが何のことを言っているのか知りたいものです。第5列員なるもの―様々な国家反逆者―の活動のことでしょう か、あるいはロシアの社会経済情勢を悪化させることで人々の不満を誘発することができると考えているのでしょうか。このような発言は無責任で明らかに攻撃 的なものであると見なし、しかるべき方法で対処していきます。しかし、私たち自身は東側でも西側でも、決してパートナーとの対立を目指すことはせず、現代 世界の決まり通り、先進的な善隣関係を築くために全力を尽くしていきます。

 

尊敬する同僚たち!
住民投票で、クリミアはウクライナに残るのか、ロシアに入るのかという、きわめて率直ではっきりした質問を設定したクリミア住民の気持ちがよく分かりま す。そして、確信を持って言うことができます。クリミアとセバストポリの指導部や立法機関の議員は住民投票の質問を作るにあたって、派閥や政治的利益を超 越し、人々の根源的利益だけを指針として、それだけを最重要視したのです。これ以外の住民投票であったなら、それが一見したところいかに魅力的に映ったと しても、この領土の歴史的、人口構成的、政治的、経済的特性のために中庸で一時的で揺らぎやすいものになっていたでしょうし、間違いなくクリミア情勢のさ らなる悪化へつながったでしょうし、最悪の形で人々の生活に反映していたことでしょう。クリミア住民は厳しく、妥協のない、一切の中途半端さのない質問を 設定しました。住民投票はオープンに誠実に行われ、クリミアの人々ははっきりと説得力を持って自分の意思を表明しました。彼らはロシアに入ることを望んで いるのです。

 

 

ロシアもまた、国内外のファクター全体を考慮して、困難な決定をしなければなりません。今のロシアの人々の意見はどうなのでしょう。ここでは、他の あらゆる民主主義社会と同じように、様々な視点があるでしょう。しかし、絶対的な、―強調しておきますが―、絶対的多数の国民の考え方は、こちらも一目瞭 然です。

 

つい先日ロシアで実施された最新の世論調査をご存じでしょう。95%もの国民が、ロシアはクリミアに住むロシア人とその他の民族の利益を保護すべき であると考えています。95%です!83%以上が、たとえそのような態度が他国との関係を複雑化させるとしても、ロシアはこれを実施すべきだと考えていま す。国民の86%がクリミアは今に至るまでもロシアの領土であり、ロシアの土地であると確信しています。そして、とても重要な数字で、クリミアの住民投票 のものと完全に相関しているのですが、ほぼ92%がクリミアのロシア編入に賛成しています。

 

このように、クリミア住民の大多数も、ロシア国民の絶対的多数も、クリミア共和国とセバストポリ市のロシア連邦への復帰を支持しています。

 

残すはロシアの政治的決定です。これは国民の意思に基づくことしかできません。なぜなら、いかなる政権であってもその源となるのは国民だけだからです。

 

尊敬する上院議員!尊敬する下院議員!ロシア国民とクリミアとセバストポリ市の住民たち!クリミアで行われた住民投票の結果に基づき、国民の意思に 立脚して、本日、ロシア連邦議会に、ロシアに2つの新たな連邦構成主体、クリミア共和国とセバストポリ市を受け入れる合憲的な法案を提出し、審議を要請す ると共に、クリミア共和国とセバストポリ市のロシア連邦への編入に関する署名の準備が整えた条約の批准を要請します。皆さんの支持を迷わず確信していま す!

http://www.kremlin.ru/news/20603

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健康食品機能性表示解禁はダメ  健康食品検証報道が封じられる韓国

TPP関連では、反対する側として想像力を働かせたつもりであるのに、想像を超える事態が起きる。
国家戦略特区や規制改革会議を通じて行われる、私的な勢力によるこの国の支配は典型である。
どこで何が起きるかは、もはや想定不可能で、年金積立金を株式市場につぎ込む等、どこの国でも行われておらず、対日要求にすらない重大なことが、思いつきで勝手に決められていく。


健康食品の機能性表示解禁には弊害が多い。
米国では規制を強める方向であることを紹介した。
日本では、大規模な被害が出るまでは報道されることもなく、放置されるだろうと書いた。
しかし、米韓FTA下にある韓国の現実までは想像が及ばなかった。


下記の朝鮮日報の記事は、読み方はさまざまあるだろう。
そのまま読めば、批判した商品のライバル社の広告をプロデューサー自身がしていたというのは、確かに不公正だ。
しかし、不良商品の追及で名高いプロデューサーが公の舞台を追われたことも事実だ。
このプロデューサーが演出する番組全てが中止になるというのだから結果は極めて重大だ。


不公正が表面化して問題にされるかどうかは、極めて恣意的であることは、もっぱら特定の報道番組の報道が問題にされている日本の実情からも想像に難くない。


見せしめとして十分に効果がある事件であろう。
この件で、韓国では、不良商品報道全体が萎縮する効果が生じるのは間違いない。


米国には一応、表現の自由があって、FDA(食品医薬品局)が政策を見直して規制を強めたりする。


しかし、属国では、独自に規制する権限もなければ、問題点を検証報道する自由もなくなる。
米韓FTAに拘束される韓国しかり、TPPの脅威にさらされる日本もしかりである。


公正さ欠く健康食品報道でJTBCプロデューサー降板
イ・ヨンドン・プロデューサー演出番組すべて中止へ
JTBC「公正報道に対する期待裏切る」
朝鮮日報 記事入力 : 2015/03/27 11:17

 不良食品に関する報道で有名なイ・ヨンドン・プロデューサー(59)が取材・報道倫理をめぐり批判を 浴び、同プロデューサーの番組が放送中止になった。同プロデューサーは15日、総合編成チャンネル「JTBC」で放送中の時事番組『イ・ヨンドン・プロ デューサーが行く』で、最近健康食品として人気の「ギリシャ・ヨーグルト」について取り上げた際、韓国国内で販売されているギリシャ・ヨーグルト製品も検 証した。同プロデューサーは「国内で販売されている8つのギリシャ・ヨーグルト製品のうち、本当のギリシャ・ヨーグルトはない」という内容を放送した。ま た、同日の放送には無糖ギリシャ・ヨーグルトで有名なあるヨーグルト専門店の製品を検証し、「(砂糖が添加された)デザートだ」と評した場面もあった。

  放送後、この専門店の代表がインターネット上に「店で売っているのは確かに無糖ヨーグルトだが、わざとトッピング入りヨーグルトを食べて『デザートだ』と 評している部分だけを放送した」と抗議文を掲載した。これに対し、同プロデューサーは22日の放送で「ミスがあり、無糖ヨーグルトに対する検証はしていな かった」と謝罪した。しかし、25日に同プロデューサーがライバル社の製品「パスツール・ヨーグルト」の広告イメージキャラクターに起用されていたことが 明らかとなり、インターネット上を中心に「自分が薦めている製品のライバル製品を攻撃したのでは」「ジャーナリストとしての倫理に反する行動」などと批判 の声が上がっている。

