報道されない輸入米価格偽装(SBS米) 瑞穂の国を売り払う商社
へたれマスコミは、なぜだか東京都政に関してはやたら熱心に報道しているが、TPP国会最大の焦点である輸入米価格偽装疑惑については、まともに採り上げようとしない。この件、毎日新聞だけが精力的に採り上げているが、一般紙はほとんど採り上げない。
テレビでは全く採り上げられていないようだ。
僅かにNHKだけが、控えめに地味に「時事公論」で伝えている。
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TPP環太平洋パートナーシップ協定の国会での承認を巡って、与野党の対立が激しくなっています。政府与党が14日の審議入りを主張する一方で、野党は、問題となっている輸入米など政府からの情報が不十分で、審議に入ることができないとして、審議の先延ばしを主張しているのです。
そこで、TPP審議の新たな火種となっている輸入米の何が問題なのか。そして農林水産省が行った聞き取り調査を巡る対立。そして今後のTPPの行方について、見ていきたいと思います。今回議論となっているのは、国が例外的に主食用として輸入しているコメです。日本は、コメに高い関税をかけて、外国から安いコメが入ってこないようにする一方、外国の求めに応じ10万トンだけ主食用として輸入を認めてきました。
そして今回のTPP合意で、新たにアメリカとオーストラリアから合わせて7.8万トンを受け入れる事にしています。
問題はその仕組みです。これまで政府は、国が関与することで国内のコメ価格に影響を与えないようにしていると、説明してきました。
例えば、国が輸入業者から1キログラムあたり150円で契約したコメの場合、国は50円の国庫納入金を加え、国内産のコメと同程度の200円で、契約した卸売り業者に販売します。卸売業者は利益を含め200円以上で売らざるを得ませんので、国産米に影響を与えないと言うわけです。
ところが輸入業者は実際は利益を含め、110円で海外から調達し、国に売った差額の40円を卸業者に調整金として支払っており、卸業者は、国と契約した200円より安く売っている可能性が出てきました。
事業者のお金のやりとりは、販売促進などの一般的な商行為で、これ自体が違法ではありません。問題は政府が、安く売られていたかもしれない実態を放置してきたことです。
コメの卸業者が調整金をもらって、国内に安く流通させていたとなると、これまでの政府の説明と矛盾しますし、国内産コメへの影響はゼロとする、TPPに対する政府試算にも影響してくるからです。
このため農林水産省は問題が発覚した後、直ちに輸入業者やコメの卸業者に聞き取り調査を実施、先週金曜日にその結果を公表しました。
焦点となったのは、輸入米が調整金によって、政府からの売り渡し価格より安く売られていたかどうかでした。農林水産省は調査の結果、139社のうち、全体の44%にあたる61社が、調整金のやりとりを行ったことがあると答えたとしました。
ただ国内のコメ価格への影響については確認できなかったとしています。輸入米の量が国内で流通するコメ全体の1%と少なく、販売契約の前後も国産のコメ価格に大きな変動がなかったという理由からです。その上で、今後事業者には調整金のやりとりを行わないように求め、違反した場合には契約の資格を取り消すなどの処分を行うとしています。
これをどう見ればいいのか。
今回の調査は、農林水産省が、事業者に電話などをかけ、とりまとめたものです。
しかし、どういう質問をしたのか、そして相手はどう答えたのか、相手の事業に差し障りがあるとして明らかにしていません。
十分な裏付けがないままに、国内産への影響は確認できなかったとする結論づけはいかにも強引です。実際に民進党などは「結論ありき」だとして強く反発しています。
輸入米が安く流通しているかどうかが焦点だったのに、実際にどの程度の価格で売られていたのか、農林水産省は業者に聞いていない。また輸入米は業務用として使われるのに、コメ全体との価格を比べ、意図的に影響を小さくみているとして、調査のやり直しを求めています。
そして、こうした点が明らかにならない限り、TPP承認の審議にも入る事ができないとしているのです。一方で政府は、任意の調査で限界があり、不明な点はTPP対策委員会を開いて問いただすべきだとして、あくまで、14日の審議入りを求める立場です。
(以下略、時事公論10月12日)
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輸入米価格を高く装うために業者間で調整金、販売促進費などをやりとりしてごまかしていたというのだ。
商社は、たとえば105円で輸入した米を145円で輸入したように装って、政府に150円で売却し、政府は実質的な関税を上乗せして200円で卸売業者に販売する。
商社は輸入価格との差額40円をディベートとして、販売業者に渡す。
こんなことをしなくても、商社は、政府に110円で売却し、卸売り業者は160円で政府から仕入れても、経済的には何も変わりはない。
わざわざ、理解しにくい裏工作を行ったのは、もっぱら輸入米の価格を高くみせかけるために行われた操作としか考えようがない。
