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カテゴリー「ニュース」の351件の記事

2018年11月12日 (月)

醍醐總先生の外務省直撃インタビュー  韓国大法院徴用工(強制労働)訴訟判決に対する日本政府の対応について

いや、こんな手があったか。

思いつかなかったのは、不覚である。

醍醐總先生の直撃インタビューに、外務省は、しどろもどろに見える。

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総理、外務大臣、官房長官と続けざまに正規の外交ルートによらずに、外野から無理難題ないちゃもんをつけるような意見表明をしているので、外務省としても苦労している様子がうかがわれる。

 

 

「こうした日本のマスコミの政権追随報道を正すのは日本の市民の務めである」との醍醐總聡先生のお覚悟に、深く敬意と感謝を表したい。

 

 

外務省条約課・国際法課と交わしたやりとりメモ~元徴用工の賠償請求について~

20181112

 今日の1420分頃、件名のことで外務省の代表番号に電話したところ、北東アジア課→条約課→国際法課、と3つ課の担当職員と延べ約30分間やりとりする結果になった。
 以下は、中身のやりとりをした2つの課の応対者との問答メモである。


 (醍醐) 外務省ですね。日本政府は(韓国最高裁が下した)元徴用工の賠償請求判決について「国際法に明確に違反している。毅然と対処する」と発言しています。政府が言う「国際法」とは何を指すのか、マスコミは伝えていないのでわかりません。それを教えてほしくて電話しました。

 (代表) お待ちください。

 (北東アジア課) 北東アジア課ですが。

 (醍醐) <先ほどの用件の繰り返し> 政府が言う「国際法とは何を指しているのですか?

 (北東アジア課)その件でしたら、私どもではなく、条約課ですので、そちらに回します。

条約課とのやりとり

 (条約課) 韓国の最高裁で判決が確定した時点で、(1965年の)日韓請求権協定に違反する状態になったので、政府としてそのような発言をしています。

 (醍醐)とすると、政府が言う「国際法」とは1965年の日韓協定を指しているということですか?

 (条約課) そうです。

 (醍醐) 「国際法」というと、多国間の法のことかと思ったのですが、そうではなくて、日韓2国間の協定のことなのですね?

 (条約課) そうです。

 (醍醐) その点は、外務省の理解は事実としては分かりました。
 他方、外務省は1990年頃、国会で、日韓協定で国の外交保護権は消滅したが、個人の賠償請求を消滅させたものではないと複数回、答弁しています。たとえば柳井(俊二)さんは伊東秀子議員、土井たか子議員の質問に対して、そのように答弁されています。
 そうした外務省の国会答弁と今回の政府発言は、どのような関係になるのですか?

 (条約課)その点はこの課ではなく、国際法課になりますので、回します。

 <国際法課に転送される>

国際法課とのやりとり

 (醍醐)<上と同じ質問>

 (国際法課) 日韓協定で完全かつ最終的に解決済みということです。外交保護権と個人の請求権に関する解釈は、お話しのとおりですが、個人の請求権も含めて解決済みということです。

 (醍醐) しかし、外交保護権は消滅したとしても、今回の裁判は韓国の個人と日本の企業間の争いです。とすれば、個人の賠償請求権は消滅していないと言いながら、解決済みというのでは一貫しないと思いますが。

 (国際法課)個人は裁判所に訴えることはできても「出口」はなくなっているということです。

 (醍醐)「出口」? 出口がなくなっているようなら、請求権がないのも同然で、無理な解釈ではないですか?
 日本政府は韓国政府に対して善処をと言っていますが、韓国政府に対して、司法当局に働きかけを求めるような発言は韓国での三権分立を否定するに等しく、おかしな発言ですよ。

 (国際法課)おっしゃっている意味は分かりますが・・・

 (醍醐)河野外務大臣はずいぶん、強気の発言をされていますが、大丈夫なんですか? 専門の職員の方からご覧になって、どう思われますか?

 (国際法課)・・・・

 (醍醐)政府は賠償請求を受ける日本企業を集めて、説明会を開き、請求に応じるな、と言っていますが、それこそ、日本企業に対して、消滅したはずの外交保護権を使っていることになりませんか?

 (国際法課)それは外務省ではなく、政府がやっていることなので・・・・

 (醍醐)最後ですが、そちら様のお名前を教えていただけませんか? 私も名前を伝えますので。
 (国際法課)名前は伝えないことになっていますので。

 (醍醐)そうですか、ありがとうございました。

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強気に反して拠り所を欠いた日本政府の対韓逆切れの言動

 「国際法に反する」と日本政府が連日、声高に発言するので、何か具体的な「国際法」があるのかと確かめたら、1965年の日韓協定のことだった。それなら、あえて「国際法」と語らなくても済む話である。

 私の一番の関心事だった、日韓請求権協定で個人の賠償請求権まで消滅したわけではないというこれまでの外務省の国会答弁と、政府がいう「国際法違反」は、どうつながるのか、について、外務省の担当課の説明は結局、「日韓協定で完全かつ最終的に解決済み」という空回りの説明だけだった。
 これでは、日韓請求権協定で個人の賠償請求権まで消滅したわけではない、という外務省の見解と全くつじつまが合わない

政府の強気の発言に追随する日本のマスコミ

 日本のマスコミは、今回の韓国最高裁(大審院)の判決を受けて、連日、「韓国大統領府 沈黙 元徴用工判決 対応に苦慮」(『朝日新聞』2018114;「韓国政府 対応に苦慮」(『東京新聞』2018111日;「韓国最高裁の徴用工判決 条約の一方的な解釈変更」『『毎日新聞』20181031日、社説、などと韓国政府の状況を伝えている。

 これまでの韓国政府の対応を辿ると、そのような状況があることは間違いない。
 しかし、それなら、日本政府の自信満々の発言に確たる根拠があるのか・・・・この点を日本のマスコミはなぜ検証し、真相を伝えないのか?
 そもそも、今回の裁判は、韓国の個人と日本の企業の間で争われた事件であって、国と国の係争ではない。
 そのような基礎的事実を国家間の係争かのようにすり替えて、強気の発言を繰り返す自国政府の対応に引きずられるように、追随する日本のマスコミに「自立」した報道は見る影もない。
 こうした日本のマスコミの政権追随報道を正すのは、日本の市民の務めである。

 

 

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醍醐先生は、東京新聞の論調も批判しておられる。
確かに不十分であるが、しかし東京新聞は他紙に比べれば、冷静だというのが街弁の評価だ。
判決翌日10月31日の東京新聞の社説を掲げておこう。
論調が、韓国非難一色の他の全国紙とは全く違うと、僕は思う。
日本政府は、東京新聞だけ消費税をかけるなどという暴挙をしないよう、あらかじめ警告しておく。

元徴用工判決 日韓摩擦減らす努力を

 

 原告は朝鮮半島の植民地時代に強制労働をさせられたとして補償を求め、日本国内で提訴。敗訴したため、韓国で裁判を起こした。

 日本政府は、元徴用工の対日賠償請求権問題に関しては一九六五年の日韓国交正常化に伴って結ばれた請求権協定で「完全かつ最終的に解決した」ことを確認している。

 ただ、日本政府は国会答弁で、個人が賠償を求める「請求権」自体は残っているとも説明してきた。個人が賠償を求めて提訴はできるが、日本側には賠償責任はない、との考え方だった。

 韓国の政府、司法も同じ解釈を取っていた。ところが韓国大法院(最高裁)が二〇一二年五月、元徴用工の請求権を初めて認める高裁差し戻し判決を言い渡し、問題が再燃した。

 この日の判決も、「賠償請求権は、協定には含まれない」と踏み込んでおり、日本側からは、請求権協定を否定したものだとの批判が出ている。

 河野太郎外相も確定判決を受けて、外務省に韓国の李洙勲(イスフン)駐日大使を呼び、「国際社会の常識では考えられないことが起きた」と抗議した。韓国政府は司法の判断に従う方針だが、日韓関係を踏まえた慎重な対応を求めたい。

 一方で、元徴用工による裁判は新日鉄住金、三菱重工業など約七十社を相手取って計十五件にのぼり、原告は千人近くになる。

 戦後七十年以上たって、いまだに訴訟が続く背景も考えたい。過酷な環境で働かされたことを法廷で証明し、謝罪を受けたいという原告の切実な思いがあるのだ。

 原告の一人は「一日十二時間働かされた」と証言した。国家間の協定の陰で後回しにされてきた心の痛みを、無視できるだろうか。

 日韓間では、最近も自衛艦旗や、竹島問題をめぐりぎくしゃくが絶えない。しかし、北朝鮮問題をはじめ両国の協力は欠かせない。

 原則論をぶつけ合うだけでなく、原告と被告企業をつなぐ接点はないか、政府レベルでも探る必要があるだろう。例えば基金をつくって賠償をする方式も、専門家の間で論議されているという。