 このため、JTBCは26日、「イ・プロデューサーが検証報道のテーマと密接な関係を持つ製品の広告 イメージキャラクターになったのは、公平な報道を望む視聴者の期待に反すると判断した」とし、同プロデューサーが演出する2番組を中止することを発表し た。同プロデューサーは「不適切な行動だったことを認め、自粛する」と言いながらも、「私が広告をした製品はギリシャ・ヨーグルトとライバル関係にあるわ けではない」と弁明した。

                          権承俊(クォン・スンジュン)記者



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2015年3月27日 (金)

健康食品の機能性表示の解禁はダメ!  米国での失敗を無視して暴走するアベノミクス

健康食品の機能性表示を、企業の自主申告に任せてはダメです。
企業の自主性に任せたら、インチキ健康食品が出回るに決まってます。
理研やノバルティスは例外で、企業は良心的だと思う人は、おバカさんです。
米国では、死亡事故すら起き、企業任せにしたのは、失敗との評価が強くなっています。

この国では、企業の失敗は、表に出ない仕組みになっています。
エンジンルームから出火する欠陥があるとして、メルセデスベンツがリコールをしていますが、ほとんど報道されません。
そんな中で、企業任せにしたら、大変な人身被害が起きるまで、放置されるに違いありません。

関連:当ブログ記事 日米二国間協議で蚕食されるの食の安全(2014年8月1日)

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NHK 時事公論 2013年7月18日

日本のように国民皆保険がなく、自分の健康は自分で守るという背景もあるのでしょうが、アメリカでは機能性食品は年間7%の勢いで成長し、市場規模は年間10兆円に広がっているといいます。

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しかしダイエタリーサプリメントを巡っては様々な問題も起こっています。
2009年にはやせ薬として販売されていた製品で、死亡例を含む肝機能障害などが疑われ、自主回収が行われましたし、去年も性的興奮を促すサプリメントに医薬成分が入っていたとして、注意喚起が行われました。

アメリカ政府は、こうしたサプリメントについて有効性や安全性についてのガイドラインを新たに出すなど、むしろ規制を強化しており、去年には、「監視が十分行き届いていない」という政府内の報告書も発表されています。
 
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こうしたことを考えると、アメリカの制度をそのまま参考にするのは、乱暴だと言わざるを得ません。

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クローズアップ現代(2014年5月13日

健康食品 改革のモデル アメリカの光と影

20年前、健康食品に機能の表示を認めたアメリカ。
病気を予防するために健康食品の活用を進め、業界を発展させるのが目的でした。
健康食品専門の販売店です。
現在アメリカで売られている健康食品は、およそ6万点に上ります。

パッケージには、その商品が体のどの部分に、どう機能するか明確に表示されています。
EPAを使ったこの商品の宣伝文句は「心臓の健康を支える」。
日本で認められていない表現です。

男性
「毎日全部で25粒ほど飲んでいます。
食生活が偏っているので、健康食品で中和しようと思っています。」

創業40年の健康食品メーカーです。
海外向けも含め、現在320点の健康食品を製造しています。
企業がみずからの判断で機能を表示できる制度が、会社の成長を支えてきたといいます。

アメリカで健康食品の表示が決まる仕組みです。
国は機能を表示するためには、ヒトを対象にした試験で有効性が確認されていることなどが必要だとしています。
メーカーはそれに応じた論文を研究機関などから集めて表示を決め、国に届け出ます。
しかし根拠となった論文を調べるなど、国が有効性を審査することは原則としてありません。

健康食品メーカー ブライアン・リッチモンド社長
「国の規制が強いと商品を発売するまでの手続きが煩雑になります。
科学にもとづいて商品を開発し、いち早く販売することが大切なのです。」

商品の表示についての会議です。
ある成分について「関節の動きがよくなる」という論文が発表されたことを知り、早速表示することにしました。

男性社員
「有効成分に関して最近発表された人間での臨床試験の結果です。」

裏付けとなるのは社外から取り寄せた論文のみ。
メーカーが独自に実験を行う必要はありません。

女性社員
「『関節の可動性と柔軟性をサポートする』という表示にしようと思います。」

女性社員
「みなさんいかがでしょうか?」

女性社員
「これで行きましょう。」

新たな制度の導入で、20年ほど前8,000億円だった健康食品の市場は4倍に拡大。
その一方で浮かび上がってきたのが制度の欠陥でした。

一昨年(2012年)保健福祉省は、健康食品の表示に関する抜き打ちの調査を行いました。
効果に疑問を感じる消費者の声が高まったからです。
調査したのは、127の健康食品。
どのような根拠で機能をうたっているか論文を調べたところ、ほとんどが科学的裏付けが不十分でした。
ヒトではなく、動物などでの実験結果しかなかった商品。
中には論文ではなく、30年前に大学生が手書きで作ったレポートを根拠としていた商品もありました。

保健福祉省 食品医薬品局 ダニエル・ファブリカント部長
「調査で明らかになったのは、ほとんどの商品に科学的な裏付けがないという事実でした。
健康食品の制度が抱える課題を、浮き彫りにする結果でした。」

効果がなかったとして、消費者がメーカーを訴える事態も起きています。
3年前、損害賠償請求の対象となったメーカーの健康食品です。
裁判に提出された商品の箱には、「軟骨が再生」「1週間で関節の動きが改善」と表示されていました。

原告の代理人を務めたウェルトマン弁護士です。
成分について調べると、商品がうたっているような効果は確認できないという論文が数多くあることが分かりました。
ウェルトマン弁護士の主張を受け、メーカーは商品を買った1,200万人に対して和解金を支払うことに同意しました。

スチュワート・ウェルトマン弁護士
「科学的根拠のない健康食品が1,000万人から20ドルずつお金を奪ったとしたら、それは1人から2億ドル取り上げることと同じくらい悪いことです。
私たちは『大規模に行われる小さな詐欺』と呼んでいます。
効果のないもので、経済を成長させるべきではありません。」

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2015年3月26日 (木)

認知の歪み 「プーチン 核使用準備を指示」の大ウソ

朝日新聞は吉田調書『誤報』問題で、ニュースに角度をつけようとした廉で有罪とされ、頭を垂れた。


そもそもが真球以外は、見る角度によって、まるきり違ってみえる。
角度をつけるなと言われても所詮無理なはずである。
真球ですら、光の当て方でまるで別物になる。
知識がなければ、三日月と満月すら、同じものには見えない。


ところが、ニュースには角度をつけてはいけない。
月ですら角度によって違って見えるのに、さらに複雑な社会に生起する出来事に角度をつけてはならないという。
面妖なことである。
角度のない報道とはどんなものであろうか。


