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誤(当初記事)
中国と貿易協定を結んだ国は、他の加盟国からの通知によりUSMCAから離脱させられる。
いわば、米国によるUSMCA協定からの除名処分である(4項)。
毒薬条項を盛り込んだ日米FTAを締結して中国を排除することにしたとの共同声明を発して早々に、安倍晋三は、訪中した。
マスコミはその危うさを全く報じていない。
危うい曲芸を披露しているのに、それが伝わらないのは、安倍晋三にしても、不本意なのではなかろうか。
にしても、マスコミが中国が歓迎一色であるかのように報道しているのは、違うらしい。
習近平はにこりともしていないというのだ。
BSTBSの「サンデーニュースBizスクエア」が10月28日の放送で、テレビとしては、初めて日米FTA(TAG)の毒薬条項を取り上げた。
文春WEBで毒薬条項を紹介していた、春名幹男氏がゲストである。
春名幹男氏は、知らなかったが、元共同通信社ワシントン支局長、元共同通信社論説副委員長という立派な経歴をお持ちの米国政治通である。
いや、こんな人がBSニュースのゲストで、くすぶってちゃおかしいでしょう、と立場を超えて突っ込みたくもなる。
いかに何でも、もうそろそろ、地上波や新聞も毒薬条項を取り上げなきゃおかしいでしょう。
日刊ゲンダイ当たりが大々的に報道しない限り、隠蔽してすませるつもりなのか。
で、マスコミは、日中友好新時代などと仰々しく報道するが、これが危ういことは春名氏も感じておられたことがわかった。(大体、中国排除を宣言した直後に日中友好新時代など頭がいかれているとしかいいようがない)
もうお一方中国事情に詳しい専門家がゲストとして招かれていたが(お名前をメモし忘れてしまった)、この方も共通の認識のようだった。
とにかく、日本が米国の中国排除政策に取り込まれたことを、当然に知っている習近平は、にこりともしていない。
(そういえば、笑顔で外国首脳と握手するプーチンは見た事がないが、習近平はプーチンよりは賓客を笑って迎えるそうである)
調べてみたら、中国はすでに10月11日にUSMCAの「毒薬条項」に対して、報道官が「自由貿易協定(FTA)の目的はメンバー間の貿易に便宜を図ることにあり、メンバー国の対外関係を制約すべきではなく…」と批判し、強く反発している。
そりゃ習近平としては、にこりともするわけがない。
「俺は中国排除の仲間だ」と言いながら訪ねてきた安倍晋三をどうして笑顔で迎えられようか。
「北方領土には米軍基地を置くぞ」と言いながら、北方領土を返還せよと迫る安倍晋三をプーチンが邪険に扱うのと同じだ。
日本の近隣外交は、外交された側から見れば、頭がおかしいのではないかと疑われても仕方がないほどに矛盾している。
さて、で、マチベンは、今回の訪中劇をどう思うか。
わからないのである。
訪中についてはワシントンの許可を得ている(ワシントンと調整した)という報道もあるが、そういう報道が、米国の中国排除戦略との絡みが一体どうなっているのかを説明してくれる訳もない。
訪中したには、経済界が後押しした可能性はある。
表だって、米国に反対できないポチ経済界が、安倍晋三に無理矢理、訪中を勧めた可能性は排除できない。
時期的には、トランプが中間選挙終盤で、選挙に夢中モードで、極東の小国(後でいつでもひっくり返せる)のことなどに構っている暇がない時期を狙っている。
とりあえず、一帯一路への賛同ではなく、一定条件を付した第三国支援という枠組みも評価に値するだろう。
訪中報道のおかげで、一帯一路が、支援先国家を借金漬けにして返済不能に追いやり、国家を乗っ取るという、商工ローン並の悪質なものであることを初めて知った。
なるほど、経済侵略主義というのはそういう意味か。なにやらIMFとそっくりである。
スリランカが借金のかたに港湾を乗っ取られたのを見て、マレーシアのマハティールが計画を返上したり、他の国でも縮小や見直しにかかっているそうである。
日米FTAの交渉入り後に、中国排除の精神に反したことをすると、即、自動車関税の引き上げが待っているので(日米共同声明6項、7項)、交渉が始まる前の今しか、日中接近のチャンスがなかったこともあるかもしれない。
安倍晋三の訪中の成果の存否については、今後を見守るしかない。
11月2日(金)午後1時30分から2年振りにIWJでインタビューを受けることになったので、岩上安身さんにも評価を聞いてみたいところだ。
なお、米国の中国敵視がトランプ政権の外交戦略の要になっていることは、ペンス副大統領のハドソン研究所での演説(10月4日)で思い知らされる。この演説は、中国に対する非難に終始している。
中国国内の宗教的差別や政治的な不自由、IT監視による社会・世論支配、知的財産の剽窃、多額の補助金による産業育成、他国に対する過酷な介入、米国の内政に対する干渉など、40分以上にわたって演説したというが、読めば読むほどに「それって全部、米国の手口と一緒じゃん」と突っ込みたくなるほど粘着質な演説である。
海外ニュース翻訳情報局のサイトに下記の標題で全文が掲載されている。
【ペンス副大統領演説:全文翻訳】「中国は米国の民主主義に介入している」:ハドソン研究所にて
とりあえず極東の国民としては、新冷戦の前線をどこに引くつもりかが気になるところだったが、次のように述べている。
それって、一帯一路と完全にガチンコしてるやん。
このペンス演説は、冷戦の幕開けとなったチャーチルの鉄のカーテン演説(1946年3月)に比する向きもあるという。
自由で開かれたインド太平洋というビジョンを前進させるために、インドからサモアに至るまで、地域全体で価値観を共有する国々との間に、新たなより強固な絆を築いています。我々の関係は支配ではなく、パートナーシップの上に築かれた尊敬の精神から生まれています。
先週トランプ大統領が韓国との貿易協定の改善に署名したように、我々は二国間ベースで新たな貿易協定を締結しています。日本との自由貿易協定の歴史的な交渉をまもなく開始します。(拍手)
また、国際開発・金融プログラムの合理化を進めていることを報告します。我々は、中国の借金漬け外交に代わる公正で透明な選択肢を外国に与えるでしょう。実際、トランプ大統領は今週、BUILD Act (建設法) に署名する予定です。
来月、シンガポールとASEANとAPECのパプアニューギニアで米国を代表することを名誉に思います。そこで私たちは、インド太平洋地域を支援するための自由でオープンな新しい対策とプログラムを発表する予定です。そして大統領の代理として、インド太平洋へのアメリカのコミットメントがこれまでにないくらい強いものであったというメッセージを伝えます。(拍手)
最近は、テレビの海外ニュースで海外の人の発言を紹介する場合、もっぱら現地語でそのまま音声を放送し、字幕を流すスタイルが確立したようだ。(民放はまだ確立しきっているわけではないようだが)
多分、かなり最近になって統一されたという感覚だ。
グローバル化だから仕方ないよね。
二級国民(日本では英語ができない国民を二級国民と呼ぶ)は、字幕頼りにわかりやすそうなトランプの発言で、英語の聞き取り力を多少でも向上させよということか、などと諦めムードであったが、どうもそうはいかない重大な事実に気づいてしまった。
テレビは「ながら見」というスタイルを当然、予定しているわけだから、本当に二級国民は、困るのである。
料理しながら、洗濯しながら、テレビを聞いていると、肝心な部分が英語になる。
家事をしながら、テレビの前に駆け付けるほどの努力をするつもりもないし、それに値する内容かもわからない。
結果、ながら見では、ニュースの肝がわからないままである。
最近は、ドイツ語であろうがフランス語であろうが、、アラビア語であろうが、スペイン語であろうが、ポルトガル語やイタリア語であろうが、みんなこの方式で統一された。中国語であろうが、韓国語であろうが……
8カ国語以上がペラペラなスーパーグローバル人材をこの国は求めてるのよね。
『衰退途上国なのに、背伸びしてどうすんだよ。もっと一般国民を大切しろよ』などと毒づきながら、半ば諦めムードの二級国民であったのだが、眠りにつきながらテレビを流していて、はっと気づいたことがある。
視覚障害者は、これまで海外のニュースでも、現地の発言が日本語に吹き替えて放送されてきたから(テレビが作った虚構にしろ)、ニュースが報じる内容について、知る権利は不満足ながらも保障されてきた。
しかし、肝心の部分が外国語になってしまうと、視覚障害者の知る権利は一体、どうなるのだろうか。
某放送局で、副音声を試してみたが、副音声は確認できなかった。
テレビは、障害者雇用促進法に関する各省庁や裁判所の卑劣なごまかしを日々、伝えている。
結構な事である。
が、テレビ局ご自身が障害者差別解消法に基づいて課された努力義務に逆行して、視覚障害者を重要なニュース情報から排除し、視覚障害者の知る権利を奪っていっていることに気づいていない。
障害者に対する社会的障壁の解消を促進するのが障害者差別解消法の趣旨であるのに、たとえグローバル化を理由としたものであろうと、新しい社会的障壁を作ってはあかんでしょ。
と思いついて、おかげさまで、二級国民にも堂々とテレビの外国語放送に対して物言う根拠ができたので、物を言う。
障害者に優しい社会、幼い子どもに優しい社会は、全ての国民にとっても優しい社会なのである。
全てにふりがながついた内閣府のパンフレットは、安倍晋三くんにも優しいのだ。
第
一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
二 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備)
第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。
付記
中部弁護士会連合会(中弁連)の表現の自由介入事件について、新たな進展があった。
司法ジャーナリストととして長年の経験を有する河野真樹氏が関係者に取材の上、法律家の人権感覚の鈍磨を憂慮する記事を書いてくださった。
トランプ政権が“毒薬”の「中国排除条項」を日本に要求する
2018年10月23日 17時15分 文春オンライン
トランプ政権には何ら包括的な戦略などない、と目されていた。
貿易政策にも一貫した戦略が見られなかった。政権発足直後に「環太平洋経済連携協定(TPP)」から離脱したかと思うと、「北米自由貿易協定(NAFTA)」や「米韓自由貿易協定」の改定、さらに矢継ぎ早の関税引き上げで「米中貿易戦争」と一方的に政策を押し付けた。その目的は、米国内の雇用増といった保護貿易政策の一環とみられた。
■中国を封じ込めるための「中国条項」
しかし、この数週間で初めて、一貫した戦略が姿を現した。「米中冷戦」の深刻化にともなって、自由貿易のネットワークから、異質な中国を排除する戦略である。
実は米政府は、9月末に妥結したメキシコ、カナダとの3カ国から成る、NAFTA改め「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の中に、中国を封じ込めるための「中国条項」を設定していたことが分かった。
米政府は、日米間で開始が決まった「日米物品貿易協定(TAG)」交渉や「米・欧州連合(EU)自由貿易協定(FTA)」交渉でも、同じように「中国条項」を組み込むよう要求する構えだ。
日本は、中国も参加して年内妥結も見込まれる「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」を積極的に推進しているが、トランプ政権が日本のRCEP参加に反対する可能性があり、安倍政権は難しい立場に立たされそうだ。
■米議会レポートでは「中国」と明記
問題の「中国条項」とは、USMCA協定案(未批准)の32.10条「非市場国家とのFTA」のことだ。「中国」の国名は明記されておらず、「非市場国家」と規定されている。中国の市場は共産党独裁下の国家にコントロールされているという認識だ。
「中国条項」は、USMCA参加国、例えば対中貿易に肯定的とも伝えられるカナダが中国とFTAを締結すれば、3カ国のUSMCAは即廃棄、ということになる。
米議会調査局(CRS)が議員向けに配布したUSMCAに関するレポートでは、「非市場経済の国家(例えば中国)」とカッコ内に「中国」が明記されている。CRSのレポートはその上で、USMCAの「加盟国は、他の加盟国が非市場経済とされる国家とFTAを結べば、脱退することが認められる」と簡潔に説明している。
■ロス米商務長官は「毒薬条項」だと指摘
協定案32.10条には、手続きなどについても詳しく書かれている。
第4項では、協定加盟国が非市場国とのFTAを結んだ場合、「他の加盟国は、6カ月前に通告して協定から離脱し、2カ国協定に移行することが認められる」としている。
このほか、加盟国は、非市場国とFTA交渉を開始する場合、その「3カ月以上前に、他の加盟国に通告する」義務があり、調印1カ月前までに他の加盟国に協定案本文、付属文書すべてを検討する機会を与えなければならない、としている。
ウィルバー・ロス米商務長官はこの条項について、ロイター通信とのインタビューで「毒薬条項」だと指摘、中国市場の開放、法律順守を実行させ、知的財産権を尊重させ、輸出補助金の慣行をやめさせるため、圧力をかけるのが目的だと述べている。
さらに、日本にとって問題なのは、ロス長官が日本およびEUとの貿易協定交渉でも、この「中国条項」を協定に盛り込みたいとの計画を明らかにしたことだ。
■米国は「有志連合」の結成狙う
またラリー・クドロー米大統領補佐官(経済政策担当)は10月4日、「ワシントン経済クラブ」での演説で同じように、日本、EUとの交渉でも、USMCA協定と同じやり方を踏襲する戦略を明らかにした。
クドロー補佐官は、「中国条項」を同盟諸国などに拡大することによって、中国と対決する「貿易有志連合」を形成する、としている。「反中国」の新冷戦では、イラク戦争と同じように「有志連合」を形成するということだろう。
実は、9月26日の日米首脳会談後に発表された日米共同声明でも、中国に対する強い態度が表明された。
共同声明第6項は、「第三国の非市場志向型の政策や慣行から日米両国の企業と労働者をより良く守るための協力を強化する」と明記、さらに中国「国有企業」の不公正な貿易慣行に対する強い警戒感も示したのだ。
その約2週間後に日本は、安倍首相が10月25日から訪中し、習近平国家主席と首脳会談を行う予定を発表した。中国は対米関係の悪化にともなって、日本に接近しており、RCEPの妥結に向けて、日中合意を図る構えといわれる。
しかし、トランプ政権が明確に「中国条項」を提示して中国排除に動き出したため、安倍政権は米中の挟み撃ちに遭う可能性が高まってきた。
■トランプ大統領のゴリ押し外交が予想されるが……
一つの疑問は、「中国条項」が多国間協定のRCEPに適用され得るかどうか、という法的な問題だ。日本側は中国だけとの協定ではないと主張して、米側の要求をかわすことも考えられる。
先の日米首脳会談で、日本側は日米FTAの交渉を拒否し、物品貿易協定という日米間では新しい形態の取り決めを逆提案して、米側の同意を得た。
日本側は農産品や工業製品の関税に限定して交渉するという立場だが、すでにスティーブン・ムニューシン財務長官は「為替条項」の導入を求める考えを明らかにした。米側は今後も、先の日米共同声明の拡大解釈を続けるとみられる。
そもそも、自由貿易の世界的なネットワークから中国を排除して、封じ込める戦略なら、なぜTPPに参加しなかったのか、と反論したくもなる。オバマ前米大統領はそうした立場からTPPの基本合意を達成した。
しかし、トランプ大統領はこうした過去の大統領の成果をすべて否定して、自分の新たな業績で改めることを繰り返してきた。
日米物品貿易協定交渉については、「自動車への追加関税がなければ、交渉に応じなかった」と述べ、日本から輸入する自動車に対する追加関税を課すと「脅し」の材料にして、日本側を2国間交渉に引き込んだことを自賛している。
恐らく、RCEPにしても、「中国条項」にしても、トランプ大統領はゴリ押しの外交で米国の主張を通そうとするだろう。
10月25日からの訪中で、米中を相手にした安倍首相の二正面外交が本格化する。日米同盟に米中冷戦が交錯する新時代の幕開けだ。
(春名 幹男)
「『毒薬条項』悪魔は細部に宿る!?」
(ここに注目!)2018年10月18日 (木)
髙橋 祐介 解説委員
アメリカがメキシコやカナダと合意した新たな自由貿易協定に、中国との自由貿易協定を厳しく制限する条項が盛り込まれ、今後の日米交渉にも影響が出かねないとして、注目を集めています。髙橋解説委員です。
Q1)
“毒薬条項”って、恐ろしい響きのタイトルですが、いったい何のこと?