 摩擦を拡大させず、冷静に和解策を探ってほしい。

 
大法院判決やこれに対する日本政府の対応については、いずれ時間のあるときに整理したいと考えているが、手続き的に政府が「国際司法裁判所への提訴」なる発言を繰り返していることについて、一言だけ述べておきたい。

日韓請求権協定3条で、日韓請求権協定の解釈に関して紛争が生じた場合は、まず外交ルートで解決を試み、交渉が不調になった場合は、仲裁委員会を立ち上げて、仲裁委員会の判断に従うという合意になっている。

二国間の特別な解決手続きについての合意があるにも関わらず、日本政府が国際司法裁判所への提訴に言及していることは、まったく意味不明である。
仮に国際司法裁判所に提訴しても、仲裁合意が存在するという点だけで却下をまぬかれない。
仲裁合意がある場合の国際司法裁判所の管轄については、国内法と同様であるから、合意された手続によらない提訴は却下される。
仲裁委員会が自国が選ぶ委員も含め、さらに日韓両国の合意で選ぶ委員も含め、みんながみんな韓国紙府の味方で韓国政府の言いなりになることが2万%確実であって公正な判断を望む余地が2万%ないとか、よほど特殊な事情を主張しない限り、却下はまぬかれない。

自ら、日韓請求権協定に反した発言を繰り返して、国際的信用を貶めているのは、日本政府自身である。


日韓請求権協定第三条

1 この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。

2 (仲裁委員会の設置について)

3 (仲裁委員会の設置に関する補足規定)

4 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。

 
 
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2018年11月 6日 (火)

隠蔽される日本企業の劣化  台湾新幹線事故

台湾脱線事故で発覚した日本製車両の設計ミスはどの程度重大か
ダイヤモンドオンライン2018.11.4

1021日に発生した、台鉄(台湾鉄路管理局)の特急列車「プユマ号」の脱線事故について、車両を製造した日本車両製造は1日、車両の安全装置に設計ミスがあったと発表した。

 

 同社によると、車両に搭載されたATP(自動列車防護装置)と呼ばれる安全装置には、運転士が装置を切った場合、運転指令所に自動的に通報される機能が付加されていたが、配線ミスにより正常に送信されなかったという。

Taiwansinkasenjiko

 

 

 

あぁ、また日本製造業の失墜。
しかも、海外で露わに。
戦後日本は、海外で、武器では人を殺してこなかったかも知れないが、技術で人を殺してしまった。

日本車両はJR東海の子会社だ。

(大深度地下を走るリニアでも起こる事故だ。リニアで事故が起きたら、どうやって、救出作業をするのだろう。)

 

 

あ、日本人は知らなくっていいよ。だって「日本は海外でもすごいと思われてる」と、信じ込ませておくことにしてあるから。

 

勝った、勝ったで、日本はすごいと信じ込んだまま敗戦に突き進んでいくことに今回のシナリオでも決めてあるから。(「滅びるね」)

 

 

・・・・・・・・・・・
日本車両の実績をWikipediaからPDFにしたものを貼り付けておく。
膨大な鉄道群である。

日本車両の実績

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

眺めるだけで気が遠くなる。
気が遠くなるほどの影響が及びかねない大事故であるのに、メディアはほぼ一様に沈黙している。

 

 

検索をかけてすぐに分かる範囲で、このニュースを取り上げたマスコミは、NHK、朝日新聞、日テレがある。それぞれ、一応、報道したらしいが、ニュースバリューの大きさとは、ほど遠い雑ニュース扱いであり、続報は出ない。

台湾 脱線事故 日本車輌が「設計ミスあった」と発表
NHK2018年11月1日 23時09分

台湾で特急列車が脱線し、18人が死亡した事故をめぐり、列車を製造したJR東海の子会社、「日本車輌製造」は、列車を自動的に制御する安全装置が作動していないことを知らせる仕組みに設計ミスがあったと発表しました。

台湾北東部で先月21日、8両編成の特急列車が脱線した事故では、乗客18人が死亡し、200人以上がけがをしました。

この事故をめぐり、列車を製造した「日本車輌製造」は1日、列車を自動的に制御する安全装置の作動状態を知らせる仕組みに設計ミスがあったと発表しました。

会社によりますと、本来、安全装置が作動しなくなると、列車から指令部門に自動で通知される仕組みだということですが、設計ミスが原因で通知できなくなっていたということです。

事故原因の究明に当たっている現地の当局の調査では、事故の30分ほど前にこの安全装置が切られていたことがわかっているほか、運転士も検察当局の調べに対し、事故の前に装置を切ったことを認めています。

設計ミスがなければ、より早い段階で、安全装置が切られていたことが把握できた可能性もあり、日本車輌製造は「原因を究明し、再発防止に努めたい」とコメントしています。

当初大きく報じられ、ワイドショーすら取り上げた事故だが、日本車両の設計ミスが事故の原因である可能性が浮上した途端に、「見て見ぬ振り」をすることが各局、各紙の基本方針になった(に違いない)。

 

 

日本政府は、2016年春までに政府に批判的なキャスターを政府公認メディアからほぼ一掃した。国谷裕子氏ほどの力量あるキャスターが未だに干され続けているのは想像するだけでやるせなくなる。

(現在、ジャーナリズムと呼ぶに値する番組は管見の範囲ではあまり視聴率の稼げない土曜夕方放送のTBS報道特集しかない)

2018年10月の番組改編からは、さらに新たな報道コードが加わり、「日本はすごい」に抵触する可能性のある報道は自粛することとなった(らしい)。

 

 

雑メディアの中には、こんな見出しの記事もある。

「日本産」が死傷者数を抑えた?台湾脱線事故車両の「遊び」の構造

この記事は、メディアが政府に干渉されないためには必要な報道コードとして、「海外のいかなる事件事故ついても日本を美化すること」が近い将来に付け加わる可能性を示唆している。

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さらに加えて言えば、日本車両の親会社であるJR東海の名誉会長葛西敬之氏は、安倍総理の盟友である。

安倍総理の盟友の評価を低めてはならないとの報道コードが定められたのは、もうずいぶんと前のことのようだ。

 

 

かくして、「勝った、勝った、日本はすごい」と浮かれている間に、敗戦へとまっしぐらに進んでいくというシナリオは、80年前と同じであり、もう我々は逃れる術もないようにすら見えてくる。
中国の高速鉄道は、新幹線をしのぐ最高時速300キロ、総延長は、他の世界各国の高速鉄道の総延長に匹敵するなどということは、日本国民に知らされるはずもない。
日本国民は、中国蔑視報道に酔いしれていればよいのだ。

 

 

「いいですか、常に小さな火から始まるのです。
そして闘えるのは、火が小さなうちだけなのです。
やがて点として置かれた火が繫がり、風が起こり、風がさらに火を煽り、大火となればもはやなす術はない。
もう誰にも、どうすることもできないのです」

という太田愛さんのメッセージのどの時点に、我々はいるのだろうか。

そういえば、太田愛さんが、各紙の書評欄から閉め出されるきっかけとなったデビュー作「犯罪者」(KADOKAWA)は、東京郊外の駅前広場で起きた無差別殺傷事件の謎解きという壮大なミステリーと企業犯罪の隠蔽を結びつけたものだった。
企業犯罪の隠蔽の場面は、極めてリアリティがあって、まるで今の企業社会の劣化ぶりを見せつけられるようだ。
だからだろう、マスコミの書評から太田愛さんは徹底して閉め出されている。

 

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2018年11月 1日 (木)

民族と被害  再び

新日鉄徴用工事件に対する韓国大法院の判決が出され、韓国批判・非難・誹謗の嵐が起きている。

「韓国政府の責任で解決すべきだ」等という言説が蔓延すると、目がくらむ思いだ。

つまりは、行政府が司法府に介入せよと求めているわけで、三権分立の侵害を隣国に対して求めている。民間企業である新日鉄に対して被害者側が強制執行をかけたら、韓国政府がそれを止めろとでも言うのであろうか。

一流メディアの高度の知性をお持ちの方々が、近代国家以前の国家観しかお持ちでないとすると、日本の行く末は本当に危ういと思う。

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世に流布している議論は、ほとんど全て、誤った認識の上に立っていると考えてよい。

3歩歩けば忘れる」ということわざがあるらしいが、この国のメディアは、たった10年ほど前に我が国の最高裁が下した判決(平成19427日最判・西松建設事件判決)の内容すら、忘却の彼方らしい(同判決は不法行為による請求権の存在を認めたが、訴権が失われたとし、当事者に自発的な解決を促した)。

 

 

以下に、僕が年ほど前に書いたブログ記事を改めて、貼り付けておきたい。

このときと、僕の思いは全く変わらない。

むしろ深まってしまったと言ってよい。

 