フランス370万人のデモに40各国以上の首脳が参加したと報じる写真。
【角度のないニュートラルな報道】


「パリ40カ国首脳デモ」の画像検索結果


デモの翌日、1月12日に英紙インデペンデントが伝えた写真。
【角度をつけた報道。日本では『誤報』につき有罪】


平和関連集会で何度か使ってみたが、常から非常に高い問題意識を持っている方々の集まりでさえ、インデペンデント紙の写真の認知度は2割程度である。
マスメディアの死んだこの国では、我々は、統治者が見せたいと考える世界の姿を見せられ、それを『事実』だと思わされているのである。


さて、日本では、核兵器使用の準備指示までしていたと報道される、プーチンは、今や、悪の権化そのものである。


しかるに、逝きし世の面影(3月17日付)は報道を批判している。

ウクライナ危機(クリミヤ併合)に関連してロシアのプーチン大統領は、『クリミア情勢(アメリカの対応)如何ではロシアの核戦力が臨戦態勢に入ったかも知れない』と語っている。
プーチンは、『ロシアはクリミア情勢が思わしくない方向に推移した場合に備えており、核戦力に臨戦体制を取らせることも検討していた。しかし、それは起こらないだろう、とは考えていた。』と説明している。


とある。
何しろ、産経から赤旗まで、フジテレビからテレビ朝日まで、全て一致して、「核使用準備指示」と報道しているのだから、たかだかブログごときを信じるのは、ナンセンスであろう。


常から、角度つけまくりの逝きし世の面影であるが、今度ばかりは、完全に孤立状態である。
左派系のブログですら、核兵器の準備指示を前提に論を立てている。
ところが逝きし世の面影ブログが侮れないのは、しばしば、トンデモ風に見えて、ほとんどの場合(多分、全ての場合に近い)事実だからだ。
フランスデモに『参加した』首脳に角度をつけた写真を、いち早く伝えたのもこのブログである。


という訳で、検索をかける。
なかなか難しいのだが、まずTogetterがヒットした。


クリミア情勢如何ではロシアの核戦力が臨戦態勢に入っていたかも知れない」とのまとめがある。
中身を見れば、逝きし世の面影とほぼ同じである。
しかし、ネットの中ですら、認知度は極めて低い。


ソースをさかのぼる。
ロシアの声では、こう伝えられている。

 

プーチン大統領:クリミア情勢如何ではロシアの核戦力が臨戦態勢に入ったかも知れない

3月 15日 , 16:09

© Photo: RIA Novosti/ Sergey Guneev

ロシアはクリミア情勢が思わしくない方向に推移した場合に備えており、核戦力に臨戦体制を取らせることも検討していた。しかし、それは起こらないだろう、とは考えていた。「クリミア、祖国への道」でプーチン大統領が述べた。リア・ノーヴォスチが伝えた。


この国では、角度のないニュースでなければならないのが鉄則である。
このニュースは、「核兵器の使用準備を指示」と報道しなければならない。
なぜなら、プーチンは悪魔だからである。
こんな程度の発言であるはずがないからである。


角度のないニュースは、フランスのデモの先頭を各国の首脳が行進した姿でなければならないからである。



戦争プロパガンダ10の法則

(1) 我々は戦争をしたくない。

(2) しかし、敵側が一方的に戦争を望んだ。

(3) 敵の指導者は悪魔のような人間だ。

(6) 敵は卑劣な戦略や兵器を用いている

(8) 芸術家や知識人もこの戦いを支持している。

 今回の場合、平和団体もこの戦いを支持しているとでもなろうか。


こんなことを考えているのは、満州事変当時、どれほどの国民が、日本軍の謀略を疑ったのかと考えてみたりするからである。
権力内部と満州の新興財閥周辺には当然、情報があったが、国民には多分、何の情報もなかったに違いない。


この秋にも憲法改正の国民投票が用意されようとしている。
憲法改正のハードルは高いと、安倍晋三は十分に認識している。
護憲運動に携わる方々は、ただ平和憲法を守れと、きれい事をいうだけで、本当に9条を守ることができると考えているのだろうか。
国民投票の直前に、何か事件が起きる可能性を考慮しているのだろうか。


戦争は、まずは諜報・謀略である。
満州事変だけではない、戦後まもなく続けざまに起きた、下山、三鷹、松川事件や真珠湾攻撃を察知しながら無防備にしていた米国など、学ぶべき事件は山ほどあろう。
謀略やメディアの罠に無防備な運動は極めて危ういと思う。


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2015年3月24日 (火)

TPP 大統領にはTPA通過後も権限がない ビックリUSTR公式見解

今回の議論は、いささかマニアックになる。
『方谷先生に学ぶ』のブログは、淡々として、驚くべき情報を提供されている。
いわゆる大統領貿易促進権限法(TPA)、推進側も反対側も世界共通で使用してきた「ファーストトラック」と呼ばれるものの誤解についてである。


議論は、おきまりのフレーズから始める必要があろう。


アメリカ合衆国憲法によれば、貿易協定の権限は議会にある。

第8 条[連邦議会の立法権限]
[第3 項]諸外国との通商、各州間の通商およびインディアン部族との通商を規制する権限。

立法、行政、司法全てにわたって独立性の強い各州の間の通商関係を連邦議会が法律に基づいて決定するというのは、合理的である。
ところが「諸外国との通商」を規制する権限が議会に属するとされ、その言葉通りに運用されてきたというのは、かなり特殊である。


相手国の立場に立つと、貿易協定を締結するための交渉相手は議会だと言われても困る。
議会の意思を代表する者は存在しない。議長は議事進行を掌るだけで、議会を代表するわけではない。議会の意思は多数決によって事後的に、初めて示される。
これでは、原理的に、諸外国は、米国とは貿易協定について交渉する余地がなくなってしまう。


そこで、大統領貿易促進権限法(TPA)があれば、議会が大統領に貿易協定締結権限を与えることができると理解されてきた。
だからこそオバマ大統領には、議会による貿易協定締結権限を授与する法律がないことが重大な問題だと指摘されてきた。
マスコミは、この法律があれば、議会の権限は、調印された貿易協定の是非を一括して認めるか否かだけになり、議会があれこれ修正を加えたり、条件を持ち出したりできないと報じてきた。
マニアックには「ファーストトラック」と呼ばれ、貿易協定を促進する権限と文字通りに理解されてきた。
この理解は、日本だけに限らず、諸外国全てに共通したものだったと思われる。
米国内ですら、そのように解されていた。


ところが、米国通商代表部(USTR)の見解は違うと「方谷先生に学ぶ」のブログ(3月13日付「USTRがTPAの本質を解説」)は暴露している。
以下、引用する。


---------------------------------------


 米通商代表部(USTR)が、正確な「大統領貿易促進権限(TPA)」の解説を行った。日本では担当閣僚や外務省がTPAを「通商交渉の結果を議 会に対して修正しないでイエスか、ノーか、それだけを議会の権限とすることを認める法律」と説明してきたが、それは一部分の説明であり、合衆国憲法に基づ く基本的な説明ではない。

3月4日に、「大統領貿易政策」と「2014年貿易年次報告」をUSTRが発表した。
この「大統領貿易政策」に、TPAの解説がある。

(中略)

