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2018年11月の4件の記事

2018年11月15日 (木)

マイナンバー提供お断り 書式

今年もマイナンバーの提供依頼が届く季節になったので、昨年作った書式を引っ張り出してきた。

これで、お断りする。

特定個人識別番号について、マイナンバー等という戦略用語に乗せられた段階で、アウトなんだよなぁ、反対運動は。

それでも可能な限り、抵抗を続ける、と。

 

 

 

冠省 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

 

 さて、貴社からの特定個人識別番号の提供のご依頼についてですが、提供できません。

 

 行政手続における特定の個人を識別する番号の利用等に関する法律には、源泉徴収をされる側についてこれを提供することを義務付ける規定はありません。

 

 特定個人識別番号は、高度にプライバシーと関わる情報であり、住基ネットの合憲性に関する最高裁判決に照らしても、特定個人識別番号法は、合憲性に関する疑いのある法律であると考えられるところです。

 

 したがいまして、貴社からの上記ご依頼はお断り申し上げますので、ご理解をお願い申し上げます。 

草々

 

 

最近は、冠省(拝啓も)、時候の挨拶、草々(敬具)とか付かない文書が増えてきている。

したがって、もっと省いてもよいけど、つい昨年まで、封筒の封の部分には〆の記入をしていた古風な僕は、相変わらず、冠省といいながら、貴社益々ご清栄のことと云々などと書いている。

 

 

なお、事業者本人については、税務当局等に対する自分の番号の提供義務はあるが、罰則はないし、何の不利益も課さないという方針に変わりはないと思う。 

マイナンバー 朗報!事業者も不要・各省庁がお墨付き 最善の対策は何もしないこと


 

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2018年11月12日 (月)

醍醐總先生の外務省直撃インタビュー  韓国大法院徴用工(強制労働)訴訟判決に対する日本政府の対応について

いや、こんな手があったか。

思いつかなかったのは、不覚である。

醍醐總先生の直撃インタビューに、外務省は、しどろもどろに見える。

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総理、外務大臣、官房長官と続けざまに正規の外交ルートによらずに、外野から無理難題ないちゃもんをつけるような意見表明をしているので、外務省としても苦労している様子がうかがわれる。

 

 

「こうした日本のマスコミの政権追随報道を正すのは日本の市民の務めである」との醍醐總聡先生のお覚悟に、深く敬意と感謝を表したい。

 

 

外務省条約課・国際法課と交わしたやりとりメモ~元徴用工の賠償請求について~

20181112

 今日の1420分頃、件名のことで外務省の代表番号に電話したところ、北東アジア課→条約課→国際法課、と3つ課の担当職員と延べ約30分間やりとりする結果になった。
 以下は、中身のやりとりをした2つの課の応対者との問答メモである。


 (醍醐) 外務省ですね。日本政府は(韓国最高裁が下した)元徴用工の賠償請求判決について「国際法に明確に違反している。毅然と対処する」と発言しています。政府が言う「国際法」とは何を指すのか、マスコミは伝えていないのでわかりません。それを教えてほしくて電話しました。

 (代表) お待ちください。

 (北東アジア課) 北東アジア課ですが。

 (醍醐) <先ほどの用件の繰り返し> 政府が言う「国際法とは何を指しているのですか?

 (北東アジア課)その件でしたら、私どもではなく、条約課ですので、そちらに回します。

条約課とのやりとり

 (条約課) 韓国の最高裁で判決が確定した時点で、(1965年の)日韓請求権協定に違反する状態になったので、政府としてそのような発言をしています。

 (醍醐)とすると、政府が言う「国際法」とは1965年の日韓協定を指しているということですか?

 (条約課) そうです。

 (醍醐) 「国際法」というと、多国間の法のことかと思ったのですが、そうではなくて、日韓2国間の協定のことなのですね?

 (条約課) そうです。

 (醍醐) その点は、外務省の理解は事実としては分かりました。
 他方、外務省は1990年頃、国会で、日韓協定で国の外交保護権は消滅したが、個人の賠償請求を消滅させたものではないと複数回、答弁しています。たとえば柳井(俊二)さんは伊東秀子議員、土井たか子議員の質問に対して、そのように答弁されています。
 そうした外務省の国会答弁と今回の政府発言は、どのような関係になるのですか?

