昨日の中日新聞夕刊から 非常事態宣言のフランスは今
昨日19日の中日新聞夕刊に掲載された記事、力の入った良い記事だと思った(と言っても、今は中日一紙しか取っていないが)。
多分、目新しい材料はないが、フランスの状況を伝える中で、今の私たちがどのような時代にいるのかを問いかけてくる。
エマニュエル・トッドが、今や「公共の敵ナンバーワンは自分だ」という自虐ネタを飛ばすのも何だか切ない。
カフェに大きな荷物を抱えたアラブ人が入ってくると、とたんに3、4人の客が席を立ち店を出て行く。
フランスのイスラム教徒住民への空爆の中止を訴えた哲学者が、利敵行為と批判され、著書の出版を断念する。
エマニュエル・トッドが1月のパリ大行進を、イスラム嫌悪に駆られた欺瞞だと批判した著書により、首相からルモンド紙で厳しく批判を浴びせられる。
トッドが、「公共の敵ナンバーワンは自分だ」と自嘲してみせるのは、病んだ社会での批判的精神の孤立を示している。
11月のテロ後、フランスでは3ヶ月の非常事態がしかれ、3週間で、2200カ所の家宅捜索、飲食店の閉鎖、260人以上が令状なしで拘束され、COP21では環境活動家らに外出禁止が命じられた。
記事は、こう続く。
「これほどの自由が制限されながら、世論調査では非常事態宣言延長への支持は91%。個人主義の浸透するこの国で、テロ抑止の掛け声が同調圧力となり、パリの誇る自由が寒空の下で凍えている」
やはり、何だか切ない。
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2日追記:昨日(2/1)のニュース23に出演したのですね. http://news.tbs.co.jp/sp/newseye/tbs_newseye2693443.html -------- ソ連の崩壊を予言したとされるフランスの人類学者,エマニュエル・トッドのインタビュー集.いろんな雑誌やネットサイトのものが翻訳・編集されて日本で出版.つまりこの本の「原書」というものはないようです.文春新書で昨年(2015年)5月に刊行されています. センセーショナルな本の表題は,冒頭の章のタイトル「ドイツがヨー... [続きを読む]