 

TPA の下では議会は権限を大統領に譲らない。
大統領は、常に外国と交渉することができるが、議会のみが貿易協定を実施出来る。
 議会は、その憲法上の全ての権限を持っている、そして、憲法で定めるところにより、議会は上下院どちらでも いつでも、TPAを取り消すことも含め、その手順を変えることができる。これは、まさに2008年に、下院民主党が貿易交渉の結果に不満を抱いて行ったこ とである。(注2)


その時以来多くのことが起こった。 経済が変わり、貿易への我々のアプローチは変わらなければならない。 新しいTPA法律は、デジタル経済や国有企業に対処しなければならなく、始めて法律によって、将来の全ての貿易協定が完全に実施可能な労働基準と環境基準 を含むことを要求しなければならない。 TPAは、今日の経済を反映するために更新されなければならない。 TPAを通して、議会は非常にはっきりした優先順位と目的を行政に示す。その一方で、米国が交渉において声をそろえて対話することを許す通知手順と協議手 順の組合せを確立する。


 一部の方々はTPAを「ファストトラック」呼ぶが、速さではない。 大部分の協定は、議会の詳細な調査を受ける間、交渉に何年もかかる。最初に、貿易相手と交渉を始める前に、議会は90日前に通知書を受け取る。 長年の交渉の後、交渉が完了するときも、議会はさらに90日前の通知を受け取る。 数ヵ月後、実施法が導入されるとき、議会は公聴会を開き、実施法を起草するために会合を招集し、最終的に貿易協定を採決するのに、最高90日(典型的に 数ヵ月)の立法手続が必要になる。 本会議で法律を審議する前に、議会の委員会は、交渉目的が達成したかどうかも含め、詳細報告書を発行する。


 貿易交渉権限について最初に求めた80年前にFDRが語ったように「世界は、止まっていない。」 最近、アジア太平洋の国々は200以上の合意を行い、 アメリカ合衆国から貿易機会を遠ざけ、米国企業と労働者を不利な立場に置いた。 中国は、最大の受益者であった。 それは、許容できない状況である。 我々の経済を強化し続けるために、我々は、アメリカの仕事と労働者を保護し、我々の商品を世界中に輸出することを助けるより良い貿易規則を必要とする。米 国の労働者にとって歴史上で最も進歩的な貿易協定をもたらす、大統領から求められた道具を与える時だ。


 更新されたTPAを承認することは、そのプロセスの第一歩だ。
(以上大統領貿易政策の10、11頁)

(中略)


(注2)2008年の民主党によるTPAの手続変更
 2002年TPA法が失効する2007年6月30日をむかえ、TPA法を延長しない前提で、その後の貿易交渉について「2007年5月10日合意」と 言う形で、ブッシュ政権と民主党(ペロシ下院議長)との間で、政策合意が行われた。その内容は、未実施のFTAや今後の貿易交渉に高度な労働と環境と知的 財産保護条項などを追加する合意であり、下記テンプレートがその合意書である。現在もこの合意書を多くの議員が引用する重要な文書である。


-------------------------------------


なんとまあ、すったもんだの交渉の末、ようやく12カ国が調印に至っても、米国議会はTPAがあっても、修正権限を失わないというのが、USTRの公式見解なのである。

 

交渉相手にはたまったものではないし、交渉することに意味があるのかという問題になろう。
絶対にメディアが伝えない情報を伝えてくださる、「方谷先生に学ぶ」に感謝である。


あえて言えば、USTRからこうした公式見解を引き出したことは、合衆国憲法の勝利であり、合衆国国民の立場からも、勝利である。
合衆国国民にとって不利益になると思われる条項、利益の達成が不十分であると考えられる条項については、議会が修正することができるというのであるから、合衆国国民の利益は守られる可能性が高くなるからだ。


「自由貿易」を標榜する米国が、究極の「保護主義」的憲法解釈に至ったというのは、皮肉という他ないが、これはこれで、健全な現象のようにも見える。
自由貿易は、結局のところ、内需の縮小しかもたらさない。
OECDは格差が成長を阻害すると報告したが、その格差の最大の原因が、企業が賃金をコストとしか認識できなくなり、コスト削減の一環として人間を取り替え可能なモノ扱いする、「自由貿易」システムである。


米国国民は、これに自覚的に抵抗している。
その成果が現れ始めているとみることも可能である。
「自由貿易」神話がほころびを見せている。
可能な限り長く、「自由貿易」に抵抗することで、ネオリベ「自由貿易」システムが中心から崩壊する可能性は、ある。

方谷先生のブログ3月23日付は、直近のTPAを巡る議会内の情勢について、民主党リベラルと、共和党右派(ティーパーティ)との間の野合にも触れており、ポピュリズム批判もあるようである。
グローバルなネオリベラリズムの席巻は、世界中で(中東・アフリカの不安定化もネオリベラリズムに対する反作用である可能性がある)、極右の台頭をもたらしており、米国の先行きは著しく不安定であるのかもしれない。

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追記
方谷先生のブログに飛ぶと、最初、アメーバの広告が邪魔をしますが、記事を選択していただくと、読みやすくなります。
なお、ついでに報告しますが、当ブログのブログ内検索も無効化されています。
一般的に検索サイトで検索して出る記事が、ブログ内検索では出なくなっています。


追記2
エマニュエルトッドは、自由貿易がネオリベを世界中に蔓延させ、知識人がEUの植民地差別(反マグレブ)を煽り、極右を台頭させるという、耐えがたい状況を、サルコジ現象を手がかりに「デモクラシー以後」(藤原書店)で、詳細に論じている。
フランス共産党の壊滅的状況、フランス社会党のネオリベ化、極右の台頭に対向する団結が、政党間の対立構造を無意味化する。
超エリートは、国家の政治ではなく、EUの政治をめざし、凡庸なサルコジが大統領になる。


メディアを初めとするエリート層は、自らの財産を守るために、金融システムを支えるべく、自発的に対米隷属する状況をトッドは罵倒している。
まさに日本の状況の引き写しである。


10年近く前にフランスは、すでにトッドが耐えがたい思いをいだくほどに、そうだったのだ。


トッドは、この困難は、民主主義の終焉をもたらす可能性があることを射程に入れつつ、民主主義を維持する対抗軸として、「自由貿易」ではなく、協調した「保護主義」を提案している。


追記 3
「現代思想」3月臨時増刊号で紹介されている、現在のフランスは、さらにいっそう事態が進行している。
おそらく近未来の日本の姿がそこにある。
曾野綾子の「アパルトヘイト」発言は、近未来の日本知識人を代表する言説になるであろう。


だからこそ、自由貿易ではなく、協調した保護主義を、こそ。
植民地主義ではなく、植民地主義の克服を、こそ。

2015年3月22日 (日)

