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2018年7月の6件の記事

2018年7月31日 (火)

PFI法は周回遅れの売国法である   山本太郎、政府を論破

PFIをめぐる根本問題は、政府がいう
「国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供できる」
国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供が可能」になる
とするドグマが本当なのかにある。
参議院内閣委員会における山本太郎氏による質疑は、政府のドグマを完全に論破して論争に終止符を打ったものだった。

何しろ政府が
  • 「英国など海外では、既にPFI方式による公共サービスの提供が実施されており、有料橋、鉄道、病院、学校などの公共施設等の整備等、再開発などの分野で成果を収めています。」
  • とするのに対して、他ならぬイギリスの会計検査院やEUの会計検査院が、PFIが割高であり、政府資金を食いつぶすことを報告しているとする最新の資料に基づき、PFIが有害無益であることが実証されていることを明らかにした。

    事前の周到な準備を窺わせる内容は圧巻であった。

    フルスクリーンになりませんので、再生ボタンを押して再生をかけた上、「youtube」マークをクリックして、youtubeでご覧ください。

    山本太郎氏が、「できないじゃないか」と明らかにした内容を、その質疑の直後に附帯決議にするなど、お笑いぐさの国会の有様は、3分の2という圧倒的多数を確保した与党のもとで議員が投票マシーンと化して、議論が全く無力であることを示してあまりある。

    立憲民主党は、どうも経済課題に関しては、腰が引けた印象だ。この法改正でもできるはずのない附帯決議を共同提出してお茶を濁している。
    同党が公務員の人件費削減を基本政策に掲げていることを先日、知ったが、公務員の数も人件費もOECD最低となっている我が国でそうした政策を掲げることは、結局、民営化や規制緩和による小さな政府論を支持する帰結となる。
    立憲民主党には、新自由主義から決別した新しい社会像を提起することが求められている。
    山本太郎と共産党しか堂々とした正論がないというのでは、国民は支持する先を失ってしまう。

    以下に、6月12日参議院内閣委員会における山本太郎氏の質疑以後の部分を全文貼り付けておこう。

    ---------------------

    ○山本太郎君 ありがとうございます。
     自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、質問をいたします。
     PFI法について。
     大臣、ここは短くお答えいただきたいんですが、PFI法は地方創生に資する施策だと思われますか。
    ○国務大臣(梶山弘志君) しっかりとやっていけば、そういうものだと思っております。
    ○山本太郎君 ここからは、PFIとは何か、中学生でも分かるように説明いただければと思います。
     PFIとは何ですか。
    ○国務大臣(梶山弘志君) 公共性のある事業を、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して、民間事業者の自主性と創意工夫を尊重することにより効率的、効果的に実施するものであり、PFI法に基づいて必要な手続を行っていくものでありますけれども、民間の資金を活用したインフラ整備ということであります。
    ○山本太郎君 どのような方がこの日本でのPFIの旗振り役をお務めになられたのかということを聞きたいんですけれども、未来投資会議の中、構造改革徹底推進会合でPFIについて議論する第四次産業革命会合の会長はどなたでしょうか。
    ○国務大臣(梶山弘志君) お尋ねの名前は竹中平蔵氏であると推察いたします。
    ○山本太郎君 出たって言いたくなるところですね。田村智子先生の御質問でも、二〇一四年のコンセッションに関する話で、国の数値目標をその前に言っちゃっているというような、予言者かよみたいな話もありましたけれども、予言者とは言っていませんけどね、竹中平蔵さん。これは、竹中平蔵さんだからといって偏見を持ってはいけないということですね。利益相反以外のお仕事もされているかもしれませんので、しっかり中身を確認して見極めたいと思います。
     今回の改正案のメーンとなるコンセッション制度、教えていただけますか、大臣。
    ○国務大臣(梶山弘志君) コンセッション事業とは、PFI法に基づいて利用料金の徴収を行う公共施設について、所有権を公共主体、地方自治体等が有したまま民間事業者に公共施設等の運営権を設定をして当該施設の運営を委ねるPFIの事業の一つであります。
    ○山本太郎君 所有権は自治体、運営権は事業者にというわけですね。
     PFIのコンセッションに参入する企業に関して、外資は排除されますか。
    ○国務大臣(梶山弘志君) 外資企業の規制につきましては、それぞれの事業の特性を踏まえて個別の法律で規制が行われているものと承知しております。PFIやコンセッション制度として外資系企業の参入を特に排除しているものではございません。
    ○山本太郎君 コンセッションに参加するのに、単独ではなく複数の企業が参加する方法があります。特別目的会社、いわゆるSPC。PFIでは、公募提案する共同企業体が新会社を設立、SPCとして建設、運営、管理に当たることが多くあるそうです。
     このSPCへの出資に関して、外資は排除されるでしょうか。

    ○国務大臣(梶山弘志君) 外資系企業の規制につきましては、それぞれの事業の特性を踏まえて、先ほど申しましたように個別の法律に基づいて規制が行われているものと承知しておりまして、PFI法において、PFIの特別目的会社、SPCへの出資に関して、外資系企業からの出資を特に排除しているものではございません。
    ○山本太郎君 海外企業も地方インフラの運営権を手に入れることができ、それに出資することも可能であると。
     PFIのコンセッション、事業期間、既に始まっているもので五年から四十四年だそうです。将来も含めてPFIに係る公共施設などという範囲、これ、どういうものが入るんですかって聞いたら、本法案の第二条を御覧くださいと言われました。それがずらっと並んだのが資料の一。道路、鉄道、港湾、空港、河川、公園、水道、下水道、工業用水道等の公共施設、庁舎、宿舎等の公用施設、賃貸住宅及び教育文化施設、廃棄物処理施設、医療施設、社会福祉施設、更生保護施設、駐車場、地下街等の公益的施設、情報通信施設、熱供給施設、新エネルギー施設、リサイクル施設、これは廃棄物処理施設を除くもの、観光施設及び研究施設、船舶、航空機等の輸送施設及び人工衛星、これらの施設の運行に必要な施設を含むと。もうほとんど全部じゃないかっていうような勢いですけれども、今後、PFIの対象になり得るものだと。
     運営事業者ができない部分というのはあるんですかね、それ法律上で決まっていますか、制限ありますか。