 (条約課)その点はこの課ではなく、国際法課になりますので、回します。

 <国際法課に転送される>

国際法課とのやりとり

 (醍醐)<上と同じ質問>

 (国際法課) 日韓協定で完全かつ最終的に解決済みということです。外交保護権と個人の請求権に関する解釈は、お話しのとおりですが、個人の請求権も含めて解決済みということです。

 (醍醐) しかし、外交保護権は消滅したとしても、今回の裁判は韓国の個人と日本の企業間の争いです。とすれば、個人の賠償請求権は消滅していないと言いながら、解決済みというのでは一貫しないと思いますが。

 (国際法課)個人は裁判所に訴えることはできても「出口」はなくなっているということです。

 (醍醐)「出口」? 出口がなくなっているようなら、請求権がないのも同然で、無理な解釈ではないですか?
 日本政府は韓国政府に対して善処をと言っていますが、韓国政府に対して、司法当局に働きかけを求めるような発言は韓国での三権分立を否定するに等しく、おかしな発言ですよ。

 (国際法課)おっしゃっている意味は分かりますが・・・

 (醍醐)河野外務大臣はずいぶん、強気の発言をされていますが、大丈夫なんですか? 専門の職員の方からご覧になって、どう思われますか?

 (国際法課)・・・・

 (醍醐)政府は賠償請求を受ける日本企業を集めて、説明会を開き、請求に応じるな、と言っていますが、それこそ、日本企業に対して、消滅したはずの外交保護権を使っていることになりませんか?

 (国際法課)それは外務省ではなく、政府がやっていることなので・・・・

 (醍醐)最後ですが、そちら様のお名前を教えていただけませんか? 私も名前を伝えますので。
 (国際法課)名前は伝えないことになっていますので。

 (醍醐)そうですか、ありがとうございました。

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強気に反して拠り所を欠いた日本政府の対韓逆切れの言動

 「国際法に反する」と日本政府が連日、声高に発言するので、何か具体的な「国際法」があるのかと確かめたら、1965年の日韓協定のことだった。それなら、あえて「国際法」と語らなくても済む話である。

 私の一番の関心事だった、日韓請求権協定で個人の賠償請求権まで消滅したわけではないというこれまでの外務省の国会答弁と、政府がいう「国際法違反」は、どうつながるのか、について、外務省の担当課の説明は結局、「日韓協定で完全かつ最終的に解決済み」という空回りの説明だけだった。
 これでは、日韓請求権協定で個人の賠償請求権まで消滅したわけではない、という外務省の見解と全くつじつまが合わない

政府の強気の発言に追随する日本のマスコミ

 日本のマスコミは、今回の韓国最高裁(大審院)の判決を受けて、連日、「韓国大統領府 沈黙 元徴用工判決 対応に苦慮」(『朝日新聞』2018114;「韓国政府 対応に苦慮」(『東京新聞』2018111日;「韓国最高裁の徴用工判決 条約の一方的な解釈変更」『『毎日新聞』20181031日、社説、などと韓国政府の状況を伝えている。

 これまでの韓国政府の対応を辿ると、そのような状況があることは間違いない。
 しかし、それなら、日本政府の自信満々の発言に確たる根拠があるのか・・・・この点を日本のマスコミはなぜ検証し、真相を伝えないのか?
 そもそも、今回の裁判は、韓国の個人と日本の企業の間で争われた事件であって、国と国の係争ではない。
 そのような基礎的事実を国家間の係争かのようにすり替えて、強気の発言を繰り返す自国政府の対応に引きずられるように、追随する日本のマスコミに「自立」した報道は見る影もない。
 こうした日本のマスコミの政権追随報道を正すのは、日本の市民の務めである。

 

 

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醍醐先生は、東京新聞の論調も批判しておられる。
確かに不十分であるが、しかし東京新聞は他紙に比べれば、冷静だというのが街弁の評価だ。
判決翌日10月31日の東京新聞の社説を掲げておこう。
論調が、韓国非難一色の他の全国紙とは全く違うと、僕は思う。
日本政府は、東京新聞だけ消費税をかけるなどという暴挙をしないよう、あらかじめ警告しておく。