なお、末尾の弁護団・支援する会共同声明の法的根拠の詳細は2013111日付のブログ記事に補足したので、関心のおありの方はそちらも参照して頂けると幸いである。

 

 

 

民族と被害 だから私は嫌われる 

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僕が、15年にわたって、関わってきた韓国の強制労働被害者の損害賠償請求事件の判決が11月1日に韓国光州地方裁判所で言い渡される予定だ。

 

 

強制労働による損害賠償を求める事件で、日韓の裁判所で結論が食い違うことが、民族的な対立を生んでいる。

僕は、極めて不本意だ。

日韓の民族的対立が煽られることは、日本の将来にとっても、決して好ましいとは思わない。

 

 

僕が知る限り、日本の裁判所の多くは真摯に被害に向き合い、一部の判決は、不法行為の成立を認めていた。

請求を排斥した理由は、時効や、企業再建整備法等によって新会社と旧会社に分割したので、加害企業と現在の企業は別法人であるとか様々だった。

 

 

最終的には、日韓請求権協定によって、「裁判所に訴える権利」がなくなったとする理由に落ち着いた。

(この理由付けは日中共同声明に関する中国人被害者の例と同様である)

請求権は存在するが、「裁判所に訴える権利」だけはなくなったというのである。

韓国の裁判所は請求権があるから勝訴させている。

結論ほどには、日韓の裁判所の判断は開いていない。

むしろ、日本の裁判所の判断の方が、不法行為による損害賠償請求権の存在を認めながら、「裁判所に訴える権利」だけを否定している点で、特殊技巧的であり、政治的な配慮を感じさせる。

しかし、なかなかそうした実態が伝わらず、結論の違いだけが、大きく取りざたされる。

そして日韓の間の感情的な対立に発展している。

(感情的対立に発展するように仕組まれている)

 

 

日本で裁判をしていた頃、日経や読売を含め、ほぼ全ての新聞は、原告らの被害に共感を寄せて多くの記事を書いてくれた。

 

 

僕は、せめてもう一度、被害者個人の立場に立って、ものを考えるだけの寛容性を日本社会が取り戻してくれることを願っている。

人権という観点からすれば、何らかの救済が必要なまま推移してきたのは、否定しがたい事実だと考えるからだ。

 

 

そうした考えに基づき、以下の文書を弁護団は発表している。

 

 

ここでは、具体的には述べていないが、日本政府、日本の加害企業、韓国政府、受益企業(請求権資金で潤った企業をいう)の4者、それぞれに責任があることを踏まえ、4者の拠出する基金による被害救済という問題の抜本的解決を構想している。

提訴が相次ぐような事態を避けたい筈の加害企業の予測可能性を担保する上でも、こうした基金構想は有益でる。ドイツの『記憶・責任・未来』基金などの先例もある。

この基金による解決の構想は、むしろ韓国の弁護団から提示されており、日韓の弁護士や運動体の間では共通の構想となっている。

 

 

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PDFはこちら

 2013年10月14日

              名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟弁護団

              名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会

 

 強制労働関係韓国裁判所の判決に関するマスメディアの論調に関する意見

 

 1 問題の所在

  戦時中、日本に徴用された韓国人労働者が新日鐵、三菱重工業に損害賠償を求めた裁判で、韓国の高等裁判所が相次いで賠償を命じたことが、議論になっている。

  国内世論は、徴用工などの問題は、日本の裁判で最高裁で敗訴が確定しているのだから、このような矛盾した判決は日韓の間に新たな緊張をもたらすものとして、批判的な論調が一般的だ。批判の根拠は判決の結論的な食い違いのほか、日韓請求権協定で日韓両国間及び日韓両国民の間の権利及び請求権の問題が、完全かつ最終的に解決したと明記されていることを根拠とするものが多い。

  私たちは、一貫して人権尊重の立場から韓国の強制労働被害者の救済に取り組んできた。被害者の人権の観点から意見を表明したい。

 

 2 日韓請求権協定における「5億ドル」について

  まず、多くのメディアが、事実関係として誤解を生みかねない報道をしていることを指摘したい。

  多くの場合、強制労働被害者の問題が解決したとされる根拠に日本が日韓請求権協定に従い、韓国政府に3億ドルを供与し、2億ドルを低利で貸し付けたことが挙げられる。5億ドルの提供と引き換えに被害者の請求権問題は解決したとする論調であるが、この点は多分に誤解を招きかねないことを懸念する。

  5億ドル提供の事実は、韓国政府が責任を負うべき立場にあることを指摘する理由にはなるが、個々の被害者に対して、加害企業や日本政府の責任を免責する十分な理由にはならない。

  日韓請求権協定では5億ドルは現金で払われるものとされていない。「日本国の生産物及び日本人の役務」で提供するとされている。5億ドル相当の円に等しい「日本国の生産物及び日本人の役務」が提供され、あるいは貸与されるとしている。しかも、「前記の供与及び貸付けは、大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない。」とされており、少なくとも法的には、5億ドルは被害救済に充ててはならない経済協力資金である。被害者に対する賠償に充てられる余地のない「経済協力資金」の枠組みは日本政府が主導したと言ってもよい。

  「日本国の生産物及び日本人の役務」で5億ドル相当を供与・貸与するのであるから、当然、経済協力資金によって、どのような事業を行うか両国の協議が必要となる。日韓請求権協定では、実施のための日韓合同委員会を設置することを定めるとともに、実施のための取り決めを別に行うことを規定している。経済協力資金によって展開される事業については日本政府も関与する仕組みになっていたのである。

  つまり、日韓請求権協定上、5億ドルは、個人の被害の回復とは全く無関係である。

  5億ドルは、ダム、道路などインフラの整備に当てられ、日本の生産物及び日本人の役務が提供され、貸与された。韓国最大の製鉄所である浦項製鉄所はこの請求権資金を使って築造され、築造工事は強制労働加害企業である新日鐵株式会社の前身に当たる会社が受注している。加害企業は、韓国人に強制労働を強いて利益を挙げ、請求権資金によってさらに利益を挙げたのだ。

  高度成長を実現して、政権基盤を確立した韓国政府に強制労働被害者の救済のため相応の責任を果たすべき責任があることは明らかである。しかし、韓国一般の社会生活が向上したのだから、人権侵害の被害者である個人に対して、日本政府や加害企業の加害責任の問題が解決されたというのは無理がある。

  韓国政府は強制労働問題については相応の責任を果たすことを表明している。また経済協力資金によって利益を受けた代表的な韓国企業であるポスコも強制労働問題の解決のために資金を提供することを明言している。問われるのは日本政府及び日本の加害企業の姿勢である。

 

 3 サンフランシスコ平和条約

  それでは、日韓請求権協定による「解決」が、なぜ被害者を排除するような「日本国の生産物と日本人の役務」で行われることになったのだろうか。

  この問題は、戦後日本が主権を回復して国際社会に復帰したサンフランシスコ平和条約までさかのぼらざるを得ない。日本の判決も、日韓請求権協定はサンフランシスコ平和条約による枠組みに沿うものであると指摘している。

  サンフランシスコ平和条約では、日本には戦争賠償を負担するだけの経済力がないことが確認され、賠償問題は被害国と日本との二国間で解決すべきものとされた。その結果、アメリカを初めとする多くの西側先進国は日本に対する賠償を放棄した。また、対日賠償を求める場合でも、「日本人の役務」による形式に限定された。

  その後、日本は主として東南アジア諸国との間で二国間の賠償交渉を進めたが、これらの賠償は、いずれも日本人の役務提供によりダムや発電所などのインフラの建設などの形で行われた。また、これらの事業を受注する中には日立や東芝、三菱等、戦争により利益を得た企業が含まれ、これらの企業に製品の製造を注文して発電機等を製造させて被害国に無償で輸出し、被害国に発電所を建設するといったことが「賠償」であった。

  いうまでもないが、ここには、戦後秩序に関するアメリカの思惑が作用している。

  サンフランシスコ平和条約と同時に発効した日米安全保障条約により、アメリカは、日本の独立後も全土に米軍基地を置くことを可能にした。他方、日本を駐留米軍の補給基地とするためには日本の経済復興が必要であった。そのためにアメリカは、日本に対する戦争賠償を大幅に軽減させた上、経済復興に有益な役務賠償の方法に限定したのである。

 

 4 結論

  以上のように、サンフランシスコ平和条約の枠組みによる限り、戦争被害者個人に対する賠償は基本的になされない仕組みになっていた。

 

  被害者の人権は置き去りにされたのである。

 

  とりわけ直接的に甚大な人的被害が発生していた韓国や中国における問題は深刻である。両国との国交回復に当たっては、両国が何ら関与していないサンフランシスコ平和条約の枠組みが適用されたことから、多数の被害者の救済が置き去りにされた。被害者の人権が基本的に回復されないまま長い期間が推移したのは厳然たる事実である。