    ○国務大臣(梶山弘志君) 事業の運営のうちPFIの対象とすることを可能とする分野については、それぞれの事業の特性に応じて各事業の所管部局において定めるべきものであります。例えば、病院に関して言えば、医療法に基づいて、医師、歯科医師、薬剤師などの院内業務はPFIの対象業務とはせずに、建物の維持管理や医療事務業務など診療等に著しい影響を与えない業務を民間事業者に担わせることとしているものと承知をしております。
     この度、PFI法において、個別の事業に関してPFIの運営事業者が運営できる部分や運営できない部分を個別に定めるような規定は設けていないというのが現実であります。
    ○山本太郎君 運営権を手に入れた事業者が何をどこまでやれるかについては、究極、契約締結時に決めると。大企業や外資と対等にやり合える、そんな交渉力を持つ地方自治体、どれくらいあるんでしょうか。
     PFIはどの国でいつ始まったものでしょうか
    ○国務大臣(梶山弘志君) 政府の市場への介入を最小限に抑える小さな政府をスローガンに掲げた英国のサッチャー政権において、一九八〇年代に公共事業への民間資金の導入が開始をされたところであります。その後、続いて発足したメージャー政権において一九九二年にPFIという言葉が使われるようになり、公共サービスの提供やインフラ整備に民間資金を活用するPFI方式が正式に導入されたと承知をしているところであります。
    ○山本太郎君 ありがとうございます。PFIの大先輩は英国であると。始まりの頃を考えれば、もう新自由主義ばりばりの人たちがやってきたなという印象がありますね。
     残念ながら、あっ、残念ながらはその先でした、済みません。残念になる前のことを聞かなきゃ駄目だったんですね。
     イギリスのPFIの取組というのは参考になりましたか。参考になったとしたら、どこが参考になったのかということを教えていただけますか。
    ○国務大臣(梶山弘志君) 一九九〇年代からPFI方式を中心に民間活用を推進して、現在でも多くの事業がPFI方式で運営されていると承知しております。
     我が国において、英国を始めとするPFI先進国である欧州を参考にPFI手法を導入をしておりまして、具体的にはバリュー・フォー・マネーの考え方等を参考にしているということであります。
    ○山本太郎君 PFIで支払に対して最も価値の高いサービスを供給することはできないとPFIの母国である欧州諸国では判断されている。デメリットが上回ると判断されている。日本が参考にしたというバリュー・フォー・マネーは、もうがたがたと崩れているって話なんですね。
     先ほどもお話がありました。イギリスで病院から輸送、防衛、学校、刑務所、図書館、給食までのPFI案件を政府と契約していたカリリオンという巨大建設会社、英国第二のゼネコン、PFIを利用して四百五十の契約をゲット。しかし、約十六億ポンド、二千四百五十億円の負債を抱え破綻。負債の半分以上は銀行からの借入れだったと。
     資料の二、三井住友トラスト基礎研究所のレポート。カリリオンが鉄道、医療施設、学校など多くのPFI事業に関与していながら、不採算入札の繰り返しと受注額に応じた経営陣へのインセンティブボーナスの支払など、自転車操業の実態が明らかになってきた、そして官側もこうした実態を知りながら黙認していたのではとの批判も高まっていると。
     このカリリオン破綻とほぼ同時期の今年一月中旬、イギリスの会計検査院に相当するNAO、ナショナル・オーディット・オフィスという政府機関が発行したPFIについての報告書、これも大臣は内容を把握されているという答弁が先ほどありました。リーマン・ショック前後、二〇〇七年、八年ぐらいからイギリスではPFIの案件数が激減していると。英国の会計検査院、NAOの報告書では、二〇一一年に引き続き今年の報告書でもPFIは予想したほど国民にメリットのある制度ではないと報告、主要メディアが一斉に報道。
     イギリスでのPFI批判を政局が絡んだポジショントークと片付ける非常に間抜けにも見えるやり取りが衆議院ではあったようなんですけれども、実は、労働党時代も保守党時代も、英国の公的かつ中立的な機関である会計検査院、NAOは、PFIは割高だと何度もリポートしています。
     資料の三の一。翻訳はプロの業者に委託いたしました。NAO報告書とカリリオンの破綻を受けて、イギリスの新聞がどうPFI事業について論評したかを取りまとめたもの。イギリスの金融街、シティー御用達フィナンシャル・タイムズ紙が、最近もPFIについてかなり辛辣に批判をしています。今年の二月五日の記事ではNAO報告を説明。PFIを利用して建設した学校は公的部門での建設よりも四割高く、病院では六割を超える費用が余分に掛かる。PFIへの資本投資は、二〇〇七年から八年以来、下落傾向にあると。
     資料の三の二。イギリスでは、現在は水道は民営ですが、仮に公的運営だった場合よりも毎年総額で二十三億ポンド、約三千三百八十一億円も余計に消費者が支払っている、そういう調査結果をイギリスの大学が報告書として出していますという報道ですね。
     現在、カリリオン破綻やNAOレポートなどを受けて、PFIは終わったという金融街のコンセンサスができ上がりつつあるという状態であると。先ほど資料として中に入れたものの中には、イギリスの検査院、納税者は、PFI契約のために二千億ポンド、二十九兆四千億円多く支払うことにということもザ・ガーディアンの見出しにもなっていますね。
     NAOの一月の報告に続いて、欧州連合、EUの会計検査院、ヨーロッパ・コート・オブ・オーディターズの報告では、PFIを含むPPP手法は建設に予想以上のお金が掛かる上に、工期も遅れるという指摘。指摘には、積極的にPPPを公共インフラ事業に推奨しないように、こんな内容まで含まれていた。PPPというのは広い意味での官民連携、この中にはPFIも含まれる。つまり、PFIを推奨しないようにという報告でもあったわけだと。
     さらには、イギリスでは、今年に入って既に最低でも二つの民間シンクタンクがPFIの欠陥についてレポート。その一つ、スミス研究所のものでは、PFIが最もコストの掛かる外部委託手法であるだけでなく、入札競争の際、契約を勝ち取るために入札安く提示、結果として、PFIに従事する職員の給料を低くしてしまいがちだと指摘。ダンピングのツケが労働者に。田村先生の御報告からもいろいろありました。また、公的運営と比べ、民間には説明責任、アカウンタビリティーを求めづらくなっているとあります。
     内閣府に問い合わせたときに、PFIの先輩、イギリスから学んだことはバリュー・フォー・マネーなんだとお聞きしました。支払に対して最も価値の高いサービスを供給するという考え方自体がPFIでは実現不可能と、イギリスの会計検査院でも、ヨーロッパの会計検査院でも指摘されている。世界と何周遅れでこんな法案を進めようとしているんですかって話なんですよ、この国の政治は。
     世界では、水道事業の民営化ではなくて、再公営化に動いているということはもう皆さん重々御存じのことだと思います。パリ市の元副市長のアン・ル・ストラさん、TBSの番組のインタビューに応じて、水道料金が高くなり、市はコントロールできない状態になったとおっしゃっていた。
     昨年三月二十二日、本委員会での質疑でも御紹介した資料の四。オランダにあるシンクタンク、TNI、トランスナショナルインスティテュートがまとめた世界の再公営化の資料。最新のデータでは、フランス、パリを始め九十四件、ドイツ、ベルリンを始め九件、イタリア、トリノを始め四件、アメリカでも五十八もの自治体が再公営化。二〇〇〇年から一五年三月末までで世界三十七か国二百三十五件の水道事業で再公営化。
     昨年も紹介しましたけれども、もう一度、再公営化にかじを切った理由についてはこうおっしゃっている。売上げの一五から四〇%が株式配当及び企業内部留保に回される。利益が再投資されない。コスト削減で雇用や安全、水質に問題が生じる。公的金融を多用し、受託企業からの資金投入は少ない。コストリカバリーによる値上げ、不払者へのサービス停止、また、もうかる産業に水が集中する。例えば、水の供給は自給農業から商業型農業に、農村から都市富裕層や工業部門に移っていく。さらに、情報非公開、契約に絡む汚職などなど、問題だらけ。PFI、コンセッションは運営権を民間企業が保有する仕組みで、完全な民営化ではないですけど、民間企業である以上、同じ利益追求の問題は当然起こり得ると思います。
     ライフラインに係るインフラ、例えば水道などにPFIのコンセッションを導入するメリット教えてくださいって内閣府に何回かお聞きしたんですよね。平たく言うと、財政厳しい上に人口減少が加速、水道が老朽化していく中で、インフラを確実に維持するためには自治体による最大限の効率化が必要、その方法は民間の金と知恵を活用するのが有効というような内容でした。非常に聞こえはいいですよね。でも、冷静に考えていただきたいと。
     確かに、民間の活力を活用した方が、利用した方が、収益だけでなくて消費者にとって便利になり得るものもあるんですよね。空港とか駅とか、サイドビジネスが生まれるような分野では公的施設利用以外の収益が期待できることもあると。その分野では比較的問題が少ないんじゃないかなって思います。
     しかし、ライフラインに関わるものは別だと。民間の活力を利用するPFIを導入することで安全性が脅かされる分野もある。提供されるサービスによっては、人々の生活や健康に与える影響は計り知れない。
     本業による利用料収入、本業による利用料の収入が事業の原資になっていく場合、特に危険。例えば水道でいえば、水道利用料が施設の維持管理、更新の原資になる場合、幾ら民間の活力利用するっていったって、老朽化した施設更新が困難であることは公共であろうと民間であろうと同じですよねって話なんです。
