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2015年6月18日 (木)

米国のトランス脂肪酸含有食品禁止措置

ここのところ、世界的な食の安全ルールに関わるニュースが続いている。

 

米国FDA=食品医薬品局が、トランス脂肪酸の食品使用禁止を決めた。3年後までに全廃する。
トランス脂肪酸は、心筋梗塞や動脈硬化のリスクを高めるとされている。
FDAは、この措置によって、年間2万件の心臓発作を防ぎ、心臓病の死者を7000人減らせるとしている。
トランス脂肪酸については、WHOも、1日の総摂取カロリーの1%を超えることがないようにすることを勧告している。

 

このニュース切り口が多すぎて、どうとらえたらよいか、スタンスが決まらない。
まとまらぬまま、思いつくことを並べてみる。

 

1 大胆な措置だという第1印象である。
今や世界を覆うWTOのSPSルールでは、有害であることの十分な科学的証拠があることが求められる。
WHOの勧告は、SPSルールにいう国際基準にはならないし、WHOも全面的使用禁止を勧告しているわけではない。

 

有害であることの科学的証拠が十分にあっても、直ちに全面禁止が許されるわけではない。
仮に疑う余地なく有害であったとしても、輸出業者が存在する以上は、より制限的でない、取り得る手段が他に存在すれば、そうした措置によらなければならない。
全面禁止は、この点で、大変にドラスティックだ。

 

3年後に、米国がトランス脂肪酸含有食品の輸入禁止措置を取ったときに、輸出国からSPS違反としてWTOに提訴される可能性はある。
WTOの紛争解決制度は、相互に、食の安全を守らせないように足を引っ張り合うように働くのである。

 

2 日本での報道が小さい
トランス脂肪酸は、マーガリンだけでなく、パン類や、冷凍加工食品(ピザなど)にも、多く含まれている。
したがって、日本にとっても、人ごとではないはずである。
米国の出先機関は、すぐに、これに追随するかというと、どうも、そうでもないようである。
少し不思議である。

 

勘ぐってみれば、厚労省は、米国の出先機関ではあるが、米国に直接害が及ばなければ、国民の健康より、わが国内で企業活動を展開する企業の利益を尊重するということかもしれない。
だとすると、日本国民は、米国より厳しい基準は、米国の保護水準に下げなければならない上、米国基準が企業活動に不利益を及ぼす場合は、米国湖基準より緩い自国基準で待遇されるわけだから、世界で一番、健康が保護されない国民になりかねない。

 

業界の削減努力や、削減しない度については、MyNewsJapanのサイトに詳しい。

米国で禁止のトランス脂肪酸 国内ワーストマーガリンは日本生協連、ファストフードのワーストはマクドナルド  12/02 2013
Mynewsjapan_j20131129191306

記憶力低下招くトランス脂肪酸 大きく減らす敷島製パン、微増の山崎製パン
01/29 2015

Mynewsjapanreportsimg_j201501291648

3 食品安全委員会調査の結果
2012年12月に、内閣府食品安全委員会平成22年度食品安全確保総合調査」として、財団法人日本食品分析センターが「食品に含まれるトランス脂肪酸に係る健康影響評価情報に関する調査」と題する調査報告書をまとめている。
PDFファイルにして199頁に及ぶ大部のものである。

研究会は、内外の論文を集約調査した上、次のようにまとめている。
(なぜなのか、保護ファイルになっているために貼り付けができない)。

 

  1. 硬化油由来のトランス脂肪酸を多く摂取すると、冠動脈疾患、肥満、アレルギー性疾患の増加リスクが疑われる。
  2. 胎児への影響も懸念され、出生時体重の減少、早産・死産のリスクも疑われる。
  3. 動物実験でもトランス脂肪酸は、動脈硬化を促進し、脂肪を体内に蓄積しやすくし、胎児に悪影響を与えることが示されている。
  4. しかし、硬化油に含まれるトランス脂肪酸は、非常に多くの異性体が存在し、どのトランス脂肪酸が人体に有害であるか明らかでないし、トランス脂肪酸以外の物質が影響をしている可能性がある。
  5. トランス脂肪酸摂取量と、冠状動脈性心疾患の間にはほぼ直線的な正の相関関係が認められる。
  6. しかし、一般的な日本人のようにトランス脂肪酸摂取量が少ない場合に、全く接種しない群との間で、冠動脈性心疾患の発症率との間に有意なリスクになるかは明らかではない。
  7. トランス脂肪酸摂取量をエネルギー比0.1%減少させることによって、年間約9000人の虚血性心疾患患者の減少、約500人の心筋梗塞死亡者の減少が期待できる。

 