  ここに、戦後70年近くを経て、なお私たちが韓国被害者の訴えに直面せざるを得ない根本的な理由がある。

  サンフランシスコ平和条約を初めとする冷戦下のアメリカの対日政策が、いわば冷戦の果実として日本の経済的繁栄を支える一つの要因となった。

  アメリカの国力が相対的に低下し、アジア諸国が台頭する中、私たちは多極化が想定される新たな世界秩序に直面しようとしている。

  近隣諸国との友好関係の確立は決定的に重要である。

 

  人権という普遍的価値を再確認し、人権を基本的価値とする友好関係を韓国との間で結ぶことができるかは、私たち自身の切実な課題でもある。

 

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2018年10月29日 (月)

前門の虎、後門の狼 トラの尾を踏む振りをする安倍晋三

 

 

毒薬条項を盛り込んだ日米FTAを締結して中国を排除することにしたとの共同声明を発して早々に、安倍晋三は、訪中した。

マスコミはその危うさを全く報じていない。

危うい曲芸を披露しているのに、それが伝わらないのは、安倍晋三にしても、不本意なのではなかろうか。

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にしても、マスコミが中国が歓迎一色であるかのように報道しているのは、違うらしい。

習近平はにこりともしていないというのだ。

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BSTBSの「サンデーニュースBizスクエア」が1028日の放送で、テレビとしては、初めて日米FTATAG)の毒薬条項を取り上げた。
文春WEBで毒薬条項を紹介していた、春名幹男氏がゲストである。

春名幹男氏は、知らなかったが、元共同通信社ワシントン支局長、元共同通信社論説副委員長という立派な経歴をお持ちの米国政治通である。

いや、こんな人がBSニュースのゲストで、くすぶってちゃおかしいでしょう、と立場を超えて突っ込みたくもなる。

いかに何でも、もうそろそろ、地上波や新聞も毒薬条項を取り上げなきゃおかしいでしょう。

日刊ゲンダイ当たりが大々的に報道しない限り、隠蔽してすませるつもりなのか。

 

 

で、マスコミは、日中友好新時代などと仰々しく報道するが、これが危ういことは春名氏も感じておられたことがわかった。(大体、中国排除を宣言した直後に日中友好新時代など頭がいかれているとしかいいようがない)
もうお一方中国事情に詳しい専門家がゲストとして招かれていたが(お名前をメモし忘れてしまった)、この方も共通の認識のようだった。

とにかく、日本が米国の中国排除政策に取り込まれたことを、当然に知っている習近平は、にこりともしていない。
(そういえば、笑顔で外国首脳と握手するプーチンは見た事がないが、習近平はプーチンよりは賓客を笑って迎えるそうである)

調べてみたら、中国はすでに10月11日にUSMCAの「毒薬条項」に対して、報道官が「自由貿易協定(FTA)の目的はメンバー間の貿易に便宜を図ることにあり、メンバー国の対外関係を制約すべきではなく…」と批判し、強く反発している。

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そりゃ習近平としては、にこりともするわけがない。
「俺は中国排除の仲間だ」と言いながら訪ねてきた安倍晋三をどうして笑顔で迎えられようか。
「北方領土には米軍基地を置くぞ」と言いながら、北方領土を返還せよと迫る安倍晋三をプーチンが邪険に扱うのと同じだ。
日本の近隣外交は、外交された側から見れば、頭がおかしいのではないかと疑われても仕方がないほどに矛盾している。

さて、で、マチベンは、今回の訪中劇をどう思うか。

わからないのである。

訪中についてはワシントンの許可を得ている(ワシントンと調整した)という報道もあるが、そういう報道が、米国の中国排除戦略との絡みが一体どうなっているのかを説明してくれる訳もない。

 

 

訪中したには、経済界が後押しした可能性はある。

表だって、米国に反対できないポチ経済界が、安倍晋三に無理矢理、訪中を勧めた可能性は排除できない。

 

 

時期的には、トランプが中間選挙終盤で、選挙に夢中モードで、極東の小国(後でいつでもひっくり返せる)のことなどに構っている暇がない時期を狙っている。

とりあえず、一帯一路への賛同ではなく、一定条件を付した第三国支援という枠組みも評価に値するだろう。

 

 

訪中報道のおかげで、一帯一路が、支援先国家を借金漬けにして返済不能に追いやり、国家を乗っ取るという、商工ローン並の悪質なものであることを初めて知った。
なるほど、経済侵略主義というのはそういう意味か。なにやらIMFとそっくりである。
スリランカが借金のかたに港湾を乗っ取られたのを見て、マレーシアのマハティールが計画を返上したり、他の国でも縮小や見直しにかかっているそうである。

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日米FTAの交渉入り後に、中国排除の精神に反したことをすると、即、自動車関税の引き上げが待っているので(日米共同声明6項、7項)、交渉が始まる前の今しか、日中接近のチャンスがなかったこともあるかもしれない。

 

 

安倍晋三の訪中の成果の存否については、今後を見守るしかない。

11月2日(金)午後1時30分から2年振りにIWJでインタビューを受けることになったので、岩上安身さんにも評価を聞いてみたいところだ。

 

 

なお、米国の中国敵視がトランプ政権の外交戦略の要になっていることは、ペンス副大統領のハドソン研究所での演説(104日)で思い知らされる。この演説は、中国に対する非難に終始している。
中国国内の宗教的差別や政治的な不自由、IT監視による社会・世論支配、知的財産の剽窃、多額の補助金による産業育成、他国に対する過酷な介入、米国の内政に対する干渉など、40分以上にわたって演説したというが、読めば読むほどに「それって全部、米国の手口と一緒じゃん」と突っ込みたくなるほど粘着質な演説である。

海外ニュース翻訳情報局のサイトに下記の標題で全文が掲載されている。

【ペンス副大統領演説:全文翻訳】「中国は米国の民主主義に介入している」:ハドソン研究所にて

 

 

とりあえず極東の国民としては、新冷戦の前線をどこに引くつもりかが気になるところだったが、次のように述べている。
それって、一帯一路と完全にガチンコしてるやん。

このペンス演説は、冷戦の幕開けとなったチャーチルの鉄のカーテン演説(19463月)に比する向きもあるという。

 

 

自由で開かれたインド太平洋というビジョンを前進させるために、インドからサモアに至るまで、地域全体で価値観を共有する国々との間に、新たなより強固な絆を築いています。我々の関係は支配ではなく、パートナーシップの上に築かれた尊敬の精神から生まれています。

 

先週トランプ大統領が韓国との貿易協定の改善に署名したように、我々は二国間ベースで新たな貿易協定を締結しています。日本との自由貿易協定の歴史的な交渉をまもなく開始します。(拍手)

 

また、国際開発・金融プログラムの合理化を進めていることを報告します。我々は、中国の借金漬け外交に代わる公正で透明な選択肢を外国に与えるでしょう。実際、トランプ大統領は今週、BUILD Act (建設法) に署名する予定です。

 

来月、シンガポールとASEANAPECのパプアニューギニアで米国を代表することを名誉に思います。そこで私たちは、インド太平洋地域を支援するための自由でオープンな新しい対策とプログラムを発表する予定です。そして大統領の代理として、インド太平洋へのアメリカのコミットメントがこれまでにないくらい強いものであったというメッセージを伝えます。(拍手)

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2018年10月19日 (金)

今度は中部弁護士会連合会(中弁連)が表現の自由に介入

今、市民のビラまきなどの街頭宣伝活動に警察が介入してくる例が全国的に広がっています。
警察が持ち出してくる道交法違反という理由は全くのデタラメです。
そんな時に市民の側に立って、警察の横暴をやめさせる心強い味方が人権擁護を使命とする弁護士です。
そうした弁護士が表現の自由という基本的人権の重要性を理解していないとすれば、市民の人権や市民運動は危機に陥ってしまいます。

以下に紹介する事件は、単なる弁護士会内部の内紛にしか見えないかもしれませんが、本質は、弁護士会内の少数意見を圧殺しようとして弁護士会自身が表現の自由を蹂躙した事件です。
人権擁護を使命とする弁護士会がたとえ内部の者に対するとはいえ、表現の自由を侵害することを認めてしまえば、そんな弁護士に人権の擁護を期待することができるでしょうか。
その意味でこの事件は、裁判所の構成員である裁判官自身の表現の自由が侵害された岡口裁判官の事件と共通する問題を持っています。

_____________________________________

裁判官の表現の自由が問われた岡口基一裁判官分限事件の衝撃も冷めやらぬ中、今度は社会正義を実現し、基本的人権を擁護することを使命とする中部弁護士会連合会が、憲法で保障された表現の自由である公道上のビラまきに介入する事件が発生しました。

ロースクール制度導入以来の弁護士激増政策は、米国の対日年次改革要望書にしたがったものです。
日弁連や中部弁護士会連合会の主流派も弁護士激増政策を支持し、法曹志願者が激減した現在も、未だにこれを推進し続けています。