     事業者が、元が取れる見込みがなくても、赤字覚悟で水道利用者にサービスを提供するために老朽化設備を更新し、高い水質を守り続けるって、これ、ある話なんですかね。そのような場合、水道料金を大幅に上げるなどしてもうけを最大化できる方策を目指すのが民間ですよね。
     なぜか。事業者は公共でも慈善事業でもない。利潤の追求、出資者、株主への利益の配当が最大の使命です。日本では水道料金が条例で規制する範囲でしか上げられないから大丈夫だっていう意見もありますけど、料金が上げられない場合は、当然、サービスを低下させる以外、企業の収益守る方法ないですよね。
     PFIのコンセッションでは、一回の契約で民間企業はインフラの運営を行う期間が数十年と長期にわたるものがある。これまでのPFIで起こった事例では、契約満了が近づくと、インフラ自体は老朽化していたとしても、インフラ自体は老朽化していたとしても、回収が見込めないという理由で適切な投資を民間が行わないまま引き渡されるという指摘もあります。
     契約期間内に投資に対する回収ができないものに、どうして企業側が積極的に適切な投資をするんでしょうか。ポジティブな評価を与えていいPFI案件であっても、契約終了時にはこのようなマイナス面もあると。PFIの問題点に、インフラに対して適切な再投資が行われない弊害がある。だから、ライフラインが脅かされる危険を回避するために、民営化をやめて再公営化という道に進んでいるのが世界の今のトレンドだっていう話ですよね。
     命に関わるインフラ、事実上、公共から手放した世界の国々の教訓、全く見ていないんですかね。一体何を進めようとしているんですかって話なんですよ。でも、今なら日本はまだ引き返せると思うんですよね。国民の生命、財産守るというのであれば、まず水道のこのPFI、コンセッションというのをやめるべきだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
    ○国務大臣(梶山弘志君) 今るる山本委員からお話がありましたけれども、海外の事例も参考にしてしっかりと事前の協議をしていくということでありますけれども、パリの件に関しましては公営化と民間委託というものを繰り返しているということもあります。そういったものがしっかりできるようにモニタリングもしていくということも必要だと思いますし、協定の中で、また契約の中でしっかりと担保できるものを考えていきたいと思っております。
    ○山本太郎君 先ほどの資料の三の一なんですけれども、フィナンシャル・タイムズ、今年二月五日の記事、引用した赤の下線部分、PFIを導入するに至る自治体の理由ですけれども、自治体にとって、支払に役立つ政府からの補助金があるということだ、つまり、ゆすりであり賄賂なのであると専門家が指摘している部分です。
     PFIに誘導するための施策として、政府は補助金などを与え、自治体に事実上の賄賂を贈っていると批判している内容です。PFIの先進国であるイギリスでは、インセンティブとしてPFIクレジット、PFI事業に限定される補助金というものが存在していたが、二〇一〇年に廃止された。
     PFIを大きく進めるために国がニンジンをぶら下げる。この日本でも、PFIにかじを切るよう自治体を誘導していますよね。内閣府でも、水道、下水道を対象としてPPP、PFIの導入可能性を調査するための補助金、平成二十八年第二次補正予算で十三・九億出ている。
     ほかにも、本法案附則四条にも似たようなニンジンがある。その内容をかみ砕いて言うと、これまで自治体が水道事業に関して国から借金していたお金がある、これを前倒しで返済されてしまうと元々の国に入る利息収入が減るから、その分の利息を考慮した補償金を払うペナルティーが存在していたと、ただ、PFIでコンセッションの仕組みを導入して企業に水道事業の運営権売っちゃえば、まとまったお金が運営権対価として入るから、それで一括返済すればいいじゃないのよと、ペナルティーなしにしてあげるからというものなんですよね。
     内閣府になぜこれが必要かを聞いたら、先ほど大臣も全く同じ答弁されていました。水道事業へのコンセッション方式の導入を促進する観点、今後の横展開の呼び水となる先駆的取組を支援するものと。全く隠していないんですよ。全力PFI誘導キャンペーンなんですよね。
     現在、上又は下水道でPFIを検討している十二の自治体、既に実施されているところもありますけどね、免除される補助金の額を仮に積み上げたら、最大で十五億円程度だといいます。借金が億単位で免除される、確かにこれ、地方にとってはすごく有り難いというか魅力的な話じゃないですか。これからも、恐らく、期限の間までに名のりを上げる自治体は増えるかもしれません、増えそうですよね。
     政府は、ほかにも地方にPFIを導入させる包囲網として、二〇一五年十二月に優先的検討規程の策定要請に関しての通知を地方自治体に送りました。全ての自治体に、水道事業に限らず、おまえたちのどんな事業に民間企業をかませられるかちゃんと調べろ、考えろということの入口なんですよね。
     内閣府は、自治体がPPP、PFIの導入を優先的に検討しているかどうか実施状況を調査、その結果もネットで公表される仕組み。自治体が検討した結果、PPP、PFIを導入しない場合には、その旨及び評価の内容をネット上で公表しなければならず、国の方針に忠実に従っているか外部から検証が可能になる。このような、ネットでさらしものになる、ネットでさらしものにするというやり方、自治体の主体的な行政運営に圧力掛けていると言えませんかね。私、それ以外の何物でもないと思うんですけど。
     これらと並行して政府が自治体に求めたことは、コンセッションに色気を持つ企業側が数々の自治体のPFI推進への意欲や公共施設、所在地、施設面積、建設年度、老朽化度など一目でチェックできるように、公共施設等総合管理計画と一緒に民間事業者向けの不動産カタログに当たる固定資産台帳の作成をさせた、二〇一四年四月から二〇一六年度末までの間の出来事。それに掛かる費用は特別交付税措置などでインセンティブを与えていた。
     PPP、PFIアクションプランの平成二十九年改定版では、公的不動産への活用への民間事業者への参画を促す環境の整備を進めると記載。おかしくないですか、これ、内容変わっていませんかという話なんですよ。つまり、建前は長期的な視点に立って公共施設をマネジメントしましょうと言っていたはずが、しかし、本音は、PFI推進を図る観点からどの施設が民間企業にとっておいしいPFIの事業対象になり得るか、その整理でしかなかったってよく分かる話じゃないですか。
     内閣府は、コンセッション導入後、資金調達の責任を負うのは自治体ではなく一般的には事業者との見解。運営権に抵当権を設定することや運営権の移転も許されているのがコンセッション。つまり、運営権を担保に資金調達ができる。SPCに入らない第三者である金融機関がコンセッションの運転資金を融資するケースは当然考えられますよね。第三者からお金を借りるということ、十分あり得ますよ。
     もし運営側の資金が焦げ付いた場合どうなるんですかって。融資する側に最悪は最終的には運営権持っていかれる可能性ないですか。その場合、議会の議決が必要になるんですよって言われるんですけど、でも、水道という絶対に欠くことができないサービス、途中で止めるわけいかないじゃないですか。ということは、議会もこれ承諾、承認せざるを得ない状況になっていくんじゃないですかって。歯止めになっていませんよねって。
     生存権にひも付けて守られてきた水道を、このような状況に陥ることも予測される抵当権とつなげるなど愚の骨頂、命に関わる事柄を金融商品として扱わせるなと言いたい。民間と組むというのはそういうことなんだよ、そう言うならば、命に関わるインフラはコンセッションにするべきではなく、国が、自治体が責任を持って運営するというだけの話なんですよ、シンプルな話なんですよ。企業側に新しいビジネスチャンスを差し上げるために、世界で既に失敗と認められる施策を今更もう一度この国で採用することなど、国民への背信でしかないじゃないですか。人々が生きる上で絶対的に必要な水を自ら危険にさらすリスクを上げるなんてあり得ません。これ以上国を壊すような施策を進めるのはやめていただきたい。聞こえていますか、竹中平蔵さんという話になっていくんですけどね。
     官業の民間開放、雇用流動化というビジネスチャンス、御自身が会長を務める企業やお仲間にとって、おいしい場面には必ず登場するミスターセイショウナゴン、永田町の政商ナンバーワン、日本をぶっ壊し続ける主犯格、都合のいいときは大学教授、国家戦略特区諮問会議民間議員、そして、泣く子も黙るスイスのダボス会議、世界経済フォーラムの理事、オリックスの社外取締役でもある人材派遣会社パソナの会長。最近でも、大学教授を名のりNHKに出演。高度プロフェッショナル制度について、私は、これを適用する人が一%じゃなくて、もっともっと増えていかないと日本の経済は強くなっていかないと思っていると、利害関係者丸出しの御発言。ぶれない男。
     第四次産業革命会合の議事要旨、PFIについて竹中様の御発言、これを見てみると、上下水道の直営での運営で様々な困難を抱えて困っているという自治体は確かにたくさんあると思いますので、そういう自治体を募って、海外での事業実績や事業ノウハウを持った企業に診断をしてもらって、上げられそうな成果を診断レポートとして示してもらうというモデル事業を行ってはどうかと思うのですが、いかがでしょうなどと、どうPFIに引きずり込むかの提案に余念がない。というよりも、立場、会長ですよ。委員の一人みたいな意見の提案の仕方じゃないですか。内閣委員会の委員長、委員長も、しっかりと委員のみんなの議論を活発にさせるようなお立場をずっと守られているのに、これ、会長の立場でも委員の立場みたいな、しっかりと意見言っている会長ですね、これ。