元徴用工判決 日韓摩擦減らす努力を

 

 原告は朝鮮半島の植民地時代に強制労働をさせられたとして補償を求め、日本国内で提訴。敗訴したため、韓国で裁判を起こした。

 日本政府は、元徴用工の対日賠償請求権問題に関しては一九六五年の日韓国交正常化に伴って結ばれた請求権協定で「完全かつ最終的に解決した」ことを確認している。

 ただ、日本政府は国会答弁で、個人が賠償を求める「請求権」自体は残っているとも説明してきた。個人が賠償を求めて提訴はできるが、日本側には賠償責任はない、との考え方だった。

 韓国の政府、司法も同じ解釈を取っていた。ところが韓国大法院(最高裁)が二〇一二年五月、元徴用工の請求権を初めて認める高裁差し戻し判決を言い渡し、問題が再燃した。

 この日の判決も、「賠償請求権は、協定には含まれない」と踏み込んでおり、日本側からは、請求権協定を否定したものだとの批判が出ている。

 河野太郎外相も確定判決を受けて、外務省に韓国の李洙勲(イスフン)駐日大使を呼び、「国際社会の常識では考えられないことが起きた」と抗議した。韓国政府は司法の判断に従う方針だが、日韓関係を踏まえた慎重な対応を求めたい。

 一方で、元徴用工による裁判は新日鉄住金、三菱重工業など約七十社を相手取って計十五件にのぼり、原告は千人近くになる。

 戦後七十年以上たって、いまだに訴訟が続く背景も考えたい。過酷な環境で働かされたことを法廷で証明し、謝罪を受けたいという原告の切実な思いがあるのだ。

 原告の一人は「一日十二時間働かされた」と証言した。国家間の協定の陰で後回しにされてきた心の痛みを、無視できるだろうか。

 日韓間では、最近も自衛艦旗や、竹島問題をめぐりぎくしゃくが絶えない。しかし、北朝鮮問題をはじめ両国の協力は欠かせない。

 原則論をぶつけ合うだけでなく、原告と被告企業をつなぐ接点はないか、政府レベルでも探る必要があるだろう。例えば基金をつくって賠償をする方式も、専門家の間で論議されているという。

 摩擦を拡大させず、冷静に和解策を探ってほしい。

 
大法院判決やこれに対する日本政府の対応については、いずれ時間のあるときに整理したいと考えているが、手続き的に政府が「国際司法裁判所への提訴」なる発言を繰り返していることについて、一言だけ述べておきたい。

日韓請求権協定3条で、日韓請求権協定の解釈に関して紛争が生じた場合は、まず外交ルートで解決を試み、交渉が不調になった場合は、仲裁委員会を立ち上げて、仲裁委員会の判断に従うという合意になっている。

二国間の特別な解決手続きについての合意があるにも関わらず、日本政府が国際司法裁判所への提訴に言及していることは、まったく意味不明である。
仮に国際司法裁判所に提訴しても、仲裁合意が存在するという点だけで却下をまぬかれない。
仲裁合意がある場合の国際司法裁判所の管轄については、国内法と同様であるから、合意された手続によらない提訴は却下される。
仲裁委員会が自国が選ぶ委員も含め、さらに日韓両国の合意で選ぶ委員も含め、みんながみんな韓国紙府の味方で韓国政府の言いなりになることが2万%確実であって公正な判断を望む余地が2万%ないとか、よほど特殊な事情を主張しない限り、却下はまぬかれない。

自ら、日韓請求権協定に反した発言を繰り返して、国際的信用を貶めているのは、日本政府自身である。


日韓請求権協定第三条

1 この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。

2 (仲裁委員会の設置について)

3 (仲裁委員会の設置に関する補足規定)

4 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。

 
 
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2018年11月 6日 (火)

隠蔽される日本企業の劣化  台湾新幹線事故

台湾脱線事故で発覚した日本製車両の設計ミスはどの程度重大か
ダイヤモンドオンライン2018.11.4

1021日に発生した、台鉄(台湾鉄路管理局)の特急列車「プユマ号」の脱線事故について、車両を製造した日本車両製造は1日、車両の安全装置に設計ミスがあったと発表した。