弁護士激増政策に反対する弁護士らが、中部弁護士会連合会の総会会場前の公道上で、ビラをまいて自らの主張を訴えていたところ、中部弁護士会連合会役員によって、禁止されるという驚くべき介入がなされました。

中部弁護士会連合会は、表現の自由が最も尊重されるべき基本的人権の一つであることを知らないのでしょうか。

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千葉県弁護士会前会長である及川智史弁護士のツイートの画像を貼り付けます。

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当然ながら、よほど交通を遮断したりしない限り、ビラ配りが道交法に違反するようなことはあり得ません。

基本的人権である表現の自由を舐めたらあかんぜよ中部弁護士会連合会 ヽ(`Д´)ノ

Chuubenren


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ああ、中部弁護士会連合会は、表現の自由の本旨である少数意見の尊重の精神を蹂躙して弾圧したかったというわけですね( *`ω´)
弁護士の代表者がこんなことをするのは及川さんにとってだけでなく、国民にとって、大変な不幸です‼️

Tyuubennren2014

 

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中部弁護士会連合会の役員は皆さん立派な弁護士の方々ですから、よもや、以下のような出来事(東京新聞2018年2月23日 夕刊)があったことをご存じないとは思えませんが、街頭でのビラまきの自由については、判例でも認められていますし、自治体や警察との間でも、すでに公式に決着済みの論点です。
ですから、警察は嫌がらせ介入によって市民活動を萎縮させようとしてはいますが、これまでのところ、摘発した例は聞いていません。
今回の中部弁護会連合会の対応は、表現の自由についてあまりにも無頓着で、弁護士会連合会幹部らの人権感覚が疑われます。ひいては弁護士倫理にも関わる重大な問題です。
日弁連や各弁護士会は、人権の出前授業などをする前に、会の幹部に対する人権教育を早急に徹底すべきです。

ビラ禁止看板 偽りあった 弁護士「法的根拠は?」→自治体撤去相次ぐ

「法律により罰せられることがあります」と書かれた看板=神奈川県藤沢市で(自由法曹団神奈川支部提供)

写真

 街頭宣伝やビラ配りを禁じるため駅前などに設置された看板を巡り、自治体が「設置根拠はなかった」として撤去する事例が神奈川県内で相次いでいる。弁護士団体が「憲法が保障する表現の自由に反するのではないか」と指摘したのがきっかけとなった。同様の事例は全国各地にあるとみられ、弁護士団体は「行政による過剰な規制を防ぐ動きを広げたい」としている。

 自由法曹団神奈川支部が二十二日に発表した。それによると、看板は自治体や警察署の名前で「警告 この場所での物品の販売、宣伝活動、ビラ・チラシの配布等の行為を禁止します」「法律により罰せられることがあります」などと書かれている。

 同支部はこうした看板を新横浜駅(横浜市港北区)や橋本駅(相模原市緑区)、藤沢駅(同県藤沢市)など八カ所の駅前広場や歩行者通路など公共用地で確認した。

 道路交通法では道路に立ち止まって通行を妨げることなどを禁じ、交通への影響が大きい場合は許可制としているが、過去の裁判例ではビラ配布やプラカードを掲げる行為は許可なしでも合法とされる。このため、同支部は看板が表現の自由を保障する憲法二一条に反するとして、法的根拠をただす質問状を先月から各自治体に送った。

 これに対し「誤解を招く可能性もある」(横浜市港北土木事務所)と不適切だったことを認める回答があり、市内二カ所で既に撤去したほか、取り外す予定との回答もあった。

 同事務所は本紙の取材に「露店を規制するため二〇一三年に警察の依頼で設置したようだが、担当者が代わり詳細は分からない」と説明した。

 同支部事務局長の川口彩子弁護士は「看板を見て、街頭活動に許可が必要だとか、ここでは活動できないとか思う人もいる。法的根拠はないので看板があっても萎縮しないでほしい」と話している。 (梅野光春)

2018年10月 5日 (金)

自民単独で改憲案提示へ   甘く見られた公明党 共産党さん今こそ政党助成金の有効活用を!!

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公明党との縁も、これまでと踏んだか、公明党なぞ無視しても、どうせ公明党は付いてくると読んだか、案に相違して、ど真ん中を突破する作戦に出た。

10月に入り、一段とアホさをギアアップしたテレビは、天気か芸能・スポーツネタか犯罪ネタしかとりあげなくなった。今や、ネタがないと、他国のスキャンダルまで引っ張り出して騒ぐ能なしに成り果てたので、安倍晋三は、逆風なぞないかのごときである。報道と呼ぶに値する番組は、週末にほんのわずかしかない。
したがって、改憲を加速していることなど、多くの国民は知らない間に過ぎるだろう。
気がついたときには、改憲礼賛のテレビCMが延々と流れ、改憲しかあり得ない雰囲気が作られているに違いない。

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改憲案、自民単独で提示へ…与党協議は見送り

10/5(金) 6:08配信

読売新聞

 自民党は、10月下旬に召集予定の臨時国会で、今年3月にまとめた4項目の憲法改正案を単独で提示する方針を固めた。連立を組む公明党との事前協議は見送る。衆参両院の憲法審査会で条文案を示し、各党による議論を始めることを目指している。

 自民党の憲法改正推進本部長に内定した下村博文・元文部科学相は4日、党本部で、推進本部の最高顧問に就く高村正彦・前副総裁と会談し、公明党との協議は見送り、条文案を憲法審査会に示すことを確認した。

 条文案は、〈1〉自衛隊の根拠規定の明記〈2〉緊急事態対応〈3〉参院選の合区解消〈4〉教育の充実――の4項目。党は「条文イメージ」と位置づけており、幅広い合意を得るため、他党との協議で修正して憲法改正原案を作ることを想定している。

国民投票法の有償CM禁止を強く求めるいとまもないとなれば、改憲反対派がすべきことは、すぐにも広告代理店と接触して、改憲反対のCMの傑作を仕上げるべく入念な準備に入ることだ。
所詮CMなどイメージでしかない。インパクトのある印象の良いCMを作れば良いのだ。
「いざとなったら○○○○」頼みのお相手の方々も今から接触すれば、十分間に合うだろうし、労をいとわず協力してくれるはずだ。

当面の費用は、共産党が出せばよい。
改憲反対CMの作成費と広告枠確保費用に限って、これまで辞退してきた政党助成金を充てれば、ある程度の目処は立つはずだ。
(共産党に割り当てられるべき政党助成金を、ざっくりと公明党の半額程度とみれば、年間で15億円程度の計算になる。
これをネットで流布されているCM単価の情報で計算すると、東京のテレビ局に換算して視聴率10%の番組に対して、15秒CMを1500回流せることになる。最近は、算数も苦手だが、多分、こうなる。
凄すぎないですか。共産党さん。
共産党だけでこれだけうてるのだから、政党助成金を貯め込んでいるなんちゃら党も一考していただけないものだろうか。
博報堂も、100年近い歴史を持つ共産党さんが政党助成金担保で持ち込んだ話なら安心してビジネスにのってくれると思いますよ。
共産党さん、頼みます!!)
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2018年10月 3日 (水)

弁護士ドットコムから転載 岡口基一裁判官事件で弁護士らが記者会見  「裁判官にもつぶやく自由はある」

Okaguti

またしても後世の歴史に残りそうな事件である。
重要な事件であるにも関わらず、マスコミの扱いは、極めて小さく、せいぜいが変人裁判官の懲戒事件程度の扱いである
この記者会見に至っては、取り上げたメディアが皆無に等しいので、以下に弁護士ドットコムニュースから全文を転載しておく。
むろん、マチベンも共同声明の賛同者に名を連ねている(^^ゞ

「裁判官にもつぶやく自由はある」岡口裁判官の分限裁判で声明文、弁護士269人が賛同

法曹2018年10月02日弁護士ドットコムニュース

「裁判官にもつぶやく自由はある」岡口裁判官の分限裁判で声明文、弁護士269人が賛同

会見する島田弁護士(左)と海渡弁護士

有志の弁護士が10月1日、「裁判官にも『つぶやく自由』はある 裁判官の表現の自由の尊重を求める弁護士共同アピール」と題した声明文を発表した。

Twitterの投稿によって訴訟当事者の感情を傷つけたとして、東京高裁民事部の岡口基一裁判官が裁判官の免官・懲戒に関する「分限裁判」にかけられたことを受けてのもの。弁護士269人の賛同が集まっており、声明文は近く最高裁に提出する。

●「つぶやく自由に対する侵害」

声明文は今回の懲戒申立てについて「裁判官の表現の自由『つぶやく自由』に対する侵害にほかなりません」と指摘。「今後、従業員の私的なSNSやブログ等への書き込みが、些細な理由で雇用主から懲戒処分の対象とされるのではないかとの不安が社会に広まるなどして、市民間のインターネットを通じた情報交流が萎縮する恐れがある」と社会的な影響を懸念した。

