国民の4つの義務 「服従しない権利、抵抗する権利」 池住義憲さんのメールから
衆院特別委員会で、安保法案が強行採決された。
明日にも衆院を通過する見込みだという。
イラク派兵差し止め訴訟の会代表だった池住義憲氏の今月のメールを下記に貼り付けておこう。
普通、教科書は、国民の3つの義務という。
しかし、憲法を素直に読めば、国民の4つの義務という池住氏の主張こそが正しく、核心を突いている。
むしろ4番目の義務こそが、憲法を生かすのだと思う。
『服従しない権利、抵抗する権利』
2015年7月10日
池住義憲
憲法9条は、一字一句、変わっていません。「戦争・武力の威嚇・武力行使の永久放棄」「戦力の不保持」「国の交戦権否認」は、今もそのままです。
私たち市民の権利と自由を脅かし侵害してきたのは、いつもその時々の権力者でした。だから私たち主権者は、私たちの権利と自由を護るため、権力者に対し、権力者の権力を縛る「命令書」を制定したのです。それが憲法です。そしてそれを国の最高法規としました。
今、安倍政権・与党は、11本もの安全保障関連法案を強引に進めています。他国(米国)が攻撃された場合でも、それが日本にとって一大事だと政 府が判断すれば、武力の行使が出来るようにする。これが法案の骨子です。これは、明らかに違憲な立法行為! 安倍政権・与党は、9月27日まで延長した今国会会期内に、方法の如何を問わず、法案成立を強行しようとしています。
*
では、私たちはどう抗うか。私たちが拠って立つところは、憲法です。98条に、こう書いてあります。「この憲法は、国の最高法規であって、その 条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の全部または一部は、その効力を有しない」。そう、憲法違反の法律は、法律としての効力がない。私たちは、違憲の法律に服従する必要は、ない。
私はこれを「服従しない権利」、と呼んでいます。1930年、英国の塩税法に抗議して非暴力・不服従運動を起こしたガンディーのように。1955年、バス車内人種分離法に反対して非暴力・不服従運動を起こしたキング牧師のように。
「服従しない権利」の根拠は、もう一つあります。その前に、質問です。憲法の中に書かれている私たちの義務はいくつあるでしょうか? 答えは、四つ。
➀納税の義務(30条)、
②保護する子女に教育を受けさせる義務(26条)、
③勤労する義務(27条、これは権利でもある)、
そしてもうひとつ、
④私たちの自由と権利を不断の努力によって保持する義務(12条)です。
私たちは、不断の努力で憲法を護る義務を負っているのです。違憲な立法行為が国会で行われていれば、不断の努力でもって有権者として声を挙げ続 ける必要があるのです。そして天皇や首相、大臣、国会議員、裁判官、公務員らに憲法を尊重し、擁護する義務を負わせているのです。
*
当面、悪法・憲法違反の法律案を撤回させることに全精力を投入しましょう。廃案に追い込ませましょう。それでも成立してしまったら、服従しない権利を行使しましょう。憲法違反の法律が実行に移されたら、最後の砦である司法府に違憲の確認を請求することもできます。
1970年末、オランダのNOVIBという団体が、社会を変えるのに「あなたにも出来る百か条」というのを出しました。その第一条は、「無力感を克服すること」。これは今も私の生活信条・行動原則の第一条になっています。
(2015年7月7日19:45記)
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