 

 同社によると、車両に搭載されたATP(自動列車防護装置)と呼ばれる安全装置には、運転士が装置を切った場合、運転指令所に自動的に通報される機能が付加されていたが、配線ミスにより正常に送信されなかったという。

Taiwansinkasenjiko

 

 

 

あぁ、また日本製造業の失墜。
しかも、海外で露わに。
戦後日本は、海外で、武器では人を殺してこなかったかも知れないが、技術で人を殺してしまった。

日本車両はJR東海の子会社だ。

(大深度地下を走るリニアでも起こる事故だ。リニアで事故が起きたら、どうやって、救出作業をするのだろう。)

 

 

あ、日本人は知らなくっていいよ。だって「日本は海外でもすごいと思われてる」と、信じ込ませておくことにしてあるから。

 

勝った、勝ったで、日本はすごいと信じ込んだまま敗戦に突き進んでいくことに今回のシナリオでも決めてあるから。(「滅びるね」)

 

 

・・・・・・・・・・・
日本車両の実績をWikipediaからPDFにしたものを貼り付けておく。
膨大な鉄道群である。

日本車両の実績

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

眺めるだけで気が遠くなる。
気が遠くなるほどの影響が及びかねない大事故であるのに、メディアはほぼ一様に沈黙している。

 

 

検索をかけてすぐに分かる範囲で、このニュースを取り上げたマスコミは、NHK、朝日新聞、日テレがある。それぞれ、一応、報道したらしいが、ニュースバリューの大きさとは、ほど遠い雑ニュース扱いであり、続報は出ない。

台湾 脱線事故 日本車輌が「設計ミスあった」と発表
NHK2018年11月1日 23時09分

台湾で特急列車が脱線し、18人が死亡した事故をめぐり、列車を製造したJR東海の子会社、「日本車輌製造」は、列車を自動的に制御する安全装置が作動していないことを知らせる仕組みに設計ミスがあったと発表しました。

台湾北東部で先月21日、8両編成の特急列車が脱線した事故では、乗客18人が死亡し、200人以上がけがをしました。

この事故をめぐり、列車を製造した「日本車輌製造」は1日、列車を自動的に制御する安全装置の作動状態を知らせる仕組みに設計ミスがあったと発表しました。

会社によりますと、本来、安全装置が作動しなくなると、列車から指令部門に自動で通知される仕組みだということですが、設計ミスが原因で通知できなくなっていたということです。

事故原因の究明に当たっている現地の当局の調査では、事故の30分ほど前にこの安全装置が切られていたことがわかっているほか、運転士も検察当局の調べに対し、事故の前に装置を切ったことを認めています。

設計ミスがなければ、より早い段階で、安全装置が切られていたことが把握できた可能性もあり、日本車輌製造は「原因を究明し、再発防止に努めたい」とコメントしています。

当初大きく報じられ、ワイドショーすら取り上げた事故だが、日本車両の設計ミスが事故の原因である可能性が浮上した途端に、「見て見ぬ振り」をすることが各局、各紙の基本方針になった(に違いない)。

 

 

日本政府は、2016年春までに政府に批判的なキャスターを政府公認メディアからほぼ一掃した。国谷裕子氏ほどの力量あるキャスターが未だに干され続けているのは想像するだけでやるせなくなる。

(現在、ジャーナリズムと呼ぶに値する番組は管見の範囲ではあまり視聴率の稼げない土曜夕方放送のTBS報道特集しかない)

2018年10月の番組改編からは、さらに新たな報道コードが加わり、「日本はすごい」に抵触する可能性のある報道は自粛することとなった(らしい)。

 

 

雑メディアの中には、こんな見出しの記事もある。

「日本産」が死傷者数を抑えた?台湾脱線事故車両の「遊び」の構造

この記事は、メディアが政府に干渉されないためには必要な報道コードとして、「海外のいかなる事件事故ついても日本を美化すること」が近い将来に付け加わる可能性を示唆している。

Taiwansinkansensintyou

 

 

さらに加えて言えば、日本車両の親会社であるJR東海の名誉会長葛西敬之氏は、安倍総理の盟友である。

安倍総理の盟友の評価を低めてはならないとの報道コードが定められたのは、もうずいぶんと前のことのようだ。

 