【朗報】米国法学者129人が議会に公開書簡「ISD条項のないTPPを求める」

togetterに米国のTPP交渉に関する重要な動きが紹介されていることを色平哲郎氏に教えてもらいました。

要点は2点。

  • 3月11日、ハーバード大学等、米国の法学者129名が、米議会に対して公開書簡を送り、ISD条項に反対し、現在、進められているTPP及びEUとの自由貿易協定からISD条項を除外することを求めた。
  • 3月18日、米政府はTPP草案に関する閲覧条件を緩和する方針を議会に示した。

@GemkiFujii 藤井厳喜さんによる米国におけるTPP交渉に関する最近の動きのまとめ

米国法学者の公開書簡(PDF)は


  • 法の支配と国家主権を守るためにISD条項に反対する。

  • ISDは投資の価値を損なうと外国投資家が主張する政府の政策、活動、決定に挑戦するために用いられる。

  • ISDは国内裁判所を回避して、民間の弁護士による超法規的仲裁によって、法の支配を弱め、国家主権を脅かす。

  • 国内の裁判所で敗訴しても、ISDで再訴することがきる上、ISDは裁判所が有するような基本的な保護と公正な手続が確保されておらず、上訴の手続もない。

  • 民間の弁護士が仲裁委員をつとめたり企業の代理人になったりを繰り返しており、彼らは何らの監督にも服さず、説明責任も負わない。

  • 国家は企業に訴えられ、多大な労力を費やすことを強いられ、企業による影響を受ける一方、国家は企業を訴えることができない一方的な手続である。

  • 近年では、企業は、タバコのパッケージのプレーンな包装ルール、有害物質の禁止、天然資源政策、健康と安全政策を含む、環境、健康、および安全規制に挑戦してきた。

などを指摘している。
他でもなくISDをもっとも濫用してきた米国ですら、少なくない法学者が、ISDが法の支配と国家主権を脅かすものと考えているのだ。


内容は、各地の弁護士会やTPPに反対する弁護士ネットワークが指摘しているものと同様で、とくに目新しいものではない。
これまでに、長野、栃木、愛知、宮崎、兵庫、静岡、石川の7弁護士会がそれぞれ、ISD条項の危険性を指摘し、憲法違反であると主張している。
これらの弁護士会は、基本的人権の擁護と社会正義に忠実であることを旨とする勇気ある弁護士会である。
他方、日本の法学者には、専門的立場からISDに反対する意見が見当たらないように見受けられる。植民地の知識層にはありがちなことではある、が。


米国の法学者が、公然と議会に対して反対を表明するというお墨付きが出たのであるから、この際、だんまりを決め込む日弁連にも是非、反対してもらいたいものである。
それが国民の基本的人権を守るという弁護士法1条の責務に応える途であり、グローバリズムが世界中にばらまく戦争に抗する途でもあるのだから。


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2015年3月19日 (木)

農水省、飢餓織り込み済みの農政放棄 パブコメはわずか7日間

国債破綻織り込み済み総選挙を経た日本では、驚くほどのことはないのかもしれないが、農水省は、ついに農政を放棄することにしたようである。
収益性重視、農業所得倍増、穀物重視から転換というのは、要するにそういうことである。


予算を増やさず、農水省利権を維持するためには、米よりも果物など高収益な作物へと転作を促すということである。
収益重視の政策は、営利企業による農業経営構想と一体の政策なのだろう。
まあ、よくも次から次へとでたらめができるものである。


農水省作成の食糧自給率の国別比較のグラフ
Syokuryoujikyuuritukunibetu


農水省が発表している、各国の経年的な食糧自給率の推移を社会実情データ図録310がグラフ化してくれている。
Syokuryoujikyuuritusuiikokusaihikak


このグラフを見ると、独立国を名乗るのであれば、食糧自給率に絶えず気を遣っていることがわかる。
高水準からまっしぐらに下降した国は日本と韓国であり、いずれも米国の植民地である。


農水省は、「独特だ」と批判されながらも、カロリーベース自給率にこだわってきた。
戦中・戦後の日本では、極端な飢餓状態があったからだ。


今回の政策は、「期間内に実現可能な」ものという名目の下、自給率目標を45%に切り下げ、穀物中心の補助金から収益性の高い高品質の果物や野菜に対する補助金へと転換させようというのである。
儲かることは良いことだ、儲かれば若者が就農するというグローバリズム経済系の下品で単細胞な発想に農水省もむしばまれた。


自給率に変わって自給力なる概念を持ち出した。
いざとなったら、可能な土地に芋を作りまくるという。
そうすれば、国民が必要とするカロリーは足りるという。
戦時中、都市部の学校の校庭は全て芋畑になった。
グローバリズム経済戦争の末、飢餓状態になることを織り込み済みの農政の転換だということだ。


全中に続いて、農水省も屈したということだ。



食糧・農業・農村基本法は次のように定める。


 (食糧の安定供給の確保)
 第二条  食料は、人間の生命の維持に欠くことができないものであり、かつ、健康で充実した生活の基礎として重要なものであることにかんがみ、将来にわたって、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給されなければならない。
2  国民に対する食料の安定的な供給については、世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有していることにかんがみ、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて行われなければならない。


この規定に違反しないのか、説得的な理由は何も示されていない。


(多面的機能の発揮)
第三条  国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等農村で農業生産活動が行われることにより生ずる食料その他の農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能(以下「多面的機能」という。)については、国民生活及び国民経済の安定に果たす役割にかんがみ、将来にわたって、適切かつ十分に発揮されなければならない。


多面的な価値をどう守っていこうというのか、水田が消え、畜産地が消え、ハウス栽培ばかりになってよいのか。
昆虫類を中心として、すでに生態系に明白な影響が出ている状態をどう改善していくというのか。
そうした視点はない(だろう)。


世界的に見ても、グローバリズムの中で、小規模農業、家族農業の価値は見直されてきている。
国連世界食糧安全保障委員会は「食糧安全保障のための小規模農業への投資」を推奨している。
グローバリズムに抗する潮流がせめぎ合っている最中なのだ。


  • 家族農業・小規模農業は多くの国の食料保障の基礎であり、すべての国の社会・経済・環境面で重要な要素を構成している。その家族農業が、都市化ならびに市場の統合化・グローバル化につれて大転換を迫られている。

  • 輸出志向型の大企業が優遇される大規模経営偏重政策によって小規模経営は無視されてきたが、史実が示すように、政策と公的投資による適切な支援が 行なわれれば、食料保障、食料主権、経済成長、雇用創出、貧困削減、空間的社会経済的不平等の是正に大きく貢献する能力が小規模農業には備わっている。

  • 多様化した生産システムのなかで家族労働力を活用することによって、単位面積当たりでは高い生産水準を達成し、自然資源の持続的利用と環境負荷の軽減、化石燃料の節減など、効率的で持続的な農業を進める小規模農業の事例が多数報告されている。

「食料・農業・農村基本計画(原案)」は、3月18日に公表され、パブリックコメントに付されている。
締め切りは、3月24日、実質7日未満である。
よほどやましくないかぎり、こんな乱暴なことをするはずがない。

