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2019年4月の1件の記事

2019年4月12日 (金)

WTO 日本は世界と戦って敗れた  安倍政権の国際感覚の欠如と失政

韓国が採った福島県を中心とした東北・関東地方産の水産物の輸入制限措置を、日本政府が2015820日、WTOの紛争解決機関に対して、提訴したケースについて、411日、WTOの上級委員会は、韓国の措置を違法とした一審パネルが下した判断を覆し、日本の請求を斥け、日本の敗訴が確定した。

 

 

私はこの決定を歓迎する。

WTOもたまにはまともな判断をするという印象である。

このことは日韓の立場を逆にして考えてみれば、容易に理解できるはずだ。日韓の立場が逆だったら、日本政府が韓国の原発事故の甚大さとその後の措置の拙劣さを踏まえて国民の生命、健康、食の安全を守るために採った措置が違法とされることに多くの日本人は納得できないだろう。

 

現時点では判断理由は報道されていないが、この決定は、WTOの基本的ルールであるSPSルール(食の安全より貿易の自由を優先させ、輸入制限措置を採るためには有害であることの「十分な科学的証拠を示す」ことを求める)に風穴を開ける可能性があるように感じている。

そうであれば、有害性が「十分な科学的証拠」をもって明らかにはされていない遺伝子組換え食品に対しても、しかるべき政府は、WTO紛争に巻き込まれることを恐れず、国民の不安に応えて、輸入禁止措置を採ることが可能になるだろう。

 

 

理由の詳細は報道されておらず、内容を検討する時間的ゆとりがないので、内容にわたる部分については印象を述べるにとどめておく。

とくにブログを更新する必要を感じたのは、このケースがまるで日本と韓国の間でのみ争われ、日本が敗訴したかのように報じられている点に強い懸念を覚えるからだ。

ひどい偏向である。

この偏向は、WTOで争われた問題の本質の理解にも関わるだろう。

 

 

WTOの紛争解決制度には、第三国の参加制度があり、利害関係を有する第三国は、他国間の紛争解決手続に参加することができる。

紛争解決手続で争われているのと同様の規制をしている国は、他の国の間の紛争であっても、自国の規制の適法性を認めさせるべく、他国間の紛争解決手続に参加できるようになっているのである。

 

 

韓国と同様に日本の水産物について放射性物質のおそれから輸入制限をかけている国は、日本経済新聞の記事によれば、現在22カ国であるとのことである。

輸入規制をかけている地域、魚種などはそれぞれ広狭があるが、たとえば米国などは、韓国とほぼ同範囲の広範囲の輸入規制をかけている。

したがって、米国は第三国として、この手続に参加している。

 

 

米国と同様に、このケースに参加した第三国には、次のようなメンバーが並んでいる。

 

 

EU、中国、ロシア、インド、台湾、カナダ、ブラジル、ニュージーランド、グアテマラ、ノルウェー。

 

 

米国、EU、中国、ロシア、インドと並べてみれば、日本は、「世界と戦った」と言ってよい。

しかも、日本は、食の安全を守るために放射性物質を含む懸念がある水産物の輸入を制限した他国政府の措置を解除させて、安全が懸念される食品を輸入するように求めて戦ったのである。

そして、日本は世界と戦って、敗れたのである。
世界のために歓迎すべきだろう。

 

 

マスコミはこの事実を徹底して無視するようだ。まるで国家機密並みである。

 

 

安倍政権下の国際裁判で日本は敗訴を重ねている。

国民は、あたかも日本の敗北であるかのように受け止め、安倍政権が国際感覚からかけ離れた独善的な政府であることに責任を求めようとしない。

 

 

確認しておきたい。

今回のWTO紛争解決制度における敗訴は、安倍政権の傲慢がもたらした失政であり、安倍政権の敗訴なのである。

 

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