A1)
ハロウィンも近いのでイラストもコスチュームにしてみました。毒リンゴを食べたら死んでしまいます。同じように“毒薬条項”とは、その条項を発動すれば、契約そのものをご破算にすることが出来るというものです。主に企業の敵対的な買収を防ぐための対抗策などにも使われてきた言葉です。
アメリカは、NAFTA=北米自由貿易協定の見直しを求めて交渉した結果、今月までにメキシコやカナダと新たな合意を結びました。アメリカ通商代表部が公表したその条文案の中に、こんな文言が盛り込まれていました。3か国のうち1か国が「“市場経済でない国”と自由貿易協定を発効させれば」他の2か国は「この協定を“打ち切ることも出来る”」というのです。
Q2)
“市場経済でない国”って、中国のこと?
A2)
ずばり中国です。現に、ロス商務長官は、中国による知的財産権の侵害など、不公正な慣行を正当化するような“抜け道”を塞ぐのが目的だと言っています。要は「アメリカの知らないところでアメリカの意に反する合意を中国と結ぶな!」そう釘を刺したかたちです。当然中国は反発しています。そして問題は、これから日本と交渉する貿易協定にも同じような条項を取り入れたいと、トランプ政権が考えていることです。
Q3)
仮に日米協定にも、こうした“毒薬条項”が盛り込まれたら、どうなる?
A3)
いま日本が中国を含めて交渉している日中韓FTA=自由貿易協定やRCEP=東アジア包括的経済連携協定にも影響が出かねません。最悪の場合、日本企業は、アメリカ市場をとるか?それとも中国市場をとるか?いわば二者択一を迫られてしまうかも知れません。
そうした厳しい事態に追い込まれないためにも、“悪魔は細部に宿る”そうアメリカの格言に言うとおり、今後の日米交渉には、細心の注意が必要となるでしょう。
(髙橋 祐介 解説委員)
日米FTAには、TPP等のこれまでの貿易協定と質の異なる深刻な問題がある。
経済界から日米FTA反対が叫ばれないのが不思議なほどに、決定的に重大な根本問題である。
(経済界も、それほどに劣化したということなのかもしれない)
分かっているなら、真っ先に取り上げろよといわれても仕方がない問題点であるが、僕の力量では、どう取り上げたらいいのか未だに戸惑うほどの大きな問題だ。
日本との協定に対中貿易けん制の条項、盛り込む可能性=米商務長官
NEWSWEEK 2018年10月6日(土)08時36分
10月5日、ロス米商務長官は、新たな米国・メキシコ・カナダ協定に盛り込まれた中国との貿易協定締結を阻止する毒薬条項について、米国が今後締結を見込む日本や欧州連合などとの貿易協定にも取り入れる可能性があるとの認識を示した(2018年 ロイター/MARY F. CALVERT)
ロス米商務長官は5日、新たな米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に盛り込まれた中国との貿易協定締結を阻止する「毒薬条項(ポイズンピル)」について、米国が今後締結を見込む日本や欧州連合(EU)などとの貿易協定にも取り入れる可能性があるとの認識を示した。
ロス長官はロイターとのインタビューで、毒薬条項は中国の知的財産権侵害や助成金供与などの慣行を「正当化する」貿易協定の「抜け穴をふさぐ」ことが目的と説明した。
同条項が、他国と将来締結する貿易協定にも盛り込まれる可能性はあるかとの質問には「状況を見守ろう」としつつも、USMCAが先例となり、他の貿易協定に盛り込むことは容易になるとし、条項が「貿易協定締結の必須要件になるとの考えが理解されることになるだろう」と語った。
長官はまた、11月6日の米中間選挙まで米中通商協議に大きな展開があることは想定していないと語った。
新NAFTA(USMCA)には中国の通商協定を阻止する毒薬条項が盛り込まれており、日米FTAにもこれを盛り込むという。
協定締結に際して、中国と通商協定を締結しないことを約束させ、通商協定を通じて、中国敵視政策を強制するというのだ。
法的情報の精確さで定評がある「方谷先生に学ぶ」の「USMCA協定及び日米TAG協定、中国との通商交渉制限」(10月3日)を踏まえて、法的に跡づけておく。
新NAFTA(USMCA)協定には、次の規定が盛り込まれた。
第32条 例外と一般規定
第32.10条 非市場国とのFTA
1.USMCA締約国の一ヶ国が非市場国とのFTAを交渉する場合、交渉開始の3ヶ月前に、他の締約国に通知しなければならない。非市場国とは、本協定の署名日前に締約国が決定した国である。
2.非市場国とFTA交渉を行おうとする締約国は、他の締約国から請求があれば、可能な限りの情報を提供すること。
3.締約国は、他の締約国がFTA協定と潜在的な影響を調査するため。署名日の30日前に他の締約国がFTA協定の条文、附属書、サイドレターなど見直す機会を与えること。締約国が機密扱いを要求する場合、他国は機密保持を行うこと。
4.締約国が非市場国とFTAを締結する場合、他国は6ヶ月前の通知により、本協定(USMCA)を終了し、残りの二国間協定とする。
5.二国間協定は、上記締約国との規定を除き、本協定(USMCA)の構成を維持。
6.6ヶ月の通知期間を利用して、二国間協定を見直し、協定の修正が必要か決定する。
7.二国間協定は、それぞれの法的手続を完了したと通知してから60日後に発効する。
ロス商務長官はこの非市場国が中国であることを当然の前提としている。
米中貿易戦争の展開からも、非市場国が中国を指すことは明らかである。
中国と貿易交渉を行う国は、予め他の2カ国に通告し、交渉に関する情報を提供しなければならない(1~3項)。
カナダ、メキシコの一カ国でも中国と貿易協定を結んだ場合、米国はUSMCAから離脱するというのだ(4項)。
これは、中国との貿易協定に対してはUSMCAの特典を剥奪する、つまり経済制裁をかけると脅しているのに等しい。
そして、「日米共同声明」を読み解けば、この条項が、日米FTA協定にも盛り込まれることは容易に理解できる。
「日米共同声明」9月26日日米首脳会談
1.2018年9月26日のニューヨークにおける日米首脳会談の機会に、我々、安倍晋三内閣総理大臣とドナルド・J・トランプ大統領は、両国経済が合わせて世界のGDPの約3割を占めることを認識しつつ、日米間の強力かつ安定的で互恵的な貿易・経済関係の重要性を確認した。大統領は、相互的な貿易の重要性、また、日本や他の国々との貿易赤字を削減することの重要性を強調した。総理大臣は、自由で公正なルールに基づく貿易の重要性を強調した。
2.この背景のもと、我々は、更なる具体的手段をとることも含め、日米間の貿易・投資を更に拡大すること、また、世界経済の自由で公正かつ開かれた発展を実現することへの決意を再確認した。
3.日米両国は、所要の国内調整を経た後に、日米物品貿易協定(TAG)について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する。
4.日米両国はまた、上記の協定の議論の完了の後に、他の貿易・投資の事項についても交渉を行うこととする。
5.上記協定は、双方の利益となることを目指すものであり、交渉を行うに当たっては、日米両国は以下の他方の政府の立場を尊重する。
-日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること。
-米国としては自動車について、市場アクセスの交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること。
6.日米両国は、第三国の非市場志向型の政策や慣行から日米両国の企業と労働者をより良く守るための協力を強化する。したがって我々は、WTO改革、電子商取引の議論を促進するとともに、知的財産の収奪、強制的技術移転、貿易歪曲的な産業補助金、国有企業によって創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米、また日米欧三極の協力を通じて、緊密に作業していく。
7.日米両国は上記について信頼関係に基づき議論を行うこととし、その協議が行われている間、本共同声明の精神に反する行動を取らない。また、他の関税関連問題の早期解決に努める。
「知的財産の収奪、強制的技術移転、貿易歪曲的な産業補助金、国有企業によって創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行」を有する「非市場志向型」の「第三国」が中国を指すことは明らかである。
そして、中国対策について緊密に作業していかなければならないことが合意されている。
日米FTAに中国との通商協定を禁止する条項が入ることは不可避である。
むしろ、ロス商務長官の発言から示唆されるように、これが現在及び将来の米国の通商政策の肝となるのである。
日米FTAは、日本に対して、お前は敵なのか、味方なのかという、単純で、かつてなく重大な二者択一を突きつける。
中国と貿易戦争を続ける米国は、単純な敵味方論を日米FTAを通して突きつけるのだ。
これが1970年代であれば、この選択は、これほどの重大さは持たなかっただろう。
しかし、現在の世界経済の中で、巨大な経済力を有する隣国であり、さらに巨大なポテンシャルを持つ中国を経済的に敵とみなせというのは、あまりにも影響が甚大で、日本が深刻な凋落をたどることは目に見えている。
いや、即刻、没落するかもしれない。
この問題を、「田中宇の国際ニュース解説」の「中国でなく同盟諸国を痛める米中新冷戦」(2018年10月16日)は総合的に分析している。
トランプは、このような同盟諸国のお得な状況を破壊している。トランプは、自由貿易体制が米国に不利益を招いていると言って、同盟諸国が無関税で米国に輸出したり、同盟諸国が中国と自由貿易協定を結ぶことに反対している。先日、米カナダメキシコの自由貿易協定であるNAFTAが改定されてUSMCAになったが、今回の重要な改定点は、カナダやメキシコが中国と自由貿易協定を結ぶことに、米国が拒否権を発動できる新体制を作ったことだ。この新体制は、今後もし日本が米国と2国間貿易協定を結ぶと、そこにも盛り込まれる。USMCAは、今後米国が世界各国と結ぶ貿易協定のモデルとなる。米国と貿易協定を結ぶ国は、米国が敵視する国との自由貿易ができなくなる。 (The balance of China, Japan, and Trump’s America Joseph S Nye)
このUSMCAの新体制と、今回のトランプ政権の米中新冷戦の体制とをつなげると、同盟諸国を困窮させる未来像が見えてくる。米国との同盟関係を維持したければ、中国との貿易をあきらめろ、という二者択一の未来像だ。同盟諸国は、中国との貿易をあきらめても、米国に自由に輸出できるわけでない。対米輸出には、すでに懲罰的な関税がかけられている。メキシコとカナダは、米国とUSMCAを結ぶ際、メキシコの最低賃金上昇、カナダの乳製品輸入など、新たな対米譲歩を強いられた。 (Japan's Abe pursues China thaw as U.S-Beijing ties in deep freeze)
改定後のUSMCAは、改定前のNAFTAに比べて「米国主導」の色彩が強い。米国が北米の地域覇権国であり、中国が東アジアの地域覇権国であるという、きたるべき多極型の世界体制を先取りしているのがUSMCAだ。USMCAの東アジア版が、中国主導の貿易協定であるRCEPだ。カナダやメキシコに対する米国の支配強化が許されるのなら、東南アジアや朝鮮半島に対する中国の支配強化も許される。それがきたるべき多極型世界のおきてだ。 (China Has Already Lost This War...)