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追記
 平成18年度「食料・農業・農村白書」は次のように述べている。

(食料安全保障に資する貿易ルールの確立が重要)

現在、我が国は世界最大の農産物純輸入国であるが、76.7%の国民が将来の食料供給に不安をいだいているという調査結果もある。このようななか、世界の食料需給がひっ迫する可能性や特定国に依存する我が国の農産物の輸入構造を考えれば、国内農業生産の向上を図りつつ、安定的な農産物輸入の確保を図ることが極めて重要な課題となっている。

このため、WTO農業交渉において、輸出国のみが恩恵を得られるような貿易ルールではなく、真に公平・公正な貿易ルールの確立を図ることが重要である。

また、経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)についても、我が国の食料安全保障の確保、農林水産業の発展等に悪影響を与えないよう、十分留意するとともに、相手国との経済関係に応じて、経済連携の強化のための方策を幅広く柔軟に検討していく必要がある。

おそらくTPP参加問題が持ち上がるまでは、あるいはTPP交渉参加が決まるまでは、農水省は至極まっとうな考え方に立っていたのである。
外国勢力とこれを手引きする勢力に攻め込まれてこの国はむちゃくちゃにされているのである。

昨日の中日新聞から 揺らぐ戦後金融秩序

昨日の世界的なトップニュースといえば、そして、後世の歴史に残るであろう事件と言えば、中国主導のアジアインフラ投資銀行関係であろう。


昨日の中日新聞は一面に中国主導のアジアインフラ投資銀行にドイツ、フランス、イタリアも出資するとの記事を1面に掲載し、7面に解説記事を掲載していた。


【1面】

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【7面】
同じ面にあった、シリアのアサド大統領との和平交渉の可能性にケリー国務長官が言及したとする記事も重要だろう。

Chuunichi1503182_2

 


さて、中日新聞はローカル新聞であって、国際面は、全国紙に適わないのが、朝日新聞の購読を止めて以来の難題であったので、早速コンビニで朝刊を物色した。
日経には一面トップに違いないと思いきや、一面には掲載されていなかったので、朝日と読売を買ってみた。
戦後金融秩序の揺らぎに触れた解説はざっと見たところ、見当たらなかった。


日経を改めて買うような時間の余裕がなかったので、日経については確認していないが、全国紙の扱いが極めて小さいことは確実なようだ。


ついに、ブレトンウッズ体制に始まる戦後金融秩序の揺らぎが、顕在化した。


ところが、米国の植民地では、情報鎖国状態でことの軽重がおよそ理解できない状態である。


このままでは、年金積立金つぎ込み済みの見かけだけの円安外資主導株式相場に踊っている日本は、気がついたときには、地獄の釜に落とされている可能性が高そうである。


同じ米国の植民地の韓国はどうするのだろうかと思ったら、すでにちゃっかり原加盟国に名を連ねている。
「プーチンはアジアを目指す」(下斗米信夫・NHK出版新書)のロシアにとってはBRICS銀行以上に悩ましい問題なのだろうか、それなら、いっそ日本はロシアと協議して、一緒に出資したらどうだろうかと、地獄の釜に落ちない方法をあれこれ考えても、所詮、明日の台所も知れぬ、しがないマチベンの考えることである。


ちなみに中国主導の投資銀行が米国主導の金融体制より、良いものである保障は全くない。



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追記
 マスコミ乗らない海外記事「ワシントン帝国に、ひび」(3月18日付)はこの問題を正当に採り上げている。

追記2
 昨年5月3日付の朝日新聞にわかりやすい原加盟国の図があったので、貼り付けおこう。

この記事の見出しは「中国、『日本外し』のインフラ銀行 アジア16カ国と」である。
朝日新聞は、バッシング前から経済面では完全に米国政府のプロパガンダ機関に堕落していたことがわかる。
この伝でいけば、「英、独、仏、伊の各国も、中国の『日本外し』に荷担」の見出しになるに違いないが、そうは伝えていなかった。

2015年3月16日 (月)

『農業過保護論』のウソ   

民主党管政権のTPP参加表明から、4年以上が経った。
TPPは当初から農業の関税問題として論じられ、農業過保護論が振りまかれてきた。
その論調は、第二次安倍政権になって、さらに強化され、今や「競争力ある農業」あるいは「農業の競争力」が課題であるとされる。


最初のボタンのつけ違えが、どこまでも誤りを拡大していく。

第一に、日本の農産品に関する関税は、低い。
そんなことすら、メディアは明らかにしようとしない。
下のグラフを見れば、一目瞭然である。
日本の農産品に関する関税は極めて低い水準にある。
(以下、篠原孝議員の昨年2月27日付の予算委員会質問にデータによる)


Nousanhinkanzeirituhikaku


第二に、日本の農業は、過保護どころか、日本政府から不当に冷遇されてきた。
世界の主要な主家国家は、食糧の問題が主権の問題に絡むことから、産業構造が高度化した後も、農業を特に保護している。


Nougyouhogohikaku

数字だけではわかりにくいので、グラフにしてみた。


Noukaatariyosan


一農家当たりの農業予算、日本と韓国が群を抜いて低い。
日本が一農家当たり概算100万円程度にあるのに対して、ドイツは500万円を超えている。
アメリカですら400万円を超えている。


日本の農業政策がいかに貧しいものであったかは、農家に対する直接の所得保障になると、いっそう顕著である。


Nougyoutyokusetusiharaigaku


農家一戸当たりに対する直接の支払額は、日本が35万円程度なのに対して、フランスやドイツに至っては、240万から250万円に及んでいる。
直接支払は、農家に対して、作況を問わず、その生活を保障する。
農家の生活を安定させることによって、不安なく農業を続けられる基盤をヨーロッパの国々は与えているのだ。
ドイツの食糧自給率は90%を超え、フランスの食糧自給率は130%近い食糧輸出国である。


日本の農業を衰退させてきたのが、自民党の農業政策であることは明らかである。
日本農業の現状が農業を軽視した国の政策にあるのを踏まえず、農家の努力が不足しているかのように論じるメディアには明らかに問題がある。


たとえ最小限のものであったとしても、生活の安定が保障されるのであれば、農業という仕事に魅力を覚える若者は、決して少なくないはずである。



以下は、これらの資料を示して行われた昨年2月27日の民主党首議員議員篠原孝氏の質問を報じる民主党のホームページからの引用である。
農業過保護論、農業競争力論は、データを無視した、全くプロパガンダである。


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   衆院予算委員会で27日、TPP・エネルギー等に関する2014年度予算に関する集中審議が行われ、民主党の2番手として篠原孝議員が質問に立ち、(1)日本農業の現状(2)TPP交渉(3)ISD条項(4)外交(5)NHK会長と経営委員――等の問題を取り上げ、安倍総理をはじめ関係大臣の認識を質した。

