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2015年5月 4日 (月)

「クォンタム・リープ(量子跳躍)」とTPP「規制のコヒーレンス」

クォンタム・リープ=量子的飛躍=量子跳躍


量子は、飛び飛びの値しかとることができない。
原子核の周りを回っている(といわれる)電子は、軌道Aから軌道Bに移るとき、瞬時に移る。
軌道Aと軌道Bの間を移動するのではなく(中間値をとらない)、瞬間的に移る。
軌道Aで消えた瞬間、軌道Bに現れるという移動の仕方をする。


日常的な感覚で言うと、東京でなくした財布が、なくした瞬間に大阪(ブラジルでも、イラクでもいい)で出てくるような感じだ。


そんな感覚で、日本を変えていると彼は言っている。
これを別の言葉で言うと、ショック・ドクトリンを用いているということだろう。
感覚遮断されてしまっている間に、一気にネオリベラリズム化してしまえということだ。
感覚遮断されてしまった者は、感覚遮断が解かれたときには、もう別の支配者が君臨する別の価値観の世界にいることになる。
この変化は、まさに「クォンタム・リープ」的だ。


実は、いまだから言えることがあります。20年以上前、GATT農業分野交渉の頃です。血気盛んな 若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしました。ところがこの20年、日本の農業は衰えました。農民の平均年齢は10歳上がり、いまや66歳を超えました。日本の農業は、岐路にある。生き残るには、いま、変わらなければなりません。私たちは、長年続い た農業政策の大改革に立ち向かっています。60年も変わらずにきた農業協同組合の仕組みを、抜本的に改めます。世界標準に則って、コーポレート・ガバナン スを強めました。医療・エネルギーなどの分野で、岩盤のように固い規制を、私自身が槍の穂先となりこじあけてきました。人口減少を反転させるには、何でも やるつもりです。女性に力をつけ、もっと活躍してもらうため、古くからの慣習を改めようとしています。日本はいま、「クォンタム・リープ(量子的飛躍)」 のさなかにあります。親愛なる、上院、下院議員の皆様、どうぞ、日本へ来て、改革の精神と速度を取り戻した新しい日本を見てください。日本は、どんな改革 からも逃げません。ただ前だけを見て構造改革を進める。この道のほか、道なし。確信しています。


国内の演説では、間違っても、クォンタム・リープなどと言う言葉は、使わないだろう。
彼自身、知っていたか疑わしい。
演説の起草者が、こんな聞き慣れない言葉を用いたということは、経済を、物理学用語で表現するのが、米国の流行だということだろう。
ネオリベラリズム経済学者は、自説を、まるで物理の法則のように必然だと主張したがるから物理用語を使いたがる訳だ。


TPPには分野横断的事項に「規制のコヒーレンス」という章が設けられている。
「コヒーレンス」の和訳に悩んでいたが、彼の演説原稿を見て、物理用語で理解すればよいことに確信を持った。
レーザー光線のように単一の波長・周波数を持った波をコヒーレントな波という。
コヒーレンスはその名詞形であるから、「単一」ないし「単一性」と訳せばよいのである。


これまでの自由貿易協定は、各産業分野ごとにそれぞれルールを決めてきた。
むろんTPPにも分野別の決め事がある。
これに加えて、すべての産業を横断的に「規制」の観点から、ひとからげで把握するのが「規制のコヒーレンス」である。
知る限り(と言っても、ほとんど知らないのであるが)、前例のない条項である。


物理学用語にしたがうならば、「規制のコヒーレンス」というのは、「規制の単一」化という意味である。
なるほど単一規制になれば、バリアフリーで、「非関税障壁」なんぞはなくなる。


経済活動に対する国の対応は、すべて「規制」という概念で括ることができるので、ほぼ内政の全般にわたる部分が、この章の対象になる。
TPP加盟国の間で、規制を単一化するというのであるから、内政の決定は、TPP「規制の単一委員会」が決定することになる(文理上、今すぐではなくても、やがてそうなる)。


「規制の単一委員会」が少人数(但し、グローバル企業の助言者はたくさんいる)で決定した内容にしたがって、米国と米国の諸州を除く各国は、国内法制をしかなくてはらなくなる。
国権の最高機関である国会は、「規制の単一委員会」の決定にしたがって、立法作業をするのである。


国民の、グローバル企業による、グローバル企業のための国家は、それでも、日本国憲法に言う「国民主権国家」と呼ぶことができるだろうか。
できる、というのが米国の答えであり、安倍晋三の答えである。


クォンタム・リープというのは、そういうことなのである。


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追記(本当に私的なメモ) 5月13日
法律英語用語辞典第3版(2003年9月18日初版・2009年1月19日3版)
「一貫した」=consistent with
2000年代以降、人権側の国際文書でも用いられているが、一貫性の概念自体が、メタルクラッド事件を通じて形成された概念なのではないかとの疑問を留保。
欧米圏で、「フィールド」がベストセラーになったのは2001年。

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