加えて今後、米国から同盟諸国への安全保障の「値上がり」も続く。日本は米国から「在日米軍に駐留し続けてほしければ、貿易で譲歩しろ」と言われ続ける。日本の官僚独裁機構(とくに外務省など)は、対米従属(「お上」との関係を担当する権限)を使って国内権力を維持し続けているので、米国からの安保値上げ要求を無限に飲んでいきそうだ。
日本では以前、対米従属と経済発展が一致していた。米国は世界最大の市場で、日本製品を自由に輸出できたし、日米安保は安上がりな軍事策だった。日本において、財界と官僚機構の利益が一致していた。だが今は、もはやそうでない。日本企業にとって最大の取引相手は中国になっている。財界は、中国と仲良くしたい。だが、官僚機構は対米従属を維持しないと権力を維持できない。米国がトランプになって、覇権放棄や日米安保の「値上げ」を言ってくるようになると、財界は安倍政権を動かして中国に擦り寄らせた。 (トランプに売られた喧嘩を受け流す日本)
安倍政権の日本は、対米従属と中国擦り寄りの間で何とかバランスをとってきたが、今後は、このバランス取りがさらに難しくなる。対米従属を維持するため、米国との2国間貿易協定を結び、トランプの新冷戦につき合って中国との関係を断ち切るのか、それとも米国との貿易協定の交渉が決裂していくのを容認し、在日米軍の撤退を看過しつつ、中国との関係を親密化していくのか、という2者択一だ。トランプは安倍に2者択一を迫る。玉虫色の曖昧な「両方取り」は許されなくなる。 (America's Iran Policy is Helping China Advance Its Vision of a Multipolar World)
10月18日のIWJの孫崎享さんのインタビューでは、岩上安身さんと孫崎さんが、中国経済がこの数年で一変する勢いであることを語っていた。
等々、僕の要約は正確さを欠くので、是非視聴して頂きたいが、日本で知らされている中国の姿とは大幅に異なる内容だった。
一方で、ウラジオストックを中心としてアジアを志向するロシアの構想もすでに動き始めている。
中ロは連携しているので、中国主導の一帯一路構想と、ロシア主導のユーラシア経済連合が融合していく可能性が大きい。
極東地域の経済的ポテンシャルは歴史上かつてなく高まっている。
経済の極は欧米からアジアへと完全に移行しつつあるのである。
絶好の好立地にある極東の島国として、米国が迫る二者択一に対する回答は、『中国を選ぶ』と答えるほかあり得ない。
よって、日米FTAの締結など、断じてあってはらない。
今のところ、米国がちらつかせているのは、自動車関税だけである。
しかし、仮に日米FTAが締結されれば、米国の要求を際限なく呑み続けるほかなくなる。
米国は、日本に対して、米国に倣って中国を制裁するよう次々と求めてくるだろう。
日本は、中国制裁(対中貿易の削減・停止)のために凋落しきるまで余力を使い果たすだろう。
恐ろしい未来図である。
今なら、自動車関税ごときは、どうにでもなる。
トヨタを初め日本の自動車産業は、ほぼ同時期に相次いだ、東日本大震災による供給工場の停止、タイの洪水によるタイ工場の操業停止でも余裕でこれを乗り切ったように見える。
トヨタに至っては、真偽不明なリコール騒動により、同時期に米国で、裁判所、州政府、連邦政府から合計一兆円近い賠償や制裁を科されても、びくともしなかったように見える。
自動車関税に対しては、自動車産業は、巨額な内部留保を取り崩せばいいだけのことだ。
在日米軍には、さっさとお引き取りいただこう。
というか、半占領状態から逃れ、独立を勝ち取る絶好の機会である。
経済界こそ、真っ先に日米FTAに対する反対を叫ばなければならない。
米国に隷従することに存在意義を見いだす、ごく一部を除いて、誰が見ても、日米FTAを結ばないという選択以外に正解はあり得ない。
この問題については、さすがのNHKも無視できない。
10月18日(木)の朝6時台のニュース解説で取り上げていた。
文字通り「毒薬条項」と呼んでいたのには驚いた。
現に進行中の日中韓FTAやRCEP交渉にも直接の影響が出ると憂慮する内容だった。
RCEPは東南アジア諸国連合10カ国に、中国、インド、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドの6カ国が加わった経済連携交渉である。ジェネリック医薬品等内容上の問題があるが、これに参加しないという選択もまた、アジアの国としてはあり得ない。
中国と貿易交渉をするなということは、日本に対して、アジアの国であることをやめて、遠く太平洋を隔てた米国の、アジアの最前線の捨て石になれということである。
恰も、本土が沖縄を捨て石とし続けるように、日本を捨て石としようということである。
トランプの米ロ中距離核戦力全廃条約(INF)破棄の表明によって、一気にきな臭くなっている。
米中貿易戦争に加えてロシアとの核戦力拡大競争へと転換しようというのだ。
ロシアをますます中国との連携へとおしやるように見える。
米国主導でWTO改革をすると言っている。
大泥棒(理由はこちら)が改革するなど、盗っ人猛々しいというほかない。
WTO協定の改定は、当然、全参加国の一致が必要である。
中ロが飲むはずのない条件を突きつけるトランプのいうWTO改革は、多分WTOの分割である。
いや、それはそれで、教条的なグローバリストどもが慌てふためく様子が見えて面白いのではあるが、日米FTAに至っては、他人事ではいられないのである。
米国が、世界の警察官であることができないことを熟知しているトランプは、世界の市場が二分されていた冷戦時代に世界を巻き戻そうとしているように見える。
付記 10月30日
春名幹男氏の文春WEB掲載記事を踏まえ、USMCAの32・10条4項の読み方が誤っていたことがわかり、訂正しました。
誤
中国と貿易協定を結んだ国は、他の加盟国からの通知によりUSMCAから離脱させられる。
いわば、米国によるUSMCA協定からの除名処分である(4項)。
正
カナダ、メキシコの一カ国でも中国と貿易協定を結んだ場合、米国はUSMCAから離脱するというのだ(4項)。
これは、中国との貿易協定に対してはUSMCAの特典を剥奪する、つまり経済制裁をかけると脅しているのに等しい。
今、市民のビラまきなどの街頭宣伝活動に警察が介入してくる例が全国的に広がっています。
警察が持ち出してくる道交法違反という理由は全くのデタラメです。
そんな時に市民の側に立って、警察の横暴をやめさせる心強い味方が人権擁護を使命とする弁護士です。
そうした弁護士が表現の自由という基本的人権の重要性を理解していないとすれば、市民の人権や市民運動は危機に陥ってしまいます。
以下に紹介する事件は、単なる弁護士会内部の内紛にしか見えないかもしれませんが、本質は、弁護士会内の少数意見を圧殺しようとして弁護士会自身が表現の自由を蹂躙した事件です。
人権擁護を使命とする弁護士会がたとえ内部の者に対するとはいえ、表現の自由を侵害することを認めてしまえば、そんな弁護士に人権の擁護を期待することができるでしょうか。
その意味でこの事件は、裁判所の構成員である裁判官自身の表現の自由が侵害された岡口裁判官の事件と共通する問題を持っています。
_____________________________________
裁判官の表現の自由が問われた岡口基一裁判官分限事件の衝撃も冷めやらぬ中、今度は社会正義を実現し、基本的人権を擁護することを使命とする中部弁護士会連合会が、憲法で保障された表現の自由である公道上のビラまきに介入する事件が発生しました。
ロースクール制度導入以来の弁護士激増政策は、米国の対日年次改革要望書にしたがったものです。
日弁連や中部弁護士会連合会の主流派も弁護士激増政策を支持し、法曹志願者が激減した現在も、未だにこれを推進し続けています。
弁護士激増政策に反対する弁護士らが、中部弁護士会連合会の総会会場前の公道上で、ビラをまいて自らの主張を訴えていたところ、中部弁護士会連合会役員によって、禁止されるという驚くべき介入がなされました。
中部弁護士会連合会は、表現の自由が最も尊重されるべき基本的人権の一つであることを知らないのでしょうか。
千葉県弁護士会前会長である及川智史弁護士のツイートの画像を貼り付けます。
当然ながら、よほど交通を遮断したりしない限り、ビラ配りが道交法に違反するようなことはあり得ません。
基本的人権である表現の自由を舐めたらあかんぜよ中部弁護士会連合会 ヽ(`Д´)ノ
ああ、中部弁護士会連合会は、表現の自由の本旨である少数意見の尊重の精神を蹂躙して弾圧したかったというわけですね( *`ω´)
弁護士の代表者がこんなことをするのは及川さんにとってだけでなく、国民にとって、大変な不幸です‼️
「法律により罰せられることがあります」と書かれた看板=神奈川県藤沢市で(自由法曹団神奈川支部提供) |
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街頭宣伝やビラ配りを禁じるため駅前などに設置された看板を巡り、自治体が「設置根拠はなかった」として撤去する事例が神奈川県内で相次いでいる。弁護士団体が「憲法が保障する表現の自由に反するのではないか」と指摘したのがきっかけとなった。同様の事例は全国各地にあるとみられ、弁護士団体は「行政による過剰な規制を防ぐ動きを広げたい」としている。
自由法曹団神奈川支部が二十二日に発表した。それによると、看板は自治体や警察署の名前で「警告 この場所での物品の販売、宣伝活動、ビラ・チラシの配布等の行為を禁止します」「法律により罰せられることがあります」などと書かれている。
同支部はこうした看板を新横浜駅(横浜市港北区)や橋本駅(相模原市緑区)、藤沢駅(同県藤沢市)など八カ所の駅前広場や歩行者通路など公共用地で確認した。
道路交通法では道路に立ち止まって通行を妨げることなどを禁じ、交通への影響が大きい場合は許可制としているが、過去の裁判例ではビラ配布やプラカードを掲げる行為は許可なしでも合法とされる。このため、同支部は看板が表現の自由を保障する憲法二一条に反するとして、法的根拠をただす質問状を先月から各自治体に送った。
これに対し「誤解を招く可能性もある」(横浜市港北土木事務所)と不適切だったことを認める回答があり、市内二カ所で既に撤去したほか、取り外す予定との回答もあった。
同事務所は本紙の取材に「露店を規制するため二〇一三年に警察の依頼で設置したようだが、担当者が代わり詳細は分からない」と説明した。
同支部事務局長の川口彩子弁護士は「看板を見て、街頭活動に許可が必要だとか、ここでは活動できないとか思う人もいる。法的根拠はないので看板があっても萎縮しないでほしい」と話している。 (梅野光春)
2016年12月、プーチン大統領を私の故郷(ふるさと)、長門(ながと)にお迎えし、2人で日露関係の将来についてじっくりと話し合い、北方四島において共同経済活動を行うための特別な制度に関する協議の開始、元島民の方々による自由な墓参の実現について約束しました。そして、長門の地で平和条約問題の解決に向けた真摯な決意を共有しました。聴衆の皆さん、この長門での約束は、着実に実施されつつあります。日露関係は今、かつてない加速度で前進し始めています。プーチン大統領と私が約束した両国協力のプランは、150以上に上ります。うち半数以上が、もう現実に動いているか、今正に動こうとしています。お見せするビデオが、そこを雄弁に教えてくれます。ではビデオを御覧いただきます。(ビデオ上映)いかがでしょうか。一本貫く太い流れをお感じいただけたでしょうか。8項目の協力プランの実現を通じて、ロシア住民の生活の質の向上が、皆様にも実感できるようになるのではないでしょうか。ロシアと日本は、今、ロシアの人々に向かって、ひいては世界に対して、確かな証拠を示しつつあります。ロシアと日本が力を合わせる時、ロシアの人々は健康になるのだというエビデンスです。ロシアの都市は快適になります。ロシアの中小企業はぐっと効率を良くします。ロシアの地下資源は、日本との協力によってなお一層効率よく世界市場に届きます。ここウラジオストクを始め、極東各地は、日露の協力によって、ヒト、モノ、資金が集まるゲートウェーになります。デジタル・ロシアの夢は、なお一層、早く果実を結ぶという、そんな証拠の数々を、今正に、日本とロシアは生み出しつつあります。
Gilbert Doctorow
2018年9月15日 土曜