 

かくして、「勝った、勝った、日本はすごい」と浮かれている間に、敗戦へとまっしぐらに進んでいくというシナリオは、80年前と同じであり、もう我々は逃れる術もないようにすら見えてくる。
中国の高速鉄道は、新幹線をしのぐ最高時速300キロ、総延長は、他の世界各国の高速鉄道の総延長に匹敵するなどということは、日本国民に知らされるはずもない。
日本国民は、中国蔑視報道に酔いしれていればよいのだ。

 

 

「いいですか、常に小さな火から始まるのです。
そして闘えるのは、火が小さなうちだけなのです。
やがて点として置かれた火が繫がり、風が起こり、風がさらに火を煽り、大火となればもはやなす術はない。
もう誰にも、どうすることもできないのです」

という太田愛さんのメッセージのどの時点に、我々はいるのだろうか。

そういえば、太田愛さんが、各紙の書評欄から閉め出されるきっかけとなったデビュー作「犯罪者」(KADOKAWA)は、東京郊外の駅前広場で起きた無差別殺傷事件の謎解きという壮大なミステリーと企業犯罪の隠蔽を結びつけたものだった。
企業犯罪の隠蔽の場面は、極めてリアリティがあって、まるで今の企業社会の劣化ぶりを見せつけられるようだ。
だからだろう、マスコミの書評から太田愛さんは徹底して閉め出されている。

 

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2018年11月 1日 (木)

民族と被害  再び

新日鉄徴用工事件に対する韓国大法院の判決が出され、韓国批判・非難・誹謗の嵐が起きている。

「韓国政府の責任で解決すべきだ」等という言説が蔓延すると、目がくらむ思いだ。

つまりは、行政府が司法府に介入せよと求めているわけで、三権分立の侵害を隣国に対して求めている。民間企業である新日鉄に対して被害者側が強制執行をかけたら、韓国政府がそれを止めろとでも言うのであろうか。

一流メディアの高度の知性をお持ちの方々が、近代国家以前の国家観しかお持ちでないとすると、日本の行く末は本当に危ういと思う。

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世に流布している議論は、ほとんど全て、誤った認識の上に立っていると考えてよい。

3歩歩けば忘れる」ということわざがあるらしいが、この国のメディアは、たった10年ほど前に我が国の最高裁が下した判決(平成19427日最判・西松建設事件判決)の内容すら、忘却の彼方らしい(同判決は不法行為による請求権の存在を認めたが、訴権が失われたとし、当事者に自発的な解決を促した)。

 

 

以下に、僕が年ほど前に書いたブログ記事を改めて、貼り付けておきたい。

このときと、僕の思いは全く変わらない。

むしろ深まってしまったと言ってよい。

 

なお、末尾の弁護団・支援する会共同声明の法的根拠の詳細は2013111日付のブログ記事に補足したので、関心のおありの方はそちらも参照して頂けると幸いである。

 

 

 

民族と被害 だから私は嫌われる 

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僕が、15年にわたって、関わってきた韓国の強制労働被害者の損害賠償請求事件の判決が11月1日に韓国光州地方裁判所で言い渡される予定だ。

 

 

強制労働による損害賠償を求める事件で、日韓の裁判所で結論が食い違うことが、民族的な対立を生んでいる。

僕は、極めて不本意だ。

日韓の民族的対立が煽られることは、日本の将来にとっても、決して好ましいとは思わない。

 

 

僕が知る限り、日本の裁判所の多くは真摯に被害に向き合い、一部の判決は、不法行為の成立を認めていた。

請求を排斥した理由は、時効や、企業再建整備法等によって新会社と旧会社に分割したので、加害企業と現在の企業は別法人であるとか様々だった。

 

 

最終的には、日韓請求権協定によって、「裁判所に訴える権利」がなくなったとする理由に落ち着いた。

(この理由付けは日中共同声明に関する中国人被害者の例と同様である)