東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた発起人の島田広弁護士は「基本的人権を守る弁護士が声を上げなくていいのかと思い、まとめ上げた」と説明。賛同者は28日金曜日午後に集め始め、3日間で呼びかけ人46人、氏名を公表した賛同者214人、公表なしの賛同者9人の計269人が集まった(1日午後3時時点)。

島田弁護士は「基本的人権が損なわれることだけではなく、人権の守り手である裁判所が、人権侵害を行ってしまう。これがどれだけ裁判所に対する国民の信頼を傷つけることになるのか、慎重に判断してほしい」と裁判所を批判。「懲戒申し立てされたこと自体、憤りを感じている。不当な懲戒を阻止するために、弁護士の皆様にご協力いただきたい」と呼びかけた。

また、賛同者で会見に同席した海渡雄一弁護士は「裁判官自身が口を開いて意見をいうことは独自の価値がある」と話した。

岡口裁判官は9月11日、最高裁で開かれた審問のあと、司法記者クラブで会見を開き「ありえないことが起きている」などと反論。弁護士ドットコムに登録する弁護士を対象に行われた緊急アンケートでは、懲戒申し立ての妥当性について、回答した弁護士326人の9割弱が「妥当でない」との見解を示している。

●呼びかけ人、賛同者登録は以下

呼びかけ人、賛同者登録は以下のウェブフォームで行っている(弁護士に限る)。

https://business.form-mailer.jp/fms/8e4fb72b94029

呼びかけ人一覧:http://www.asahi-net.or.jp/~bg6h-smd/yobikake.pdf

賛同人一覧:http://www.asahi-net.or.jp/~bg6h-smd/sandou.pdf

(弁護士ドットコムニュース)

==================================
 

この分限裁判は、最高裁の大法廷によって裁判官全員15名によって審理される。

 

 

15名の内、14名がすでに安倍政権によって任命された裁判官となっている。

安倍内閣が退陣しない限り、来年の3月には、15名全員が安倍政権によって任命された裁判官になる。

同じ内閣によって任命された裁判官によって最高裁判所が構成されるのは、最高裁の歴史始まって以来の出来事であろう。

いうまでもないが、司法と行政の間には一定の緊張関係が存在しなければ、権力分立という近代憲法の本質的要請すら満たされないことになる。

最高裁が、今後も政府との最低限の緊張関係を維持していけるのか、我が国の司法は、極めて危うい岐路にある。

 

 

この間には、ずいぶんと不審な人事もあった。

 

 

最高裁の裁判官の構成については、慣例があり、裁判官、弁護士、検察官、行政官、法律学者の出身者から一定の比率で任命されることになっている。

裁判官枠 6

弁護士枠 4

検察官枠 2

行政官枠 2

学者枠  1

この数字は、行政官枠と学者枠の間で1984年に若干の変動があったが、1961年以来半世紀以上、変わっていない。法律専門家の中で一定の均衡を保ってきたということだろう。

 

 

2017年2月に山口厚氏が弁護士出身者として最高裁裁判官の後任として任命された。

しかし、同氏は、著名な刑法学者であり、弁護士として認知されてはいなかった。日弁連も同氏を最高裁裁判官に推薦してはいなかった(弁護士出身の最高裁裁判官については、日弁連が推薦者のリストを最高裁を経由して内閣に挙げる。このリストの中には当然、同氏の名前はなかった)。

同氏が、弁護士登録したのは、最高裁裁判官に任命されるわずか6ヶ月前の2016年8月であり、学者出身の同氏が弁護士出身枠で任命されるための下準備であったと勘ぐられてもおかしくない。

現に同氏は最高裁裁判官に任命される前月まで、早稲田大学大学院法務研究科教授の職にあった。(wikipedia)
最高裁判所裁判官の辞令を受けて、大学を退職したのだろう。

Bengosisyussin

かくして、弁護士出身枠4の内一つが学者出身者によってかすめ取られた。

日弁連は、同氏の任命に何ら関わることなく、弁護士出身の最高裁裁判官の枠を削られてしまったわけだが、抗議・批判等せず、事態を静観した。
日弁連は、公式には任命経過に関する事情を調査・照会することもなく今日に至っている。少なくともマチベンは日弁連から事情の説明を受けたことはない。

 


 

ちなみに、加計学園監事であった弁護士の木澤克之氏が最高裁裁判官に任命されたのは、2016年7月であり、山口厚氏の任官より7ヶ月前のことである。

この任命は、日弁連の推薦リストから任命されている。

まあ、これだけ政権交代がない希有な国では、日弁連内で高名な弁護士ともなれば、多かれ少なかれ、時の権力との距離が近いということが避けられなくなる、というのが日弁連の内情でもあろう(下品なたとえで申し訳ないが、上半身では喧嘩しているように見えても、下半身はつながっている、とか)。

 

15名の最高裁判所の裁判官が、法律と良心のみにしたがい、独立して職権を行使することができるのか。

歴史は、それで少なからず、変わるだろう。

この事件は、歴史に残る、少なくとも残さなくてはならないのだ。

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弁護士ドットコムの記事の中で赤字にした部分は、指摘されて改めて気づかされたことだ。
岡口裁判官が懲戒されることになれば、最高裁に倣って、従業員による勤務時間外のSNSへの書き込みを口実にして労働者を懲戒する不届きな使用者が続発しかねない。
このことだけでも、この事件は岡口喜一裁判官一人の事件でもないし、裁判官だけの事件ですらない。

最高裁が岡口裁判官を懲戒してしまえば、言いがかりに過ぎない不当な懲戒処分に対して、労働者が裁判所に救済を求めることは無意味になりかねない。
考えれば、考えるほどに恐ろしい事件である。

2018年9月27日 (木)

WTOを壊すトランプと習近平(笑)  慌てるグローバル小役人たち

 

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日テレニュース24

 

写真の日テレニュースではあまりに記事が短いので、以下、時事から引用。

 

 

日米欧、産業補助金に待った=中国念頭、WTO改革で初声明

 【ニューヨーク時事】日米欧の貿易担当閣僚が25日、機能不全が指摘される世界貿易機関(WTO)の改革に関する初の共同声明をまとめた。

 

 主に中国を念頭に、自国の特定産業を優遇する補助金を導入した国を厳しく取り締まる新たなルールづくりを目指す。今秋に共同提案して加盟国に支持を広げ、世界にはびこる保護主義の連鎖を断ち切る狙いだ。

 

 産業補助金は、激しさを増す米中「貿易戦争」の火種の一つ。トランプ政権はハイテク産業育成に巨額の補助金をつぎ込む中国を批判し是正を求めている。官民一体で成長を目指す中国は政策転換を拒否し、鋭く対立している。

 

 日米欧は、自国の特定産業への補助金で国際競争をゆがめた疑いのある国に対し、罰金を科すことや、正当性を立証する責任を求めることなどを検討中。現行ルールでは補助金に関する報告義務が形骸化し、中国による違反が横行している。

 

 共同声明には、外資企業に対する強制的な技術移転の阻止に向けたルール整備も明記された。こうした知的財産権侵害を理由として米政権は中国に巨額の貿易制裁関税を連発している。

 

 今回の日米欧合意は、WTO脱退をちらつかせて保護主義に傾くトランプ政権を多国間貿易の枠組みにつなぎ留める効果も期待できる。世耕弘成経済産業相は「米国も含めて取り組むことが一番重要だ。貿易戦争回避にもつながる」と強調した。 

 

 

車のエンジンが壊れているのに、室内アクセサリを取り替えれば何とか走れるだろうともがいている。

 

 

そもそも関税約束を守ることは、WTOの実体ルールの一丁目一番地だ。
WTO
と言わずとも、GATT1947の時代から、そうだ。

WTOに届け出た関税の上限枠(譲許関税)を超えた関税を課してはならない。

大原則である。

 

 

そしてWTOの手続ルールの一丁目一番地は、自力救済の禁止である。

法治国家の国内では当然に自力救済は禁止である。侵害されている権利を実現するのは実力ではなく、裁判所の力を借りなければならない。
WTOは、主権国家のジャングルである国際社会でも、自力救済禁止ができると考えた。

そこで、WTOルールの違反があったら、WTOの裁判に訴えよ、WTOの裁判体が許さない限り、経済制裁は発動してはならないというルールを作った。

 

 

前者が、WTOの実体原則の根本、後者が手続原則の根本だ。

 

 

で、この間の経過を簡単にWTOルールから振り返ると、

 

 

