認知の歪み 「プーチン 核使用準備を指示」の大ウソ
朝日新聞は吉田調書『誤報』問題で、ニュースに角度をつけようとした廉で有罪とされ、頭を垂れた。
そもそもが真球以外は、見る角度によって、まるきり違ってみえる。
角度をつけるなと言われても所詮無理なはずである。
真球ですら、光の当て方でまるで別物になる。
知識がなければ、三日月と満月すら、同じものには見えない。
ところが、ニュースには角度をつけてはいけない。
月ですら角度によって違って見えるのに、さらに複雑な社会に生起する出来事に角度をつけてはならないという。
面妖なことである。
角度のない報道とはどんなものであろうか。
フランス370万人のデモに40各国以上の首脳が参加したと報じる写真。
【角度のないニュートラルな報道】
デモの翌日、1月12日に英紙インデペンデントが伝えた写真。
【角度をつけた報道。日本では『誤報』につき有罪】
平和関連集会で何度か使ってみたが、常から非常に高い問題意識を持っている方々の集まりでさえ、インデペンデント紙の写真の認知度は2割程度である。
マスメディアの死んだこの国では、我々は、統治者が見せたいと考える世界の姿を見せられ、それを『事実』だと思わされているのである。
さて、日本では、核兵器使用の準備指示までしていたと報道される、プーチンは、今や、悪の権化そのものである。
しかるに、逝きし世の面影(3月17日付)は報道を批判している。
ウクライナ危機(クリミヤ併合)に関連してロシアのプーチン大統領は、『クリミア情勢(アメリカの対応)如何ではロシアの核戦力が臨戦態勢に入ったかも知れない』と語っている。
プーチンは、『ロシアはクリミア情勢が思わしくない方向に推移した場合に備えており、核戦力に臨戦体制を取らせることも検討していた。しかし、それは起こらないだろう、とは考えていた。』と説明している。
とある。
何しろ、産経から赤旗まで、フジテレビからテレビ朝日まで、全て一致して、「核使用準備指示」と報道しているのだから、たかだかブログごときを信じるのは、ナンセンスであろう。
常から、角度つけまくりの逝きし世の面影であるが、今度ばかりは、完全に孤立状態である。
左派系のブログですら、核兵器の準備指示を前提に論を立てている。
ところが逝きし世の面影ブログが侮れないのは、しばしば、トンデモ風に見えて、ほとんどの場合(多分、全ての場合に近い)事実だからだ。
フランスデモに『参加した』首脳に角度をつけた写真を、いち早く伝えたのもこのブログである。
という訳で、検索をかける。
なかなか難しいのだが、まずTogetterがヒットした。
「クリミア情勢如何ではロシアの核戦力が臨戦態勢に入っていたかも知れない」とのまとめがある。
中身を見れば、逝きし世の面影とほぼ同じである。
しかし、ネットの中ですら、認知度は極めて低い。
ソースをさかのぼる。
ロシアの声では、こう伝えられている。
プーチン大統領:クリミア情勢如何ではロシアの核戦力が臨戦態勢に入ったかも知れない
© Photo: RIA Novosti/ Sergey Guneev
ロシアはクリミア情勢が思わしくない方向に推移した場合に備えており、核戦力に臨戦体制を取らせることも検討していた。しかし、それは起こらないだろう、とは考えていた。「クリミア、祖国への道」でプーチン大統領が述べた。リア・ノーヴォスチが伝えた。
この国では、角度のないニュースでなければならないのが鉄則である。
このニュースは、「核兵器の使用準備を指示」と報道しなければならない。
なぜなら、プーチンは悪魔だからである。
こんな程度の発言であるはずがないからである。
角度のないニュースは、フランスのデモの先頭を各国の首脳が行進した姿でなければならないからである。
戦争プロパガンダ10の法則
(1) 我々は戦争をしたくない。
(2) しかし、敵側が一方的に戦争を望んだ。
(3) 敵の指導者は悪魔のような人間だ。
(6) 敵は卑劣な戦略や兵器を用いている
(8) 芸術家や知識人もこの戦いを支持している。
今回の場合、平和団体もこの戦いを支持しているとでもなろうか。
こんなことを考えているのは、満州事変当時、どれほどの国民が、日本軍の謀略を疑ったのかと考えてみたりするからである。
権力内部と満州の新興財閥周辺には当然、情報があったが、国民には多分、何の情報もなかったに違いない。
この秋にも憲法改正の国民投票が用意されようとしている。
憲法改正のハードルは高いと、安倍晋三は十分に認識している。
護憲運動に携わる方々は、ただ平和憲法を守れと、きれい事をいうだけで、本当に9条を守ることができると考えているのだろうか。
国民投票の直前に、何か事件が起きる可能性を考慮しているのだろうか。
戦争は、まずは諜報・謀略である。
満州事変だけではない、戦後まもなく続けざまに起きた、下山、三鷹、松川事件や真珠湾攻撃を察知しながら無防備にしていた米国など、学ぶべき事件は山ほどあろう。
謀略やメディアの罠に無防備な運動は極めて危ういと思う。
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