請求権は存在するが、「裁判所に訴える権利」だけはなくなったというのである。

韓国の裁判所は請求権があるから勝訴させている。

結論ほどには、日韓の裁判所の判断は開いていない。

むしろ、日本の裁判所の判断の方が、不法行為による損害賠償請求権の存在を認めながら、「裁判所に訴える権利」だけを否定している点で、特殊技巧的であり、政治的な配慮を感じさせる。

しかし、なかなかそうした実態が伝わらず、結論の違いだけが、大きく取りざたされる。

そして日韓の間の感情的な対立に発展している。

(感情的対立に発展するように仕組まれている)

 

 

日本で裁判をしていた頃、日経や読売を含め、ほぼ全ての新聞は、原告らの被害に共感を寄せて多くの記事を書いてくれた。

 

 

僕は、せめてもう一度、被害者個人の立場に立って、ものを考えるだけの寛容性を日本社会が取り戻してくれることを願っている。

人権という観点からすれば、何らかの救済が必要なまま推移してきたのは、否定しがたい事実だと考えるからだ。

 

 

そうした考えに基づき、以下の文書を弁護団は発表している。

 

 

ここでは、具体的には述べていないが、日本政府、日本の加害企業、韓国政府、受益企業(請求権資金で潤った企業をいう)の4者、それぞれに責任があることを踏まえ、4者の拠出する基金による被害救済という問題の抜本的解決を構想している。

提訴が相次ぐような事態を避けたい筈の加害企業の予測可能性を担保する上でも、こうした基金構想は有益でる。ドイツの『記憶・責任・未来』基金などの先例もある。

この基金による解決の構想は、むしろ韓国の弁護団から提示されており、日韓の弁護士や運動体の間では共通の構想となっている。

 

 

----------------------------------------------

 

PDFはこちら

 2013年10月14日

              名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟弁護団

              名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会

 

 強制労働関係韓国裁判所の判決に関するマスメディアの論調に関する意見

 

 1 問題の所在

  戦時中、日本に徴用された韓国人労働者が新日鐵、三菱重工業に損害賠償を求めた裁判で、韓国の高等裁判所が相次いで賠償を命じたことが、議論になっている。

  国内世論は、徴用工などの問題は、日本の裁判で最高裁で敗訴が確定しているのだから、このような矛盾した判決は日韓の間に新たな緊張をもたらすものとして、批判的な論調が一般的だ。批判の根拠は判決の結論的な食い違いのほか、日韓請求権協定で日韓両国間及び日韓両国民の間の権利及び請求権の問題が、完全かつ最終的に解決したと明記されていることを根拠とするものが多い。

  私たちは、一貫して人権尊重の立場から韓国の強制労働被害者の救済に取り組んできた。被害者の人権の観点から意見を表明したい。

 

 2 日韓請求権協定における「5億ドル」について

  まず、多くのメディアが、事実関係として誤解を生みかねない報道をしていることを指摘したい。

  多くの場合、強制労働被害者の問題が解決したとされる根拠に日本が日韓請求権協定に従い、韓国政府に3億ドルを供与し、2億ドルを低利で貸し付けたことが挙げられる。5億ドルの提供と引き換えに被害者の請求権問題は解決したとする論調であるが、この点は多分に誤解を招きかねないことを懸念する。

  5億ドル提供の事実は、韓国政府が責任を負うべき立場にあることを指摘する理由にはなるが、個々の被害者に対して、加害企業や日本政府の責任を免責する十分な理由にはならない。

  日韓請求権協定では5億ドルは現金で払われるものとされていない。「日本国の生産物及び日本人の役務」で提供するとされている。5億ドル相当の円に等しい「日本国の生産物及び日本人の役務」が提供され、あるいは貸与されるとしている。しかも、「前記の供与及び貸付けは、大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない。」とされており、少なくとも法的には、5億ドルは被害救済に充ててはならない経済協力資金である。被害者に対する賠償に充てられる余地のない「経済協力資金」の枠組みは日本政府が主導したと言ってもよい。

  「日本国の生産物及び日本人の役務」で5億ドル相当を供与・貸与するのであるから、当然、経済協力資金によって、どのような事業を行うか両国の協議が必要となる。日韓請求権協定では、実施のための日韓合同委員会を設置することを定めるとともに、実施のための取り決めを別に行うことを規定している。経済協力資金によって展開される事業については日本政府も関与する仕組みになっていたのである。

