TPPアトランタ会合 阻止国民会議事務局長首藤信彦氏の懸念 TPP発効問題の急浮上
国際情勢に通じた首藤信彦氏の分析は的確で、私も首藤氏のTPPゾンビ論に全面的に同意していたが、ハワイ会合当たりで、初めて首藤氏の分析は、不透明な要素を加えるものになっていた。
安倍政権は、もはや正統性の基盤が米国の信認しか存在しない米国傀儡である。
何が起きても不思議ではない。
折からここに来て、米中投資協定=ISD協定合意への動きが急速に高まっていることを踏まえれば、中国に先を越されたくないという傀儡政権の焦りも高まるというものである。
発効条件を緩和した上での、大筋合意という何でもありのシナリオはあり得る。
それにしても、本来、TPPは、ニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイの4カ国で締結されていた原協定・P4(この名称が「TPP」である)の拡大協定であった。
原加盟国を置き去りにしたTPPは、原TPPと別のものになる。
もともと米国(グローバル企業が乗っ取った政府)の狙いが日本市場である以上、最終的な目的は、日米FTAである。
「我が軍」を米国に供した傀儡政権が、進んで、日本や日本国民を差し出したとしても何の不思議もない。
そしてこれにカナダ、オーストラリアなどのアングロサクソン(全てが英米法圏・ファイブ・アイに重なる)が加わって無警戒な日本国民を餌食にする構図は、もはやこの傀儡政権では、現実味のある未来図と言わざるを得ない。
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急浮上のTPP協定発効問題
2015年9月24日
TPP阻止国民会議 事務局長
首藤信彦
9月末にアタランタ閣僚会議でTPP合意(大筋?完全?)というような、誇大妄想というか、にわかに信じられないような話が当たり前のように大手メディアに登場するが、その前提となる9月22日の四か国(日米・カ・墨)自動車原産地問題の事務協議では結論に達しなかった。ニュージーランドが強硬主張する酪農問題、解決の糸口の見えないIP問題などにほとんど進展というか解決努力が見られないことを考えると、はたして9月末あるいは10月初週のアタランタ閣僚会合で12か国によるTPP合意が成立するとはにわかに信じがたいものがある。
ここで急浮上してきたのが、日本政府の不穏な動きで、マスコミにはほとんど報道されていないが、各国は警戒を強めている。それは日本政府がどうやらTPPの発効条件の提言をしているらしいという情報である。
むろん、その内容は公開されていないが、情報筋によると①12か国の過半数=6か国の合意②TPP参加国GDPの85%をカバーする国の合意。。。ということらしい(ケルシー教授)。
そうすると、次表のごとく、日米それに必ず合意に参加すると考えられるシンガポールを入れると、3か国で79.04%となり、85%には5.98%不足するだけということになる。すでにNAFTA構成国であるカナダとほかの小国、あるいは10月19日選挙でおそらく政権交代となるカナダがはずれても、NAFTA国であるメキシコにオーストラリアを加えてどこか小国を伴えば、簡単にTPP協定は成立そして発効ということになる。
Country
Name |
2013
GDP (US$) |
Each
TPP country's % of total TPP GDP |
Australia |
1560372473125 |
5.61 |
Brunei
Darussalam |
16111135786 |
0.06 |
Canada |
1838964175409 |
6.61 |
Chile |
276673695234 |
0.99 |
Japan |
4919563108373 |
17.68 |
Malaysia |
313158247643 |
1.13 |
Mexico |
1262248825556 |
4.54 |
New
Zealand |
188384859627 |
0.68 |
Peru |
202362597917 |
0.73 |
Singapore |
302245904260 |
1.09 |
United States |
16768053000000 |
60.27 |
Vietnam |
171222025390 |
0.62 |
TOTAL
TPP GDP: |
27819360048319 |
|
85%
of total TPP GDP: |
23646456041071 |
|
US&JP
GDP: |
77.96 |
|
Data from http://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.MKTP.CD |
むろん、TPP協定はアメリカでは簡単には発効しない。TPPの争点、自動車・農産品・IP・国営企業・労働・環境・人権などで議会側は手ぐすねひいて待っているわけで、このような不完全で水準の低いTPP条約を簡単に承認する状況にはない。それどころか、議会が大統領に与えた特別権限(TPA)では、かねてより問題のcertification(承認)手続きを要求しており、極端なことを言えば、他の11か国で発効しても、アメリカでは発効を認めないという事態も起こりうるのである。
このようなまるでトリックのような大胆提案を、いかにアベノミクスの中心政策で、何とか実現したいと考える日本政府も、単独で独自に提出する勇気(?)があるとは、考えにくい。アメリカ側からの要請あるいは共同提案かもしれない。
いずれにせよ、目前にせまったアタランタ閣僚会合の趣旨が理解しにくいため、TPP協定発効条件提案の情報は多くの参加国を一層、疑心暗鬼にさせている。
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