政府は、卸売り業者への販売価格が国内産米並みであるから主食用米の輸入枠を拡大しても、国内産米の価格に影響はないとしてきた。
しかし、そもそも卸売り業者は実質的に、政府の販売価格より安値(上の例では160円)で仕入れていることになる。
輸入米によって国内産米の価格が下がることはないとする根拠は崩れたのだ。
時事公論では、商社の何%が調整金による価格偽装を行っていたかについては触れていないが、農水省の調査結果では、26商社のうち19社、実に73%が価格偽装したとしている。
調査対象には、破砕米等の輸入例もあると考えられるから、主食用の米ではほとんど全てで価格偽装が行われていたと考えてもよい。
さらにタチが悪いのは、主食用輸入米では輸入米を高く見せる価格偽装が行われていることは遅くとも2014年9月には、農水省は認知していたが、もこれを放置して、輸入米は安くないと主張し続けてきたことだ。
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平成26年9月から10月にかけて福井精米(株)から農林水産省担当者に送付された電子メールについて
(1)平成26年9月当時の状況は以下のとおり。
① 平成25年12月、福井精米(株)(買受業者)、兼松(株)(輸入業者)と農林水産省がSBS契約を締結。
② 平成26年4月、福井精米(株)は兼松(株)が当該SBS契約外で米の品質を保証したと主張し、品質の悪い米の交換等を求めて東京簡易裁判所に調停申立て。
③ 平成26年6月、福井精米(株)に対し、米の産地偽装表示に関して不正競争防止法違反容疑で警察による家宅捜索(報道された)(その後、平成27年4月にJAS法違反による罰金刑が確定)。
④ 平成26年7月、農林水産省担当者(生産局農産部貿易業務課所属)(SBS入札の履行業務の担当)は、上記事情により、締結されたSBS契約の履行に疑義が生じたことから、これら2者に対し、履行意思を確認するなどの業務を行っていた。
(2)平成26年9月から10月にかけ、当該農林水産省担当者が、福井精米(株)関係者から、福井精米(株)と兼松(株)の間のSBS米の品質をめぐる争いが調停から民事訴訟(損害賠償請求訴訟)に移行するという電子メールを受領。当該電子メールには、買受業者と輸入業者の間での金銭のやり取りに関することも含まれていた。
(3)当該農林水産省担当者は、福井精米(株)と兼松(株)とのSBS契約の履行業務の担当として、当該電子メールの内容のうち、福井精米(株)が兼松(株)に対し、米の品質保証に係る債務不履行に基づく損害賠償を求め、民事訴訟を提起する意向を持っていることを課内で共有。
一方、買受業者と輸入業者の間での金銭のやりとりについては、SBS契約の履行という自らの担当業務以外の事項であり、民民間の争いの一方の当事者がその立場を示したという理解の下で、上司への報告をしなかった。
(平成28年10月 農林水産省「輸入米に関する調査結果について」)
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たまたま民事紛争に伴って(毎日新聞の記事によれば、2016年6月に東京地裁で判決がなされたようだ)、兼松の件が表面化したが、主だった商社の大半が主食用輸入米を扱っているとみてもよい。
平成25年の取扱価格の上位10社は、伊藤忠商事、兼松、丸紅、木徳神糧、住友商事、カーギルジャパン、ノーブルジャパン、三菱商事、ヴォークス・トレーディング、豊田通商となっている。
(平成25年行政事業評価・農林水産省・事業番号75・米買入費(輸入米))
TPPでは、こうして輸入販売される主食用輸入米が、これまでの1.8倍に増える。
しかも、主食用米の輸入について、実質上の関税に当たる差額を小さくすることや輸入米を増加させるために入札回数を増やすことまで約束されていると米議会貿易委員会では報告されている。
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米国の国際貿易委員会(ITC)が今年5月に米国議会に提出した報告書は、ミニマムアクセス米に新たに設けられるSBS枠6万トンについて「文書化されていない約束」があると記述しています。その中身は、6万トンの8割に当たる4・8万トンを米国産とすることを「保証」し、マークアップも1キロあたり22円削減すると約束しているというもの。さらなる市場開放を約束しているのです。
(赤旗2016年10月5日 輸入米価格偽装問題・大本にミニマムアクセス米・衆院予算委で畠山議員)
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マスコミは、とことんヘタレで、沈黙によって、売国に加勢する。
9月14日付のスクープ記事を末尾に貼り付けておこう。
もう1ヶ月も経つというのに、他のマスコミは追いかけようとしない。
輸入米高値に見せかけ 「調整金」還流、国は放置安すぎる外国産米が輸入されないよう国の管理下で行われている「売買同時入札」(SBS)を巡り、業者間で輸入価格を実際より高く見せかける取引が横行していたことが内部資料などで分かった。農水省は外部からの指摘を放置していた。同省は「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」承認のために「国産米と輸入米の価格は同水準」と農家を説得してきたが、外国産米は国の説明より安く流入しており、TPPによる輸入枠拡大に向けて対応が問われそうだ。