Russia Insider最初に、安倍首相は仲間外れだったことを指摘せねばならない。彼は全体会議での演説を主に、この世代のうちに、彼自身とウラジーミル・プーチンの任期中に、ロシアとの平和条約を締結しようという嘆願に割いた。対照的に、他の外国指導者全員が、彼らのロシアと極東地域における、進行中および計画中の大規模投資活動を生き生きと語った。安倍には、ロシアとの他の国々の協力に匹敵するようなものがほとんどなく、ロシアにおける取るに足らない日本の取り組みに人間的な顔をかぶせるはずのビデオを上映して補おうとした。映画は、二年前に、全て、二国間関係を新たな高みへと導くため、安倍が提示し、ロシアが受け入れ、日本がロシアで実施している150のプロジェクト中の様々な医療関連やハイテク関係のプロジェクト(交通管理、廃棄物処理)の概要だ。日本のプロジェクトは皆安上がりだ。全てが規模の上で実にささやかで、東京が言う通りにロシアが平和条約を調印さえすれば、つまり南千島四島の日本主権への返還に同意すれば、人々の生活向上のため日本がロシアに授けることができる偉大な支援を示唆するよう仕組まれている。
ロシアにおける日本の協力プロジェクトにまつわるビデオと詳説の効果は、安倍が意図していたであろうものと真逆だ。だが、それは現在のロシアと日本の交渉上の相対的立場に対する彼の全く時代後れの理解と完全に一致している。映画編集上の偏向は全く一方的だ。豊かで技術的に優れた日本が、感謝に満ちたロシアに手を差し伸べるのだ。これは、全ての参加国が、いかに開発計画の緊密な協調や、相互の貿易と投資でお互いに助け合うかと言って、フォーラムで語る他の外国指導者たちの全体的主題と矛盾する。
液化天然ガス輸出用のロシア向けの高度な船舶の主要輸出国でありながら、ウラジオストック近くのロシア最大の造船複合体建設(ズヴェズダ)への韓国の参加に触れた韓国首相のプレゼンは、このバランスのとれた、双方共に利益を得られる取り組み方に見える。北朝鮮との関係が正常化され次第、トランス-シベリア経由、更にはヨーロッパへの鉄道輸送を実施したいという韓国の熱意だ。スエズ運河経由、あるいは海上輸送で、アフリカの角を周回する航路の代替としてロシアが開発したがっている北海航路インフラへの韓国参加もそうだ。
ロシアとの共同エネルギー・プロジェクト、ロシアの鉄道と港湾インフラ経由での石炭出荷拡大の既存と計画中両方の計画/希望を説明するモンゴル大統領の演説でもこれを見た。
ロシアに対する安倍晋三の手法は、日本が力強いアジアの虎として、世界的尊敬と羨望を享受し、アメリカ合州国の不動産をあちこちで買い占めており、ソ連が、景気衰退ではないにせよ、深刻な景気停滞にあり、エネルギー資源の新たな買い手と新たな投資家を探している時期の1970年代と1980年代にさかのぼる。
現在中国は、日本が40年前に、そう装っていた戦略的パートナーの地位を占めている。中国はロシアの主要な融資家で、投資家で、顧客だ。中国は日本が昔そうであり、今もそうであるような、ハイテク供給者として、高い位置にはないかも知れないが、民間航空分野などのハイテク共同開発で、中国はロシアと対等のパートナーだ。
現在の中国貿易と投資の重要性は、フォーラムで目立つメッセージの一つだった。二国間交渉後の記者会見で、ウラジーミル・プーチンは、中国との二国間貿易は今年20%以上伸びて、1000億ドルを上回ることを認めた。一方、全体会議での演説で、1000億ドルという数値が再び現れた。今度は、極東やバイカル地域に対する中国-ロシア共同投資プロジェクトの価値の数値化だ。
この背景に対し、日本の投資規模と安倍の150の協力プロジェクト全体は二桁小さい。こうした“ニンジン”で、日本の条件に同意し、平和条約締結するようロシアを動かせるという考えは全く非現実的だ。
安倍は、主権放棄にロシアが抵抗している点を意図的に無視して、南千島の共同統治のための鼻薬を提案した。本当の問題点を、全体会議中のウラジーミル・プーチンへの質問で、セルゲイ・ブリリョフが直接提起した。北方諸島が、もし日本主権になれば、アメリカ軍事基地の更なる駐留基地、特に弾道弾迎撃ミサイル装置配備地になるというロシアの懸念を二人の指導者は話し合わなかったのか。プーチンは話したと言ったが、安倍は平和条約締結への障害として、無視することを選んだ。
求められている平和条約を実現するための“ふとおもいついた”提案だと言って、プーチンは演壇で、二国は“前提条件無しに”年末までに平和条約調印を進めようと提案した。そこで、友人となってから、両国はより強い相互信頼で、北方諸島のような厄介な問題に取り組むことができるだろう。この提案を、後に安倍は始めて聞いたと認めたが、後で同席していた日本人外交官が実行不能だと切り捨てた。
言い換えれば、ロシアが日本を、アメリカ合州国とペンタゴンの「隠れ馬」と見なしている限り、ロシアは主権の譲渡に同意しない。しかも、フォーラムでの彼の振る舞いで、またしても安倍は、ロシアといかなる協定を結ぶよりも、核の傘のため、ワシントンのご主人への服従が、彼にとって、より重要であることを示したのだ。演壇の5人の指導者中で彼だけ、ドナルド・トランプの名を挙げた。斬新かつ大胆に北朝鮮に手を差し伸べ、金正恩とサミット会談をしたと、度を超したトランプ称賛をした。最初に、更に再度、南北朝鮮間や、アメリカと北朝鮮間の会談を建設的大団円に導いた韓国指導者文在寅の取り組みに、彼は全く触れなかった。
フォーラムで明らかになった、そしてそれを更に遥かに超える地域の戦略的、大規模経済統合の地図のどこにも日本の姿はない。他の結束力は、中国の一帯一路構想とユーラシア経済連合だ。安倍晋三の日本は、北東アジアにおける日本の地理的、事業的環境からほとんど切り離された、アメリカ前哨基地のままだ。日本は地域全体を活性化している活力に満ちた過程を見逃している。フォーラムで、中国は2,000人を超える実業家と政府の代表団を擁する最大の参加国だった。フォーラムで明らかになった安倍晋三のような生気がなく、小心なリーダーシップの下、日本は日の沈む国となる運命にある。
もし、一帯一路が実現すれば、ロシアの鉄道網とジョイントする。
ユーラシアの経済圏はモノ凄いことになる。
下は、「L'Arctique : Les enjeux géopolitiques - De Pékin à Montréal… en train」(北極圏: - 北京からモントリオールへつながる鉄道計画の地政学的問題)というフランスのウェブサイトの記事である。
この巨大な鉄道計画図には、サハリンから日本を縦断して、福岡当たりから朝鮮半島釜山への鉄道が描かれている。南北朝鮮を縦断した鉄道は、そのまま中国を経由してウラジオストクでシベリア鉄道に結ばれる。
以下、新NAFTA(USMCA)協定でISDS条項に死亡宣告がなされたことを前提にして、日米FTAにおけるISDS条項の扱いについて僕の見通しを述べる。
前記リンクの記事で、僕が祝ったのは、世界のために祝ったのであって、日本のためには祝っていません ( ̄^ ̄)
日米FTAでISDS条項は入るか否かと言えば、確実に入るというのが、結論です。
その意味では、「ISD条項の罠 総集編」でトランプがISDSは要らないと言うのに、安倍がISDSを主張するという僕の戯れ言は、根本的に間違いで、ミスリードでした m(__)m
トランプは恐ろしいのです。
見くびってはなりません (`・ω・´)
少なくとも遠くない将来に、世界において、ISDS条項は、遺物扱いされて、廃止に向けての動きが本格化していくはずです。
「主権国家」を前提にする限り、ISDSは大いなる矛盾だから、そうなるはずです。
新NAFTA(USMCA)協定においてISDS条項が廃棄されたのは歴史的な出来事であり、世界に対する福音です 888888 (^^)//””””””パチパチ
日米FTA協定で、ISDS条項がどうなるのかは、新NAFTA(USMCA)協定の案文確定直前である9月24日(米国時間)に署名された改正米韓FTAでISDS条項がどう扱われたかが直接的な参考になる。
米韓FTA改正案に署名、自動車で米の要求反映
日本経済新聞 2018/9/25 6:22
【ニューヨーク=恩地洋介】トランプ米大統領と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は24日夕(日本時間25日未明)、ニューヨーク市内で会談し米韓自由貿易協定(FTA)改正案に署名した。米国仕様の自動車を韓国で販売できる台数をメーカーあたり年5万台に倍増するなど、自動車を中心に米国の要求を反映。韓国のウォン安誘導を禁じる「為替条項」について、強制力のない付帯協定も加えた。
改正FTAは両国の国内手続きを経て年明けにも発効する見込み。トランプ氏は署名式で「新協定は貿易赤字を削減し、米国産品の輸出を大幅に拡大する」と強調。「米国と韓国が貿易のための友好協力関係の例を示した」と語った。
柱の自動車分野は、韓国製ピックアップトラックに課す関税の撤廃期限を現行の2021年から41年に延長する措置も盛った。鉄鋼に関しては、韓国は米国向けの輸出を2015~17年の平均の7割に抑える。為替条項の付帯協定は米国への輸出拡大を狙った韓国の通貨安誘導を防ぐ狙いがある。競争的な通貨切り下げを禁じ、透明性と説明責任を求める内容だ。
改正交渉は今年1月に始まり、わずか3カ月で大筋合意に至った。その過程では、米国が在韓米軍の撤退論や鉄鋼関税の適用を持ち出して韓国に早期妥結への圧力をかける威圧的な姿勢を見せた。
「改正交渉は今年1月に始まり、わずか3カ月で大筋合意に至った。その過程では、米国が在韓米軍の撤退論や鉄鋼関税の適用を持ち出して韓国に早期妥結への圧力をかける威圧的な姿勢を見せた。」というのは、来年1月にも開始される、日米FTA交渉の行方を予想させてあまりある。
軍歴に秀でた文在寅にして、無抵抗でひねり潰された体である。
ましてや、お坊ちゃまをや。
記事では、ISDS条項について触れるところは全くない。
韓国紙が伝えている。
韓米FTA改正、ISDS請求の乱発は制限したというが…政策主権の確保は“不十分”
ハンギョレ新聞 登録:2018-09-04 07:01 修正:2018-09-04 09:42
韓米FTA改正の協定文全文公開
政府「政策主権の保護要素を反映」
些細な請求の阻止に改善の焦点当てる
表現が曖昧で政策主権の確保には限界
「ISDS廃棄の推進はNAFTAを参照すべき」
韓米自由貿易協定(FTA)改正交渉//ハンギョレ新聞社
今年3月末「原則的な妥結」が発表された韓米自由貿易協定(FTA)改正協定文の全文が3日、公開された。
政府は米国の投資企業・資本によるISDS(海外に進出した企業が、その国の急な制度の変更などによって損害を受けた場合、国を相手取り国際的な仲裁機関に訴訟を起こすことができる紛争解決手続き)請求の乱発を制限し、政府の正当な政策の主権の保護の要素を協定文に反映したと説明した。しかし、ISDSの請求要件である内国民待遇・最小待遇基準・最恵国待遇(MFN)が「(請求可能な協定違反かどうかは)正当な公共の福祉目的に基づいて差別しているかどうかを含めた全体状況にかかっている」とか、「些細な請求を根絶して防止するための効果的なメカニズムを提供する」など、“曖昧に”なっていると指摘されている。エリオットなどがサムスン物産の合併件を理由に、韓国政府を相手にすでに請求したISDS紛争は影響を受けない。
3月末の協定の妥結当時、韓国政府は「ISDS改善」を代表的な交渉の成果として掲げた。実際に改正協定文を見てみると、ISDSを盛り込んでいる「投資」チャプター(第11章)第11.3~5条(ISDS請求要件の韓米FTA協定文上、内国民待遇・最小待遇基準・最恵国待遇の違反)と関連し、大きく7つの項目にわたって変更が行われた。ISDSの乱発を抑制する条項は、▽同一な政府政策措置に対し2国間の投資保障協定(IBT)など他の投資協定を通じてISDSの手続きがすでに開始・進行された場合、韓米FTAを通じたISDS提起は不可能で▽仲裁判定部が本案前の抗弁の段階で迅速な手続きを通じて決定できる事由に「明確に法律上の理由のないISDS請求」が追加された。また、▽他の投資協定上の紛争解決手続きの条項を適用するため、韓米FTAの最恵国待遇条項を援用できないという点▽ISDS請求の際、韓米FTA違反の可能性などすべての請求の要素について、投資家の立証責任を明示し▽「設立前の投資」に対するISDS請求要件を具体的な行為(許可・免許申請など)をした場合に制限した。請求の範囲を縮小したわけだ。
政府の正当な政策の権限の保護については、「同種の状況」で米国投資資本を(韓国企業・資本に比べて)差別的に待遇したかについての判断基準に「正当な公共の福祉目的に基づいて区別しているかどうかなどを考慮する」という内容が追加された。また、投資者の期待に合致しないという単純な事実だけでは、投資に損害が発生しても、最小基準待遇の違反ではないという点を明確にした。