  つまり、日韓請求権協定上、5億ドルは、個人の被害の回復とは全く無関係である。

  5億ドルは、ダム、道路などインフラの整備に当てられ、日本の生産物及び日本人の役務が提供され、貸与された。韓国最大の製鉄所である浦項製鉄所はこの請求権資金を使って築造され、築造工事は強制労働加害企業である新日鐵株式会社の前身に当たる会社が受注している。加害企業は、韓国人に強制労働を強いて利益を挙げ、請求権資金によってさらに利益を挙げたのだ。

  高度成長を実現して、政権基盤を確立した韓国政府に強制労働被害者の救済のため相応の責任を果たすべき責任があることは明らかである。しかし、韓国一般の社会生活が向上したのだから、人権侵害の被害者である個人に対して、日本政府や加害企業の加害責任の問題が解決されたというのは無理がある。

  韓国政府は強制労働問題については相応の責任を果たすことを表明している。また経済協力資金によって利益を受けた代表的な韓国企業であるポスコも強制労働問題の解決のために資金を提供することを明言している。問われるのは日本政府及び日本の加害企業の姿勢である。

 

 3 サンフランシスコ平和条約

  それでは、日韓請求権協定による「解決」が、なぜ被害者を排除するような「日本国の生産物と日本人の役務」で行われることになったのだろうか。

  この問題は、戦後日本が主権を回復して国際社会に復帰したサンフランシスコ平和条約までさかのぼらざるを得ない。日本の判決も、日韓請求権協定はサンフランシスコ平和条約による枠組みに沿うものであると指摘している。

  サンフランシスコ平和条約では、日本には戦争賠償を負担するだけの経済力がないことが確認され、賠償問題は被害国と日本との二国間で解決すべきものとされた。その結果、アメリカを初めとする多くの西側先進国は日本に対する賠償を放棄した。また、対日賠償を求める場合でも、「日本人の役務」による形式に限定された。

  その後、日本は主として東南アジア諸国との間で二国間の賠償交渉を進めたが、これらの賠償は、いずれも日本人の役務提供によりダムや発電所などのインフラの建設などの形で行われた。また、これらの事業を受注する中には日立や東芝、三菱等、戦争により利益を得た企業が含まれ、これらの企業に製品の製造を注文して発電機等を製造させて被害国に無償で輸出し、被害国に発電所を建設するといったことが「賠償」であった。

  いうまでもないが、ここには、戦後秩序に関するアメリカの思惑が作用している。

  サンフランシスコ平和条約と同時に発効した日米安全保障条約により、アメリカは、日本の独立後も全土に米軍基地を置くことを可能にした。他方、日本を駐留米軍の補給基地とするためには日本の経済復興が必要であった。そのためにアメリカは、日本に対する戦争賠償を大幅に軽減させた上、経済復興に有益な役務賠償の方法に限定したのである。

 

 4 結論

  以上のように、サンフランシスコ平和条約の枠組みによる限り、戦争被害者個人に対する賠償は基本的になされない仕組みになっていた。

 

  被害者の人権は置き去りにされたのである。

 

  とりわけ直接的に甚大な人的被害が発生していた韓国や中国における問題は深刻である。両国との国交回復に当たっては、両国が何ら関与していないサンフランシスコ平和条約の枠組みが適用されたことから、多数の被害者の救済が置き去りにされた。被害者の人権が基本的に回復されないまま長い期間が推移したのは厳然たる事実である。

  ここに、戦後70年近くを経て、なお私たちが韓国被害者の訴えに直面せざるを得ない根本的な理由がある。

  サンフランシスコ平和条約を初めとする冷戦下のアメリカの対日政策が、いわば冷戦の果実として日本の経済的繁栄を支える一つの要因となった。

  アメリカの国力が相対的に低下し、アジア諸国が台頭する中、私たちは多極化が想定される新たな世界秩序に直面しようとしている。

  近隣諸国との友好関係の確立は決定的に重要である。

 

  人権という普遍的価値を再確認し、人権を基本的価値とする友好関係を韓国との間で結ぶことができるかは、私たち自身の切実な課題でもある。

 

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