20年、この長き停滞とTPP
この国の経済を長い目で見れば、次の通り。
日米中GDPの推移(1980年から2015年)
「世界経済のネタ帳」からお借りしました。
1995年には、日本のGDPは米国の3分の2に達していた。
この年を境に一気に米国との差が開いていく。
以降、ほぼゼロ成長である。
今や、米国の4分の1、中国の4割という水準まで落ち込んでいる。
グラフにはないがドイツは着実に日本を追い上げている。
早晩ドイツに抜かれ世界第4位に転落すれば、つるべ落としになるに違いない。
20年!!
いくら何でもこの停滞は長すぎるだろう。
この停滞には明確な原因がある。
米国の対日年次改革要望書による日本の構造改革要求が始まったのが、1994年。
これに呼応して橋本構造改革が始動したのが1996年。
橋本内閣「変革と創造」~6つの改革
政府は、世界の潮流を先取りする経済社会システムを創り上げるため、次の6つの改革を一体的に推進しています。
●行政改革
規制緩和、地方や民間への業務・権限の委譲を行い、行政をスリム化し、真に国家、国民に必要な行政機能を見極め、国民が求めるサービスを最小の費用で提供できる行政、経済社会の変化に柔軟に対応できる行政を創り上げます。●財政構造改革
2003年度(平成15年度)までに、国及び地方の財政赤字対GDP比を3%以下とし、公的債務残高の対GDP比が上昇しない財政体質を実現すること等を目標に、歳出全般について聖域なく見直しを行うこととしています。●社会保障構造改革
急速な少子高齢化の進展に伴う国民の需要の変化に適切に応えるとともに、医療、年金、福祉等を通じて給付と負担の均衡がとれ、かつ、経済活動と両立しうる、サービスの選択・民間活力の発揮といった考え方に立った、効率的で安定した社会保障制度の確立を図ります。●経済構造改革
既存産業の高付加価値化を含めた新規産業の創出に資するよう、資金、人材、技術等の面で環境整備を行います。また、抜本的な規制緩和等によって、産業活動の基盤的要素である物流、エネルギー、情報通信、金融についての高コスト構造の是正を図るほか、企業や労働をめぐる諸制度の改革や社会資本の効率性の向上などにより、我が国の事業環境を国際的に魅力あるものとする改革に取り組みます。●金融システム改革
2001年までに、我が国の金融市場がニューヨーク、ロンドン並みの国際市場となって再生することを目指し、金融行政の転換、市場自体の構造改革を図ります。 金融市場については、(1)Free(市場原理が働く自由な市場に)、(2)Fair(透明で信頼できる市場に)、(3)Global(国際的で時代を先取りする市場に)の三原則により改革を進めます。●教育改革
我が国の人材を育成するという視点と同時に、子どもの個性を尊重しつつ、正義感や思いやりなど豊かな人間性や創造性、国際性をはぐくむという視点に立って、教育改革を進めます。
今の政策とほとんど変わらないことに驚く。
内需中心に発展していた日本経済は、「世界」、「世界」とかけ声をかけるほどに凋落していったのである。
「世界」「競争力」の正体は、民営化、規制緩和、市場化である。
米国の求める新自由主義政策を一貫して採り続け、国家の仕組みを作り替えてきた結果が停滞の20年である(鳩山政権の一瞬を除く)。
そして、競争力とかグローバルとか米国隷属を続ける限り、日本に未来はないことを思い知るべきだ。
新自由主義は、絶えず、看板を付け替えて国民の目をごまかしてきた。
一貫しているのは対米隷属である。
相変わらず、メディアは対米隷属TPPで経済が回復するかのような誤報を集中させている。
バカというほかない。
知能指数は高いはずなのだから、多少はものを考えたらどうだと言いたい。
TPPは、条約によって、新自由主義政策を固定化させようとするものである。
TPPは条約を結んでそれで終わりではない。
TPP加盟国によって設けられる各種の委員会によって永遠に構造改革を迫る法的仕組みであり、グローバリズム運動の橋頭堡である。
早速に「終わらぬTPP」の本質が露呈する記事が出た。
永遠に続く泥沼の交渉地獄に巻き込むのがTPPである。
そして政府は、相手国の手先となって、日本国民を売り渡すのがTPPである。
2015年11月5日 00時07分 共同通信
TPP、発効7年で関税再協議 米など5カ国と環太平洋連携協定(TPP)交渉で大筋合意した協定案文に、協定発効から7年が経過した場合、日本が米国など5カ国と、相手国からの要請に応じて関税などの適用に関連して再協議するとの規定が盛り込まれていることが4日、明らかになった。TPP交渉参加12カ国は5日にも協定案文を公表する予定だ。
関税などの再協議に関する規定は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、チリとの間で規定している。
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