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2018年7月 6日 (金)

「滅びるね」

漱石が登場人物に「(日本は)滅びるね」と語らせたことは、どこかで聞いた覚えがある。

読んだことはない。

 

日露戦争後の会話だったということもどこかで聞いていたかもしれない。

忘れてしまったのだとしたら、実感がなかったからだろう。
数年前までこれほど“日本はスゴい”空気が蔓延するとは思いもよらなかった。

Asahara

 

ワールドカップ日本代表の健闘を讃える報道一色に違和感を覚える中、ふと「滅びるね」という言葉が浮かんだ。

 

 

冒頭、三四郎がたまたま乗り合わせた中年男(広田先生)の言葉だ。

 

 

「お互いは哀れだなあ」と言い出した。「こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね。もっとも建物を見ても、庭園を見ても、いずれも顔相応のところだが、――あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がする。

「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、

 

「滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。三四郎は頭の中のどこのすみにもこういう思想を入れる余裕はないような空気のうちで生長した。だからことによると自分の年の若いのに乗じて、ひとを愚弄するのではなかろうかとも考えた。男は例のごとく、にやにや笑っている。そのくせ言葉つきはどこまでもおちついている。どうも見当がつかないから、相手になるのをやめて黙ってしまった。すると男が、こう言った。

「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。

 

「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓の引き倒しになるばかりだ

 この言葉を聞いた時、三四郎は真実に熊本を出たような心持ちがした。同時に熊本にいた時の自分は非常に卑怯であったと悟った。

 

 

日露戦争勝利に浮かれていた当時の日本の空気があっての「滅びるね」だった。

自国のことを悪くいうことが、タブーになった空気に向かって、投げられた言葉が「滅びるね」というのだ。

 

 

日露戦争を戦った当事者は、その勝利がいかに危うくつぎはぎされたもろいものか、十分に知っていた。

しかし、国民はロシアに勝利した日本を一流国として浮かれ、その批判はタブーになったのだ。

 

 

自国の批判を許さず、自国を客観視できない国は『滅びるね』

 

 

ワールドカップを戦った選手は、ベルギーと10回対戦しても勝てないほどの力の差を痛感しているだろう。

しかし、世論は大健闘を讃え、おそらく批判は許されない。
コロンビア戦は開始早々11対10のハンディをもらった後、1対1なんだから、実質、ロシア大会は、1分け3敗じゃないかなどと悪態は御法度である。

 

 

ワールドカップロシア大会は、現在日本を覆っている批判を許さず、日本を讃える空気が、日露戦争後の日本の空気とつながっていることを思い知らせる。



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