日本法律家とTPP、なかんずくISD 内在化する米帝植民地主義
僕が、ISD条項に踏み込んだ発言をするようになったきっかけは、韓国裁判所の裁判官166人が、米韓FTAのISD条項の問題点を指摘して、検討する専門のタスク・フォースを設けることを、韓国最高裁に、公然と要求する建議をしたことを知ったときからである。
その全文翻訳は他にないと思うので、改めて紹介しておきます。
2012年1月10日 米韓FTAに対する韓国裁判官による建議書全文 TPP4
その後、米韓FTA交渉中の、2006年7月に韓国法務省と韓国最高裁判所がまとめた報告書の翻訳をしてもらい、これを法律校正する機会を得られた。
パク・チュソン「投資家-国家紛争解決手続 国内法律機関等の検討」
献身的に翻訳してくださった、極めつけに優秀な通訳である李洋秀氏の協力があって初めて、これらは可能になった。
韓国法務省と韓国最高裁の検討結果を紹介したのが、2013年1月頃だ。
韓国の法律専門家が真剣に悩んでいる、こうした議論を紹介すれば、当然、日本でも法律家による議論が巻き起こるに違いないと僕は、当時考えていた。
その期待は見事に裏切られた。
残念ながら、未だに、ISDに懸念を示す立場からの、これに匹敵する、どころか、一言半句たりとも、法律家による専門的な立場からの批判的分析が日本では存在しない(と思われる)。
米国だろうが、欧州だろうが、韓国だろうが、見られる当然に存在する、法律専門家による法律的な批判が皆無なのだ(と思われる)。
日本も韓国も米国の属国であるが、少なくとも公法分野の法律家は、日本の方がはるかに米国に対する植民地意識を内在化していると言わざるを得ない。
メディアの体制順応だけではなく、この国では、あらゆる分野で、社会的地位を確立した人々に、独立した精神というものが、見られないという深刻な事態になってる可能性がある。
バカ(頭が良いかどうかは、バカかどうかとは関係がないので、失礼がないために念のため申し添える)ほど上に行けるのが植民地の統治構造の特徴である。
植民地支配は明らかに強烈になってきているし、自らそれと気づかぬまま内在化している連中がのさばっている。
という、身もふたもない怒りで、唐突に今日のブログはおしまい。
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