 篠原議員は「日本の農業に関していろいろと誤解が多い。国民の皆さんにも誤解を解いていただきたい」と述べ、日本農業の実態を確認したいと表明した。平均耕地面積が2・3ヘクタールであるなか、「牛肉と豚肉の関税を絶対になぜ守らなければいけないかということを考えてほしい」として6カ国の畜産業の平均飼養規模比較(下記ダウンロードPDF参照)を提示した。


 1戸当たりの肥育牛について1位がアメリカだが日本は2位、ドイツやイギリスの6倍の規模であると指摘。また乳用牛では日本は3位で、豚に至っては1位となりアメリカをはるかにしのぎイギリス・フランス・ドイツなどと比較すると3~4倍であること、ブロイラーは3位、採卵鶏は2位であると説明。「日本の農業はだらけているなどと言われたりするが、畜産業については血のにじむような努力をして規模拡大をしてきている」と評した。


 努力の過程も見ていくとして篠原議員は、日本の畜産業の平均飼養規模拡大の推移(下記ダウンロード参照)についても取り上げ、対1970年比で平均耕地面積は2.23倍しか増えていないなか、肥育牛は32.6倍、乳用牛も11.5倍、豚は100.3倍、ブロイラーは14.8倍、採卵鶏は701.7倍だと伸びている実情も篠原議員は説明した。


 「卵・丸太・米等の価格推移(下記ダウンロード参照)も取り上げ、サラリーマン給与が1960年比で17.5倍であるなか「卵は物価の優等生。1.0倍だ」として、米が3.5倍、ビールが2.5倍となるなか「いかに卵が努力してきたかがわかる」と語った。


 篠原議員は「農業はたるんでいる。関税ゼロにしてもやれるじゃないか。関税ゼロにすれば競争原理が働いてやるなどとする声があるが違う。畜産などは極限に達しているのだ」との見方を示した。また、各国の平均農業経営面積比較(下記ダウンロード)についても取り上げ、日本が2.3ヘクタールであるのに対してアメリカは170、オーストラリアは3024、カナダは315ヘクタールであることにふれ、「こういうところと競争するために関税が認められている。WTOはゼロにしろなどと一言もいっていない。関税は1ミリも譲る気はないとする甘利大臣の発言は正しい」と評した。コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味の農産物の重要5品目の関税を守るよう強く求めた。


 また、一般会計予算に占める農林水産業予算の推移を示し、総予算が対1970年比で11.6倍となり、防衛省予算が8.2倍、文部科学省予算が5.9倍、厚生労働者省予算が24.1倍となるなか、農林水産省予算は2.5倍にとどまっている点を取り上げ、「農林水産業をきちんとバックアッしてきたとはいえない」と批判するとともに「予算を確保できないなら関税だけでもというのが農家の気持ちだ」と篠原議員は語った。林農林水産大臣は「増減を繰り返しながら減少傾向で推移してきた。しっかりとした政策を打ち出して予算の増額に努めていく」と前向きに答弁した。


 篠原議員はまた、ISD条項について取り上げた。同条項は、主に自由貿易協定(FTA)を結んだ国同士で、企業と政府との賠償を求める紛争解決に向けた方法を定めている。


 篠原議員は、TPPにおけるISD条項の取り扱いについて国民に情報を示し対応を広く検討するよう政府に求めるとともに、「韓国では国家主権を侵すということで再交渉すべきということで問題になっている。マレーシアもEUも問題にしている。民間企業が国家を訴えるのは発展途上国の話でオーストラリアのような先進国ではいらないということで米豪FTAではこの条項は入っていない」と指摘。「これこそ憲法76条違反だ」「国家の主権を危うくする」との考えを篠原議員は述べ、安倍総理に対して慎重な対応を求めた。それに対して安倍総理は「主権が侵されるようなものは受けることはないとはっきり申し上げておく」とした。


PDF「6カ国の畜産業の平均飼養規模比較」6カ国の畜産業の平均飼養規模比較

PDF「日本の畜産業の平均飼養規模拡大の推移」日本の畜産業の平均飼養規模拡大の推移

PDF「卵・丸太・米等の価格推移」卵・丸太・米等の価格推移

PDF「各国の平均農業経営面積比較」各国の平均農業経営面積比較

PDF「主要国の農業保護比較」主要国の農業保護比較

PDF「一般会計予算に占める農林水産予算」一般会計予算に占める農林水産予算

PDF「主要国の農産物平均関税率について」主要国の農産物平均関税率について

PDF「内閣参与及び内閣府参与の数・発言」内閣参与及び内閣府参与の数・発言

PDF「ISDS」ISDS


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2015年3月 9日 (月)

TPP あまりに無理いうむちゃくちゃ米議会

合衆国憲法上、貿易協定の交渉権限は、大統領にはない。
議会の専権事項である。
であるから、オバマは子どもの使いである。
普通は、子どもの使いと交渉などしない。


ところが、TPP交渉参加11カ国は、子どもの使いに振り回されて、かれこれすでに5年近くが経っている。
たとえ子どもの使いでも、断れないのである。
「自由貿易」ルールなどといいながら、強力な押しつけなのである。
結局はルールではなく、「法の支配」でもなく、裸の国力が支配する世界なのである。


子どもの使いに、交渉権限を与えるのは米議会である。
米議会が大統領に貿易権限を与える法律を成立させて、初めて子どもの使いは交渉の裁量を持つことになる。
この法律を略称でTPAと呼ぶ。
TPAは時限立法であるが、作られるたびに議会の指示は細かく詳細になっている。
何しろ大統領は、貿易協定については、子どもであるから、議会が交渉権限を与えるときは、一から十まで法律で細かい指示をする。
今回、オバマにあげようとしているTPAについて、米議会で採り上げられているのが、為替操作禁止条項である。
加盟国の通貨発行権限を制限しようという代物のようであり、すばらしい主権侵害である。
そうした主権侵害条項を持たない自由貿易協定は許さないという訳だ。


ここまでは、日本メディアも伝えている。
ここから先は日本メディアは伝えないようである(日本農業新聞を除く)。


方谷先生に学ぶのブログでは、米議会では、さらに、いっそう、むちゃくちゃな虫のいい議論がされていることが紹介されている。

混迷の米議会、TPA法案提出4月以降

 

ワイデン上院議員が、TPPの開放性と透明性があり、雇用を守る協定であって、さらにTPA法による貿易協定締結後でも議会が修正可能とする条項を要求している。修正条項については、2007年5月10日合意によって、韓国、コロンビア、パナマなどのFTAが締結後、議会の要請で再交渉を行っている事例がある。
 従来型のTPA法案を通したいハッチ委員長とワイデン筆頭理事との溝は深く、埋まる可能性は少ない。ワイデン議員が妥協すれば、2016年の再選が危うくなる。


なんとまあ、子どもの使いに権限を与える法律で、大統領がその法律に忠実に交渉を妥結させても、その後に、米議会がさらに修正可能にするTPA法案とすることを求めているという訳である。


つまりは、さんざんもめて、何とか12カ国が交渉を妥結させて調印しても、それから米議会がおもむろに修正をするということである。


確かに2002年~2007年のTPA(大統領貿易促進権限法)の例では、この法律に基づいて締結した自由貿易協定について、後出しの条件を無理矢理押し通したことがあった。
韓国の事例が有名だが、コロンビア、パナマも後出し条件をのまされたというのは、『方谷先生に学ぶ』ブログで初めて知った。


今回は、この経験を法律に反映させようという訳だ。


華々しく調印式をしても、米議会は後でひっくり返す権限を持つということだと、これは、結局の所、大統領には交渉権限がないということと、おんなじ、ではないのではないんですか~????