しかし、「正当な公共の福祉目的」の場合、内国民待遇に違反するかどうかについては、「この目的の有無を含む全体状況にかかっている」として、多少曖昧に記述されている。たとえ公共の福祉目的であっても、「全体状況によって」は、ISDSの請求もあり得るということだ。さらに、協定文の附属書は「(韓米FTA共同委員会が)投資紛争で些細な請求を根絶して防止するためのすべての潜在的改善を考慮する」と明示し、今後ISDSの手続きの改善のための追加改定の根拠を作った。つまり、今回のISDSの条項の改善は「些細な請求」を阻止する方向に焦点が当てられているだけで、韓国政府の国家政策の主権を完全に確保したわけではないことを示唆する。
特に、ドナルド・トランプ政府の米通商当局は妥結が間近になった北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉で、「事実上のISDS廃棄」と国際投資者の広範囲なこれまでの権限を大幅に縮小する方向へ「NAFTA式ISDS」に対する重大な変更を図っている。そのため、韓国政府が、NAFTAのISDSモデルに基づいている韓米FTAのISDSも、廃棄に準ずる方向での追加改定交渉に乗り出すべきだと指摘されている。ソン・ギホ弁護士(民主社会のための弁護士会)は「今回、ISDSが進展した内容に改正されたが、実際には起きる可能性が低いISDS乱用の事例を主に取り上げているだけで、現在進行中のエリオットのISDS事件などを解決することは難しい」とし、「NAFTA再交渉で米国がISDSに対して根本的な変更を加えているため、韓国政府が主体的に“廃棄”などを含めた追加的なISDS改正を要求する必要がある」と話した。
ユ・ミョンヒ通商交渉室長は同日、「ISDSの条項は最近、ISDSをめぐる国際的コンセンサスの重要な中核要素を忠実に反映した」と説明した。
一方、革新の価値が認められれば、薬価から10%を優遇している韓国保健当局の「グローバル革新新薬の薬価優遇制度」は、韓米FTAに合致する方向で年内に改正案を作成することにした。健康保険審査評価院は今年3月末、韓米FTA妥結直後から同制度の施行を猶予し、改正事項を検討してきた。自動車の場合は、米国産自動車を修理するための部品交替(部品自己認証)の際、米国の安全基準を満たせば、韓国の安全基準を満たしたものと韓国自動車管理法で見做しており、年間販売量4500台(2009年基準)以下の米国車に緩和された環境(燃費・温室効果ガス)の基準を適用する「小規模制作会社」制度(2021~25年適用)の詳細な基準および緩和の割合を、韓米両国が協議して後日確定することにした。
韓米両国は3月末に原則的妥結を発表してから、これまで改正協定文文案を調整しており、米国は議会協議手続きをすでに完了して、発効に向けた自国内手続きを終えた。韓国側は近いうちに大統領の裁可・署名を経て、国会に批准同意案を提出する予定だ。両国は発効に必要な国内手続きを今年末まで完了し、国内手続き進行途中で発生する両国間の通商関連懸案は協議を通じて解決策を模索することにした。
チョ・ゲワン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
ざっくり見た範囲では、改定米韓FTAでは、TPPと同じ程度の手直しが加えられたフル装備のISDS条項が採用されている。
政権側が、「濫訴防止策を取った」と苦しい説明しているのも安倍政権とそっくり同じである。
政策主権が回復されないとするハンギョレ紙の主張は、当然である。
批判が穏やかすぎるくらいである。
そうなのである。
進歩派と呼ばれ、南北和解を主導している文在寅率いる韓国も、赤子の手をひねるようにあっさりと押し切られて百害あって一利なしのISDS条項の煮え湯を飲まされたのである。
新NAFTA(USMCA)協定で、ISDS条項が除かれたのは、もともと米加自由貿易協定にはISDS条項は入っていなかったという由来から説明する仕方もある。
NAFTA1994でメキシコが加わったときにISDS条項が挿入されて、先進国同士の初めてのISDS条項が生まれたという経過から、もともとの米加の関係に戻すためにISDS条項を廃止したと説明するのである。
僕は、これには与しない。
この説明では、なぜメキシコに対するISDS条項までもが、NAFTA1994以前に想定されていた、せいぜいが国有化に対する対抗措置として残されるに限られ、かつ国内裁判所の手続を経た後に初めてISDS提訴できるとする極めて使い勝手の悪いものにされてしまったかが、説明できないと考えるからだ。
トランプがISDSを嫌うのは、国家主権が脅かされるからである。
主権が制限されるような国際的な枠組みについて、いいとか悪いとかいう以前の問題として、次々と脱退を宣言し、さらに主権を制限する枠組みからの離脱を検討する姿勢にもそれは表れている。
トランプがISDS条項を廃止したというと、何かと裏の意図を勘ぐる向きがあるが、単純かつ素直に、米国の主権が制限されるから廃止したのである。
トランプを持ち上げるつもりはないが、トランプの「米国第一」の主張は、主権尊重の考え方を内在させている。
以下は、今年の国連総会でのトランプの演説の一節である。
トランプはグローバリズムを拒絶し、国家主権の尊重を訴えたのである。
したがって、トランプは、相手国が主権国家として毅然として、『ISDSが主権を侵害する!!』と叫ぶ限り、それ相応の対応をするということをメキシコの例は示している。
では、なぜ文在寅政権が交渉した、米韓FTAにISDSは入ったのか。
そして、なぜ日米FTAにISDSが入るのは必至なのか。
答えは2つ。一つは理論的なもの。もう一つは、実践的なもの。
理論的に、日本も韓国も、米国にとっては、半主権国家、従属国、半占領国、傀儡国家、エセ主権国家に過ぎないからである。
だから、在韓米軍を撤退させるぞと言えば、韓国政府は震え上がって、トランプを思いとどまらせようとする。
日本も同じだ。
在日米軍を撤退させるぞと一言言えば、官僚組織まるごと震え上がって、どうぞ我が国を餌食にしてくださいとトランプに国家を献上する仕組みだ。
いや、日本の官僚はさらに優秀だ。
トランプが在日米軍を撤退すると言わせないために全力を尽くす。
トランプが在日米軍を撤退させると言いそうな気配を察すれば、直ちに忖度して先回りして、日本国家をトランプの餌食に献上する、そういう国だ。この国は ヽ(`Д´)ノ
何しろ、日本では首都圏に横田空域があることの歪さを指摘し、横田空域の撤廃を主張すると、右翼が横田空域は、そんなに邪魔ではないと叫び、横田空域の存在をありがたがって、擁護する有様だ。
いくら嫌韓・反日でいがみ合っても、米国から見れば、日韓は一心同体、同じ穴のミミズに過ぎない。
もう一つ、実践的理由。
日本も韓国もISDS条項を入れても、米国主権を脅かすような企業はないからである。
米国をISDSで提訴して、米国の肝を寒からしめる日本企業があるか。
ない。
仮にISDS条項があったとして、あのリコール騒動のときに裁判所や米国政府、州政府から課された莫大な賠償金や罰金を、公正衡平待遇義務・最小限待遇義務に違反するとして、トヨタがISDS条項で訴えたか。
訴えるはずがない。米国市場がでかすぎて、不買運動でも起こされて、米国市場を敵に回すようなことはできないからである。
何より、米国政府からどれほどの嫌がらせをされるか想像もできないから、ISDS提訴などできるはずがない。
だから、日米FTAでも米韓FTAでも、ISDS条項を導入しても、トランプは枕を高くして寝られるのだ。
僕は、日本が米国の餌食にならない唯一の方法は、日米FTAを結ばないことだと考えている。
この主張については、別の論点が絡むので、また別の機会に理由を述べる。
小出裕章氏の「フクシマと東京オリンピック」を紹介した記事に対する「いいね」が5000を超えた。
これだけの数の「いいね」は、マイナンバーに関する記事を書いていた当時以来のことだから、3年振りだ。
マイナンバーのときの「いいね」の最高数は、1万6000だった。
今回の5000超の「いいね」をどうみるか。
マイナンバーは、国民全員に関わるものだった。
かつ、僕の記事は、マイナンバーに反対する立場を徹底した記事ではあったが、一応、実務的に有益な要素も含んでいた。
他方、今回紹介した、小出裕章氏の訴えは、マスコミ的には忘れられたかのごとき、絶対少数の避難者の立場から、原子力緊急事態宣言下におけるオリンピックの開催の異様さを告発し、その中止を、あるいは各国に対する不参加を呼びかけるものだ。
マスコミ(一部のラジオ番組を除く)が総掛かりで賞賛するオリンピックの陰で、押しやられた絶対少数の避難者の立場に立とうとするものなので、この社会の空気の中では、圧倒的に少数の弱者の声である筈である。
加えていえば、このブログは、この2年ほどサボりまくりであって、発信力はかつての5分の1くらいに低下している。
今回の5000超の「いいね」はマイナンバーのときに匹敵する数だと言っていいだろう。
いや、明確な意思を持ってなされた「いいね」なのだから、それ以上の数に匹敵するのかもしれない。
だから、5000超の「いいね」に、僕は希望を見いだす。
そうだ、少なからぬ人々は、東日本大震災の直後に誘致が決まった東京オリンピックに強い違和感を持っている。
そして、その違和感や抵抗感は、それから7年半を経た今も何も変わっていない。
マスコミの執拗な刷り込みにもかかわらず、原発事故を半ば放置した今の状態で、オリンピックを開催することは許されないと考える人々がこの国には確かに少なからず存在するのだ、と。
きっかけさえあれば、多数派になる可能性だって秘めているのだ、と。
こうした思いを政治が反映していれば、日本はもっともっと住みやすい国になっていただろう。
現実はそうではなかった。いや真逆だったと言ってもよい。
それでも、だからといって、私たちは絶望することは許されない。
希望を、持とう。
名古屋地裁1階大法廷で開かれる、原発事故避難者訴訟最終版に当たる、原告本人尋問の予定は次のとおりである。
10月26日(金)午前9時45分から午後5時
11月9日(金)午前9時45分から午後5時
11月16日(金)午前9時45分から午後5時
11月30日(金)午前9時45分から午後5時
傍聴席はいつでも自由に出入りできます。途中で入って、途中で出ても全く問題ありません。
変質したISDS条項の震源となった、NAFTAで、ISDS条項が葬り去られることとなったのを機に、この間、「ISD条項の罠」として、書いてきたシリーズのリンクをまとめておこう。
ISDS条項を知るための手がかりにでもなれば、と思う。
知るべきは、実はただ一つで
I(インチキ)S(裁判で)D(大)S(損害)条項だということだ。
この訳語を考案された色平哲郎医師に敬意を表する。
全ての本質をついている。
驚くべきことは、書籍とネット以外の場では、ほぼ完全にISD条項の問題は無視され続けてきたことだ。いまだにメディアの無視は続いている。
僕が気づいた範囲で、表の場でISDSがまともに取り上げられたのは、1回しかない。
おそらく2013年だと思うが、NHKのニュース9のクルーが、カナダまで取材に行ってNAFTAのISDS条項の実態を報道しただけだ。
そして、メディアにおけるTPPに関する異論の排除は民主党政権時代から、すさまじかった。
TPP関連では、岩上安身さんが、特ダネでTPPの問題点に触れた途端に長く努められたゲストコメンテーターを外され、
同じく特ダネで、TPPの専門家として呼ばれた中野剛志氏が「TPPは、百害あって一利なし」と断言したために、以来、TPPの第一人者であるにもかかわらず、中野剛志氏の姿は二度とテレビで見ることができなくなった。
たまたま生放送で見ていて、小倉智昭の慌てぶりが半端でなかったのに強い印象を受けたものだ。
つくづく思うのは、日本の公法学者のふがいなさである。
NHKのカナダロケでは、正式にISDSを提起された訳ではないが、ISDS提訴の威嚇によって、ISDSを提起される前に政府の政策や法規が変えられた例が少なからずあることを大学の研究者が研究していた。
ニュージーランドのジェーン・ケルシー教授はむろん、米国では憲法学会の大御所であるトライブもISDSについて反対の意見を表明している。
にも関わらず、NAFTAでISDSが葬り去られようとする今に至るまで、日本の公法学者はISDSについて沈黙を守っている。
極めてお寒い、おぞましい状態にある。
憲法や行政法の学者が、あるいは国際経済法以外の国際法分野の学者が、きちんと専門的な立場からISDSを批判すべきである。
日弁連も司法の独立が大切なことだと考えるなら、スタンスを明確にすべきである。
その思いは、今でも変わっていない。
思えば、たまたま韓国の知り合いから、韓国の法務省と最高裁が、ISDS条項の問題点を詳細かつ深刻に受け止めて、これを韓米FTAから除こうと必死に努力した模様を伝える内部文書を入手することができたこと、これを親しい方に翻訳してもらえたことが、僕が自信を持って、発信することができるようになった、全ての出発点だった。