     また、別の部分では、会長としてのお願いとして、是非とも内閣府が調整役になって、国交省、厚労省、そして財政当局とともに相談しながら検討をしていただけないかと思いますと省庁に要請するなど、コンセッション推進に精力的に立ち回っておられる。
     その竹中さん、二〇一七年十月、金融財政事情という雑誌で、PFIは地元企業による運営にこだわるべきではないと御発言。びっくりですね。PFIの先行事例でよく批判されるのが、受注するのは地元の業者じゃないじゃないかという問題に、こだわるなと言ってのける竹中さん。
     二〇〇九年に出版されたPFI神話の崩壊という本の中では、高知県の高知医療センターのPFIの失敗事例が記されている。この病院の運営を行った企業体、いわゆるSPCでは、あのオリックスが中心。問題になったのが、まさにこの地元企業が関与できない、これ地域経済との関係でしたよね。
     開始当初から、地元企業の参入の余地がなくなるんじゃないかという懸念の声が県議会でも上がっていたんですけれども、実際に蓋を開けてみると、病院建設の受託企業は県外企業が五六・一%、建設後の運営についても、維持管理はオリックス系の企業、医療関連サービスなどでも三菱系など、東京に本社がある大手企業グループ中心に参入している。県内に本社があるのは四国医療サービスという企業と喫茶店、理容店、自販機の一部のみ。ほかにも消耗品の調達で地元企業対策を打ち出したんだけれども、納入業者は結局、経営危機のために県外業者に切り替えざるを得なかった。このように、SPCが入り、利益を確保しながら、より安く地元尊重を行うのは極めて難しかったということ。
     過去事例で見ても、地元議会で心配されていたとおりの地元置き去り、大手企業が地方の財を吸い取った挙げ句、PFIが失敗したという例ですよね。それには目もくれず、お仲間の資本家のために規制改革と称する我田引水を堂々と主張される姿は、竹中さん、圧巻です。厚顔無恥、辞書で引けば竹中と出る時代まであと少し。
     私、思うんですけど、このまま行ったら、この人を一日も早く永田町から出入り禁止にしないと、国富がどんどん切り売りされるような状況が進んでいくと思うんですけど、いかがお考えですか、大臣。
    ○国務大臣(梶山弘志君) 先ほど委員御指摘の意見も含めて、ほかの意見も幅広く勘案の対象とした中で、政府の決定をしているところであります。
    ○山本太郎君 まあ、竹中スルーするのは正解ですね、政治家としては、恐らくね。でも、これ悔しくないですかという話なんですよ。何を有り難がっているんだって話なんですよ。日本をぶっ壊された戦犯がそこにいて、今もその人の知恵借りて、企業側の利益を切り開くためにその人がずっと使われ続けているというか、その人が中心になっているなんて、おかしな話じゃないですか。
     資料の五、産経の記事。PFIでの外資参入は既に浜松市で始まっている。浜松市では、現在、下水処理施設の運営にコンセッションを導入。フランスの水メジャー、ヴェオリア。さらに、あのオリックス、鉄鋼メーカーのJFE系の企業が運営。
     資料の六、浜松市のウエブサイトより、下水道に関するコンセッション契約書、その中の九十六条、秘密保持義務というところですね。「市及び運営権者は、相手方当事者の事前の承諾がない限り、本契約に関する情報(本事業を実施するうえで知り得た秘密を含むが、これに限られない。)を他の者に開示してはならない。」。これ、むちゃくちゃじゃないですか。これに限られないという部分が、ほとんど秘密と言っているのと一緒なんですよ。市は、事前の同意がないとこの契約に関する情報、原則開示できないという条項ですよね。議会によって契約内容をチェックすることも、これなかなか難しくなってくるだろうと。
     今回、数年前からコンセッション問題を掘り下げていた共産党の落合勝二浜松市議にお電話したんですね。いい仕事されていますね、地方でも、共産党さん。下水道コンセッションのバリュー・フォー・マネーについて、一四・四%になっているということだったんですね。この算定根拠どうなっているんですかと市側に聞いたら、このバリュー・フォー・マネーは、VFMは公営でやるよりもどれくらい安くできるかという指標だと、数が大きければ大きいほどPFI導入の効果があるとされるもので、市側に求めたと、根拠何だと、その根拠を示すよう求めたところ、優先交渉権を得ていたヴェオリアのノウハウなど企業秘密を明かすことになるので答えられない、市側は答えたと。PFIでやった方が安くできる根拠さえ示せないんですよ、企業秘密でね。公営であれば、これまでは行政に関する情報として情報公開させられてきたものが、PFIになると企業秘密が盾になる、突っぱねられる。
     先ほどの資料五の産経の報道には、浜松市は情報公開のために第三者モニタリング会議を徹底するとありますけれども、一方で、契約書には秘密保持義務が課せられているばかりでなく、市民の代表者である議員の調査権も無効化されているというのがはっきりしているんですよ。PFIでは地元住民が自治体と事業者との契約について十分に知る権利を保障されるよう求める条文ってあるんですか。
    ○国務大臣(梶山弘志君) PFIにつきましても、一般の公共事業と同様に、国の場合であれば行政機関情報公開法に基づいて、地方公共団体の場合であれば各地方公共団体の情報公開条例に基づいて、情報公開の対象となります。
     その上で、PFI法において、第十五条第三項において、公共施設等の管理者は、事業契約を締結したときは、遅滞なく、当該事業契約の内容として、公共施設等の名称及び立地、選定事業者の商号又は名称、公共施設等の整備等の内容、契約期間、事業の継続が困難となった場合における措置に関する事項、契約金額等を公表しなければならないものとしております。
     さらに、コンセッション事業については、同法第二十二条第二項に基づいて、公共施設等運営権実施契約を締結したときには、遅滞なく、公共施設等運営権者の商号又は名称、公共施設等運営事業の継続が困難となった場合における措置に関する事項、費用を徴収する場合にはその旨及びその金額又はその金額の決定方法、契約終了時の措置に関する事項、公共施設等運営権実施契約の変更に関する事項等を公表しなければならないとしているところであります。
    ○山本太郎君 じゃ、そういうことであるならば、この浜松のやり方というのは特に問題がないというお考えですよね。
    ○国務大臣(梶山弘志君) と思いますし、浜松市も丁寧に自治会等、また様々な場をもって住民への説明をしていると伺っております。
    ○山本太郎君 先ほどるると、るると御説明いただきましたけれども、PFI法の十五条と二十二条に係る部分で。けれども、それだけのものがあったとしても中身すかすかじゃないですか。事業者の名前だったりとか、どこの施設だったりとかということを示せばいいだけの話でしょう。実際に浜松でこれ秘密保持条項みたいなものができているわけだから。PFI導入の根拠の説明さえも企業秘密で逃げられる、その基になっているのがこれらだろうって。だとしたら、全然歯止めにもなっていないしという話になっちゃうんですよね。
     衆議院のPFI法の審議では、与野党問わず、PFI事業の実施に当たって事業者選定に地元企業が優先されるのかという議論がありました。梶山大臣は、衆議院の本会議答弁で、これまで実施されているPPP、PFI事業においては、地元事業者が参画しやすくするための取組としていろんなものがあって、それを実施するなどの例があったよとお答えくださいました。
     今ちょっとはしょったのは、私自体がそこをお話聞いたときにぴんとこなかったので一回調べたんですよね。国交省の指針にいろいろ載っていました。公共事業では、できるだけ多く公共事業を分割発注して地元業者の受注機会を増やしたり、入札参加に地域要件を設けたり、入札の際に価格だけではなく地域への、地域への貢献をポイントとして加点して総合評価するなどをやっているよ、そういう事例があるよということを大臣おっしゃったということですよね。ありがとうございました。
     公共事業と聞くとちょっと顔をしかめる方も町の中にはいらっしゃるんですけど、私は、雇用、経済効果を生むという点において、地方経済にとっては重要であり、大臣おっしゃるようなことが確実に実施されるなら、PFIによる事業も分野ややり方によっては公共事業的役割を果たす部分もあるのだろうとも考えます。
     地元の建設会社と地元の金融機関、地場の下請さんなどで優先的にコンソーシアム、いわゆるSPCを構成してPFIに取り組むことによって、地元企業などへの優先的な富の分配というものはこれまでの公共事業と変わりなくPFIでもできるという御認識でよろしいでしょうか。
    ○国務大臣(梶山弘志君) このそれぞれの事業に対してのノウハウがあるかどうかということにも関わってくると思います。さらに、あと、防災面で、災害が起きたときのことを考えた際に、地元の企業、その地域の企業がすぐに出動できるということもあります。そういった観点から、しっかり地元企業の参画や地域住民の声を評価項目に加えて審査を行うなどの工夫により地元企業が選定されることは、PFIが地元に根付く上で大変望ましいことだと思っております。
     事業者選定に当たりましては、代表企業に市内工事の受注実績があることを義務付け、構成員に市内企業を含むことを義務付け又は加点をしていく、総合加点、総合評価の方法ですね、地元企業の活用に関する提案を採点上有利に行う手法などの例がこれまでもありますので、そういったことも参考にしながら、地元企業にしっかり受注できるような割合を多くしていく努力をしてまいりたいと思っております。

