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2018年9月17日 (月)

プーチンの提案を歓迎する

第4回東方経済フォーラム(2018年9月12日)でのプーチンの提案をマスコミが報じている。

 

「いま思いついた。平和条約を前提条件なしで結ぼう。今ここでとはいわない。今年末までに結ぼうではないか」

「その後、友人として全ての問題を解決していく」

「私は冗談を言っているのではない。平和条約の中で問題の解決を目指すと書けばいい」

Obamagenbaku

Putinjuuji
 

 

平和条約締結に当たって、領土問題を棚上げにするというプーチンの提案をマスコミは批判的に報じる。

しかし、プーチンにしてみれば、安倍総理の演説に対する意見を求められれば、そう答えざるを得ない事情があったことをマスコミは報じない。

 

 

 安倍総理は平和条約の締結を自分たちの手で実現することを会議の席上で約束するよう強くプーチンに迫ったのだ。

 

 

 日露関係は無限の可能性を秘めています。日露の間には、戦後70年以上の長きにわたり、平和条約が締結されていません。これは異常な状態であるとする思いにおいて私とプーチン大統領は一致しています。2016年12月、プーチン大統領を私の故郷(ふるさと)、長門(ながと)にお迎えし、2人で日露関係の将来についてじっくりと話し合い、北方四島において共同経済活動を行うための特別な制度に関する協議の開始、元島民の方々による自由な墓参の実現について約束しました。そして、長門の地で平和条約問題の解決に向けた真摯な決意を共有しました

 

プーチン大統領、もう一度ここで、たくさんの聴衆を証人として、私たちの意思を確かめ合おうではありませんか。今やらないで、いつやるのか、我々がやらないで、他の誰がやるのか、と問いながら、歩んでいきましょう。

 

プーチン大統領と私は、今度で会うのが22回目となりました。これからも機会をとらえて、幾度となく会談を続けていきます。

            首相官邸HPから

 

 

北方領土問題の解決を不可能にしているのは、返還された北方領土に米軍の基地が置かれる可能性を否定してはならないというのが日本政府の公式の立場だからだ。このことをマスコミはほとんど伝えない。

 

 

日米地位協定

第2条

1(a)合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。「施設及び区域」には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。

(b)合衆国が日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の終了の時に使用している施設及び区域は、両政府が(a)の規定に従つて合意した施設及び区域とみなす

 

2 日本国政府は、いずれか一方の要請があるときは、前記の取極を再検討しなければならずまた、前記の施設及び区域を日本国に返還すべきこと又は新たに施設及び区域を提供することを合意することができる

 

3 合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなつたときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する

 

 

基地の新たな提供は日米合同委員会で取り決めることになっている。

日米合同委員会の合意事項自体が明らかにされることはない。

開示を求めても、「日米双方の同意がなければ公にしない」との合意があるとして、開示を拒まれる。

 

 

しかし、日米合同委員会の合意事項を踏まえた外務省の機密文書「秘・無期限 日米地位協定の考え方(増補版)」(琉球新報社・高文研)によれば、

 

「第二条一項は(中略)次の二つのことを意味している。第一に、米側は、我が国の施政下にある領域内であればどこにでも施設・区域の提供を求める権利が認められていることである。第二に、施設・区域の提供は、一件ごとに我が国の同意によることとされており、したがって、我が国は施設・区域の提供に関する米側の個々の要求のすべてに応ずる義務を有してはいないことである。」

「地位協定が個々の施設・区域の提供を我が国の個別の同意によらしめていることは、安保条約第六条の施設・区域の提供目的に合致した米側の提供要求を我が国が合理的な理由なしに拒否し得ることを意味するものではない。特定の施設・区域の要否は、本来は、安保条約の目的、その時の国際情勢及び当該施設・区域の機能を綜合して判断されるべきものであろうが、かかる判断を個々の施設・区域について行うことは実際問題として困難である。むしろ、安保条約は、かかる判断については、日米間に基本的な意見の一致があることを前提として成り立っていると理解すべきである。」

「このような考え方からすれば、例えば北方領土には施設・区域を設けないとの法的義務をあらかじめ一般的に日本側がおうようなことをソ連側と約することは、安保条約・地位協定上問題があるということになる。

 

伊勢崎賢治;布施祐仁.主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿(集英社).

 

 

2016年の来日の際、プーチンは、「日本が(米国との)同盟で負う義務の枠内で露日の合意がどのくらい実現できるのか、我々は見極めなければならない。日本はどの程度、独自に物事を決められるのか。我々は何を期待できるのか。最終的にどのような結果にたどり着けるのか。それはとても難しい問題だ」(「読売新聞」2016年12月14日)と日米安保条約の構造こそが問題だと指摘していた。

 

 

そのプーチンに対して、公衆の面前で自分たちの手で平和条約を締結する意思を改めて確認するように迫ったのは、安倍総理の方である。

2時間を超える遅刻を繰り返し、邪険に扱っても、それでも何度でも会談したいとまで言われれば、プーチンとしても考えざるを得ない。

もちろん、北方領土に米軍基地が置かれることは断じて容認できない。

その場で意思表明を求める安倍総理の呼びかけに答えるのは、前提を付けない平和条約という提案しかあり得なかった。

 

 

日本は、中国とも韓国とも領土問題を棚上げにして、平和条約(韓国とは基本条約)を締結してきた。

それならば、プーチンの提案にのって、平和条約を演出しても、別に悪くはないだろう。

国交回復と同時に結ばれた中韓とは異なり、通常、平和条約に盛り込まれる内容はすでに日ソ共同宣言で合意されていると孫崎享さんは指摘しているので、平和条約は見た目だけの殻のような内容になるようだが、それでもロシアとの平和条約という象徴的意味は大きいだろう。

米国覇権の後退の中で、アジアを目指すロシアと平和条約を締結して、東アジアの国として周辺諸国との間で立場を確立していくのは悪い話とは思えないのだ。

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安倍総理批判に熱心なあまり、4島一括返還の外交政策を台無しにしたとする批判が左翼の側からもなされている。
しかし、こうした批判は、二つの意味で対米従属を内面化させてしまう。
一つは、「北方領土が返還された場合には米軍基地を置く可能性を否定するな」との在日米軍の方針にしたがったままでは、永久に北方領土返還は実現しないという矛盾から目を背けているし、
二つは、もともと、米国に強いられた外交政策であった4島一括返還の方針を強固に内面化してしまうことになるからである。

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