法律のエリート集団が、主権侵害であり、あるいは韓国憲法に違反すると結論づけていることは、僕にとって、何よりの確信を与えてくれた。
当時はワード版でしかアップできなかったが、今はPDF化したものをホームページの左欄に挙げている。
パク・チュソン議員「投資家-国家紛争解決制度 国内法律機関等の検討」
ISD条項の罠2 外国投資家に国家を超える特権を与えるISD
ISD条項の罠 番外 TPPを慎重に考える会学習会(第44回)
2013年2月21日 7の代わり
ここにリンクしたこの時のレジメはよくまとまっているので、参考するに値する。
番外 TPPは不平等条約と呼ばれる日が来るだろう
2013年3月13日
番外 オバマ大統領には何の交渉権限もない 日米首脳会談の想像を超える茶番劇
ISD条項の罠15 Metalclad-メキシコ ケーススタディ
ISD条項の罠17 翻訳されない「otherwise」 環境・健康保護の核心条項に仕組まれた罠
2015年5月7日
7番、14番、16番が欠番のようである。
まあ、それにしてもよく集中して書いたものだ。
この間にWTO最大の毒素条項であり、グローバリズムが普通の市民にとっていかに歪んだものであるかを端的に示すSPS協定の難解な条項も読み解こうとしていたのだから、我ながら、たかがマチベンが、よくもまあやってたものだと思う。
グローバリズム経済法の世界は、何もかもが、悪い意味で、想像を絶する驚きの連続だったので、つい深入りをしすぎた。
多分、庶民派の弁護士だから、企業論理に絡め取られず、批判的視点を維持できたのだと思う。
それにしてもISDSに対する、メディアの無視・隠蔽は、直面する日米FTAで、ISDがどう扱われるのか、最悪の事態しか想像させない。
トランプ「シンゾ-、俺はISDは要らねえ、と言ってるんだぞ」
シンゾ-「ドナルド、ISDはTPPの中においてですね、重要な、ということは核心的な原理、これなくしては自由とはいえない、TAGとはいえない、そういうものです。
」
トランプ「分かってるのか。ハイエナどもが日本を餌食にするということだぞ」
シンゾ-「この道しかありません。堂々と、確信をもって、受けて立ち、餌食になります」
トランプ「そんなに言うなら、俺の好みではないが、入れさせてもらうか」
この部分につき訂正記事あり。
日本がISDSを推進し、渋るトランプを説得して、ISDSを日米FTAにおいて導入する。倒錯した未来が眼に浮かぶ。
この間、ISDの紹介では、新聞では、国連に常設された裁判所に訴える制度ととする新聞記事を複数目にした。
その後、誤報として訂正されただろうか。
メディアは、ISD条項と呼んでいたのをあるときを境に一斉にISDS条項が正式名称であるとして呼称を長いものに変えた。出所は国際経済法学者が、ISDSが正しいと断言したからだ。
グローバル資本にとって、権威あるピーターソン研究所が「ISD」と呼称していることを知って、騙されたとは思わなかったのだろうか。
ISDは1億円をハイエナ弁護士に払って、相手国政府を訴えることのできるグローバルな企業にとってしか、意味を持たない。
一般の市民から見れば、異形なものとしか言いようがないものだった。
だから、震源地であるNAFTAで姿を消すのだ。
米国では、米国州立法者協議会、米国州最高栽判事協会、州法務部長官協会、要するに州の3権を担う者の全てがISDSに反対していた。
スティグリッツやローレンス・トライブ(米国憲法学の大御所)らも厳しくISDSを批判している。
ニュージーランドやカナダの法学者もその専門分野で、ISDSに反対する活動を続けている。
たかがマチベン(2級国民である)に任せて、異様な沈黙を守る、日本の公法学者は、恥を知れ。
元京都大学原子炉実験所助教小出裕章氏が、8月23日付でIOCのバッハ会長にあてて、東京オリンピックの中止を求める書簡を送ったとするブログがあった。
そこに添付されていた和文のPDFファイルが以下のものである。
小出氏は、
「罪のない人を棄民したままオリンピックが大切だという国なら、私は喜んで非国民になろうと思う。」
との覚悟で、書簡を送った。
フクシマ原発事故は、処理の方針と呼ぶに値するものすら見えず、、ただ時間と労力を浪費・消耗して、先送りされている。
溶け落ち、どこにいったかも不明なデブリを取り出すことなどできるはずもない。
原発事故の処理など一歩も進んではいない。
日本人がみんな知っていて、ただ見ない振りをしている。
その事実を小出氏の文章は、えぐり出して、改めて突きつける。
「フクシマ事故の収束など今生きている人間のすべてが死んでも終わりはしない。その上、仮に熔け落ちた炉心を容器に封入することができたとしても、それによって放射能が消える訳ではなく、その後数十万年から100万年、その容器を安全に保管し続けなければならないのである。」
小出氏は、避難指示に翻弄された人々に心を寄せる。
「福島第一原子力発電所から40~50 km も離れ、事故直後は何の警告も指示も受けなかった飯舘村は、事故後一カ月以上たってから極度に汚染されているとして、避難の指示が出、全村離村となった。
人々の幸せとはいったいどのようなことを言うのだろう。多くの人にとって、家族、仲間、隣人、恋人たちとの穏やかな日が、明日も、明後日も、その次の日も何気なく続いていくことこそ、幸せというものであろう。
それがある日突然に断ち切られた。
避難した人々は初めは体育館などの避難所、次に、2人で四畳半の仮設住宅、さらに災害復興住宅や、みなし仮設住宅へ移った。
その間に、それまでは一緒に暮らしていた家族もバラバラになった。生活を丸ごと破壊され、絶望の底で自ら命を絶つ人も、未だに後を絶たない。」
問題は、避難指示地域の外にもある。
事故の『収束』を急ぐ政府が行った避難指示の解除、そして住宅支援の打ち切りが、いかに住民に追い打ちをかけ犠牲を強いてきたか。
「極度の汚染のために強制避難させられた地域の外側にも、本来であれば「放射線管理区域」にしなければいけない汚染地帯が広大に生じた。「放射線管理区域」とは放射線を取り扱って給料を得る大人、放射線業務従事者だけが立ち入りを許される場である。そして放射線業務従事者であっても、放射線管理区域に入ったら、水を飲むことも食べ物を食べることも禁じられる。もちろん寝ることも禁じられるし、放射線管理区域にはトイレすらなく、排せつもできない。
国は、今は緊急事態だとして、従来の法令を反故にし、その汚染地帯に数百万人の人を棄てた。棄てられた人々は、赤ん坊も含めそこで水を飲み、食べ物を食べ、寝ている。当然、被曝による危険を背負わせられる。棄てられた人は皆不安であろう。被曝を避けようとして、仕事を捨て、家族全員で避難した人もいる。子どもだけは被曝から守りたいと、男親は汚染地に残って仕事をし、子どもと母親だけ避難した人もいる。でも、そうしようとすれば、生活が崩壊したり、家庭が崩壊する。汚染地に残れば身体が傷つき、避難すれば心が潰れる。棄てられた人々は、事故から7年以上、毎日毎日苦悩を抱えて生きてきた。
その上、国は2017年3月になって、一度は避難させた、あるいは自主的に避難していた人たちに対して、1年間に20ミリシーベルトを越えないような汚染地であれば帰還するように指示し、それまでは曲がりなりにも支援してきた住宅補償を打ち切った。そうなれば、汚染地に戻らざるを得ない人も出る。今、福島では復興が何より大切だとされている。そこで生きるしかない状態にされれば、もちろん皆、復興を願う。そして人は毎日、恐怖を抱えながらは生きられない。汚染があることを忘れてしまいたいし、幸か不幸か放射能は目に見えない。国や自治体は積極的に忘れてしまえと仕向けてくる。逆に、汚染や不安を口にすれば、復興の邪魔だと非難されてしまう。」
小出氏は、避難指示が解除された区域の放射線量の高さが異常な高線量であることを強調し、「原子力緊急事態宣言」下だから居住可能とされているに過ぎない異常さを指摘する。
「 1年間に20ミリシーベルトという被曝量は、かつての私がそうであった「放射線業務従事者」に対して初めて許した被曝の限度である。それを被曝からは何の利益も受けない人々に許すこと自体許しがたい。その上、赤ん坊や子どもは被曝に敏感であり、彼らには日本の原子力の暴走、フクシマ事故になんの責任もない。そんな彼らにまで、放射線業務従事者の基準を当てはめるなど、決してしてはならないことである。しかし、日本の国はいま、「原子力緊急事態宣言」下にあるから、仕方がないと言う。緊急事態が丸1日、丸1週間、1月、いや場合によっては1年続いてしまったということであれば、まだ理解できないわけではない。しかし実際には、事故後7年半たっても「原子力緊急事態宣言」は解除されていない。国は積極的にフクシマ事故を忘れさせてしまおうとし、マスコミも口をつぐんでいて、「原子力緊急事態宣言」が今なお解除できず、本来の法令が反故にされたままであることを多くの国民は忘れさせられてしまっている。環境を汚染している放射性物質の主犯人はセシウム137であり、その半減期は30年。100年たってもようやく10分の1にしか減らない。実は、この日本という国は、これから100年たっても、「原子力緊急事態宣言」下にあるのである。」
小出氏は、この原子力緊急事態宣言が恒常化したこの国で、なすべきこと、その当たり前の優先順位を改めて、強調する。
「今大切なのは、「原子力緊急事態宣言」を一刻も早く解除できるよう、国の総力を挙げて働くことである。フクシマ事故の下で苦しみ続けている人たちの救済こそ最優先の課題であり、少なくとも罪のない子どもたちを被曝から守らなければならない。それにも拘わらず、この国はオリンピックが大切だという。内部に危機を抱えれば抱えるだけ、権力者は危機から目を逸らせようとする。そして、フクシマを忘れさせるため、マスコミは今後ますますオリンピック熱を流し、オリンピックに反対する輩は非国民だと言われる時が来るだろう。」
そうして、冒頭の「罪のない人を棄民したままオリンピックが大切だという国なら、私は喜んで非国民になろう」という覚悟へ行き着くのだ。
原子力緊急事態宣言下で行われるオリンピックの異常性を訴え、アスリートが、被爆の被害者となるだけでなく、この国の異常な加害行為に加担することとなると警告して、文書は結ばれている
「原子力緊急事態宣言下の国で開かれる東京オリンピック。それに参加する国や人々は、もちろん一方では被曝の危険を負うが、一方では、この国の犯罪に加担する役割を果たすことになる。」
忘れられた原子力緊急事態宣言下で、相対少数の被害者は、忘れられた存在として放擲されている。
全国の裁判所でなお、原発事故避難者1万人近くが国と東電の責任を追及する訴訟が続いている。
名古屋地方裁判所では、9月28日(金)から原告本人尋問の手続に入った。
次の期日が予定されている。
場所は、名古屋地方裁判所1階の大法廷である。
傍聴者の減少が、原告らを心細くさせている。
是非、一人でも多くの方が足を運んで、原告に寄り添ってほしい。
10月12日(金)午前9時45分から午後5時
10月26日(金)午前9時45分から午後5時
傍聴席はいつでも自由に出入りできます。途中で入って、途中で出ても全く問題ありません。
朗報である。
米国とカナダ(カナダとメキシコ)の間のISDSに関する要点は2点である。
新NAFTAが発効した後、ISDSが許容されるのは、旧NAFTA失効時(新協定発効時)にすでになされていた投資に限られる(付属書14-C・6(a))。
(こうした投資を「レガシーインベストメント(遺留投資?)」と呼んでいる)。
レガシーインベストメントに関する提訴は、旧協定失効後3年以内に限られる(付属書14-C・3)。
米国とメキシコの間だけは、ISDSが残るが、それこそ「大幅に縮小される」。
米国とメキシコのISDSについては、付属書の14-Dに規定されている。
この内容はやや複雑になるので、この間、ISDS問題に取り組んできた、パブリックシティズンの要約を紹介しておこう(AFTINET2018年10月4日)。
ISDSの適用対象を政府による直接収用に限定している。
このことは、環境法や保健法の改正や政策の変更を原因として補償を求めて提訴することができないことを意味する。
外国人投資家は、ISDS提訴をする前にメキシコ国内裁判所の手続きを尽くさなければならない。
これまで米国投資家によるISDS提訴は、メキシコの法律や政策の変更を理由とするものが大半であったことから、米国とメキシコのISDSの件数は大幅に制限される。
ISDS条項が、外国投資家が相手国の環境規制などに介入するとして問題とされるようになったのは、まさにNAFTAで米国とカナダという先進国同士の間で初めてのISDS条項が導入されたためであった。