    ○山本太郎君 分野などによってはPFIでも地元優先ということは可能なんだということでよろしいですね。短くお願いします。
    ○国務大臣(梶山弘志君) そのとおりであると思います。
    ○山本太郎君 それは、例えば小さな自治体だけじゃなくて、例えばもうちょっと大きな都道府県レベルであったりとか政令指定都市であったりとかというところでも同じでしょうか。
    ○国務大臣(梶山弘志君) WTOの縛りもありますので金額によってということでありますけれども、海外の企業が入ってくる例もあろうかと思います。
    ○山本太郎君 忘れてもらっちゃ困るんですよ、TPPをという話なんです。
     資料の七の一、TPP第十五章、政府調達、ライン部分、本法案の正式名称がここに書かれていますよね、PFIに関する部分。
     資料七の二、十五章、全都道府県と政令指定都市がずらっと並んでいる。要は、TPPの政府調達の規定はこれらの自治体に適用されるという話ですよね。PFIにも適用される。
     資料の七の三、ライン部分、TPP第十五章、これ、内国民待遇の規定が書かれている部分なんですね。何が言いたいかということなんですけど、外国の事業者に対して日本国内の事業者と同じ扱いしろよという話なんですよ、内国民待遇ですから。
     資料の七の四、TPP第九章と先ほどの十五章の比較です。九章と十五章、どちらにも内国民待遇が定められている。要は、十五章違反になれば九章違反にもなるということなんですよ。地元優先、無理ですよ、これ。地元優先できませんよ。そういう縛りじゃないですか。国内法より上にあるんでしょう、だって、協定は。
     第十五章で内国民待遇に違反すれば、それは同時にISDSの対象である第九章違反にもなり得るということ。TPP第九・四条、内国民待遇義務、これは、日本国内の外資系企業に対して国内の資本の企業と同等の扱いを行うことを要求するもの。つまり、PFI事業をスタートするに当たって、外資が関与するものより、日本企業、地元企業の主体を優先した場合、九章の内国民待遇にも違反する。当然、十五章にも違反ですよね。
     ほかにも、TPP第九・十条は、特定措置の履行要求を禁止。これは、外資系企業に対して、日本国内での現地調達を要求したり、物品購入やサービス購入について日本国内の業者から購入するよう要求することが禁止されているもの。
     どこにもかめないじゃないですか、そうしたら。地元優先なんて無理じゃないですか。外資が関与するSPCやコンソーシアムに対して、地元企業、日本企業からの物品、サービスの購入を求めることは、先ほどの九章の特定措置の履行要求禁止にも違反。梶山大臣がおっしゃったような、事業者選定に当たって、代表企業に市内工事の受注実績があることを義務付け、構成員に市内企業を含むことを義務付け又は加点、地元企業の活用に関する提案を採点上有利に扱う手法を実施するなど行えば、TPP九章に違反するし、内国民待遇でないということで第十五章にも違反する。当たり前ですよね。
     地元優先など、どう考えたって、これ成立するはずもないんですよ。大臣はこのことを無視してお話しになっていたんですか、ずっと。
    ○国務大臣(梶山弘志君) TPPにおいても、その発注者が中央政府の場合は七億四千万以上の案件、発注者が地方公共団体の場合は約二十四億七千万以上の案件が対象ということであります。
    ○山本太郎君 何のお話されているんでしょうか。そういう話をしていないですよ。いや、だから、政令指定都市までなんでしょう。大型の事案が入ってくることが可能性があるから、それを食おうとしているわけでしょう、だって。それを食わせるんですか、海外企業に。全く、PFIの中でTPPのことも、これから縛りがあることも全く無視をしてお話をされている。地元優先なんて無理ですよ。
    ○委員長(柘植芳文君) 時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
    ○山本太郎君 こんな法案撤回するべきだと申し上げて、質問を終わります。
        ─────────────
    ○委員長(柘植芳文君) この際、委員の異動について御報告いたします。
     本日、石井準一君が委員を辞任され、その補欠として宮本周司君が選任されました。
        ─────────────
    ○委員長(柘植芳文君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
     これより討論に入ります。
     御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
    ○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部改正法案に反対の討論を行います。
     反対の理由の第一は、本法案が地方自治体に対し、より一層PFI推進を押し付ける仕組みをつくるものだからです。
     新たに法定化されるPFI事業に関するワンストップ窓口は、内閣総理大臣が公共施設等の管理者に対し報告徴収と勧告を行える仕組みで、政府が窓口で事業者から要望を聞き取り、それを基に政府が自治体に回答を迫ることが可能となります。民間の利益を保証する一方で、住民のための公共サービスをゆがめられる懸念が強いと言わざるを得ません。
     第二の理由は、地方自治法が定める指定管理者としての利用料金と指定管理者の指定手続規制を緩和することは、議会のチェック機能と住民の関与を後退させるものだからです。
     PFIや指定管理者制度は公共サービスなどを民間事業者が営利目的に行うものであり、その事業が住民全体の福祉につながるかどうかは議会や住民が自律的に検討することが必要不可欠です。こうした観点から、地方自治法では、指定管理者の利用料金の設定には自治体の長の承認を求め、指定管理者の指定手続には議会の議決が必要と定めています。これを後退させることは認められません。
     第三の理由は、公が責任を持って提供すべき生活の基盤である上下水道にコンセッション方式を推進するためとして、特定の地方公共団体に財政支援を行うものだからです。
     安倍政権は、今国会に提出した水道法改定案で水道事業におけるコンセッション方式の拡大を狙っており、本法案は、上下水道事業へのコンセッション方式を誘導するため、国からの自治体への貸付金の補償金を免除しようとしています。
     フランスなど水道コンセッションの先進国では、再公有化や公共性の観点から官側の関与を強めることが大きな流れとなっています。本法案は、これらに学ぼうとせず、水道事業への公的関与を弱め、投資家と大企業のもうけのために民間開放するものと言わざるを得ません。水道事業は、憲法二十五条に基づく国民の生存権、命に関わる事業であり、民間事業者の営利が優先されるコンセッション方式に適さないことは明らかです。
     また、今日の質疑でも、PFIやコンセッション事業が人件費を不当に切り下げ、ワーキングプアを生み出しかねず、また、営業秘密を理由に事業そのものの検証が困難など、透明性に大きな問題があることが明らかになりました。また、イギリスでは、PFIの事業者が、事業途中にもかかわらず資本市場でSPCの株式を売却して、ぬれ手にアワの利益を独占したことが問題となりましたが、政府はそのようなやり方も排除していないことも分かりました。
     PFIのまともな検証もなく、投資家や民間企業のビジネスチャンスのためにPFI促進に突き進むことはやめるべきである、このことを指摘し、反対討論を終わります。
    ○山本太郎君 山本太郎です。
     私は、いわゆるPFI法改正案に対し、反対の立場から討論をいたします。
     一つ目の理由は、PFIの推進が世界の潮流に大きく逆行した、全く周回遅れの議論であることです。
     英国の会計検査院に当たるNAOの報告書には、資金調達が公共よりも割高になること、PFIは二〇〇七年から八年の金融危機の後に急速に減少していること、そして、高く付くPFIを解消しようと思っても、事業者に対するキャンセル料で高額の支出が必要になることなどが指摘され、欧州連合の会計検査院の報告にも同様にPFIには慎重であるべきという指摘があります。
     PFI全体に限らず、水道事業の民間参入に関しても、民営化に対する見直し機運が世界で高まっており、二〇〇〇年から二〇一五年三月末までで世界三十七か国、二百三十五件の水道事業が再公営化に踏み切っています。民営水道の国であるイギリスの世論調査でも、国民の七割が水道事業を再公営化すべきと答えている。世界での数々の失敗報告を踏まえるならば、これからPFIや水道コンセッションを推進しようとする日本国政府の姿勢は常軌を逸しているとしか思えません。
     二つ目の理由。政府がこれまで行ってきたPFI推進策の自治体に対する強引な姿勢です。
     PFIの優先的検討規程を作ろうとする自治体には調査費を支援、そうしない自治体には理由を示させ、ネットで公表するというあめとむち。自治体に作成させた公共施設等総合管理計画や固定資産台帳は民間事業者にとってはPFI案件になり得る公共不動産カタログと言うべきものであり、これらの策定について長期的な視点で公共施設等の計画的な管理を行うためと説明されてきた自治体にとってはだまし討ちに近いやり方です。
     三つ目の理由は、浜松市の水道コンセッションについて懸念を示す地元市議の話などでも明らかになったように、PFI契約においては企業秘密の名の下に住民にとって必要な情報が適切に公開されることが担保されない可能性が否定できません。
     最後に、四つ目。国が推し進める政策、強行に採決された協定を考えれば、PFI事業に外資や大資本が参入することになり、地元は吸い上げられる存在にしかなり得ないこと。
     政府は、これまで答弁で、ほかの公共事業同様、PFIの参入についても地元事業者が参画しやすくするための取組が存在すると答弁してきました。しかし、TPPが発効した場合、十五章の公共調達の条項の適用となり、内国民待遇違反とみなされれば、同時に九章違反とみなされ、国が投資家からISDSで提訴される可能性があります。地元優先などとても無理です。命に関わるインフラの運営権に抵当権まで許し、金融商品化するような政治は国の破滅にしかつながりません。
     金融緩和を行っているときだからこそ、財政出動とセットで水道版ニューディールやればいいじゃないですか。保守なんでしょう。今、国としてやればいいじゃないですか。大規模な老朽設備の更新としっかりとした処遇を与えた安定雇用をセットにして、不安定雇用にあえぐ人々を国が救う、少子化問題打破にもつながるチャンスが今じゃないんですか。残念ながら政府は、世界で一番企業が活躍できる国を着実に実行するだけ、大企業や資本に対して血税で造られたインフラやライフラインまでも商品として差し出す始末、そのさまは歴史に残る国民への背信行為でしかないと申し上げ、世界の流れと逆行する本法案には断固反対の立場を表明し、討論とさせていただきます。
    ○委員長(柘植芳文君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
     これより採決に入ります。
     民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
       〔賛成者挙手〕
    ○委員長(柘植芳文君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
     この際、矢田さんから発言を求められておりますので、これを許します。矢田わか子さん。
    ○矢田わか子君 私は、ただいま可決されました民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・こころ、公明党、国民民主党・新緑風会、立憲民主党・民友会及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
     案文を朗読いたします。
        民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
      政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
     一 PPP/PFIを推進するに当たっては、公共施設等運営権(コンセッション)方式を始めとするPFI手法の導入ありきではなく、地方公共団体が地域の実情に応じて官民連携の多様な手法を検討し、適切な選定ができるよう、地方公共団体の自主性・自律性を尊重すること。
     二 公共施設等の管理者等及び民間事業者が特定事業に係る支援措置等について確認を求めた際に内閣総理大臣が一元的に回答する場合や、内閣総理大臣が公共施設等の管理者等に対し特定事業の実施に関し助言等を行う場合にあっては、特定の民間事業者への誘導や、地方公共団体の判断への介入を疑われることのないよう、適正かつ公正に運用すること。
     三 公共施設等運営権者が公の施設の指定管理者を兼ねる場合の二重適用問題の解消については、本法による対応にとどまらず、運営権者による自由度の高い運営及び更なる負担の軽減に資する支援の在り方について、引き続き検討を行うこと。
     四 本法による補償金免除繰上償還については、上下水道コンセッションを導入する先駆的取組に限り特例的に認めるという趣旨に鑑み、今後は、財政投融資制度の健全性の維持、地方公共団体間の公平性及び地方財政運営の規律の確保の観点から、同様の補償金免除繰上償還を実施することは厳に慎むこと。
     五 PFI事業の実施に当たっては、地域金融機関の役割や、地域の民間事業者の参加を得て地域の実情を踏まえた事業を展開することが、地域経済の活性化や施設の維持管理等にとっても重要であることから、地方公共団体等に対して、地域の産官学金が参加する地域プラットフォームの組織化や、地域の民間事業者の参加を促す工夫を行っている取組等に関する情報の提供を始め、適切な支援を実施すること。
     六 PPP/PFIの評価・検証を行うに当たりその実施状況を把握するとともに、PPP/PFIの透明性を向上させる観点から、定期的に実施状況を公表するなど、海外の事例も参考にしつつ、PPP/PFIの更なる「見える化」に努めること。
     七 今後とも、安全・安心な水を安定的に確保するとともに、衛生的で安心な都市環境を維持するため、人口減少に伴う料金収入の減少や施設の老朽化等の課題を抱える上下水道事業の経営が持続可能なものとなるよう、官民連携の推進にとどまらず、広域化・共同化等を推進することにより、関係府省間で連携してこれらの課題解決に当たること。
       右決議する。
     以上でございます。
     何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
    ○委員長(柘植芳文君) ただいま矢田さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
     本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
       〔賛成者挙手〕
    ○委員長(柘植芳文君) 多数と認めます。よって、矢田さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
     ただいまの決議に対し、梶山内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。梶山内閣府特命担当大臣。
    ○国務大臣(梶山弘志君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
    ○委員長(柘植芳文君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ○委員長(柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
     本日はこれにて散会いたします。
       午後三時三十三分散会
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    2018年7月30日 (月)

