仕事始め 特定個人識別番号(マイナンバー)提供お断り
個人管理のために行政都合で割振られた番号なのに、実態とかけ離れたマイナンバーとの通称を普及させたのは、大成功の部類に属するだろう。
昨年末、共産党中央委員会財政部原稿係から、『税務署届出用紙へのマイナンバー記載について』と題する文書が届いた。
事業所としましては法律上、お支払いした方にマイナンバーの提出を求めることになっていますので、お知らせする次第です。
なお国税庁によると、マイナンバーの提出をしなくても、税務署が書類を受理しないということはありえませんので、手続きに支障はありません。マイナンバーを提出するかしないかはご自身の判断におまかせします。
マイナンバーを提出する場合には、別紙に必要書類のコピーを添付し、同封の返信用封筒にてお送りください。
マイナンバーを提出しない場合は、その旨をご連絡いただければと思います。
特定個人識別番号(マイナンバー)の提出が任意であることを踏まえ、「ご自身の判断におまかせします」とある。
マイナンバーの提供依頼は、少なくないが、このように法律上、任意であることを明確にしてお知らせしてくれるものはなかった。
特定個人識別番号を提出しない場合には、その旨の連絡がほしいという。
国税庁の見解では、確か、求めたが提供されなかった経過を記録しておく、となっていたと思う。
だから、マイナンバーの提供依頼を無視されるより、明確にお断りがあった方が、事務処理の上で便宜だということだろう。
早速、お断りすることにした。
ついでに任意だということを明示しない他の提供依頼もお断りすることにして、本日、関係各所に個人番号提供お断りの旨を通知した。
あまり時間を使っても仕方がないので、最低限の意思表示として通知した書面の内容は次のとおり。
冠省 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、貴社からの特定個人識別番号の提供のご依頼についてですが、提供できません。
行政手続における特定の個人を識別する番号の利用等に関する法律には、源泉徴収をされる側についてこれを提供することを義務付ける規定はありません。
特定個人識別番号は、高度にプライバシーと関わる情報であり、住基ネットの合憲性に関する最高裁判決に照らしても、特定個人識別番号法は、合憲性に関する疑いのある法律であると考えられるところです。
したがいまして、貴社からの上記ご依頼はお断り申し上げますので、ご理解をお願い申し上げます。 草々
源泉徴収義務者には特定個人識別番号の記載を義務づけているのに、源泉徴収を受ける側には義務づけがないのは、一貫性がないが、きわめて秘匿性の高い特定個人識別番号の提供を直接義務づけるような規定を置くと、憲法違反になることは明らかだろう。
特定個人識別番号の提供を求める封筒を整理していたら、3度も提供依頼を送付していた会社もあった。
個人番号の提供がされなかった経過を記録する必要があるということだと思われるので、大変、手間をとらせて申し訳なかった。
お断りしたので、提供依頼した側も便宜だろう。
それにしても、法的義務がないことを明確 にして、マイナンバーの扱いを通知し、提供しない場合には連絡をもらいたいという当たり前の書き方をしてくれていれば、もうちょっと早くお断りの通知をしていたのに、と思うことである。
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