女子勤労挺身隊事件に関する韓国大法院判決に対するコメント
戦時中、我が国は不足する労働力を補うため中国や韓国等の人々を強制的に動員して、各地の軍需工場や鉱山などで劣悪な労働条件のもとで過酷な労働を強いた。
特に末期には幼い少女までもを動員し、その結果、彼女らの人生を奪うに等しい被害を与えた。
本件勤労挺身隊原告らについては強制連行、強制労働であったと断定する名古屋高等裁判所の平成19年5月31日判決が確定している。
そうした結末が言語に絶する凄惨な敗戦であった教訓は、労働力不足を理由とする外国人労働者の移入拡大が議論されている今こそ生かされなければならない。
今回、韓国大法院において勝訴判決を受けた原告らは日本の裁判所において10年(1999年3月1日提訴、2008年11月11日最高裁決定)にわたる困難な裁判を戦ったが、報われることがなかった。
最高裁における敗訴が確定した後も三菱重工に対して粘り強く和解解決を求め続け、2010年から2012年にかけては2年に及ぶ三菱重工との話し合いも行った。原告らに対する賠償はもとより、基金方式など一切の補償を拒む三菱重工の頑なな対応のためやむなく韓国国内における提訴を選択せざるを得なかったものである。
今回、大法院において勝訴が確定したことについては、心からおめでとうという言葉を原告らに送るとともに、これまで20年に及ぶ原告らのご苦労を深く労いたい。
三菱重工に対しては、上記名古屋高裁判決において「個人の尊厳を否定し、正義・公平に著しく反する不法行為」であると断定された本件に、真摯に向き合って反省し、人道の名に恥じない解決を図ることを強く要求する。
=============コメント終わり======================
上記コメントは、大法院判決の結果に関する第一報を受けて、判決の日本語訳のない状態において名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟(日本訴訟)弁護団事務局長として、その結論に対してコメントしたものである。
なおマスコミ記者各位におかれては、
当ブログの「民族と被害 再び」
及びユーチューブに投稿されている徴用工大法院判決に関する動画(6分弱「1945年への道」制作)
徴用工大法院判決に対する有志弁護士の声明
を是非、ご覧いただいて、この問題に対する的確な理解を深めていただくことを強く希望します。
この問題の帰趨が今後の日本の行方を大きく左右しかねないことを危惧するがゆえに冷静かつ的確な報道がなされることを強く望むものです。
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