    強化される安倍独裁 PFI法改正

    Asousuidouminneika

     

    水道法改正について調べていたら、先の国会で「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(略称PFI法)が改正されていたことに行き当たった。

    寝耳に水である。それもそのはず、ネット検索をかけても、日経新聞以外のマスコミがこの法律の改正について触れた痕跡がない。

    参議院で可決成立したのは、6月13日、米朝会談がさかんに報道されていた最中のことである(このとき同時にTPP承認案も可決された)。

     

     

    法律の略称とされる「PFI」とは、Private Finance Initiativeのことであり、政府はこれを「民間資金活用」と称している。直訳すれば、「民間資金主導」であり、実際、民間資金等活用事業推進委員会のメンバーを見ると、PFIを推進する立場の人物が大半と思われ、「民間資金主導」と理解するのが正しいと思う。

     

    民間資金等活用事業推進委員会 委員・専門委員名簿

     

    PFIに関する政府の説明は次のようなものである(内閣府「PPP・PFIとは」)。

     

    PFIPrivate Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法です。

     

    その効用は同じく政府の説明によれば、次の通りである。

     

    • 民間の資金、経営能力、技術的能力を活用することにより、国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供できる事業について、PFI手法で実施します。
    • PFIの導入により、国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供を目指します。
    • 我が国では、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)が平成117月に制定され、平成123月にPFIの理念とその実現のための方法を示す「基本方針」が、民間資金等活用事業推進委員会(PFI推進委員会)の議を経て、内閣総理大臣によって策定され、PFI事業の枠組みが設けられました。
    • 英国など海外では、既にPFI方式による公共サービスの提供が実施されており、有料橋、鉄道、病院、学校などの公共施設等の整備等、再開発などの分野で成果を収めています。

     

     

    PFI法の対象となる公共施設は非常に広い。

     

    (定義)

    第二条 この法律において「公共施設等」とは、次に掲げる施設(設備を含む。)をいう。

    一 道路、鉄道、港湾、空港、河川、公園、水道、下水道、工業用水道等の公共施設

    二 庁舎、宿舎等の公用施設

    三 賃貸住宅及び教育文化施設、廃棄物処理施設、医療施設、社会福祉施設、更生保護施設、駐車場、地下街等の公益的施設

    四 情報通信施設、熱供給施設、新エネルギー施設、リサイクル施設(廃棄物処理施設を除く。)、観光施設及び研究施設

    五 船舶、航空機等の輸送施設及び人工衛星(これらの施設の運行に必要な施設を含む。)

    六 前各号に掲げる施設に準ずる施設として政令で定めるもの

     

     

    今回の改正については、二つの重大な問題がある。

    一つは、内閣総理大臣の権限の強化であり、

    二つ目の問題は、先の国会での成立を断念したと伝えられた水道法改正に関連している。PFI法の改正により水道民営化についてあらかたの道筋を付けていることである。

     

     

    まず、総理大臣の権限強化であるが、改正法は、PFI事業について、ワンストップ化を謳い文句にしている。

    ワンストップの窓口が総理大臣である。

    総理大臣は、PFI事業者等(管理者である自治体を含む)から事業に関連する法律の解釈や支援措置について確認を求められたら、ワンストップ窓口として調査して、遅滞なく事業者等に回答することとなった(15条の2)。

    民間移行しようとする事業の関係省庁は通常、複数にわたる場合が多く、事業者はそれぞれの窓口に照会して法律の解釈・運用・支援措置の内容について照会し、これを確認しながら、事業を進める必要があった訳だが、これを総理大臣に一元化するのである。

     

     

    すぐに思い出すのが、森友学園の事件で、総理大臣夫人付職員であった谷査恵子氏が夫人付職員の立場で財務省に照会した件である。総理夫人付という肩書きに畏れ入った財務省は、その後、存在しないゴミをねつ造する等、法をねじ曲げてあらゆる術策を弄して森友学園に便宜を図った訳である。

    今回の法改正では、総理婦人付などというレベルではない。総理大臣ご本人が諸官庁に対して、法解釈・運用・支援措置について照会なされる訳である。

    「総理のご意向」、「首相案件」が法的に公認されたのである。総理の意向にひれ伏す省庁は、総理の意向にしたがって法を解釈するようになるだろう。これは総理大臣による全省庁の私物化の危険を孕んでいる。

    行政の縦割り構造は、はるか以前から批判の的になっていたが、縦割り構造は、実際には権力の暴走を防ぐ権力の分立の役割も果たしていた。この分立システムが、営利目的の企業に対しては、全面的に開放されるのである。

     

    総理は、事業者等に対してPFI事業について助言もできる(15条の2第6項)。文科省の佐野容疑者が私立大学プランディング事業について、東京医科大学理事長に伝授した助言の生々しい録音が暴露されているが、総理大臣は直々に事業者に「助言」することが法的に正当化されたのである。

    加計学園から毎年1億もの接待を受けて、加計学園の獣医学部を承認し、私立大学ブランディング事業に2大学も認定した「悪だくみ」に法的裏付け与えようという訳だ。

    Kakegakuenburandhingu

     

    まだある。

    総理大臣は、PFI事業の確実な実施のために必要があると認めたときは、公共施設管理者(自治体等)に対して、報告を求め、さらに助言・勧告することができるのである(15条の3)。

    現行法ですら、自治体は、PFI事業の見通しについて、毎年度、公表することを求められており、事実上PFI事業推進の圧力を受けている(15条)。これにさらに総理大臣からの報告を求められ、助言を受け、勧告を受けるとされたのである。

    政府から補助金や交付金等を受けている自治体が総理大臣と対等の立場で交渉できるはずもなく、地方自治に対する総理大臣の強力な干渉や強制を認めるものであって、地方自治を著しく弱体化させる。地方自治は憲法が保障した権力の分立であるが、この分立構造をも危殆に晒すのである。

     

     

    総理大臣は、事業者等からの照会に対する回答をした場合、民間資金等活用事業推進委員会に報告することとされ、また自治体等から報告を徴収し、助言・勧告する場合に必要に応じて民間資金等活用事業推進委員会の助言を受けることとされている。しかし、この構成メンバーは、総理大臣が任命するもので、基本的にPFIの推進に積極的利益を持つ関係者であるから、総理権限に対する何の歯止めにもならない。

    むしろ推進委員会は、自治体や関係省庁から「資料の提出、意見の開陳、説明」を求め「提出を受けた資料…の公表に関し必要な措置を講ずる」ことができるとされており(85条6項)、PFI事業に消極的な自治体や省庁を晒す権限も与えられている。推進委員会がPFI事業の推進に拍車をかけることがあれ、暴走に歯止めをかける立場には全くない。

     

     

    今回の改正で総理ご意向が、地方自治体まで隈無く行き渡る法的枠組みができあがったのである。

    せめて日本の総理大臣がスケールの大きい賢明な人物であれば、このトップダウンの仕組みにも、まだしも救いがあるかもしれない。

    しかし日本国の総理は、いかにもスケールが小さく、「(安倍氏に)年間一億くらい出しているんだよ。あっち遊びに行こう、飯を食べに行こうってさ」(「週刊文春」2017427日号)と語るバクシンの友には、見境なく巨額の税金をつぎ込むなど、国政の私物化に熱心な人物だ。

    よい独裁があるかどうかともかくとして、今の日本は間違いなく悪い独裁に向かっている。

     

     

    二つ目の問題点については、付則の4条で、水道事業についてPFIを導入する自治体に対する優遇措置を定めたことである。わかりにくい規定となっているが、水道運営権を民間企業に売り渡して、売り渡し代金を手にした自治体が、水道建設等のために発行していた地方債をその代金で繰り上げ償還しようとする場合には、本来払わなければならなかった利息(3%以上)を免除する規定を設けて、水道の民営化に特別なインセンティブを設けたことである。

