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2015年5月21日 (木)

TPP訴訟訴状全文

TPP交渉差止・違憲訴訟の会のホームページで訴状が公開されている。

 

やや目立たぬ位置にあるので、リンクしておく。

 

TPP訴状全文

 

裁判所もTPPや国際経済法などという分野は全くの素人であるので、一通りのことをまとめるだけで長文になった。
裁判所に対して、説得的なものであることを心がけたとともに、「国民のための国際経済法の心得」ともなり得るものを目指したので、お読みいただけると幸甚である。

 

これは、将来世代にわたり、国民の生命、健康、自由、文化を守るたたかいである。
(なおこの訴状では、「国民」とは日本国憲法による基本的人権の享有主体である個人、という断り書きを付けている)
日本初の反グローバリズム訴訟として、間違いなく歴史に残る。
訴状の最後の方の具体的権利侵害の部分を引用しておく。
ともに立ち上がっていただいた原告の方々、訴訟の会を支援してくださる方々に篤くお礼申し上げます。

第5章 権利侵害
第1 原告らについて
      原告らは、等しく国民であるとともに、農業・酪農従事者であり、医療を受けている者であり、食の安全に強い関心を抱く親であり、国際競争力の名の下に不安定な雇用に従事することを強いられ、あるいは絶えざる賃金の低下圧力にさらされている者であり、また、低所得でありながら食料の安定的な供給と安全な食品の提供、そして適切な医療を受けることが必要な者であり、研究者として知的活動に従事する者です。
     また、原告らは、国民に対して安全な食品が提供されるために献身してきた者であり、医療従事者として国民に等しく適切な医療が行き渡ることよう尽力してきた者であり、先進国の圧迫の下で途上国国民が貧困にあえぎ、治療の容易な病気で亡くなっていく悲劇的な状況を改善すべく活動してきた者であり、国会議員として国民の基本的人権を擁護することに献身してきた者です。
     原告らは、基本的人権尊重を原則とする日本国憲法の下、まがりなりにも、これまで人格権を尊重され、それぞれに平穏な生活を営む権利を保障されてきた者です。

第2 TPPによる国家原理の変容の概要
     TPPは、国際経済活動の自由の尊重を国家運営の原則とし、グローバル企業の利益をとくに保護すべきものとします。そのことによって国会の、国民の保護を図り基本的人権を尊重するための立法裁量を大きく制約します。司法権の重要な部分が海外の私的な仲裁に奪われて、外国投資家の利益を損なわない施策の貫徹が求められるようになります。海外で私的に生成する法によって、立法、行政、司法が支配されるようになります。
     このことにより、日本国憲法の基本的人権尊重原則は大きく変容され、国民の福利は、グローバル企業の利益に従属するものとなります。

第3 具体的損害
  1 生存権、人格権侵害
     こうした統治構造と統治原理の変容によって、原告らは生存権、人格権を具体的に脅かされ、また、基本的人権尊重の価値観を根幹としてきた個人としての尊厳を侵害され、甚だしい精神的苦痛を被る者たちです。
     原告らの生存権、人格権侵害は、その立場と生活局面によって、それぞれの現れ方を呈する具体的な損害であるといえます。
  2 知る権利の侵害
     また、原告らは、TPP交渉において、原告らと関係を有する問題が、すでに決着してしまったのか、あるいは議論が続けられているのか、決着したとしたらどのように決着したのか、議論が続けられているとしたら、どのような議論がなされているのか、原告らの立場と生活局面によって、それぞれに重大な関心を有している者です。TPP交渉の内容が秘密とされていることにより、国民主権原理に由来する知る権利が侵害され、原告らの主権者として行動が妨げられており、これも具体的な損害であるといえます。


国会議員8名も原告に加わることになった。
交渉内容に最も権限を有する「国権の最高機関」である国会を排除した交渉姿勢自体が憲法無視である。
秘密保持を理由に国会議員の本来の仕事を放棄している「TPP断固阻止」の自民党議員が情けなさ過ぎるから、良心のある国会議員が、その職責を果たすために、訴訟という手段に踏み切らざるを得なかったのである。
他方で、秘密交渉といいながら、秘密保護法上の概念である「適合事業者」たるべき資格を有する一部企業は情報を共有している節がある。

日本国憲法の基本的人権規定の側から登ってみたら、山頂では、国連でなされてきたグローバリズムと基本的人権をめぐる議論と合流する結果になった。
(起案中、国連における議論を参照した訳ではない。起案を終えて確認してみたら、国連の議論に重なることを確認したという経過である)
グローバリズムは、どこの国民にとっても普遍的に、致命的な危害を及ぼすのである。
(米国の原産国表示が違法とされれば、わが国の原産国表示が許容される可能性は少ない)

 

訴状の具体的な議論はSPSの解明から始めた。
グローバル資本の論理の本質が「ヒト」の生命すら「モノ」扱いする本質がSPSにあらわだからである。

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