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2015年6月12日 (金)

"otherwise"についての不思議なアドバイス

5月7日付ブログについて、一昨日(6月10日)、僕の勘違い、というか、英語初心者のミスについて、ご親切なお電話をいただいた。お声からすると30、40代の女性だと思われた。
TPP推進派が、ISDがあっても、健康・環境目的の規制権限は妨げられないという理由の目玉として持ち出す規定に関して書いた記事についてである。
忘れないうちに、記しておきたい。

 

Article II.15: Investment and Environmental, Health and other Regulatory Objectives
Nothing in this Chapter shall be construed to prevent a Party from adopting, maintaining, or enforcing any measure otherwise consistent with this Chapter that it considers appropriate to ensure that investment activity in its territory is undertaken in a manner sensitive to environmental, health, or other regulatory objectives.

 

その方がおっしゃるには、この種の英語文に堪能な知人に聞いたところ、"otherewise"は、この場合は、「その他の点では」と訳すのが正しいということであった。

 

そもそも"otherewise"を「さもなくば」という意味で使うときは、直後に主語が来る決まりになっているので、この"otherwise"を「さもなくば」と解する余地はないとの指摘であった(なるほど。何しろ複雑な文章になると、どこに何がかかるか、こんがらかって皆目わからなくなる僕は、漠然と「that is」を補うような感じで読んでいた)。

その方が言うには、この種の英語文に堪能な知人によれば、 この規定の、"otherewise"以下、3語、すなわち「otherwise consistent with this Chapter」は、なくても意味が変わらない、本来、要らない単語だ、ということであった。


で、おもしろいのは、なぜこういう読みにくい文章になるのかについての説明である。
こういう難しげな言い回しが米国の弁護士の趣味だというのである。
僕から聞いたわけではなく、その方のほうから、弁護士の趣味でこのような複雑な文章になっていると教えてくれた。

 

凝った言い回しを好むのは、分からぬではないが、国家間の約束事は簡明が第1である。
米国の弁護士の趣味でわかりにくいものになっては困るのではないか
と、思わず僕は突っ込んでしまった。
英文だけでなくスペイン語も正文となる条約なのだから、スペイン語圏の弁護士も同様にoterwiseを無意味な凝った言い回しに使う趣味があることを確認できないと、無用な用語が入って、条文の意味がわからなくなるのではないかとも申し上げた。
何しろ「条約は文脈(テキスト)により解釈する」のが国際ルールであるから、単なる弁護士の趣味で文脈(テキスト)をいじられてはいけないのである。

その方によれば、とにかく、この条文は、健康・環境の規制目的を考慮した措置であれば、妨げられないという簡明な意味だと解釈すれば良いと教えてくださった。
僕は、でも、米国大統領候補に取りざたされている人も(当然に英語圏である。しかもロースクールの教授である)、健康・環境規制が妨害されないとは、解していないですよと、申し上げたところ、ご存じないようであった。

 

念のため、ブログ全体の趣旨では、すでにotherewiseに関しては、「その他の点では」という磯田宏氏の翻訳も示しているので、僕のブログは不正確ではないですよと、申し上げておいたところである。

 

それにしても、"otherwise"問題について、わざわざこの種の英語文に堪能な知人に尋ねて、電話までして教えてくださるほど熱心な方が、このブログが磯田宏氏の訳「その他の点では」を掲げていることも、エリザベス・ウォーレンの演説を引用していることも知らないのは、不思議なことではあった。

是非、米国の弁護士の趣味で条文をややこしくしないように、簡明な文章にしてもらうよう、知人に伝えて欲しいと申し上げたが、その方の知人は、弁護士ではないので、それは出来かねるということであった。
まことに、残念なことである。

 

ちなみに電話番号は「通知不可能」と表示されていた。
なんということもないが、マチベンの事務所にかかる電話ではめったに見ない表示ではある。

 

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追記
米国の生鮮食品の原産国表示義務をWTO違反に当たるとされた問題については、とりあえず、日本の原産国表示とは、地理的に条件が異なるので、日本の原産国表示が直ちに影響を受けることはないことを確認した。
NAFTA参加国の米国、メキシコ、カナダ間は、地続きであるので、出生地、育成地、と殺地がそれぞれ別の国であることがある、という条件で、原産国の表示のあり方が問題とされている。
日本の場合、米国産の牛が生きたまま輸入されて、日本でと殺処理されるとか、考えられない。
日本国内で、松阪牛などのブランド牛の条件が問題になるようなことが、北米の地理関係だと、国境を越えて問題になっており、それを、どのように技術的にクリアするかが問題になっている。

日本でも、うなぎなんかは、現実に問題になっているし、現実に原産国表示が問題になる食品もありそうな問題ではある。
細かく言えば、アメリカ出生、育成の牛が、カナダで殺処分されて精肉になって輸出されれば、多分、日本ではカナダ産になりそうである。
消費者が問題と思えば、問題がなくはない。

 

WTOは原産国表示の目的の正当性自体は認めるが、各段階の生産者に義務を課す米国のやり方を問題にしているようである。
しかし、出生地、育成地、殺処分ないし加工地が異なるときに、どのような原産国表示や規制をすればよいのか、はWTOのいう要件を満たそうとすると結構むつかしそうである。
かといって、WTOは違法だと判断するだけで、こうすればよいという、うまい方法を示してくれている訳でもないようである。
米国の原産国表示が違法と判断されたのは2回目であり、前回、違法とされた方法を改めて別の方法をとってみたが、今回も違法だとされてしまった。
WTO段階でも、食品表示の問題が、相当にナーバスな問題になってきていることは間違いないようである。

健康・環境あるいは消費者保護目的なら措置は妨げられないという話を鵜呑みにするわけにはいかないことはすでにWTOルール適用の段階でも明らかになってきている。

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