米国が仕掛けた関税引き上げの第一弾「鉄鋼・アルミニウムの関税引き上げ」については、トランプ政権は「安全保障上の理由」を挙げた。

例外的に譲許関税を超える関税引き上げを認める理由としてWTOルールは「安全保障上の理由」を挙げている。

したがって、口実に過ぎないかどうかはともかく、この措置は、体裁上は、WTOルールに則って行われた。
何しろ、国家の安全がかかっているのだから、これを理由とする関税の引き上げに、予めWTOの裁判体の許可を得る必要はない。

 

 

 

ところが、これに対して、行った中国の報復関税措置から、WTOルールは蹂躙され始める。

中国は、報復関税の根拠として、セーフガード(輸入の急増が、国内産業を危うくする緊急事態に行うことが認められる輸入数量制限)に対する対抗措置は、裁判を経なくても可能だとするWTO規定を挙げた。

しかし、米国は、関税引き上げを「安全保障上の理由」によるものとしており、「セーフガード措置」などと一言も言っていない。

形式だけ見ても、米国の措置は輸入数量制限ではないから、「セーフガード」などにはなりようがない。

中国は、直ちに実力行使に出てはならず、まず、WTOの裁判体に訴え、米国の措置の違法性を認めさせた上、一定期間に是正措置がとられない場合には、改めて裁判体の承認を得た範囲で報復を実行すべきであった。中国が裁判を経ずに直ちに報復関税を発動したのは、明らかにWTOの体面すら立てず、WTOの顔をつぶすもので、違法である。

 

 

第二弾、第三弾の制裁関税、報復関税に至ると、米中とも、WTO協定なぞどこ吹く風である。
制裁関税も報復関税もWTOの裁判を経なければ、発動してはならない、などという鉄則は、どこかに吹っ飛んでいる。

 

 

要するに、WTOのルールの根幹が、世界一位、二位の経済大国によって、身も蓋もなく、徹底して蹂躙されているのである。

 

 

ここまで蹂躙されると、WTOに巣くって飯を食っているグローバリストどもは、さぞや心穏やかではなかろうと思って、反応を見ていたが、全然、反応が見えない。

本来は、WTOが正式に批判して、厳重に抗議すべきところ、そんな反応は全くない。

 

 

どうもその様子は、米中の措置がWTOの根幹を侵すWTOルール違反だということをひた隠しにしたいようですらある。

 

 

ようやく、今回、彼らに変わって、米欧日の貿易担当閣僚が、共同声明を挙げた。

 

 

 

しかし、その内容たるや、WTOルールをまるごと無視されて、WTOの存立を疑われる事態が生じているのに、その違反を厳しく追及するのではなく、中国の補助金を検討のまな板に乗せる、次は中国が外国企業に要求する技術移転の強要について、ルール化を図るというに止まる。

 

 

エンジンが壊れた車も、アクセサリーさえ変えれば、走る、と、この人たちは考えているようだ。

 

あるいは、母屋が倒壊して極めて危険な状態なのに、離れた犬小屋を修繕すれば、大過ないと考えているようである。

 

 

WTOルールの緩和こそが必要であるにも関わらず、いっそうの厳格化を追及しようというのも見当外れだ。

 

 

大体、大泥棒である米国の貿易担当閣僚がどの顔をして、盗っ人を捕まえるというのか。

 

 

そのばからしさを思うと、嗤える。

 

 

言いたいこと、説明しておきたいことはさらにあるが、時間がないので、追ってまた。

 

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2018年9月23日 (日)

決意をもって書かれた作品 太田愛著 『天上の葦』(KADOKAWA)  ネタバレ注意

 

えん罪を扱ったミステリーということで興味を持った「幻夏」(KADOKAWA)を読むまで著者の名前も著書も知らなかった。

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著者太田愛は、もともとはテレビ番組の脚本家で、テレビドラマ「相棒」の脚本家の一人である。「相棒Season8」から参加し、「相棒 劇場版Ⅳ」を担当、正月スペシャル版も4年手がけている「相棒」シリーズの中でも、実力派人気作家の一人である。
いうまでもないが、「相棒」は、平日昼間の再放送がドラマ部門の週間視聴率ベスト10に入るようなお化け番組である。

 

 

「天上の葦」が扱うのは、マスコミと権力の関係である。

出版社によるタイトルの紹介の範囲で言うと、もう、ここですでに、ネタバレになってしまう。

 

「天上の葦(上)」

生放送に映った不審死と公安警察官失踪の真相とは?感動のサスペンス巨編!

 

白昼、老人が渋谷のスクランブル交差点で何もない空を指さして絶命した。正光秀雄96歳。死の間際、正光はあの空に何を見ていたのか。それを突き止めれば一千万円の報酬を支払う。興信所を営む鑓水と修司のもとに不可解な依頼が舞い込む。そして老人が死んだ同じ日、ひとりの公安警察官が忽然と姿を消した。その捜索を極秘裏に命じられる停職中の刑事・相馬。廃屋に残された夥しい血痕、老人のポケットから見つかった大手テレビ局社長の名刺、遠い過去から届いた一枚の葉書、そして闇の中の孔雀……。二つの事件がひとつに結ばれた先には、社会を一変させる犯罪が仕組まれていた!? 鑓水、修司、相馬の三人が最大の謎に挑む。感動のクライムサスペンス巨編!

 

「天上の葦(下)」

日常を静かに破壊する犯罪。 気づいたのは たった二人だけだった。

 

失踪した公安警察官を追って、鑓水、修司、相馬の三人が辿り着いたのは瀬戸内海の離島だった。山頂に高射砲台跡の残る因習の島。そこでは、渋谷で老人が絶命した瞬間から、誰もが思いもよらないかたちで大きな歯車が回り始めていた。誰が敵で誰が味方なのか。あの日、この島で何が起こったのか。穏やかな島の営みの裏に隠された巧妙なトリックを暴いた時、あまりに痛ましい真実の扉が開かれる。

―君は君で、僕は僕で、最善を尽くさなければならない。

すべての思いを引き受け、鑓水たちは力を尽くして巨大な敵に立ち向かう。「犯罪者」「幻夏」(日本推理作家協会賞候補作)に続く待望の1800枚巨編!

 

 

 

登場人物は、いずれも組織から外れるような、一癖ある人物で、テーマの深刻性や、スリリングな展開とは別に、ユーモアもふんだんに盛り込まれている。

「相棒」好きであれば、多分、面白く読める極上エンターテイメントになっている。

ブックレビューの満足度も高い。

 

 

さて、本題である。

「相棒」の脚本がメインの仕事であったように、著者は、マスコミ業界に極めて近い人である。

その著者が、権力とマスコミの関係を真っ向から問題にするのは、著者にとって、損はあっても得なことは何もない。

当然、著者の頭にも、ドラマの脚本を「干される」可能性があったと思う。

現に作中で示されるマスコミに対する著者の認識は、極めてリアルで、マスコミの計算高さも冷たさも十分に知り尽くしている。

そう、この作品は、勇気を持って、書かれたものなのだ。

 

 

本作執筆の動機を著者は次のように述べている(ダビンチニュース2017年2月23日)

 

 

実社会で起きている異変。今書かないと手遅れになる

 

構想の発端について太田さんはこう語る。

 

「このところ急に世の中の空気が変わってきましたよね。特にメディアの世界では、政権政党から公平中立報道の要望書が出されたり、選挙前の政党に関する街頭インタビューがなくなったり。総務大臣がテレビ局に対して、電波停止を命じる可能性があると言及したこともありました。こういう状況は戦後ずっとなかったことで、確実に何か異変が起きている。これは今書かないと手遅れになるかもしれないと思いました

 

 

 

この作品は、今、世に出さなければならないという、駆り立てられる思いから、生まれた作品なのだ。著者自身が「干される」ことも覚悟してもなお「書かなければならない」との思いから世に問われたのである。

 

 

著者は、今の状況を1930年代と重ね合わせている。

 

 

作中には瀬戸内の島の老人から聞いた話を伝える次のような部分がある。

 

 

「曳舟島の老人たちから聞きました。まるで空気が薄くなるように自由がなくなっていったあの時代のことを。着たいものを着る自由、食べたいものを食べる自由、読みたいものを読む自由。気づいた時には誰も何も言えなくなっていた。思ったことを口にしただけで犯罪者とみなされる時代が来るとは、誰も思っていなかった。」

 

 

世の中の空気が変わり始める異変が起きてから、破局に至るまでこれを止めることができる時間は、さほど長くない。
言論の統制が極限化した当時を、マスコミの記者として生きた老人はこう語る。

 

 

「しかし、いいですか、常に小さな火から始まるのです。そして闘えるのは、火が小さなうちだけなのです。やがて点として置かれた火が繫がり、風が起こり、風がさらに火を煽り、大火となればもはやなす術はない。もう誰にも、どうすることもできないのです」

 

 

今は、まだ火は小さい、しかし、一刻の猶予もならないという切迫した思いが著者を本作に向かわさせたのだ。

 

 

 

 