SPSルールでいう、有害であることの十分な科学的証拠は存在しない。
平均的な日本人にリスクがあるかは、明らかではない。
しかし、トランス脂肪酸の摂取量を減らせば、カロリー比0.1%減少させれば、500人の心筋梗塞死亡を防ぐことができるという。

 

何とも、まとまりの悪い、まとめである。
今回の米国の措置に厚労省が、日本人は摂取量が少ないから、禁止する必要はないなどと、コメントしているのは、こういうことを意味する。

 

米国マクドナルドは、トランス脂肪酸の使用を止めたが、日本マクドナルドは、トランス脂肪酸を減らすつもりがないのは、厚労省の見解に負うところが大きいようである。
何となく、日本国民は馬鹿にされているようにも感じる。

 

 

4 米国民の心臓疾患は、OECD加盟国で最悪水準である。

ちなみに肥満率の推移は以下のとおりである。
これが全て、トランス脂肪酸の取り過ぎというのであれば、トランス脂肪酸を悪者にし過ぎで、いくら何でも事態を単純化しすぎている。

 

Himanritsu2
社会実情データ図録8800より

 

5 遺伝子組み換え作物との関係
健康ジャーナルのサイト、後藤日出夫氏の論考「信用を失う食品業界!今一度確認しておきたいトランス脂肪酸の危険な話。」に次のようなくだりがある。

先進各国のトランス脂肪酸に対する対策を見てみると、政治的・経済的観点から大きく2つのグループに分けることができそうです。


1つは、米国を中心とする「遺伝子組み換え食品にポジティブ(前向き)な国」であり、韓国や中国などが挙げられます。 少々専門的になりますが、米国を中心とする遺伝子組み換え作物の栽培・消費を積極的に進めている国では、遺伝子を組み換えることによって、大豆や菜種油からリノール酸を減らし、オレイン酸を増やすことができます。これによりトランス脂肪酸量を減らすのです(リノール酸はオレイン酸に比べてトランス脂肪酸の生成量が多い)。つまり、トランス脂肪酸の使用を規制してもある程度の低減が可能だということです。


もう1つはEU(および英国)や日本のように「遺伝子組み換え食品にネガティブ(後ろ向き)な国」です。


これらの国は、食糧の米国一極支配を恐れており――遺伝子組み換え作物の種子はすべて米国企業がおさえている――したがって、EUや日本はそうした種子や油の輸入自体を制限しています。しかし現在の大量生産の技術では、遺伝子組み換え作物を使う以外にトランス脂肪酸を低減するよい方法はまだありません。


さらに、酪農が盛んな国(デンマーク、スイス、オーストリアなど)では、植物油を使わなくても乳製品からの脂肪酸(バターなど)でよいと考えているようですし、農業の盛んな国では、昔ながらのオリーブ油や圧搾法の植物油で充分というスタンスのようです。


その代表格のフランスでは、精製・加工植物油の消費量が少なく、また原材料名のなかに「トランス脂肪酸」の表示がなくても、「水素添加油」の表示があればそこにはトランス脂肪酸が含まれると判断できるとしており、さらに人工的トランス脂肪酸を含むいくつかの食品を開示して摂取量を減らすことを勧めています。
つまり、国民が精製加工された植物油の危険性について知らされているという点が日本との大きな違いだと思います。
(抹消線は、マチベンによる)

印鑰智哉氏のフェイスブック2013年11月21日でも、このことが指摘されている。

モンサントやデュポン・パオイニアはこのトランス脂肪酸を作らず、変質しにくいように遺伝子組み換えした大豆をすでに開発している。体に良いというオレイン酸を多く含むという(以下、高オレイン酸GM大豆)。

遺伝子組み換え企業にとってこの高付加価値形質遺伝子組み換えのセールスはこれまでに普及した悪名高いイメージを一掃させるチャンスになると考えているのだろう。つまり、これまでの遺伝子組み換えは農薬耐性や害虫耐性、農民向けにアピールする(そのアピールがウソにまみれていたことは言うまでもないが)ものだったが、消費者にとっては何らメリットのないものだった。今度の高オレイン酸GM大豆は「体に良い」大豆として消費者にメリットがあるものとして宣伝しようというのだ


でも、その内実を見るならば、これまでの悪名を返上することはありえないことがわかる。要するに基本的に農薬耐性などのものの上に付け加えられるだけだ。この高付加価値の部分の遺伝子組み換えが果たして健康に被害がないかどうか、こちらも十分な検証が必要だが、それが問題ないとしても、基層に健康を害するものを使い、その上に健康によいものを乗せて、果たして健康にいいものができるはずがあるだろうか?


しかも、トランス脂肪酸フリーの油はすでに市場に出回っていて、遺伝子組み換えを使わずに実現できる。それなのになぜ遺伝子組み換えが必要?