SBSにはコメを輸入する商社と卸業者がペアを組んで参加、国は輸入米の平均価格を公表している。現在のSBSの輸入枠の上限は年間10万トンだが、TPPが発効すれば最大計7万8400トンの枠を新設することが決まっている。安値の輸入米流入により、国産米に対する価格下落圧力がさらに高まる可能性がある。
総合商社「兼松」(神戸市)や取引相手の卸業者の内部資料によると、2013年10月のSBSで両者は「兼松が輸入米を1キロ約145円で国に売り、国は1キロ約194円で卸業者に売る」との条件を示し308トン分を落札、国は社名を伏せて同様の情報を公表した。
一方で兼松は利益分を含め105円前後で輸入米を調達し、国から支払われる代金との差額約40円を「調整金」として卸業者に渡した。卸業者は公表価格より調整金分だけ安い154円前後で輸入米を入手した。兼松は少なくとも11〜14年、こうした取引を繰り返していた。
卸業者は、農産品を巡るTPPの日米協議が激化していた14年10月、調整金の存在を同省にメールで伝えたが、担当者は「一部商社の独自の商慣行」などとして対応しなかった。その後も同省は「SBS米の価格は国産米と同水準。TPPは国産米の価格に影響しない」との説明を続けた。
農水省は「調整金の存在は知らない。あったとしても民間の取引に国は関与できない」としている。メールを受け取った担当者は海外に赴任し、連絡が取れないという。複数の商社や卸業者が調整金の存在を認めているが、兼松は「回答は差し控えたい」とした。【大場弘行、山本将克】
【ことば】コメの売買同時入札(SBS)1993年の関税貿易一般協定(GATT)ウルグアイ・ラウンド合意を受け、主に主食用の上質の輸入米を受け入れるために国が95年度から始めた入札。国が商社から輸入米を買い入れ、事実上の関税を上乗せして卸業者に売り渡す。買い入れ価格と売り渡し価格には予定価格が設定されている。輸入されたコメは牛丼や回転ずしのチェーン店などで使われ、インターネットでも販売されている。
輸入米価格偽装 「騙されたのか」憤る農業者
外国産の安いコメが、国産米に近い価格で流入しているように見せかける取引の存在が毎日新聞の取材で明らかになった。国産米を守るはずの制度を骨抜きにする商慣習は、業界内で「げた履き」と呼ばれていたという。業界関係者らは「国は知らないふりをしている」と指摘し、農業関係者からは「だまされていたのか」と憤る声があがっている。【山本将克、大場弘行】
「初めて知った時は、こうやって農家をだましているのかと思った」。輸入米の売買同時入札(SBS)で、総合商社「兼松」など複数の大手商社とペアを組み、げた履きを繰り返してきた東日本の卸業者は「談合のようなものですかね。本当はよろしくないんだけど」と打ち明け、手口の詳細を語った。
卸売業者はまず商社側に希望するコメの産地や価格、量を伝える。商社側は条件に適した海外産のコメを輸入し、調整金分を加算した値段で国に買い取ってもらう。国は事実上の関税を上乗せし、卸業者に売却。この時の価格を農家らに向けて公表するが、商社は裏で国から受け取った代金を調整金に充てて卸業者に渡していた。
安すぎる輸入米が流入しないよう、国は予定価格を設定している。卸業者は「あんまり安い値段は駄目ですよという数字があったので、げたを履かせていた。国は『あんたらが勝手にやっている』という態度だが、知っている」と証言する。
SBSが始まったのは1995年度だが、当時を知る商社の担当者は「最初は10%にいかないくらいでげたを履かせていたが、どんどん割合が大きくなっていった」と指摘した。また、2000年代に取引に参加していた商社の元幹部は「あからさまに安く輸入すると、国の意に反することになる」が、国産米と同じ値段なら外国米は売れない。「それを解く方程式のようなもの」だという。
こうした取引は明るみに出ることなく長年続き、SBSで輸入されたコメの大半は、国内で市場が拡大している外食産業などで使われてきた。
農協組織の関係者は「調整金で外国のコメが不当に安く流入すると国産米は不利な競争を強いられ、国内農家が損害を被ることになる。農家を守るべき農水省が農家をだます行為を放置していたのなら大問題だ」と話した。また、北陸地方のコメ農家の男性(57)は「調整金の存在なんて農家は誰も知らないが、公表価格より安く売買されていたら、それはだましだ。勉強熱心な若手も増えているので、本当の価格を教えてくれた方が農家のためになる」と語った。
輸入米の品質を巡って兼松が卸業者から賠償を求められた訴訟の判決で、東京地裁は6月、「調整金を差し引いた金額が実質的な輸入米の取引価格」と認定した。農水省は「民間の取引なので調査するつもりはない」としつつ「今は(調整金を)誘発しない入札システムになっている」と説明した。ただ、どのように制度を見直したかは公表していないという。
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