米国企業がカナダやメキシコの環境規制を次々と訴え、勝訴したり、政府措置が違法であることを前提とした勝利的和解をしたことから、世界に大きな衝撃を与えた。
それまでせいぜい没収や国有化に対して機能するに過ぎないと考えられていたISDSが、外国投資家にとって相手国の政策に介入し、これを萎縮させるのに有力な道具に変質したのだ。
今では、刑事捜査や民事裁判に介入したり、民営水道の公営化や健康保険の公営化、新薬の不承認、脱原発政策、禁煙政策、果ては最低賃金の引き上げに伴う紛争についてまでISDS提訴の対象となっている。
世界の秩序を紊乱したISDSが、問題が顕在化してからおよそ20年で、その震源となった北米から消える。
歓迎すべきことだ。
問題は、今後、世界3000を超える投資協定等に盛り込まれ、ハイエナ弁護士どもの食い扶持となっているISDS条項を、どう退治していくのかというステージに移るべきだろう。
米国大統領がヒラリーだったら、と考える。
このような進展はあり得なかったろう。
ISDSの息の根を止めることは、トランプ政権の歴史的使命となった。
なお、現在、公表されている新NAFTA協定は、法的精査を経る前の案文である。
(TPPは法的精査が終わるまで文案は絶対に秘匿されていた。その異常さを改めて思う)
今後、通商弁護士の精査を経ることになっている。
不安要素があるとすれば、彼らが、ハイエナの仲間だろうと考えられることだ。
トランプ攻撃に乗じた、猛烈な巻き返しがあるかもしれない。
このことだけが不安要素だ。
TPP11には、カナダが新NAFTA協定で葬り去ることにしたISD条項が入っている。
そしてカナダはオーストラリアとの間では二国間でISDを行使しない(又はISDを極めて限定する)合意をしていると聞く。
カナダとニュージーランドとの間でも同様の二国間合意があるか、仮になければ今後同様の合意を結ぶように動くはずだ。
TPP11を主導してきた日本は、将来的に米国の参加を働きかけていくと一貫して主張してきた。
米国が葬り去ることにしたISD条項を残したままでは、米国の参加は望めないはずだ。TPP11主導国としてISDS条項の改正を10カ国に働きかけるべき責任がある。
日本国固有の利益を考えても、カナダとの間でISD条項を残すのは、得策とは思えない。
不意打ちのように米国企業から環境規制を次々と訴えられたカナダの企業は、態勢を整えるや次々と米国政府を訴えた。双方の件数が各15件ほどになるまでカナダ企業も互角の件数、米国政府を訴えていたのだ。
その後、カナダ企業は米国政府を提訴することを控えるようになり、提訴件数は一挙に開いたが、これは米国政府が敗訴したら、ISD自体が成り立たなくなる(米国世論が沸騰してISDの存続を許さなくなる)ことに気づいたからだろう。
つまり、米国政府を相手にする限り、外国企業は負けるというのがISDの基本ルールだと気づいたのである。
しかし、NAFTAを通じて、カナダには日本と比べものにならない、ISDの経験の蓄積がある。
日本の新参のハイエナ弁護士では到底かなわないはずである。
せめてカナダとの二国間では、ISDの凍結を合意することが国益にかなう。
とにかくも歴史的出来事が起きた。
世界のために祝おう。
付記
世界ではISDS条項は勢いを失っていく。
しかし、日米FTAにはISDS条項が入ることは必至である。
その根拠を「日米FTAとISDS条項」で述べたので、参照して頂けると幸いである。
また、いまだに触れられることのほとんどない新たな日米FTAの本質的問題については「日米FTAの毒薬条項 米国が迫る究極の二者択一」をお読み頂ければ幸いである。
一昨年2016年10月に衆議院にISDS条項に関する野党側の参考人として出席したとき、与党側の参考人は、日弁連内で人権派の重鎮として名高い弁護士であった。
本気なのかどうか、彼は、投資紛争をISDSで裁定することが、国家間の戦争を防止し、平和に寄与するとして、ISDSを擁護した。
投資紛争が戦争(というより欧米諸国の一方的な武力行使)を招いて国際問題になったのは19世紀から20世紀初頭の植民地主義の時代のことである。
国際紛争を武力によって解決することが適法とされていた時代の話である。
知っているのかどうか、人権派の重鎮弁護士は、「ISDSが戦争を防ぐ」と、傍聴者が唖然とするような主張をして、ISDSを擁護したのであった。
理屈から言えば、新NAFTAはISDSを葬ろうとしているのだから、北米大陸では戦争の危険が高まったことになる。
彼は、平和と反戦のために新NAFTAに体を張って反対するのだろうか。
いや、彼は、きっと新NAFTAでISDSが葬られることなど絶対におくびにも出さないに違いない。
何だかなあ、日弁連って下半身は完全に経済界や保守政権とつながりながら、頭だけ対向しているような振りをしてるように見えてならないんだよなぁ。
訂正 10月11日
米国とメキシコのISDSの内容の要約は、「オーストラリア・フェア・トレード・アンド・インベストメント・ネットワーク(AFRTINET)」によるものであったので、訂正する。引用記事は、オーストラリアの市民団体によるものである。
なお、リンク先のページでもリンクされているが、パブリックシティズンの分析をリンクしておく。
公明党との縁も、これまでと踏んだか、公明党なぞ無視しても、どうせ公明党は付いてくると読んだか、案に相違して、ど真ん中を突破する作戦に出た。
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改憲案、自民単独で提示へ…与党協議は見送り
10/5(金) 6:08配信
自民党は、10月下旬に召集予定の臨時国会で、今年3月にまとめた4項目の憲法改正案を単独で提示する方針を固めた。連立を組む公明党との事前協議は見送る。衆参両院の憲法審査会で条文案を示し、各党による議論を始めることを目指している。
自民党の憲法改正推進本部長に内定した下村博文・元文部科学相は4日、党本部で、推進本部の最高顧問に就く高村正彦・前副総裁と会談し、公明党との協議は見送り、条文案を憲法審査会に示すことを確認した。
条文案は、〈1〉自衛隊の根拠規定の明記〈2〉緊急事態対応〈3〉参院選の合区解消〈4〉教育の充実――の4項目。党は「条文イメージ」と位置づけており、幅広い合意を得るため、他党との協議で修正して憲法改正原案を作ることを想定している。
国民投票法の有償CM禁止を強く求めるいとまもないとなれば、改憲反対派がすべきことは、すぐにも広告代理店と接触して、改憲反対のCMの傑作を仕上げるべく入念な準備に入ることだ。
所詮CMなどイメージでしかない。インパクトのある印象の良いCMを作れば良いのだ。
「いざとなったら○○○○」頼みのお相手の方々も今から接触すれば、十分間に合うだろうし、労をいとわず協力してくれるはずだ。
All About ビジネス・学習 司法権と「裁判官の独立」から
昨日触れたように今や日弁連も下半身はしっかりと経済界や政府に握られ、加計学園監事を務める弁護士を最高裁裁判官に相応しいとして推薦したりしているわけだから、日弁連推薦を無視され、最高裁裁判官の弁護士枠が実質的に削られたとしても、まあそんなに騒ぐことのほどでもないと思いかけていた。
しかし、山口厚最高裁裁判官任命事件の重大性は別のところにある(ことに不覚ながら、その後気づいた)。
司法の自律性が損なわれたという問題である。
最高裁判所の裁判官の任命権が内閣にあるとはいえ、内閣は最高裁裁判官を自由に任命してきた訳ではない。
歴代内閣は、最高裁判所が作成した被推薦者の名簿に基づいて、その名簿の中から最高裁裁判官を任命してきた。最高裁判所が名簿によって内閣の任命権を拘束してきたのだ。
内閣は法律の専門家の集団ではない。司法権については司法権の自律性を尊重して、その意見を反映させてきたのだ。
このことは、最高裁裁判官の任命権を内閣が有する日本国憲法の制度の下で、裁判所・司法府が内閣・行政府に対して、最低限の独立性・自律性を保つための前提条件となってきたと言ってもよいだろう。
ところが、そのようなことを内閣に義務づける法文はどこにも存在しない。
(裁判所法は、15名の最高裁裁判官の内、少なくとも10名は法律の専門家でなければならないとしているだけだ)
最高裁が作成した名簿の中から、最高裁裁判官を任命するという慣行は、不文律として、歴代内閣によって堅持されてきたのだ。
時の権力の謙抑性に委ねるこの方法はいかにも日本らしいといえば、日本らしいが、権力の集中は望ましくないというそれなりの自覚が歴代内閣にはあった訳だ。
ところが、李下に冠を正しまくり、国政を私物化して憚らない安倍晋三に、そんな謙抑性を期待するのは的外れだ。
(カラスにゴミをあさるなとか、鳩に糞をするなというより難しい)
山口厚最高裁判所裁判官任命事件の重大性は、安倍政権が、最高裁判所の作成した名簿を拒み、最高裁判所が(当初)提出した名簿に記載された者以外から最高裁判所裁判官を任命したことにある。
安倍政権は、NHK経営委員、日銀総裁、内閣法制局長官の任命において、時の権力の謙抑性によって守られてきた不文律を次々と破った。
最高裁判所裁判官の任命についても、最高裁判所に左右されずに任命権を行使することによって、歴代内閣が守ってきた不文律を突破した。
司法府の自律性を侵害したのである。
来年3月に迎える安倍政権以前に任命された最後の最高裁裁判官の後任は行政官枠である。
官僚の乱を鎮圧した(と思われる)、安倍政権が、どういう官僚を後任に任命するのか、厳しく監視していく必要がある。
(といって、マチベンに何の力もないわけであるから、最高裁にも政府にもパイプがある日弁連執行部が、どれほど司法の独立を守る気があるかにかかってしまう訳ではあるが)
* ランキングに参加しています *
またしても後世の歴史に残りそうな事件である。
重要な事件であるにも関わらず、マスコミの扱いは、極めて小さく、せいぜいが変人裁判官の懲戒事件程度の扱いである
この記者会見に至っては、取り上げたメディアが皆無に等しいので、以下に弁護士ドットコムニュースから全文を転載しておく。
むろん、マチベンも共同声明の賛同者に名を連ねている(^^ゞ
会見する島田弁護士(左)と海渡弁護士
有志の弁護士が10月1日、「裁判官にも『つぶやく自由』はある 裁判官の表現の自由の尊重を求める弁護士共同アピール」と題した声明文を発表した。
Twitterの投稿によって訴訟当事者の感情を傷つけたとして、東京高裁民事部の岡口基一裁判官が裁判官の免官・懲戒に関する「分限裁判」にかけられたことを受けてのもの。弁護士269人の賛同が集まっており、声明文は近く最高裁に提出する。
声明文は今回の懲戒申立てについて「裁判官の表現の自由『つぶやく自由』に対する侵害にほかなりません」と指摘。「今後、従業員の私的なSNSやブログ等への書き込みが、些細な理由で雇用主から懲戒処分の対象とされるのではないかとの不安が社会に広まるなどして、市民間のインターネットを通じた情報交流が萎縮する恐れがある」と社会的な影響を懸念した。
東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた発起人の島田広弁護士は「基本的人権を守る弁護士が声を上げなくていいのかと思い、まとめ上げた」と説明。賛同者は28日金曜日午後に集め始め、3日間で呼びかけ人46人、氏名を公表した賛同者214人、公表なしの賛同者9人の計269人が集まった(1日午後3時時点)。
島田弁護士は「基本的人権が損なわれることだけではなく、人権の守り手である裁判所が、人権侵害を行ってしまう。これがどれだけ裁判所に対する国民の信頼を傷つけることになるのか、慎重に判断してほしい」と裁判所を批判。「懲戒申し立てされたこと自体、憤りを感じている。不当な懲戒を阻止するために、弁護士の皆様にご協力いただきたい」と呼びかけた。
また、賛同者で会見に同席した海渡雄一弁護士は「裁判官自身が口を開いて意見をいうことは独自の価値がある」と話した。
岡口裁判官は9月11日、最高裁で開かれた審問のあと、司法記者クラブで会見を開き「ありえないことが起きている」などと反論。弁護士ドットコムに登録する弁護士を対象に行われた緊急アンケートでは、懲戒申し立ての妥当性について、回答した弁護士326人の9割弱が「妥当でない」との見解を示している。
●呼びかけ人、賛同者登録は以下
呼びかけ人、賛同者登録は以下のウェブフォームで行っている(弁護士に限る)。
https://business.form-mailer.jp/fms/8e4fb72b94029
呼びかけ人一覧:http://www.asahi-net.or.jp/~bg6h-smd/yobikake.pdf
この分限裁判は、最高裁の大法廷によって裁判官全員15名によって審理される。
15名の内、14名がすでに安倍政権によって任命された裁判官となっている。
