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2016年11月28日 (月)

グローバリズムを問い直す東京新聞社説と『サンデーモーニング』の屈服

今朝の中日新聞(東京新聞)で、マスコミでは、初めてTPPをめぐる情勢について、まともな社説を見ることができた。
米英主導で進められてきたグローバリズムは、弱肉強食の競争を招き、行き詰まったとし、公正な価値観から格差を是正しない限り、自由経済は前に進めないとするものだ。

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中日新聞11月28日社説

米TPP離脱 グローバリズム是正を

 トランプ次期大統領の離脱明言でTPPは実現困難になった。発言の底流にあるグローバル化の歪(ひず)みを是正し修復しなければ、自由な貿易は前に進めないどころか、保護主義へと転落しかねない。

 世界中の新聞、テレビ、雑誌、ネットにあふれる論評、解説がトランプ氏の米大統領当選の衝撃を物語っている。

 なかでも重要な指摘のひとつに「歴史の転換点」がある。

 第二次世界大戦後、自由、人権、民主主義という理念、価値観を掲げてきた米国は内向きになり、外交も安全保障も経済も米国にとって損か得かという「取引」「米国の利益第一主義」に変容していく。米国が主導してきた国際政治、経済の枠組みの終わりという見方だ。

 冷戦終結後の一九九〇年代以降、米英を中心に加速した経済のグローバル化は、多国籍企業が富の偏りや格差の拡大を意に介せず利益を追求する貪欲な資本主義、マネーゲームの金融資本主義に化けた。負の側面が露(あら)わになったグローバル化は、その意味を込め「グローバリズム」と呼ばれるようになる。

 トランプ氏を大統領に押し上げたのは、グローバリズムに押しつぶされる人々の既得権層に対する怒りだった。これを黙殺して貿易の自由化をさらにすすめる環太平洋連携協定(TPP)からの離脱は、当然の帰結といえるだろう。

 貿易立国の日本は戦後、関税貿易一般協定(ガット)や世界貿易機関(WTO)を成長と安定の土台にしてきた。このため自由貿易の停滞や保護主義の台頭を懸念する声は強い。

 だが、米国をTPPから離脱させる力は、過剰な利益追求や金融資本のマネーゲームに振り回され、暮らしが破綻に追い込まれつつある中低所得者層のぎりぎりの抵抗にある。その事実を直視しなければいけない。

 二十四日の参院TPP特別委で安倍晋三首相は「自由で公正な経済圏を作っていく。日本はそれを掲げ続けねばならない」と審議を続ける理由を説明した。

 強者の自由が行き過ぎて弱肉強食となり、社会の公正は蔑(ないがし)ろにされてTPPは行き詰まった。

 グローバリズムの欠陥、その象徴である経済格差を「公正」という価値観で是正しない限り、自由な経済は前に進めない。新たな対立を生みだして世界を不安定にする保護主義の台頭を防ぐことはできない。

一方、ほんの1ヶ月前には、初めて暮らしの仕組み(非関税障壁)と結びつけて、ISD(外国投資家が国家を海外の私的裁判にかける仕組み)を含めてTPPをまともに取り上げていたサンデーモーニングは、まことに妙なことになっている。

まず、10月23日のサンデーモーニングがこちら。
この程度というなかれ。
全国ネットの地上波で、こうした指摘は全くなかったと言ってもよいくらいなのだ。

この回の放送では、コメンテーターが「特にISDが問題」と指摘したところ、関口宏が「なんですか、それ」と突っ込む一幕があった。



さて、昨日のサンデーモーニング、寺島実郎氏が登場して、TPPを解説した。

自動車関税に関する部分の書き起こしは次の通りだ。

産業にとって、隣の韓国からアメリカに車を輸出するときには、アメリカで2.5%の自動車関税がかからないという、自由貿易協定がありますから、そうなっているんです。
ところが今回のTPPの中身では、日本車の対米輸出には、2.5%を15年間くらいかけるという状況になっているんですよ。
二国間と言うことになった機会に、自動車関税について日本として筋道を立てて提出するということは大いにあり得ることなんですよ。

これを聞けば、韓国車には自動車関税がかからないが、日本車にはかかるから不公平な競争を強いられているかのような印象を受けるだろう。

 

