酷暑五輪をめぐるメディア状況
「屋外での運動を控えてください」と、放送される危険な暑さの中、「この暑さでやれるという確信を得ないといけない。」という森喜朗の妄言(日刊スポーツ7月24日「森喜朗会長が語る、この猛暑が東京五輪のカギに」)に続き、アスリートである増田明美がNHK特番で「アフリカ勢は下見をしない、日影を熟知してコース取りできる日本勢のチャンスだ」とのたまっている。オリンピックの意義について真っ先に国威発揚を挙げた国営放送に迎合したのか、高橋尚子まで同様に日本勢のチャンスだとのたまうのには、心底がっかりさせられる。
当の東京都の小池百合子に至っては、「打ち水でおもてなしを」とはしゃぐ有様で、話にならない。
この人たちは、このまま東京五輪が開催されれば、辞退者続出、選手の事故や、観客の熱中症続出で、史上最悪のオリンピックとして名を残すことになるのを十分に知っているはずだ。
国内のメディアはほぼ全てが、オリンピック公式スポンサーだから、ラジオ以外で開催時期をずらせとか、ましてや「オリンピックなんかやめたら」という声は上がりようもない。
万全の暑さ対策で臨むという報道一色である。
失敗すると分かっていて挙国一致で酷暑オリンピックに突き進むさまは、「竹やりで本土決戦を」と呼号した先の大戦のときの支配層と何も変わっていない。
竹やりなんかで立ち向かえる訳がないと、相当数の庶民は思いながら、粛々とついていったんだろうか。
酷暑のオリンピックの無謀さについて、NHKの唯一のまっとうな報道は、宗主国のメディアの報道を紹介するものであった。
海外メディア “猛暑で東京五輪を不安視”の報道相次ぐ
NHK2018年7月25日 4時43分
日本で連日、猛烈な暑さが続く中、海外のメディアからは、2年後の東京オリンピックの開催時期を不安視する報道が相次いでいます。
このうち24日付けのアメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、日本で続く猛暑について特集記事を組み、危険な暑さで死亡する人が相次いでいるなどと伝えています。
この中で、開幕まで2年となった東京オリンピックについても触れ、「猛烈な暑さで選手と観客の体調への不安が高まっている。夏の開催についての疑問が再燃した」と報じています。
そのうえで、前回、1964年の東京オリンピックは厳しい暑さを避けるために10月に開催されたことや、2022年にカタールで開催されるサッカーワールドカップは冬の時期にずらしたことを紹介し、東京オリンピックの開催時期も再検討すべきではないかとの見方を示しています。
またイギリスの有力紙「ガーディアン」の電子版は、「日本で熱波。2020年のオリンピックに懸念」という見出しをつけて、選手や観客が熱中症などの危険な状態になる可能性があると指摘し、開催時期を不安視しています。
朝6時台のニュースでは放送されたが、視聴率の高い7時台のニュースでは放送されなかった。
当たり前のことすら、海外報道の紹介でこっそり放送するのが精一杯というマスコミの状況なのだ。
できれば、海外で「命に関わる危険な暑さ」であることが周知され、海外選手や観客が犠牲とならないよう祈るばかりである。
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