安倍内閣が退陣しない限り、来年の3月には、15名全員が安倍政権によって任命された裁判官になる。
同じ内閣によって任命された裁判官によって最高裁判所が構成されるのは、最高裁の歴史始まって以来の出来事であろう。
いうまでもないが、司法と行政の間には一定の緊張関係が存在しなければ、権力分立という近代憲法の本質的要請すら満たされないことになる。
最高裁が、今後も政府との最低限の緊張関係を維持していけるのか、我が国の司法は、極めて危うい岐路にある。
この間には、ずいぶんと不審な人事もあった。
最高裁の裁判官の構成については、慣例があり、裁判官、弁護士、検察官、行政官、法律学者の出身者から一定の比率で任命されることになっている。
裁判官枠 6
弁護士枠 4
検察官枠 2
行政官枠 2
学者枠 1
この数字は、行政官枠と学者枠の間で1984年に若干の変動があったが、1961年以来半世紀以上、変わっていない。法律専門家の中で一定の均衡を保ってきたということだろう。
2017年2月に山口厚氏が弁護士出身者として最高裁裁判官の後任として任命された。
しかし、同氏は、著名な刑法学者であり、弁護士として認知されてはいなかった。日弁連も同氏を最高裁裁判官に推薦してはいなかった(弁護士出身の最高裁裁判官については、日弁連が推薦者のリストを最高裁を経由して内閣に挙げる。このリストの中には当然、同氏の名前はなかった)。
同氏が、弁護士登録したのは、最高裁裁判官に任命されるわずか6ヶ月前の2016年8月であり、学者出身の同氏が弁護士出身枠で任命されるための下準備であったと勘ぐられてもおかしくない。
現に同氏は最高裁裁判官に任命される前月まで、早稲田大学大学院法務研究科教授の職にあった。(wikipedia)
最高裁判所裁判官の辞令を受けて、大学を退職したのだろう。
かくして、弁護士出身枠4の内一つが学者出身者によってかすめ取られた。
日弁連は、同氏の任命に何ら関わることなく、弁護士出身の最高裁裁判官の枠を削られてしまったわけだが、抗議・批判等せず、事態を静観した。
日弁連は、公式には任命経過に関する事情を調査・照会することもなく今日に至っている。少なくともマチベンは日弁連から事情の説明を受けたことはない。
ちなみに、加計学園監事であった弁護士の木澤克之氏が最高裁裁判官に任命されたのは、2016年7月であり、山口厚氏の任官より7ヶ月前のことである。
この任命は、日弁連の推薦リストから任命されている。
まあ、これだけ政権交代がない希有な国では、日弁連内で高名な弁護士ともなれば、多かれ少なかれ、時の権力との距離が近いということが避けられなくなる、というのが日弁連の内情でもあろう(下品なたとえで申し訳ないが、上半身では喧嘩しているように見えても、下半身はつながっている、とか)。
15名の最高裁判所の裁判官が、法律と良心のみにしたがい、独立して職権を行使することができるのか。
歴史は、それで少なからず、変わるだろう。
この事件は、歴史に残る、少なくとも残さなくてはならないのだ。
* ランキングに参加しています *米国とカナダが合意して、成立の目処が立ったというNAFTA新協定について、目下、最大の関心事はISD条項の扱いである。
ISDムラのハイエナ弁護士どもに蝕まれてきた世界の秩序を回復する意味でも決定的な重要性があるはずだ。
ところが、日本のヘタレマスコミは、この重大事には一切口をつぐむ。
日本をハイエナどもの餌食にしたくて仕方がないからだ。
しょうがないので、検索をかけたらウォールストリートジャーナル紙にこんな記事があった。
NAFTA新協定、知っておくべき10のこと
7.紛争処理制度
NAFTAには貿易ルールに違反した加盟国の責任を問う、気が遠くなるほど複雑な制度がある。トランプ政権はこの制度によって米政府の決定が覆る場合もあると警戒し、紛争処理の効力を弱めることを目指してきた。通商専門弁護士が今回の合意の文面を分析し、労働組合が見解をまとめれば、議員の投票に影響を与える可能性がある。外国企業が当該国の政府に異議を申し立てることができる「投資家対国家間の紛争解決(ISDS)条項」と呼ばれる制度については大幅に縮小された。
『I(インチキ)S(裁判で)D(大)S(損害)』
とまで言われたこの不当条項を、まっとうにもトランプは実質的に無効化すべく交渉してきたはずだが、この言い方は、持って回った言い方で、どのように決着がつけられたのか、意味不明である。
米国はISDに参加しないとか、訴えられた政府が応じなければISDは成立しない(国際司法裁判所のような制度)とか、「収用」のみに限定するとかいろいろ情報は流れていたが、結局どうなったのか。
二級国民にこれ以上の調査を求めるのは酷というもの。
英語に堪能な方がお調べいただき、ご報告いただきたいものです。
二級国民には難読な新NAFTAのISD関係はこちらにありま~す!→ 投資章英文
【さきま淳(アツシ)日米地位協定改定へ】
さきま淳(アツシ)日米地位協定改定へをご覧ください♪(1分31秒)
あした日曜日パレット前14:00 菅官房長官と小泉進次郎くる!
↓#さきま淳 ライン登録お願いします⁰https://t.co/66w7e5JeDz#さきまあつし#沖縄がいちばん#あっちゃん#沖縄県知事選挙 pic.twitter.com/aGkIIsTUM5— さきま淳(あつし) @沖縄県知事候補 (@AtsushiSakima) 2018年9月15日
総統はさぞお腹立ちのことだろう。
宿願の憲法改正を掲げて圧勝で党総裁3選を制した直後、早々つまずいた。
自公が総力を挙げた沖縄県知事選挙に、相手候補に沖縄県知事選史上最多票を献上して敗北した。
幸いにもテレビは、台風や(NHKの朝7時のニュースでは冒頭22分にわたって台風報道をしていた)、捕まってしまえばとりあえず急ぎの用はない脱走犯や相撲スキャンダルのニュースを垂れ流し、沖縄県知事選ごときは一地方選挙の扱いであるが、政権にとって大きな痛手で、憲法改正のスケジュールにも大きな影響を及ぼすことは疑いない。
何より、固い組織票であるはずの公明党票からも出口調査で25%が玉城デニー候補に投票したと答えたのは(調査によっては27%)、自民党だけでなく、公明党にとってもショックだろう。
結束の固い公明党支持者にすれば出口調査で玉城候補に投票したとは言いにくいだろうし、投票先を答えない人もいることを踏まえれば、多分、30%以上が、玉城候補に投票したと推測される。
玉城デニー氏当選直後の玉城事務所に創価学会の三色旗が翻っていたのが今回の選挙を象徴している。義を貫いた信者が開いた地平だ。勇気に頭が下がる。
もともと公明党は総理の憲法改正には及び腰であったが、支持母体である創価学会からこれだけの造反票が出る事態となれば、締め付けを図るにしても、ますます憲法改正には消極的にならざるを得ない。
といって、維新が関西以外では全く無力であることは今回の結果が証明したし、希望に至っては逆効果ですらあったかもしれない。
改憲発議のパートナーとして公明党は切っても切れない。
と言う次第で、とりあえず沖縄県知事選挙は、改憲を目論む総理にとって、躓きの石になった。
僅かだが、改憲国民投票に向けて時間が与えられたことを踏まえて、憲法改正国民投票法のあり方について、考える必要がある。
憲法改正に関しては国民の表現の自由を最大限に尊重するとい建前論があったために現在の国民投票法はメディアとくにテレビを使った有償広告が野放し状態である。
テレビCMに、莫大な金がかかることは自明で、資金力のある改憲派に有利だということはかねてから指摘されてきた。
しかし、長く博報堂に在籍し、広告業界をよく知る本間龍氏によれば、このCMの自由は、資金力の格差に止まらない問題があるという。
実務的に見ても、改憲派に決定的に有利に作用するという。
本間氏は
4がかねて指摘のある資金力のある者が広告を支配するという問題である。
国民投票制度を導入している各国は、この一点だけでも、基本的に有償CMを禁止している。
さらに、我が国特有の広告業界の事情が、1ないし3から圧倒的な優位を改憲賛成派にもたらすという。
このまま改憲が発議されては、どう考えても改憲反対派には勝ち目が乏しいのだ。
改憲を発議するスケジュールをコントロールできるということは、発議されたときには、すでにCM枠を押さえているということだ。
CMコンテンツもできあがっていて、改憲の発議の翌日から、どんどん改憲派のCMが流れることになる。
また、発議から60日以上180日以下とされる国民投票までの期間も改憲派が決めるわけだから、これに応じたCM戦略を予め立てて臨むことができる。
一方、改憲反対派は、そもそも与党がどのような改憲発議で落ち着かせるつもりか分からない上、発議阻止に全力を挙げ、発議されてからCMコンテンツを作成し、CM枠を押さえることとなりかねない。まさに『泥棒を見て縄をなう』、だ。
発議されてからアピール性の高い広告コンテンツを作るのにも時間がかかるし、CM枠を確保するのも容易ではない。
改憲反対派は全て後手後手に回る。
短期決戦の場合には、改憲派のCMだけが流れる中で国民投票の日を迎えることになりかねない。
民放各社は個別にCM枠のスポンサーを募るのではなく、広告代理店に一括してCM枠を売り渡すことで、安定的な広告収入を得られる仕組みとなっている。
そして、視聴率の高い時間帯になればなるほど、このCM枠に占める電通が押さえている割合が高くなる。プライムタイム(19時~23時)のシェアは電通が49%、博報堂が26%になる(2009年)。
そして、電通と自民党は結党以来のパートナーであり、政権党とともにあり続けた結果、電通は今日の寡占状態を築くことができた。巨大な東京オリンピック利権を電通が独占しているのも自民党との深い関係がもたらしたのである。
では、業界2位の博報堂が改憲反対派と組むかというと、博報堂としては、資金力にも不安があり、しかも、いつ消えてなくなるかわからないような弱小転変政党と組むよりは、やはり改憲派と組んだ方が、圧倒的に有利である。自民党から公然と受注してもよいし、大企業から受注しても良いだろう。
かくして、憲法改正が発議された段階で、少なくともテレビ・ラジオCMの決着は(地方放送も含め)ついてしまっているのである。
下手をすれば、改憲反対派は、CM枠を取ることさえできずに敗北することになる。
かくして「広告が憲法を殺す」のだ。
本間氏は護憲派の一部に根強い「いざとなったら吉永小百合」頼みの愚かさも実務的に指摘しておられる。
本間氏の目からは、これほど脳天気なルールが国民投票法として成立したことが、にわかには信じられないほどだという。
改憲議論の前提の問題として、このCM問題は、是非とも議論されなければならない。
改憲反対派の方々は、是非、本書をお読みになって、現実的な戦略を検討されることを願う次第である。
PS
石破茂が、9月27日に初めて沖縄県知事選の応援に入り、石垣島で佐喜真候補の応援演説をしたという。
なにやら総裁選の意趣返しに見えなくもない。
その石破茂氏、総裁選が終わった後の9月23日早朝のTBSの『時事放談』に出演していた。
米朝をめぐる非核化の問題について、「米国は北朝鮮の非核化を求めているのに対して、北朝鮮はあくまで朝鮮半島の非核化を言っているだけだ。噛み合っていないことを、きちんと押さえなければいけない」とドヤ顔で自説を述べていた。
自民党総裁選後の録画だから、収録は9月20日以降である。3回目の南北会談が行われて南北平壌宣言が発表されたのが9月19日だ。
そこには、
9月南北平壌共同宣言(2018年9月19日)
5、南北は朝鮮半島を核兵器と核脅威がない平和の地にしなければならず、このために必要な実質的な進展を速やかに実現しなければならないということで認識を共にした。
(1)北朝鮮はまず、東倉里のエンジン試験場とミサイル発射台を関係国専門家の立ち会いの下に永久に廃棄することにした。
(2)北朝鮮は米国が6・12朝米共同声明の精神に沿い、相応の措置を取れば、寧辺の核施設の永久的廃棄などの追加措置を引き続き講じる用意があると表明した。
とある訳だから、北朝鮮は、「朝鮮半島の非核化」だけでなく、自国の非核化について、そのタイムテーブルを示している。
北朝鮮が「朝鮮半島の非核化」しか主張していないとする、石破氏のご託宣は明らかに間違いだ。
現下の我が国に関わる最大の安全保障問題についても、重要な会談の結果を調べもせずに、ドヤ顔で間違った自説を垂れ流す程度の人物が、総裁選の対抗馬としてもてはやされるくらいだから、我が国の政治の劣化も極まっている。
こんな人達が競って自分こそ総理にふさわしい、緊急事態条項を持ちたいと言っているのだから、憲法改正は、ほんに恐ろしきことである。
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