関税は、僕の分野ではないが、さすがにこれには、あきれた。
この短い指摘の中で、単純ミスが二つ、本質的なミスが一つある。

一つは、韓国車には自動車関税が2.5%かかっている。したがって、今現在、日本車と韓国車と輸出に関する競争条件は平等である。
米韓FTAは、いったん自動車関税即時撤廃で成立しながら、米国から再交渉を求められ、米韓FTA発効から4年間は2.5%の関税が維持されることとなった。
したがって、韓国車の関税が撤廃されるのは、5年目に入る来年からであり、自動車の対米輸出についてこれまでは日韓の間に関税上の条件の差はなかった。

二つは、TPPで2.5%の自動車関税が撤廃されるのは15年後ではなく、25年後である。
したがって、いくら早くても、自動車関税が撤廃されるのは2040年代という気の遠くなる話だったのだ。
人工知能が人間の能力を凌駕するとされる時期に重なるような、そんな先の日米の産業構造がどうなっているのか、自動車産業の勢力関係がどうなっているのか、誰も予測できないだろう。

 

三つ目は、日本車と認められ関税撤廃の対象となるための要件に関する。
TPPか、日米FTAかという点では、この点の方がより本質的な意味を有する。
海外生産部品でも国内で組み立てれば日本車という訳にはいかない。
計算方法は複雑でよくわからないが、TPPでは55%が加盟国域内で生産されていることを関税撤廃の対象となる条件とされていた。
このパーセントは、日本以外の加盟国の域内の生産も含むことができるため、日本側の提示した40%より厳しい基準であったが、合意に至っている。
二国間条約である日米FTAでは、条件が変わってくる。
域内部品生産で日本車とみなすわけにはいかなくなる。
自動車が日本製と認められるためには、部品の相当部分が日本国内で生産される必要が出てくるだろう。
仮に2.5%の関税の撤廃が決定的な意味を持つとすれば、日米FTAでは自動車産業は米国に生産拠点を移さざるを得なくなる。
米国との二国間の自由貿易協定では、国内の自動車工場が閉鎖される可能性があるということである。

強硬派人事で固めるトランプ登場で恐れるべきこと2016... 投稿者 gomizeromirai

寺島氏は、三井物産戦略研究所所長を務め、今は同研究所の会長であり、その経歴から誰もが、貿易や関税の専門家であると認める人物である。
こうした単純な誤りは、氏が肝心の自動車関税がどのように決着したかについて、ほとんど関心がないことを示しているといえるだろう。
また、多国間の協定で日本の自動車産業が置かれる条件と、二国間の協定で置かれる条件の決定的な相違にも関わらず、TPP賛成が、日米FTA賛成に、そのまま鞍替えできることは、氏が、もともと日本にとっては米国との自由貿易協定が目的だったと説明してみせても、納得できるものではない。
 
要するに、寺島氏は、 自由貿易ありきの結論にしたがって、議論をしてみせているだけで、実際に日本の自動車産業にどのような影響が及ぶかは、つけたしでしかないのだ。
 
グローバル企業のための『自由貿易協定』がもたらした格差に悲鳴を上げ、きしむ世界と歴史を直視して、いわば立ち止まる勇気を説く東京新聞の社説に比べ、寺島氏の何が何でも米国との協定をという論はイデオロギーにしか聞こえない。
それにしても、1か月前には、関税以外の分野にも踏み込んだ報道をしようとしていた『サンデーモーニング』が、専門家である寺島氏を起用して、またもや関税の論点に逆戻りさせてしまったのには、作為を感じる。
 
関税以外の分野に踏み込もうとしたことが、その筋の逆鱗に触れ、自由貿易至上主義者がいなければ、TPPに触れてはならないことにされたとしか思えない。
 
寺島氏のTPPの説明が終わると、関口アナはわざわざ「この話じゃなくていいので、女性陣から意見をうかがいましょう」、「トランプ現象についてどう思うか」とトランプのTPP離脱問題にこれ以上触れないようにしようとした状況がありありであった。
 
 
平日のニュース番組は、全滅状態になった。
残る週末のニュースも、視聴率の高い順に、覆されていくのだろう。
テレビが、ますます、つまらなくなる。
せっかくの女子アナや番組制作者の勇気が台無しである。
 

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