マスコミの直近で仕事をしているだけに、権力がマスコミに対して持つ強大な力に対する認識も冷静だ。

この作品は、公安(背後の政治家)と、民放テレビ局が立ち上げを予定している、看板報道番組との確執を物語の軸に据えているが(完全にネタバレしている)、番組一つをつぶすくらい権力にとって造作もないことが前提とされている。
番組をつぶすのではなく、今後、そのような番組が出てこないようにするために画策する公安と、これと対決する主人公たちの姿を活写したものだ。
(構造としては、、前川喜平に関係した者をつぶすのではなく、今後2度と前川喜平のような官僚を出さないことを目的とする今回の粛清事件と極めて類似している)

 

 

マスコミに対する冷めた目と同時に、作品には、マスコミの人々に対する尊敬も示されている。

 

 

「日本にも良心的なプロデューサーやディレクター、ジャーナリストは大勢いるんだけどね」 

 

 

そう、マスコミで仕事をしておられる方々、あなた方に向けて、この愛に満ちた物語は紡がれたのである。

 

 

マスコミで仕事をされている方々、是非、手にとってくださいな。

そして、著者の勇気を受け取って、今、あなたにできることを是非、実行してくださいな。

 

 

火が小さな内に、大火となって、もうどうしようもなくなってしまう、その前に。

 

 

なお著者のこの作品に込めた思いは、「太田愛 公式サイト」にリンクが貼られている、「久米宏 ラジオなんですけど」(2018年4月21日)でも聞ける。
『国が危ない方向に舵を切る兆しは「報道」と「教育」に顕れる / 脚本家・太田愛さん』

 

 

 

「天上の葦」が大ベストセラーに化けてくれますように!!

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追記
全国紙に書評が掲載されたかどうかを、簡単に検索できるサイトがある(ことを今回知った)。
「版元ドットコム」サイトの「書評に載った本」の項目で書名(一部も可)とか、著者名等で検索をかけると、書評があれば、該当の書評が掲載された新聞名、掲載日が評者の名前などが一目で検索できる。
何が言いたいか、おわかりいただけると思う。
何と『天上の葦』については、全国紙(東京・中日新聞を含む)の書評が皆無なのだ。
産経WEBには高く評価する、書評があるが、紙媒体ではなく、WEB媒体のみの書評のようである。
それどころか『太田愛』についても書評が皆無なのだ。
どうりで、僕が知らなかった理由も腑に落ちる。
太田愛さんの作品は、話題になりにくいような構造ができているのだ。
これは、驚くべき事態だ、と思う。
影響が大きいと思われる新進作家をマークし、公の空間から密かに閉め出す見えない言論統制がすでに始まっているのだと、僕はこれを理解する。
何としても、『天上の葦』をベストセラーにせねばならない。

これは粛清だ 官僚の乱の鎮圧

 

9月20日、安倍晋三が自民党総裁選に圧勝で三選を果たした。

翌21日、文科省の調査報告書が発表され、事務次官と初等中等局長が辞任した。

この2018年9月21日は、朝日新聞の2014年9月11日の屈服が歴史に残る日となるのと同様、歴史に残る日となるだろう。

 

 

朝日新聞の9.11吉田調書・吉田証言連続屈服事件は、その後の原発批判の封じ込め・原子力ムラのバージョンアップした復活と、歴史修正主義の蔓延を招く画期となった(後者のダメを押した池上彰をリベラル陣営が未だにもてはやしているのはその神経が知れぬ)。

 

 

2018年9月21日は、官僚組織全体が安倍政権に対して、全面的に敗北し、屈服した日として残る。元々が、自己保身・対米隷属・ネオリベが席巻する官僚組織はろくなものではなかった。だから、その影響を見通すのは、容易なことではないが、しかし、多少なりとも官僚が果たしてきた良い役割があるとしたら、この日を境に、官邸の意向に反する芽は、ことごとく摘み取られることとなるだろう。官僚組織と政治家との緊張関係が失われたのである。

 

 

もともとが、ろくな組織でなかったために、官僚組織の自律性崩壊の未来予測は不可能だ

 

(とりわけ文科省はろくなものではなかった。

ロースクールに巨費をつぎ込んで、弁護士を激増させて、日本の弁護士の質を劣悪化させ貧窮化を促進して、弁護士をマネー支配原理の手先に変質させた。

大学の運営交付金を削減して、研究者に短期的な成果を強いて、競争資金獲得書類技術の習得に注力させ、むだな書類の作成に忙殺されるように仕向け、日本の研究水準を劣悪化させた。何が悲しくてノーベル医学賞受賞者がマラソンで研究資金をチャリティしなければならないのか)。

 

一つ言えることがあるとすれば、当面の見せしめになったのが、文科省であることから、文科省がもっと悪くなるとすれば、子どもに対する「エセ愛国」洗脳教育が徹底する国になるだろうということだ。

 

 

 

見てみればいい。この金額を。

二代連続事務次官の辞任という前代未聞の歴史的不祥事とされる事件の、この金額のしょぼさを。

Chuunichi180922
中日新聞2018年9月22日

6万円、2万円、11万円、10万円。4人合わせても30万、辞任した二人の合計額は8万円。

日本の歴代不祥事の中で、その金額においてダントツの最下位だと断言して憚らない。子どもの小遣いが多すぎるという話ではない。旦那が小遣いをごまかしたという話でもない。

一国の省庁のトップの歴史的不祥事の金額なのだ。

 

 

どこの省庁にだって叩けば出てくるに違いない、このしょぼ過ぎる不正を引っ張り出されたのが文科省だったということに意味があることは誰の目にも明らかだろう。

なのに、どうしてだろう。

なぜ大多数の人達が、「なぜ文科省なのか?」を問わないのは。

これを報復(あるいはより適切に粛清)だという声が上がらないのは。

 

 

 

遡れば、6月、報道ステーションは、報復におびえる文科省の様子を報道していた。

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4月の朝日新聞のスクープに端を発し、再び勢いを増した加計疑惑追及が一向に収まる気配を見せないのは、文科省からの情報提供のせいだと官邸が激怒し、文科省が報復を恐れているという内容だったらしい。

 

愛媛県知事と加計学園のやりとりが続く中、加計孝太郎は、大阪北部地震の翌6月19日、わずか2時間前に告知した記者会見を、岡山県で開き2015年2月の安倍晋三との面会について「記憶にも記録にもない」と述べ、最初で最後の会見をわずか25分で打ち切った。

 

 

それからまもなく、7月4日、東京医科大学の私立プランディング事業助成金について、息子の同大学合格を見返りに便宜を図ったとして、文科省の佐野太科学技術・学術政策局長が逮捕された。

合理的に考えて、加計孝太郎が記者会見を行った当時、すでにこの捜査の目処が立つ段階に入っていたと見てよい。

手際よく、直ちに録音テープがマスコミにリークされ、メディアの恰好の餌食となり、加計学園問題の幕引きがなされた(今のところ、そのように見える)。

一部に佐野太は、前川喜平と省内派閥が異なるとか、安倍晋三と近い関係にあるとかの情報が流れ、この事件を官邸の報復として取り上げる者は多くはなかった。

 

 

7月から、報道ステーションのプロデューサーが交代し、一挙に安倍批判を控えるようになる。

 

 

そして、今回の前代未聞のしょぼすぎる不祥事による歴史的な二代連続の事務次官辞任である。

 

 

辞任した事務次官と初等中等局長は、加計疑惑追及に力を貸したかもしれないし、貸していないかもしれない。いや逆に抑えにかかっていたかもしれない。

しかし、そんなことは関係ないのだ。

報復は周到に用意され、総裁3選直後という、これ以上ないタイミングを見計らって、官邸の圧倒的な力を見せつける形で、実行されたのだ。

 

 

 

報復は、加計疑惑の追及に力を貸したか否か無関係に行う方が、より効果的である。

官邸に逆らえば、省内にいる誰もが報復を受け得る。同僚や後輩に迷惑をかけることになる。省内に影響を及ぼさないように極力官邸の不正には目を背けるようになる。上司は、部下に官邸に対する不心得者がいないか常時監視の目を光らせる。それが監督者の第一の仕事になる。不心得者は、直ちに官邸に報告されるだろう。通告されるのではないかと疑心暗鬼になり、省内でも本音は話せなくなる。

 

 

見せしめというものは、見当外れな方が効果が大きいのだ。

 

 

これは、すでに粛清と呼ぶのがふさわしいレベルに達している。

また一歩、独裁国家に近づいた。

 

 

私たちは、止められるのか。

メディアに働く人たちに是非、読んでもらいたい本がある。

太田愛「天上の葦」(KADOKAWA)である。

この時代に生きる全てのメディア人に読んでもらいたい。

この本を読んで、是非、勇気を出してもらいたい。

そして、一歩を踏み出してもらいたい。

この国を救うために切実に、そう願わずにはいられない。

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