     

     

    赤字に苦しむ自治体の中には地方債の利息免除と施設運営権の設定による短期の対価ほしさに上水道の民営化に手を挙げる、あるいは総理の意向によって、手を挙げさせられる自治体が出てくるのは、もはや時間の問題であるように見える。

     

     

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    2018年7月26日 (木)

    残業代ゼロ法が描く『過労死ゼロ』社会

    先の国会で成立した最悪の法律は、カジノ法でも参議院定数増法でもなく、間違いなく働かせ放題一括法である。

    今さえ、日本の労働分配率(付加価値に占める人件費の割合。つまり労働者に還元される率)は国際社会で抜きんでて低下しているのに、この法律は、さらにこれを加速するだろう。

    Roudoubunpairitusuiirieti
    主要国の労働分配率の推移・RIETIより

    残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)については、公立学校の教員の時間外勤務問題が参考になると思い、古い思い出話をさせていただく。

     

     

    公立学校の教員に対しては、原則として時間外勤務命令は禁止されており、学校行事や非常災害、職員会議、緊急な生徒指導など限定された4項目以外には時間外勤務を命じてはならないことになっており、時間外勤務手当は支給されない。

    時間外勤務命令が許される限定4項目を見込んで教職調整給(月給の4%)が加算されて支給される仕組みになっている(以上、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」・略称「給特法」)

     

     

    今から30年も前になるが、公立中学校の先生の長時間勤務が、教師の教育活動を阻害し、教育の自由を侵害しているという理由で国家賠償請求(相手方は自治体)訴訟を起こしたことがある。

     

    平成元年、愛知県では高校入試の選抜制度が抜本的に変えられ。極めて複雑な入試選抜制度が導入された。このため、これまでの進学指導の実績が全く役に立たなくなり、進学指導の現場は混乱を極めた。中3の学年主任をしていた原告は、生徒に適切な進学指導をするために、新たな選抜制度の下で各高校の難易度がどう変動するかを見極め学年教諭の共通認識とするために同僚とともに膨大で雑多な事務作業に追われることになった。

    Hukugousenbatu

     

    30年前でも教員は十分に多忙だった。その上に新たな入試制度に対応するために実に膨大な事務作業が降りかかり、原告の職務は繁忙を極めた。

    今で言う過労死基準には満たなかったものの、学内における残業時間は、1月から3月の3ヶ月間で平均70時間に達した(過労死基準残業時間平均80時間が設けられるのはこのずっと後のことである)。これは学内における残業時間であり、当然、授業準備やテスト採点などの持ち帰り残業も存在した。

     

    原告は定年に間近い年齢で、長時間の時間外勤務の心身の負担は大きかったに違いない。しかし、提訴したのはそうした理由からではない。教職調整給とおよそ見合わない残業を強いられたからでもない。
    原告が提訴に至ったのは、雑務の多さが生徒と向き合う時間を奪い、経験豊富な教員なら見過ごすことのない、重大な非行事件(いじめを超える犯罪)のサインを見過ごしたことの後悔である。雑務による多忙さがなければ、適切な指導ができ、その場から被害者生徒を救うことができたという悔恨である。

     

     

    3ヶ月間の毎日の勤務内容を主張し、それが強制されたものであって、校長もこれを認識していたことを証明するのに膨大な作業と立証を要した。はしょって結論を言えば、提訴から10年近くを経て下された判決は、完全敗訴であった。

    判決は、原告が強いられた時間外勤務は命令されたものではなく、全て自発的に行ったものだと結論づけたのである。

     

     

    法律は時間外勤務命令を禁じているのだから、時間外勤務命令はないはずである、したがって、原告の勤務は自発的なものであるという、倒錯した論理を暗黙の前提としたものであった。

     

     

     

    現在では教員の長時間勤務が問題視されるようになったが、当時の社会環境は全く違った。提訴に当たって僕が教員の長時間勤務の問題を持ち込もうとした新聞記者も労働組合も、まさにせせら笑うか、門前払いの対応だった。社会には問題意識を共有する基盤がなかった。有力で誠実な教育法学者の協力はかろうじて得られたが、社会意識の広がりを欠くところでは目的を果たすことはできなかった(たいていの場合、僕の抱く問題意識は10年程度は時代を早まっている)。

     

     

    公立学校の教員が多忙化するのは必然だった。いくら膨大な仕事を押しつけても、時間外勤務手当を支払うための予算措置を講じる必要もなければ、時間外勤務を強制されたとして裁判所に訴えても、法律で禁じられている時間外勤務命令は存在しないことになってしまうからだ。

     

     

    先の国会で見送られた裁量労働制についても同じことがいえる。ましてや高度プロフェッショナル制については、いくら膨大な仕事をさせても残業代を払わなくてもよい。企業には全く費用が発生しないのだから、次々と仕事を押しつけることが目に見えている(まさに公立の教員と同じ立場である)。

    そして高度プロフェッショナル制度の適用対象は、経団連が求める水準によれば、年収400万円以上にまで拡大されていく。実態としての労働時間単価が最低賃金を割り込んでも、高度プロフェッショナル制度のもとでは、残業代は発生しない。

     

     

    そして、たとえ過労死しようが、労働時間を把握することは不可能であり、企業は時間外勤務を命じたわけではない。本人の自己管理が悪かったということにされてしまうようになるだろう。

     

    電通の高橋まつりさんのような過労死事件は起きなくなるのだ。

     

     

    そう思っていたら、厚労省は労災担当官を大幅に削減するという報道があった。

    今後3年で666名削減するという

     

     

    働き方改革で労基署の労災担当職員を大幅削減へ

    東京新聞2018723

     

     過労死ゼロや長時間労働の削減を目指す政府の看板政策「働き方改革」。全国の企業への監督・指導徹底のため、労働基準監督署の監督官を増やす半面、労災担当者を3年間で666人も削減する計画が明らかになった。企業への監督・指導は重要だが、労働者が負ったけがや病気が仕事によるものかどうか判断する労災認定が滞れば、労働者やその家族に大きな影響が出る。労基署の担当者の中からは「これでは成り立たない」と悲鳴が上がっている。 (片山夏子)

    Roukisyorousaibusyonado

    ・・・・・・・・・・・・・

    今回の厚生労働省の計画で、3年間で労災担当官は3分の2の1300人まで減る。しかし、2016年度の労災補償の受給者は、新規だけでも約62万6000人。申請数はさらに多い。

    ・・・・・・・・・・・・・

    中堅の労災担当官は「監督官を増やせと号令がかかっていることは知っている。現場の実情を無視した対応を迫られ、みんな不安だ。今でも手一杯なのに労災担当をこれ以上減らされたら成り立たない」

     

     

    現実に発生している労災を認定するのに必要な人員をはるかに下回る人員で労災認定に当たれば、必然的に認定される労災は減るだろう。証拠が不十分であれば、それ以上の調査をすることなく不認定にすればよい、あるいは書類に難癖を付けて労災申請を受理しないという水際作戦も行われるだろう。まして複雑な精神疾患が絡む事件になれば、すべて不認定にして裁判所へ丸投げすることになろう。

     

     

    過労死ゼロを掲げる「働き方改革」のもとでは、過労死はあってはならないのである。あってはならない以上、認定も厳しくなる。そこへ労災担当職員を削減すれば、過労死認定はどんどん減っていくだろう。かくして政府が掲げる過労死ゼロが達成される仕組みである。

    これは時間外勤務命令が禁止されている以上、時間外勤務命令は存在しないという裁判所の論法と同じである。

     

    Koumuinkyuyosuijun
    出典 社会実情データ図録5193a
    日本は、公務員の人口比率もGDPに占める公務員給与もOECD最低水準にある

    監督官を増やすから、今でも不足している労災担当職員を減らすというのは、全体として公務員削減計画があるためである。

    公務員を減らすべきだという大前提がある限り、行政が注力する新たな分野があれば、必要な他の部門が激減させられるということは必ず起こる。

    公務員を削減するという方針は、まさに民営化や規制緩和と直結するネオリベラリズムの考え方だ。

    参議院定数増をめぐる議論でも、野党(共産党を除く)の反対には定数増自体が悪いことだという暗黙の前提があったように思う。

    まさに野党も含めて、小さな政府論に支配された状態であり、グローバルなネオリベラリズムにとって恰好の草刈り場になるだろう。

     

    世界一ビジネスのしやすい我が国は、世界一労働者を搾取しやすい国となろう。

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    それにしても、労災担当官の削減を取り上げているのが中日(東京)新聞だけで後追いの記事も出ないという事実は、メディアが『過労死認定ゼロ』に加担しているようで、いやなものである。

    2018年7月25日 (水)

    酷暑五輪をめぐるメディア状況

    「屋外での運動を控えてください」と、放送される危険な暑さの中、「この暑さでやれるという確信を得ないといけない。」という森喜朗の妄言(日刊スポーツ7月24日「森喜朗会長が語る、この猛暑が東京五輪のカギに」)に続き、アスリートである増田明美がNHK特番で「アフリカ勢は下見をしない、日影を熟知してコース取りできる日本勢のチャンスだ」とのたまっている。オリンピックの意義について真っ先に国威発揚を挙げた国営放送に迎合したのか、高橋尚子まで同様に日本勢のチャンスだとのたまうのには、心底がっかりさせられる。

