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2018年10月29日 (月)

前門の虎、後門の狼 トラの尾を踏む振りをする安倍晋三

 

 

毒薬条項を盛り込んだ日米FTAを締結して中国を排除することにしたとの共同声明を発して早々に、安倍晋三は、訪中した。

マスコミはその危うさを全く報じていない。

危うい曲芸を披露しているのに、それが伝わらないのは、安倍晋三にしても、不本意なのではなかろうか。

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にしても、マスコミが中国が歓迎一色であるかのように報道しているのは、違うらしい。

習近平はにこりともしていないというのだ。

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BSTBSの「サンデーニュースBizスクエア」が1028日の放送で、テレビとしては、初めて日米FTATAG)の毒薬条項を取り上げた。
文春WEBで毒薬条項を紹介していた、春名幹男氏がゲストである。

春名幹男氏は、知らなかったが、元共同通信社ワシントン支局長、元共同通信社論説副委員長という立派な経歴をお持ちの米国政治通である。

いや、こんな人がBSニュースのゲストで、くすぶってちゃおかしいでしょう、と立場を超えて突っ込みたくもなる。

いかに何でも、もうそろそろ、地上波や新聞も毒薬条項を取り上げなきゃおかしいでしょう。

日刊ゲンダイ当たりが大々的に報道しない限り、隠蔽してすませるつもりなのか。

 

 

で、マスコミは、日中友好新時代などと仰々しく報道するが、これが危ういことは春名氏も感じておられたことがわかった。(大体、中国排除を宣言した直後に日中友好新時代など頭がいかれているとしかいいようがない)
もうお一方中国事情に詳しい専門家がゲストとして招かれていたが(お名前をメモし忘れてしまった)、この方も共通の認識のようだった。

とにかく、日本が米国の中国排除政策に取り込まれたことを、当然に知っている習近平は、にこりともしていない。
(そういえば、笑顔で外国首脳と握手するプーチンは見た事がないが、習近平はプーチンよりは賓客を笑って迎えるそうである)

調べてみたら、中国はすでに10月11日にUSMCAの「毒薬条項」に対して、報道官が「自由貿易協定(FTA)の目的はメンバー間の貿易に便宜を図ることにあり、メンバー国の対外関係を制約すべきではなく…」と批判し、強く反発している。

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そりゃ習近平としては、にこりともするわけがない。
「俺は中国排除の仲間だ」と言いながら訪ねてきた安倍晋三をどうして笑顔で迎えられようか。
「北方領土には米軍基地を置くぞ」と言いながら、北方領土を返還せよと迫る安倍晋三をプーチンが邪険に扱うのと同じだ。
日本の近隣外交は、外交された側から見れば、頭がおかしいのではないかと疑われても仕方がないほどに矛盾している。

さて、で、マチベンは、今回の訪中劇をどう思うか。

わからないのである。

訪中についてはワシントンの許可を得ている(ワシントンと調整した)という報道もあるが、そういう報道が、米国の中国排除戦略との絡みが一体どうなっているのかを説明してくれる訳もない。

 

 

訪中したには、経済界が後押しした可能性はある。

表だって、米国に反対できないポチ経済界が、安倍晋三に無理矢理、訪中を勧めた可能性は排除できない。

 

 

時期的には、トランプが中間選挙終盤で、選挙に夢中モードで、極東の小国(後でいつでもひっくり返せる)のことなどに構っている暇がない時期を狙っている。

とりあえず、一帯一路への賛同ではなく、一定条件を付した第三国支援という枠組みも評価に値するだろう。

 

 

訪中報道のおかげで、一帯一路が、支援先国家を借金漬けにして返済不能に追いやり、国家を乗っ取るという、商工ローン並の悪質なものであることを初めて知った。
なるほど、経済侵略主義というのはそういう意味か。なにやらIMFとそっくりである。
スリランカが借金のかたに港湾を乗っ取られたのを見て、マレーシアのマハティールが計画を返上したり、他の国でも縮小や見直しにかかっているそうである。

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日米FTAの交渉入り後に、中国排除の精神に反したことをすると、即、自動車関税の引き上げが待っているので(日米共同声明6項、7項)、交渉が始まる前の今しか、日中接近のチャンスがなかったこともあるかもしれない。

 

 

安倍晋三の訪中の成果の存否については、今後を見守るしかない。

11月2日(金)午後1時30分から2年振りにIWJでインタビューを受けることになったので、岩上安身さんにも評価を聞いてみたいところだ。

 

 

なお、米国の中国敵視がトランプ政権の外交戦略の要になっていることは、ペンス副大統領のハドソン研究所での演説(104日)で思い知らされる。この演説は、中国に対する非難に終始している。
中国国内の宗教的差別や政治的な不自由、IT監視による社会・世論支配、知的財産の剽窃、多額の補助金による産業育成、他国に対する過酷な介入、米国の内政に対する干渉など、40分以上にわたって演説したというが、読めば読むほどに「それって全部、米国の手口と一緒じゃん」と突っ込みたくなるほど粘着質な演説である。

海外ニュース翻訳情報局のサイトに下記の標題で全文が掲載されている。

【ペンス副大統領演説:全文翻訳】「中国は米国の民主主義に介入している」:ハドソン研究所にて

 

 

とりあえず極東の国民としては、新冷戦の前線をどこに引くつもりかが気になるところだったが、次のように述べている。
それって、一帯一路と完全にガチンコしてるやん。

このペンス演説は、冷戦の幕開けとなったチャーチルの鉄のカーテン演説(19463月)に比する向きもあるという。

 

 

自由で開かれたインド太平洋というビジョンを前進させるために、インドからサモアに至るまで、地域全体で価値観を共有する国々との間に、新たなより強固な絆を築いています。我々の関係は支配ではなく、パートナーシップの上に築かれた尊敬の精神から生まれています。

 

先週トランプ大統領が韓国との貿易協定の改善に署名したように、我々は二国間ベースで新たな貿易協定を締結しています。日本との自由貿易協定の歴史的な交渉をまもなく開始します。(拍手)

 

また、国際開発・金融プログラムの合理化を進めていることを報告します。我々は、中国の借金漬け外交に代わる公正で透明な選択肢を外国に与えるでしょう。実際、トランプ大統領は今週、BUILD Act (建設法) に署名する予定です。

 

来月、シンガポールとASEANAPECのパプアニューギニアで米国を代表することを名誉に思います。そこで私たちは、インド太平洋地域を支援するための自由でオープンな新しい対策とプログラムを発表する予定です。そして大統領の代理として、インド太平洋へのアメリカのコミットメントがこれまでにないくらい強いものであったというメッセージを伝えます。(拍手)

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