しかし、モンサントらの豊富な資金力はそんなことお構いなしに「健康にいい遺伝子組み換え」を宣伝してくるのだろう、FDAの援護射撃を活用して。だけど騙されてはいけない。

 

後藤日出夫氏は、遺伝子組み換えダイズを使わない限り、トランス脂肪酸を減らすことはできないとするようであるが、印鑰智哉氏は、遺伝子組み換えダイズを使わなくても、トランス脂肪酸フリーの油はすでに市場に出回っていると指摘している。
「基層に健康を害するものを使い、その上に健康に良いものを乗せて」という印鑰氏の表現はややわかりにくいが、トランス脂肪酸に変わる、モンサント製オレイン酸ダイズは、これまでモンサントの除草剤耐性ダイズとして悪評をかっていた遺伝子組み換えダイズに、さらに遺伝子組み換えを施したものだということをいうのだろう。

FDA=米国医薬品局の顧問は、モンサントの役員が指名されていたはずであるから、米国が食品安全行政を考え直したなどと考えるのは、ナイーブすぎるように見える。
そういえば、トランス脂肪酸批判をするグループは、何となく親米的のようにも見えてしまう。

 

以上の次第で、一筋縄には行きそうもないのが、この問題のようである。

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NHK 6月17日 10時42分
米 トランス脂肪酸 3年後までに禁止

 

米 トランス脂肪酸 3年後までに禁止    
マーガリンなどに含まれとりすぎると心筋梗塞などのリスクを高めるとされる「トランス脂肪酸」について、アメリカのFDA=食品医薬品局は3年後までに加工食品などでの使用を全面的に禁止すると発表しました。
トランス脂肪酸はマーガリンや揚げ物などに使われる油に比較的多く含まれる脂肪分で、とりすぎると心筋梗塞や動脈硬化のリスクを高めると指摘されています。
このためアメリカでは、食品に含まれるトランス脂肪酸の量の表示を義務づけるなどして、1人当たりの摂取量は大きく減ってきていますが、冷凍ピザや電子レンジで調理するポップコーンなどの加工食品にはまだ多く使われています。
こうしたなかアメリカのFDAは16日、「食品への使用が安全とは認められない」として、国内の加工食品などへの使用を全面的に禁止すると発表し、企業に対し、3年以内に代替品に切り替えるなどの対策を求めました。
FDAではトランス脂肪酸を禁止することで年間2万件の心臓発作を防ぎ、心臓病による死者が7000人減ると見込んでいます。日本では今のところ「通常の食生活では健康への影響は小さい」として、食品に含まれる量の表示の義務などはありません。

日本では「健康への影響小さい」

トランス脂肪酸の使用について、日本では3年前、食品安全委員会が安全性を検討した結果、「通常の食生活では健康への影響は小さい」とする見解をまとめていて「現時点で見解を変更する必要はないと考えている」としています。
トランス脂肪酸の摂取量についてWHO=世界保健機関は、摂取量を食事でとるエネルギーの1%未満に抑えるべきだとしていますが、アメリカでは、2003年から2004年のデータで男性で2%、女性で1.9%となっています。
一方、日本人の摂取量は、3年前にまとめられた食品安全委員会の見解によりますと平均で0.31%で、洋菓子や油分の多い食品を頻繁に食べる人を除くと高い人でも0.61%から1%だったということです。このため、食品安全委員会は「脂質に偏った食事をしている人は注意が必要だ」としましたが、「通常の食生活では、健康への影響は小さい」と結論付けています。
食品安全委員会では、今回のFDAの発表について「日本人のトランス脂肪酸の摂取量が、3年前から極端に増えているとは考えにくい。現在、アメリカの評価の根拠を検討しているが、現時点で見解を変更する必要はないと考えている」とコメントしています。

日本企業 自主的に減らす取り組み

厚生労働省によりますと日本では食品に含まれる「トランス脂肪酸」の量について規制はないということですが消費者の関心の高まりを受けて、国内の食品メーカーは、含有量を減らす取り組みを自主的に進めています。
このうち、マーガリン類で国内大手の「雪印メグミルク」は、主力商品の「ネオソフト」のトランス脂肪酸の含有量をこの10年でおよそ10分の1に減らしたということです。その結果、「ネオソフト」1食分に含まれるトランス脂肪酸は、「総摂取エネルギー量の1%未満にする」というWHO=世界保健機関の勧告を下回る0.037%に当たる量になっているということです。同じく、マーガリン類で国内大手の「明治」も、トランス脂肪酸を自主的に減らす取り組みを進めているということです。両社は「今後も削減の取り組みを続けるとともに、国から新たな方針が示されるようなことがあれば、適切に対応していく」としています。
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