大統領は、子どもの使いにすらならないのである。


いくら何でもむちゃくちゃでしょう、などと間違っても、言ってはいけない。
ご無理ご尤も、ただひたすら忍従すべしとするのが日本の政官の倣いである。


衰退しつつある覇権国を戴く植民地ほど惨めなものはないのである。


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追記(重要)
為替操作禁止条項にしろ、このばからしい《子どもの使い以下法案》議論にしろ、TPP漂流との見方が表面化しつつあることに、むしろ危機感を持っている。
仮にTPPが頓挫したとしても、日米二国間協議=日米FTAの問題は別に残る。
(事前協議の合意では、TPPと日米二国間協議は連動する、つまりTPPが頓挫すれば日米FTAも効力を生じないことになっていたが、米国がそんなに優しいとは思えない)
米国の金融資本主義は、世界第3位の経済大国の資源を根こそぎ市場化しなければ、立ちゆかないほどに危うくなっている。
日本は日本で、大統領に権限があろうがなかろうが、言いなりになること、これまた100%保障できる。
TPPだけを見るのは間違いである。
さらに、いっそう恐ろしいのは、日米FTAである。

2015年3月 6日 (金)

『派遣はモノ扱い』 厚労省課長あんたは正しい、そして間違っている

【簿記10級問題】
自営業者のAさんは、派遣労働者に対する賃金をどの費目に計上するのが適切か考えています。
明らかに間違っている費目はどれでしょうか。

① 消耗品費
② 人件費
③ 材料費

[正解]
  正解は②です。


絶対にしてはならないのは、派遣労働者に対する賃金を人件費に計上することです。


派遣労働者の賃金を人件費に計上した人は、最悪です。
一から勉強し直してください。
源泉徴収され、年末調整までされて税の仕組みに関心のない一般労働者ならともかく、企業経営者といわずとも、自営業者なら最低限知っておくべき常識です。


消費税は事業者にとっては、外形標準課税の一種です。
たとえ今年度の収支がどんなに赤字でも、売上の消費税分は絶対に納税しなければなりません。


A弁護士事務所は、今年度の売上1500万円、赤字500万円です。
税金は納めなくてもいいと思ってはいけません。
1500万円の内、単純に消費税分を計算すると年間8%、120万円です(昨年3月以前は5%だったのですが、計算を簡単にするために年間通して8%と仮定します。本来は1.08で割るのですが、計算の便宜のため掛け算を用いています)
取引先から受け取った消費税は国庫(地方自治体に対しても)に納める義務があります。
単純に売上に消費税率を乗じると、120万円も納税することになります。


しかし、日常の消耗品費や交通費、通信費、リース料などはすでに消費税を上乗せした金額を払っています。
事業のために仕入れた物品やサービスにかかった消費税分は、すでに支払っているのですから、仕入れ税額控除といって、納める消費税から控除することができます。
こうしてA弁護士事務所の納税額はすでに支払った消費税を控除して、たとえば60万円になります。
それでも、赤字500万円なのに、税金は60万円は絶対に支払わなければなりません。
薄く広くと言われている消費税ですが、実は、零細な事業者に集中して負担が求められる仕組みです。
ですから、今後、消費税率が上がれば上がるほど、零細・小規模事業者はどんどん廃業していきます。
グローバル経済を貫くのは弱肉強食の法則ですから、税金を負担させることによって不適格者を淘汰する政策は、理に適っています。


>

(ついでにいえば、トヨタなどの輸出産業は、輸出時点で仕入れ税額控除に当たる金額を払い戻してもらえます。これが何兆円にもなりますから、弱肉強食の法則にかなっています。国際的には、この仕組みは輸出補助金として扱われます。)


質問に戻りますが、人件費には消費税は課税されません。
派遣労働者の派遣費には消費税がかかっています。
それなのに、人件費に計上してしまうと、仕入れ税額控除が受けられなくなるのです。


ですから、派遣労働者の賃金を人件費に計上すると、無駄に消費税を払いすぎることになります。


もう一度、確認しますが、派遣労働者は、消費税の課税対象です。
派遣労働者は、消費するモノなのです。
間違っても人間とは思わないでください。
消耗品や材料費では、さすがにかわいそうだと思われる方は、外注加工費の科目に計上すると、少しは抵抗感がなくなるかもしれませんね。


『派遣はモノ扱いされてきた』と言った厚労省の富田望・需給調整事業課長は全く正しいことを言っているのです。
それなのに、厳重注意なんてあってはならないことです。

 

厳重注意処分に値するのは、『今後はモノ扱いしない』と言った後半の発言です。
派遣法の改正は、派遣対象を広げることですから、今後は、『もっとモノ扱いする労働者を広げていきます』というのが正しいのに、課長は真反対のことを言ったのですから、これは厳重注意処分に値します。


派遣労働者は、本来受けるべき賃金を、派遣業者にピンハネされて貢ぎ、その上、消費対象として消費税を国からピンハネされて貢いでくれる、大変貴重な存在です。


今後は、アルバイトやパート労働者の賃金にも消費税を課税することを検討する必要があります。
アルバイトやパート労働者も、法律上はともかく実情では、解雇自由がまかりとおる景気の安全弁ですから、派遣労働者と同じように消耗品として消費税の課税対象にすることに合理性があるでしょう。
いくいくは、正社員の賃金にも消費税を課税して、課税ベースを広げていくことが、正しい経済成長の道といえましょう。


1%が栄えるためには、99%は貢ぐ存在に徹しなければ、グローバルな経済競争で「強い日本」「世界の中心で輝く日本」を取り戻すことは決してできないのですから。

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追記 グローバリズムの源泉である米国では、1%に吸い上げられた結果、労働者の平均賃金は1970年並に低下した。日本も派遣労働などの非正規雇用の拡大によって急速にこれを追っている。
佐伯啓思氏は「経済学の犯罪」で、生産要素である労働、資本、土地を市場化してはならないとしている。生産を支える基盤を市場化して不安定化させれば、生産市場が不安定化し、結局、社会を不安定化させることになるからだ。
グローバリズムの席巻だけは、なんとしても食い止めなければならない。
今、必要なのは「自由貿易」ではなく、適度な保護主義である。

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