     

     

    Kokuihatuyou

     

    当の東京都の小池百合子に至っては、「打ち水でおもてなしを」とはしゃぐ有様で、話にならない。

     

     

    この人たちは、このまま東京五輪が開催されれば、辞退者続出、選手の事故や、観客の熱中症続出で、史上最悪のオリンピックとして名を残すことになるのを十分に知っているはずだ。

     

     

    国内のメディアはほぼ全てが、オリンピック公式スポンサーだから、ラジオ以外で開催時期をずらせとか、ましてや「オリンピックなんかやめたら」という声は上がりようもない。
    万全の暑さ対策で臨むという報道一色である。

     

     

    失敗すると分かっていて挙国一致で酷暑オリンピックに突き進むさまは、「竹やりで本土決戦を」と呼号した先の大戦のときの支配層と何も変わっていない。

    竹やりなんかで立ち向かえる訳がないと、相当数の庶民は思いながら、粛々とついていったんだろうか。

     

     

    酷暑のオリンピックの無謀さについて、NHKの唯一のまっとうな報道は、宗主国のメディアの報道を紹介するものであった。


     

    海外メディア猛暑で東京五輪を不安視の報道相次ぐ

    NHK2018725 443

     

    日本で連日、猛烈な暑さが続く中、海外のメディアからは、2年後の東京オリンピックの開催時期を不安視する報道が相次いでいます。

     

    このうち24日付けのアメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、日本で続く猛暑について特集記事を組み、危険な暑さで死亡する人が相次いでいるなどと伝えています。

     

    この中で、開幕まで2年となった東京オリンピックについても触れ、「猛烈な暑さで選手と観客の体調への不安が高まっている。夏の開催についての疑問が再燃した」と報じています。

     

    そのうえで、前回、1964年の東京オリンピックは厳しい暑さを避けるために10月に開催されたことや、2022年にカタールで開催されるサッカーワールドカップは冬の時期にずらしたことを紹介し、東京オリンピックの開催時期も再検討すべきではないかとの見方を示しています。

     

    またイギリスの有力紙「ガーディアン」の電子版は、「日本で熱波。2020年のオリンピックに懸念」という見出しをつけて、選手や観客が熱中症などの危険な状態になる可能性があると指摘し、開催時期を不安視しています。

     

    朝6時台のニュースでは放送されたが、視聴率の高い7時台のニュースでは放送されなかった。
    当たり前のことすら、海外報道の紹介でこっそり放送するのが精一杯というマスコミの状況なのだ。

    できれば、海外で「命に関わる危険な暑さ」であることが周知され、海外選手や観客が犠牲とならないよう祈るばかりである。

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    2018年7月19日 (木)

    なぜ名古屋は多治見に負けるか  名古屋市39.2℃7月最高を記録

    まさにうだるような暑さである。

    昨日7月18日の名古屋の最高気温は39.2度。

    これは名古屋の歴代記録で5位の高温。

    7月としては観測史上最高の暑さである。

    Nagoyakionrankingu

    ところが、ニュースは全国1位となった多治見の40.7度ばかりを伝え、7月最高の暑さを記録した名古屋の暑さを伝えてくれない。

    名古屋人として少し悔しいのである。

     

    そこで、ニュースがさっぱり触れない多治見観測所の写真を以下に貼り付ける。

    Tajimikansokusyo

    出典である「【気温】館林と多治見はどっちがずるい?観測所の測定環境を比べてハッキリさせてみた!」<嫁に聞いた話>ブログ2016/06/18によれば、次の理由で気温が高目に出る仕組みになっている。

     

    車の排気熱の影響を受ける

    地面が芝生ではなく除草シート

    建物から近く空気がよどみ易い

     

    付け加えると、多治見の観測所は、中央高速道路多治見インター近く国道248号線沿いの消防署内の駐車場脇に立地している。

     

     

    対して、わが名古屋の観測所の写真は次の通りである。

    Nagoyakisyoudaiamedasu

     

    引用元ブログ「園主の作文/名松園」20091219日「ふり返りの一年・・・2 名古屋地方気象台と京都へ」

     

     

    広々とした芝生の上、気温観測の模範例のように近くには建物も車もない。

     

    名古屋地方気象台は、名古屋市東部の住宅街、戸建て住宅が建ち並ぶ小高い丘の頂上近くに位置する。

     


    多治見40.7℃ VS 名古屋39.2℃。

    その差1.5℃は実に微妙ではあるが、観測条件の違いを踏まえれば、少なくとも互角だろう。

     

    最初に引用した<妻に聞いた話>ブログ氏は、館林市のアメダスの写真も撮影されているので、貼り付ける。基本、多治見と同様だ。
    どうも、気象台に設置されたアメダス以外は、あまり設置環境には配慮されていないようのである。

    Tajimikansokusyo_2

     

    多治見が暑い、館林が暑いと言っても意味ないのであるが、名古屋人としては何とかして「名古屋の方が暑い!」と主張したいのである。

     

     

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    付録

    西日本豪雨にしろ、この酷暑にしろ、マスコミでは地球温暖化が枕詞のように使われる。『温暖化(人為的気候変動)』洗脳状態である。


    右も左も挙国一致(世界一致か)で主張される説ほど怪しいものはない。

    都市化の影響が最も少ないと思われる、南極の夏季に当たる12月、1月、2月の平気気温の推移を貼り付けておこう(気象庁・南極昭和基地のデータ)。

    少なくとも『温暖化』を読み取ることは極めて困難だ。


    12月

    Nankyoku12tukiheikintinoruinenti

    1月

    Nankyoku1gatutukiheikikinnnoruinent

    2月

    Nankyokutu2kiheikinkionnoruinenti

     

    ここまで世界一致でCO2による地球温暖化(人為的な気候変動)防止が叫ばれている以上、巨大な利権があるに違いないと思う。

    原発利権?
    日本があれほど原発輸出をしまくって、核拡散の脅威をまき散らしても世界のどこからも異議がでないのは、温暖化対策という名目があるからだろうか。

    市場利権(CO2排出権取引市場の確立)?
    CO2排出権が市場化されれば、膨大な金融商品が生み出されるだろう。
    行き場を失いつつある過剰マネーにとって「地球温暖化」というスローガンによって生まれる新たな巨大市場ほど好ましいものはないのではあるまいか。

     

    なんぞと考えても、暑いものは暑いのである。

     

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    2018年7月 6日 (金)

    「滅びるね」

    漱石が登場人物に「(日本は)滅びるね」と語らせたことは、どこかで聞いた覚えがある。

    読んだことはない。

     

    日露戦争後の会話だったということもどこかで聞いていたかもしれない。

    忘れてしまったのだとしたら、実感がなかったからだろう。
    数年前までこれほど“日本はスゴい”空気が蔓延するとは思いもよらなかった。

    Asahara

     

    ワールドカップ日本代表の健闘を讃える報道一色に違和感を覚える中、ふと「滅びるね」という言葉が浮かんだ。

     

     

    冒頭、三四郎がたまたま乗り合わせた中年男(広田先生)の言葉だ。

     

     

    「お互いは哀れだなあ」と言い出した。「こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね。もっとも建物を見ても、庭園を見ても、いずれも顔相応のところだが、――あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がする。

    「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、

     

    「滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。三四郎は頭の中のどこのすみにもこういう思想を入れる余裕はないような空気のうちで生長した。だからことによると自分の年の若いのに乗じて、ひとを愚弄するのではなかろうかとも考えた。男は例のごとく、にやにや笑っている。そのくせ言葉つきはどこまでもおちついている。どうも見当がつかないから、相手になるのをやめて黙ってしまった。すると男が、こう言った。

    「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。

     

    「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓の引き倒しになるばかりだ

     この言葉を聞いた時、三四郎は真実に熊本を出たような心持ちがした。同時に熊本にいた時の自分は非常に卑怯であったと悟った。

     

     

    日露戦争勝利に浮かれていた当時の日本の空気があっての「滅びるね」だった。

    自国のことを悪くいうことが、タブーになった空気に向かって、投げられた言葉が「滅びるね」というのだ。

     

     

    日露戦争を戦った当事者は、その勝利がいかに危うくつぎはぎされたもろいものか、十分に知っていた。

    しかし、国民はロシアに勝利した日本を一流国として浮かれ、その批判はタブーになったのだ。

     

     

    自国の批判を許さず、自国を客観視できない国は『滅びるね』

     

     

    ワールドカップを戦った選手は、ベルギーと10回対戦しても勝てないほどの力の差を痛感しているだろう。

    しかし、世論は大健闘を讃え、おそらく批判は許されない。
    コロンビア戦は開始早々11人対10人のハンディをもらった後、1対1なんだから、実質、ロシア大会は、1分け3敗じゃないかなどと悪態は御法度である。

     

     

    ワールドカップロシア大会は、現在日本を覆っている批判を許さず、日本を讃える空気が、日露戦争後の日本の空気とつながっていることを思い知らせる。



    オウム真理教死刑囚の大量死刑執行、生中継の日に。

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