共謀罪法可決は国会法に違反する 禁じ手の強行採決と共謀罪法無効論
昨日、今日と、西日本新聞の社説が、共謀罪法の成立を踏まえた今後の課題を端的に指摘している。
6月16日 「共謀罪」法成立 憲政史上に汚点残す暴挙
6月17日 「共謀罪」施行へ 捜査への監視こそ必要だ
6月16日の社説は、市民に対して、萎縮しないことの重要性を強調している。
6月17日の社説は、裁判所に対して厳格な令状審査を求めている。捜査側言いなりの令状審査の現状を厳しく批判している。
的確な論点の指摘だ。
ここでは、6月16日の社説が触れている「中間報告」という奇策による委員会審査の省略について、国会法を確認しておこう。
中間報告に関する、国会法の規定は次のとおり。
第五十六条の三 各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。○2 前項の中間報告があつた案件について、議院が特に緊急を要すると認めたときは、委員会の審査に期限を附け又は議院の会議において審議することができる。○3 委員会の審査に期限を附けた場合、その期間内に審査を終らなかつたときは、議院の会議においてこれを審議するものとする。但し、議院は、委員会の要求により、審査期間を延長することができる。
この規定によれば、中間報告は、それ自体として委員会審査を省略する効果を有するものではない(1項)。
中間報告がなされた上で、議院が特に緊急を要すると認めたときに、初めて本会議で審議することができると規定している。
しかも「特に緊急を要すると認めたとき」でも、委員会の審査に期限をつけることを第一に挙げている(2項)。
その上、期限を付された委員会は、期限の延長を求めることができるとされている(3項)。
委員会での審査を、それだけ尊重しているのだ。
中間報告による委員会審査省略の手続が適法に行われるためには
1 中間報告を求めることが特に必要であること
2 委員会の審査に期限を付し、本会議で審議する特別な緊急性が認められること
が必要だ。
中間報告に関する国会法の規定は、委員会の審査が不当に遅滞しているようなときに、議院として委員会に対して、早急な審査を求めることに本来の目的がある。
それでも委員会審査が進まないと見込まれるとき、規定されているのは本会議における「審議」である。
抜き打ちに委員会審査を省略して即日採決というやり方は、国会法が本来、予定するものではないというべきだろう。
共謀罪が参議院で審議入りしたのは5月29日。6月15日の参議院の強行採決まで、2週間程度しかない。
過去3回にわたって廃案となった極めて問題の多い共謀罪法について参議院が審議する十分な期間があったとはとうてい認められない。
つまりは、共謀罪法は、中間報告を求める「特に必要があるとき」という1の要件も、委員会審査を省略すべき「特に緊急を要すると認め」られるという2の要件も満たさずに参院本会議で採決されたということだ。
いみじくも、金田法相は、治安維持法は適法に制定されたと答弁していたが、共謀罪法に至っては、適法に制定されたとさえ、言えないのだ。
国会法に違反して可決された法律が、直ちに無効であるかは一つの論点ではあるだろう。
しかし、委員会中心主義は国会法の中でも重要な原則であるから、これに違反する共謀罪法は無効だとする主張は十分に成立する。
将来、共謀罪が裁判で問われるとき、表現の自由や内心の自由の侵害という違憲性とともに、制定過程が不適法であることも併せて争われるだろう。
確かに過去、中間報告による委員会審査が省略され、即日本会議採決されたという先例は少なくない。
しかし、裁判で、中間報告による委員会審査の省略の適法性が争われた例はない(と思われる)。
共謀罪法は、そうはいかない。
裁判の場で、その適法性と、共謀罪法の有効性を争われることが当然に予想されるのだ。
中間報告がなされた上で、議院が特に緊急を要すると認めたときに、初めて本会議で審議することができると規定している。
しかも「特に緊急を要すると認めたとき」でも、委員会の審査に期限をつけることを第一に挙げている(2項)。
その上、期限を付された委員会は、期限の延長を求めることができるとされている(3項)。
委員会での審査を、それだけ尊重しているのだ。
中間報告による委員会審査省略の手続が適法に行われるためには
1 中間報告を求めることが特に必要であること
2 委員会の審査に期限を付し、本会議で審議する特別な緊急性が認められること
が必要だ。
中間報告に関する国会法の規定は、委員会の審査が不当に遅滞しているようなときに、議院として委員会に対して、早急な審査を求めることに本来の目的がある。
それでも委員会審査が進まないと見込まれるとき、規定されているのは本会議における「審議」である。
抜き打ちに委員会審査を省略して即日採決というやり方は、国会法が本来、予定するものではないというべきだろう。
共謀罪が参議院で審議入りしたのは5月29日。6月15日の参議院の強行採決まで、2週間程度しかない。
過去3回にわたって廃案となった極めて問題の多い共謀罪法について参議院が審議する十分な期間があったとはとうてい認められない。
つまりは、共謀罪法は、中間報告を求める「特に必要があるとき」という1の要件も、委員会審査を省略すべき「特に緊急を要すると認め」られるという2の要件も満たさずに参院本会議で採決されたということだ。
いみじくも、金田法相は、治安維持法は適法に制定されたと答弁していたが、共謀罪法に至っては、適法に制定されたとさえ、言えないのだ。
国会法に違反して可決された法律が、直ちに無効であるかは一つの論点ではあるだろう。
しかし、委員会中心主義は国会法の中でも重要な原則であるから、これに違反する共謀罪法は無効だとする主張は十分に成立する。
将来、共謀罪が裁判で問われるとき、表現の自由や内心の自由の侵害という違憲性とともに、制定過程が不適法であることも併せて争われるだろう。
確かに過去、中間報告による委員会審査が省略され、即日本会議採決されたという先例は少なくない。
しかし、裁判で、中間報告による委員会審査の省略の適法性が争われた例はない(と思われる)。
共謀罪法は、そうはいかない。
裁判の場で、その適法性と、共謀罪法の有効性を争われることが当然に予想されるのだ。
都議選ご都合の国会審議の私物化は共謀罪法無効化の恰好の置き土産を残したという次第である。
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